小説 ポニー学園物語 4.尻尾のプラグ (Pixiv Fanbox)
Published:
2018-05-23 10:36:49
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2022-02-01 02:03:41
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ポニー学園物語
4.尻尾のプラグ
ゆっくりと、性の高みから下りてくる。
次第に、意識が覚醒してくる。
「はっ、ひっ……はふ……」
柱を抱くように拘束されたまま、藁を敷き詰めた床にへたり込み、いまだ力が入りにくい身体を、ときおりピクンと震わせる。
気づくと、足下の藁が湿っていた。
絶頂の瞬間、おしっこを漏らしてしまったのだろう。
恥ずかしい。恥ずかしい。一度ならず二度までも、藤島調教師の前で失禁してしまうなんて。
「気にしないで。命令に従ったうえでの恥や失敗を責めたりしないと言ったはずよ」
そのことを詫びると、藤島調教師は穏やかにほほ笑んで、首を横に振った。
「絶頂は、初めてだったのかしら?」
「は、はい……」
「だとしたら、失禁するのは仕方ないこと。それに床の藁は適時牧童が清潔なものに入れ替えるから、問題ないわ。それより、今は……」
そしてそう言われたところで、乗馬鞭でお尻をピシャリと打たれた。
「ひゃうっ!?」
驚いて悲鳴をあげるが、痛かったわけではない。
もちろんまったく痛みがないわけではないが、必要以上の痛みを与えないよう、手加減された打擲だった。
それが意味するところは、懲罰ではなく合図。
まだやることは残っているんだから、しゃんとしなさいという、意思の伝達。
「立ちなさい」
だから、打たれたのと同じ場所に鞭を押し当てて命じられ、私は柱を抱いたまま脚に力を込めて立ち上がる。
「はい、よくできました」
すると藤島調教師は鞭を納め、満足げにうなずくと、コルセットに装着される最後のポニー装備を手に取った。
「固定ベルト付き尻尾のプラグよ」
(尻尾……はわかるけと、プラグって?)
その意味は、固定ベルト付き尻尾プラグの裏側を見せられ、あきらかになった。
ポニーテールの束ねた部分にも似た尻尾の反対側。そこには、傘を張ったキノコのような突起が。
(これが……プラグ?)
その突起をプラグと呼ぶのだろうと思ったが、それの使いかたがわからず考えていると、お尻の穴に冷たいものが触れた。
「ひあっ!?」
驚いてビクンと跳ねたところで、藤島調教師の声。
「驚いた? 今、お尻にローションを塗りつけたの」
(そうか……)
と一瞬納得して。
(待って、なぜお尻にローションを?)
思い直したところで、お尻の窄まりの上で、藤島調教師の指が動き出した。
「ひっ、あっ!?」
ローションをまぶした指で窄まりの襞を円を描くように撫でられ、変な声を出してしまった。
「ミワ号はお尻でも感じるの? だとしたら……」
藤島調教師がお尻の窄まりを撫でながら、背後から私の耳元で囁いた。
「だとしたら、処置は明朝にして、今はお尻の快感を教えてあげたほうかいいわね」
「えっ? 処置って……それにお尻の快感っていったい……?」
「うふふ……処置がなんなのかは、明朝のお楽しみにしましょう。それに先にお尻を開発しておけば、処置でも気持ちよくなれるかもしれないわ」
ますます意味がわからなくなった。
そのあいだにも窄まりへの愛撫は続き、そこから妖しい感覚が生まれ続けている。
ゾワリ、ゾワリと、妖しい感覚が――。
そこでその感覚が、耳たぶを唇で噛まれたときと、乳首に触れられたときと、同じものであることに気づいた。
「ま、まさか……これって……」
そのことに気づき、思わず声をあげると、藤島調教師がささやく。
「うふふ……気づいたようね。ミワ号は今、お尻でも快感を得始めている」
「そ、そんな……」
「そんなことないって思う? でもね、ポニーのミワ号も肉体はヒトのものである以上、人体の仕組みには逆らえないのよ?」
「し、仕組み……?」
