ハミダシクリエイティブ凸の感想という名のオタク語り【和泉妃愛アフター】 (Pixiv Fanbox)
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ってことで発売しました、ハミクリ凸。いぇーい
ブランドは【ワガママハイスペック】や【ラズベリーキューブ】でお馴染み【まどそふと】さん。
エロゲ業界に長い寒冷が吹きすさぶなかこれぞエロゲー!って感じのキャラゲー(褒め言葉)を毎度生み出してくれる会社。いつもありがとう。
そんな神ブランドから発売された【ハミダシクリエイティブ凸】は前作【ハミダシクリエイティブ】の続編(ファンディスクではない)にあたり、既存ヒロイン4人のアフターストーリーと新規ヒロイン1人のルートが収録されています。
前作は2020年萌えゲーアワード準大賞を受賞しているスマッシュヒット作ですが、続編である今作はどうなのか、全ルートとCGを攻略したので順番にレビュー(という名のオタク語り)をしていきたいと思います。
※本編、及び前作のネタバレを多分に含みます※
※また、かなりの長文なのでご注意ください※
本作は続編やファンディスクでよくあるスタート画面で個別にヒロインを選択してその物語を楽しむという形式のモノ。
自分は早くアフターストーリーが楽しみたかったので【和泉妃愛】から右へ順番に攻略して、最後に新規ヒロインの【竜閑天梨】を攻略しました。
【和泉妃愛】 評価:★★★★★
主人公の妹であり本作で一番の闇を抱えている人物であり物語が始まるキッカケを作った人物。
前作では一番最初に攻略してしまったせいで他のヒロインを攻略するたびに自分の中の兄心がズキズキと傷んでしまった。
本作を知らない人にざっくり前作のネタバレをしてしまうと、主人公と妃愛の両親はふたりが幼い頃に交通事故で他界しているのだが、妃愛はその前日に両親と大喧嘩をしてしまったせいで両親が死んだのは自分のせい、兄から両親を奪ってしまったのは自分であるというトラウマを抱えています。
更に幼い頃から国民的子役として人気やお金を持っていた妃愛は自身を引き取ろうとする親戚の大人の汚い面を見てしまい、人間不信と大人不信に陥っています。
そのため妃愛は唯一の家族である兄を溺愛しており、兄が自分のもとを離れないようお世話を焼いてお金を与えて依存するように仕向けます。
妃愛ルートではそういう兄が知らなかった妃愛の心に抱える闇を受け入れ、一生一緒に暮らそうという感じで締め括られるのですが……、他のルートを攻略するとそういう妃愛が抱える闇の部分を知っている身からすると「あぁ、将来的に妃愛は誰を愛することもなく一生ひとりで暮らすのか……」とか「家族に対するトラウマを誰に打ち明けることもなく暗いリビング無表情でご飯食べる人生……」って想像して心が痛い。
まあ、ルートによっては妃愛が闇を打ち明けて他ヒロインと一緒に暮らすルートであったり、他ヒロインと仲が良いから便乗して一緒に暮らすぜーって言ったりするからいちおうの救済はあるんだけどね。
はい、というわけでそういう本作一番の事情を抱える彼女のアフターストーリーは前作でモヤモヤしていた部分の清算から始まります。
声優【小泉妃愛】が炎上するキッカケになった声優仲間【ゆっこちゃん】の謝罪であったり、両親が事故に会う直前のドライブレコーダーを聴いたり。
前作の山場として盛り込まれていたこのふたつのあれこれ、実は解決はしてもわだかまりは解けてなかったんだよね。
だから序盤で前作の未回収だったモヤモヤをちゃんと描いてスッキリアフターストーリーに入り込める作りはとても良かった。あとゆっこちゃん相手に素を曝け出す妃愛は貴重で超可愛い。
ちなみにドライブレコーダーのくだりは大号泣したし画面が水没した。ああいうのは弱いからズル。
そして前作の清算が終わったふたりは家族として一緒のベッドで寝て、その絆を確かめる。
恋人だからイチャイチャもするけどこういう家族としての守りたいとか傷つけたくないとか、そういう心温まるシーンも妃愛ルートならではの良いところ。
で、新生徒会のお話。
新メンバーは今作から登場する主人公にとって後輩、妃愛にとっては同級生の女子生徒ふたりなのだがこれが中々可愛い。
彼女たちは妃愛が文化祭で披露した朗読劇に感動して生徒会に加わったのだが……、初っ端から主人公に対する好感度が高い。
なんかもう告白したらOKもらえるぐらい懐いてる。
しかし全ルート攻略した私は知っています、この可愛い後輩ふたり、この妃愛アフターでしか出てきません。しかもちょい役です。
立ち絵やSDイベントとか用意されてるのに特に何かあるわけでもなく、終始主人公が後輩からモテているという妃愛の嫉妬メーターを高めるためだけに用意されたキャラクターです。もったいない!