「ええ、仕組み。乳首や陰核、性器ほどではないにせよ、人の肛門周辺には、少なからず性感帯が存在している。もちろん個人差があって、多い人と少ない人がいるけど……ミワ号は、肛門周辺に性感帯が多くて、お尻で感じやすい体質のようね」
「う、嘘……そんなこと……」
「ううん、嘘じゃない。その証拠に、襞をマッサージし始めたばかりなのに、ゾクゾクしてるんでしょう?」
実のところ、それは絶頂直後で、体表の感覚が鋭敏になっているせいである。
しかし藤島調教師はそのことを告げず、私がお尻でも感じやすいせいだと断定した。
人に見られて感じる体質だと、乳首が感じやすい体質だと思わせたように、私がお尻でも感じやすい体質だと信じ込ませるために。
そして藤島調教師に精神を掌握されている私は、その時点で『そうかもしれない』と思わせられてしまった。
そうして快感を開発する下地を作っておいて、藤島調教師はお尻の襞を撫で続ける。
円を描くように、襞のひとつひとつにローションを塗り込めるように、禁断の場所に触れられる緊張感で、硬くなっているそこをほぐすように。
「うふふ……だんだんほぐれて、柔らかくなってきたわ。やっぱりミワ号は、お尻でも感じるポニーね」
ほんとうは、ほぐれて肉が柔らかくことと、感じることは関係ない。
しかし、すでに『そうかもしれない』と思わせられていた私は、違うと言い返すことができなかった。
言い返すことができず、また精神に刷り込まれてしまった。
人に見られて感じる体質だと、乳首が感じやすい体質だと刷り込まれたように、今回はお尻でも感じやすい体質だと。
そのせいで、私はまったく開発が進んでいない段階で、お尻でも感じることを受け入れていた。
本格的に調教に入る前に、心の防御壁を取り払ってしまう。その巧みな誘導こそが、藤島調教師の手練手管。
そしてそのことに気づけない私は、心の防御壁を失ったところで、お尻の快感調教を受けてしまう。
「うんちするときみたいに、軽くいきんでみなさい」
「は、はい……こうですか?」
藤島調教師に命じられ、意味がわからないまま従ったところで、お尻の穴になにかが侵入した。
「ひあっ!?」
悲鳴をあげ、反射的に活躍筋を引き締めて、そのなにかの存在を強く感じてしまった。
「ひっ……こ、これ?」
「プラグじゃないわ。私の指よ。人はうんちをするときのようにいきむと、括約筋が広がって挿入しやすくなるけど、マッサージもせずいきなりプラグ挿入はできないわ」
「えっ……?」
情けないことに、そう言われて初めて、プラグがお尻の穴に挿入するためのものだと知った。
「えっ……挿入(はい)らない……」
「なにを言っているの? 指は入ってるわよ」
「いや、でも……そうじゃなくて……」
「そうか……女の指1本でも、存在感がすごいでしょう? それがあんな太いプラグだったら、と思ってるんでしょう?」
そこで、私の勘違いの本質に気づいたのだろう。
しかし、あえてそのことには触れず、かつそのことを踏まえて応えながら、藤島調教師が指を動かし始めた。
「でもね、入口がほぐれて指を挿入できたように、こうして中をほぐしてあげれば、尻尾のプラグも簡単に挿入できるの」
「そ、そんな……」
信じられない。
でも、これまで藤島調教師の言葉が間違っていたことはない。
人に見られて感じる体質だということも、乳首が感じやすい体質だということも、お尻でも感じる体質だということも、最初はまさかと思っていた指摘は、すべて当たっていた。
実際は言葉巧みに誘導されたのだが、私はそう思い込まされていた。
(だから、今回も……)
きっと私は、プラグも挿入されてしまう。
そのうえ――。
「そろそろ、中も気持ちよくなり始めてるんじゃない?」
挿入した指をゆっくり回転させながら、藤島調教師がささやいた。
もう私は、その言葉を内心でも否定できない。ゾワリゾワリと感じ始めた妖しい感覚が、快感なんだと受け止め、受け入れてしまう。
「気持ちいいなら、声を出してもいいのよ」
「えっ……でも……」
「艶やかに喘いで乳首でイッたときみたいに、今度はお尻でイッてもいいのよ」
そう言われて、先ほどの絶頂を思い出した。悦びがよみがえってきた。
「あふぁ……」
その甘美な記憶が、私を蕩けさせる。
蕩けさせられて、お尻の快感にものめり込んでいく。
ちゅく、ちゅく……。
ローションの水音をたてながら、指の抽送が始まった。
「はひゃ、あっあっ……」
ふだん一方通行で出ていくだけの場所に抽送される異様な感覚。
「うふふ……いよいよ本格的に感じてきたわね」
藤島調教師の言葉で、それが快感だと思わせられて、私はますます蕩けさせられる。
「はっふぁ、あっあっ……」
もう、止まらない。
言葉巧みに誘導されて、お尻で感じていると思わせられて、高められていく。
ちゅく、ちゅく……。
「あっあっ、ひぁああ……」
気持ちいい。気持ちいい。
ちゅく、ちゅぷ……。
「ひぁん、はひゃあん……」
お尻を指で凌辱されるの、気持ちいい。
誘導され、思わせられ、蕩けさせられ、高められ、私がはっきりと快感を認識したときである。
「はふっ……!?」
スポンと指が抜けて、痺れるような快感が肛門周辺に広がった。
しばしのあと、あらためてなにかがあてがわれ、お尻の穴が押し拡げられる。
「ひあ……ふ、太いッ……!?」
「さっきのように、いきんでみなさい」
「は、はひ……」
反射的に藤島調教師の言葉に従った直後。
「はひゃあアッ!?」
猛烈に太い異物にお尻を拡げられたかと思うと、括約筋の一番狭いところが、異物の細いところにスポンと嵌り込む感覚。
思わず括約筋を引き締め、プラグを食い締めてしまい、背すじがゾクリとしたところで、藤島調教師の声。
「うふふ……プラグが挿入(はい)ったわ」
「う、うそ……」
「ほんとうよ。間違いなく最大径5センチ、一番細いところでも3センチのプラグを、ミワ号の肛門が飲み込んでいるわ」
「ま、まさか……」
信じられない思いだが、藤島調教師の言葉に嘘はない。彼女が今まで嘘をついたことはないし、現にお尻の穴には猛烈な異物感が。
「プラグの細い部分に括約筋が嵌まり込んでいるから、もう簡単には抜けないけれど……」
そして耳元でささやきながら、藤島調教師は尻尾付きプラグのベルトをコルセットに留めていく。
「このベルトを締めてしまえば、どんなにいきんでもプラグを抜くことはできなくなる」
プラグを中心にX字になっている4本のベルトのうち、2本をコルセット背面で留め、残る2本を股間から前方に回す。
「うふふ……そしてこのベルトを締めると、女の子のところもエッチになるのよ」
そして前方でもベルトを締められると、女の子の媚肉――大陰唇が、周りに食い込んだベルトに押し出される感覚。
「今はお毛けがあるからよく見えないけれど、剃っちゃうとそれはエッチな光景よ……ねえミワ号、剃っちゃう?」
「い、いやあ……」
恥ずかしくてフルフルと首を振ったところで、ベルトの装着が終わった。
「うふふ……決めたわ。明朝、処置の前に剃っちゃいましょう。でも今はちょうど3時、おやつの時間ね。用意してくるから、少し待っててね」
そしてそう言うと、藤島調教師は柱を抱くように拘束されたままの私を残し、馬房を出て行った。
「くっ、ふん……」
ものすごい存在感のプラグを無意識に食い締めて、鼻から甘い吐息を漏らす。
「ああっ、ふぁ!」
寝返りを打つ際、お尻を藁の床につけて尻尾付きプラグにお尻の穴を抉られて、悲鳴じみて喘いで目を覚ます。
なぜ尻尾のプラグはほかの装備とは別に、初調教後に着けられたのか、今ならわかる。
初めて拘束され、初めてポニー調教を受けるとき、これほど存在感のあるプラグにお尻を抉られていては、まともな調教にならないからだ。
あれから――。
午後、最後のポニー装備を着けられてから、私はお尻の尻尾プラグを嵌められたまま過ごした。
柱に抱きつくような拘束からは解放されたが、両手をグーで固める拘束用ミトンは外してもらえなかった。そのせいで、尻尾付きプラグを抜くことができず――いや、もしミトンがなくても、私はプラグを抜こうとも思わなかっただろう。