それからヒロインのひとりである【鎌倉詩桜】が執筆中の新作小説が出せなくなったから代わりに主人公をテーマにした小説を執筆すると言い出す。
妹が元国民的子役で現人気声優なのに全く関係のないVTuberを推す理由であったり、妹に対してどういう感情を持っているのか取材という名目で定期的に根掘り葉掘り聞かれることに。
この辺りが妃愛アフターを引っ張っていくクリエイティブ要素になっています。
ちなみに主人公は妃愛と付き合っていることや女性として好きという感情は誰にも打ち明けていないのでめっっっっちゃシスコンだと思われてる。
なんなら妃愛は炎上騒動で彼氏疑惑を持たれたから声優ラジオでお兄ちゃんが大好きー!とかブラコン宣言してるから外を出歩くとき腕組んでる。砂糖が甘い。
そして学園パートでボランティアへ行ったり、生徒会メンバーで初詣へ行ったり、バレンタインでサプライズを受けたり……。
前作では声優【小泉妃愛】のお仕事パートが多かった反面、今作では【和泉妃愛】の学園パートがメインにピックされている印象。
前作から角の取れた優しい詩桜先輩とか自分を慕ってくれる可愛い後輩とか学園ライフが楽しい。
ハミクリという作品は個性豊かなキャラクターが交わることで魅力的な会話が繰り広げられるのが特徴のひとつであると思っているので、そういう交流パートが結構あるのは個人的に良きです。
で、詩桜先輩が書いた小説が爆売れして映画化、作中主人公の妹役に妃愛が抜擢されるのだが……、この後に不満ポイント。
妃愛を迎えに来たマネージャーと会話するシーンが有るのだが、何を隠そうこの【妃愛のマネージャー】こそが本作の諸悪の根源でありクレイジーサイコパス枠。
たぶん不快なキャラクターの少ないハミクリでも殆どの人が嫌いって言う人。
簡単に説明しておくと、主人公が生徒会長になったのはこのマネージャーのせい。
というのも声優の仕事で単位の足りない妃愛を進級させるようマネージャーが学園へ便宜を申し出るのだが、流石に登校すらしていない生徒を優遇させる訳にはいかないと言われ、それなら生徒会活動で実績を作ろうとマネージャーが考える。
しかし生徒会長へ据えようとも兄ファーストの妃愛は何を言われても生徒会長などしないだろう、だったら今の生徒会長を辞めさせてその後釜に主人公を据えれば自動的に兄ファーストの妃愛も生徒会に所属するだろう、と考えたマネージャーが主人公の親戚で保護者で教師のミリ先生と当時の生徒会長である詩桜先輩へ相談を持ちかける。
しかし家族想いのミリ先生はともかく、自分ファーストの詩桜先輩にはどれだけお金を積もうと興味を惹かれることはなく、最終的に主人公は妹の金でガチャをするだけで何もしないクズであるとか色々と吹き込んで、その性根が気に入らないからヒーヒー困る姿を見たいとその気にさせる。
(実はガチャは妹の金じゃなくて成人したら受け取る両親の遺産だったとか、何もしないではなく何もさせてもらえない、妹がそう仕向けていたという話なんだけど)
そんな感じで裏で探偵雇って生徒会メンバー全員の素行調査したり主人公の悪評を先輩に吹き込んだりとか好き勝手やっていたマネージャーなんだけど、なんとこの人全編通して謝罪がない。
詩桜先輩とミリ先生は詩桜ルート以外では先輩の卒業後、ネタバラシをされてふたりから謝罪をされている。
詩桜先輩からは前評判ほどクズな人間ではなく自分から率先して生徒会活動をするマトモな人間だと言われたり、ミリ先生からは責任取って教師を辞めるとか色々言われるわけなんだけど……、このマネージャーは謝罪しないしその場に同席すらしない。
そもそも主人公と会話するときでさえその話題に触れない。なんか色仕掛けしたりしてくる。
で、妃愛が支度をしている間、世間話としてマネージャーがどれだけ妃愛を大切にしているのか教えてくださいと主人公が問うのだが……、そのときに出てきた言葉がこれ。
は?
は??
は???
は?????
おそらく本編序盤と同じで前作のモヤモヤわだかまりを解消するためのマネージャーの掘り下げなんだろうけど、これじゃあ何一つ解消されないしむしろ前作以上にヘイトが溜まった。
これならまだ登場しないかお仕事の話に徹するかしてくれている方がよっぽど良かった。
ある程度削りながらスクショをしているけども、もしこれを全部読んだらもっと頭は混乱することだろう。
詩桜先輩は前作体験版ではすごく不快感の強いキャラクターであれのせいで購入を断念した人がいるぐらい不人気だったけど、詩桜ルートや今作のネタバラシ後は優しく甘い先輩に変わって評価が180°変化するキャラクターだった。
ミリ先生も教師ではあるが愛すべき親戚のためにひとりの人間として悪事に加担するという懺悔やその気持ちの吐露が痛いほど伝わってきた。
しかしなんだこのキャラクターは。
謝罪もなく妃愛のためとか言いつつ自分のために自分のエゴで本人や周囲の気持ちや事情を顧みずに行動して、最後はなんかいい人風に締めるやつ。
そもそも詩桜アフターをやれば分かるのだが本人にとって大事なのは【小泉妃愛】であって【和泉妃愛】は【小泉妃愛】が活動できるなら厭わないっていうスタンスだから主人公の独白も見当違いになってます。
まあ長々とした愚痴はこのぐらいにして。(後に詩桜アフターでも再びぶちまけます)
学園パートでは相変わらず年下組が仲良くしていて微笑ましい。
自分の推しである錦あすみに仲良く出来る友達が出来たのはすごく喜ばしいことである。(なお他ルートだと友達にならない)
そしてそんな仲良し年下組なのだが主人公と妃愛は内緒話を聞いてしまう。
主人公さんってちょーカッコいいよねー告白されたら付き合っちゃうなー先に生徒会にいたあすみちゃんに順番は譲るけどその後は遠慮しないからねー、みたいな。
モテ期到来である。
年下三人組にモテて幸せ絶頂な主人公だが、恋人はいつも隣にいる妹である。
普段は気にしてませんよーお兄ちゃんが評価されるのは良いことですよーと妹の余裕をのぞかせる妃愛だったが最近のモテ期には複雑な気持ちらしい。
曰く嫉妬ではないらしい。
かわいい。
そして妃愛の誕生日。
昨年は炎上の件でイベントで生卵を投げられたりその後に主人公に告白されたりと最低と最高を同時に味わったのだが、今年は主人公が妃愛にとって人生で一番幸せな一日にするのを目標に用意をしてきた。
それは昨年の文化祭で行われた朗読劇の返事だった。
というのも昨年の朗読劇は妃愛がどれだけ両親に対して後悔しているか、だから兄をどれだけ大切にしているかという心情を綴った内容だった。
それに対して、今年は主人公がどれだけ妹のことを大切にしているか、愛しているか。
それを綴った手紙の朗読をプレゼントした。
当然、何も知らなかった妃愛はまさかのサプライズに人前で泣いたことがないにも関わらず大号泣。
このときのイベントCGが神過ぎる。
敢えて載せないので買って確かめてくれ。
あと詩桜先輩の取材が手紙の指導も兼ねていたというのが上手いこと展開を持ってきたなぁって感心した。
そして時は過ぎ、生徒会長が主人公から妃愛へと移る。
このとき生徒会室で打ち上げをして感極まった年下組が主人公に抱き着いたり同級生の子も便乗して抱き着いてきたり詩桜先輩は妃愛に抱き着いたりするんだけど、ひとりマイペースに御座候食べてる華乃が可愛い。
ちなみに作中では回転焼き、今川焼、とか色々呼び方があってみんなスルーしてるけど頑なに他の呼び方認めようとしないんだよね。(ちなみに御座候は会社の名前)
で、映画の上映会へ行ってふたりで手を握りあってこれからもふたりで一生一緒に仲良く過ごそうね~って約束して終わり。
【総評】
全体的に前作の諸々を清算しながら新たなイベントを盛り込んで声優としてだけでなく学生としての妃愛を描いているのがとても良かった。
これぞアフターストーリーって感じでコンパクトながら前作では物足りなかった部分をこれでもか!って盛り込んでくれているのはユーザーが求めるものをとても良くわかっている。
他ルートだと闇を抱えたまま停滞する妃愛だけど、このアフターでは停滞するだけではなく前に進もうたとえ兄が先に死んでも最後まで精一杯生きるよっていう成長がね、素晴らしい。ベスト妹オブザイヤーを送ろう。
ただ本編で度々結婚式に触れておきながらその結婚式が店舗特典のドラマCDっていうのだけは許せねぇ……。
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