それは、プラグが藤島調教師に挿入されたものだから。彼女が手ずから挿入したプラグを、許可なく抜くという選択肢が、私にはなかったから。
馬飼野女子学園という名のポニーガール養成所に連れてこられてわずか1日半。私はそれほどまでに精神を支配されていた。
とはいえ、括約筋で食い締めている細い部分でも直径3センチ、その奥でキノコのように傘を張った太い部分は直径5センチもあるプラグの存在感は、そうとうなもの。
そのためにおやつを食べさせてもらっているときも、昨夜とスープの具が変わっただけの質素な夕食を食べさせられるときも、常にお尻に『挿入(はい)っている』ことを意識させられた。
そのうえに、藤島調教師の暗示と、プラグ装着前のお尻の快感開発だ。
『お尻でも感じる体質』
そう信じ込まされて、実際にお尻で感じさせられて。高まり始めたところで、お尻の穴をプラグで封印された。
そのため、肉体は性的な快感がもたらす火照りを、宿したまま。
『感じるところ』と認識してしまったお尻の穴を、常にプラグで刺激されているから、火照りが冷めることもない。
そして、一度絶頂を味あわされた私は、この火照りの先に大いなる快感と幸福感があることも知っている。
そのため、私の本能はその絶頂を求めてしまう。
しかし、私にはそこに到達する手段がない。
お尻の穴はプラグで抉られているが、それだけで絶頂できるほどには、私のお尻の開発は進んでいない。
乳首の快感で絶頂した経験はあっても、拘束用ミトンを嵌められた手では、繊細に乳首を弄ることはできない。
股間のベルトに周囲を圧迫され、押し出されるようにぷっくり膨れる媚肉を擦ることはできるだろうが、いまだ処女地のそこをミトンで弄るのは恐ろしい。
なにもできないままやがて消灯時間が来て、肉体の火照りを抱えたまま干し草に身を横たえても、なかなか寝つけない。
お腹と首、ふたつのコルセットの苦しさに加えて、尻尾付きプラグの存在が私を苦しめる。
明かりの消えた馬房で、干し草の上に横たわっていると、つい括約筋に力を入れてプラグを食い締めてしまう。
「くっ、うっ……あっ……」
ゾワリと快感が駆け抜け、艶めいてうめくが、それ以上はなにもできない。
それでも調教と絶頂の疲れから眠りに落ちても、寝返りの際にプラグをこじられてしまう。
「あっあっ、ぅあぁん……」
喘いで目覚め、プラグを食い締めても身体の火照りが増すばかり。また、同じことの繰り返し。
そうしてひとり悶々としているあいだ、藤島調教師が貴龍園長と面談していることを、私は知らなかった。
「0039番、ミワ号の調教の状況は?」
膨大な量の書類に目を通し、承認するものには署名捺印、差し戻すものには問題点を記したうえで回収箱に投入。その作業を猛烈な速度でこなしながら、貴龍園長が藤島調教師に訊ねた。
その視線は、藤島調教師を見ていない。意識も、100%は向けていない。
とはいえ、きわめて優秀な実業家であり、実務家である貴龍園長にとって、部下の報告を聞く程度の業務は、それで充分だ。
そして長い付き合いで、そのことを熟知している藤島調教師も、気にせず口を開く。
「きわめて順調です。いえ、順調すぎますね」
「それは、どういうことだ? 詳細に述べなさい」
「はっ。基礎体力と身体能力に優れたミワ号は、平均的な新人ポニーならすぐ根をあげる厳しい調教も、楽にこなします。また学業の成績は平均的だったようですが、頭脳は明晰で回転も早く、素直な性格とも相まって命令の飲み込みも早い。そのうえ想像力も豊かで、こちらが意図した『暗示』の先を読み、自ら暗示にかかりに行くようなところもあります」
「ふむ、理想的なポニーではないか。それのどこが問題なのか?」
「はい。それゆえミワ号は、反抗しないのです。それどころか、明晰な頭脳で反抗しても無駄だと、反抗しないほうが身のためと察し、反抗する気持ちすら抱こうとしない。このままでは、一度も私に反抗しないまま、ポニーとして完成されてしまうでしょう」
「反抗……?」
そこでようやく手を止め、貴龍園長が藤島調教師を見た。
「反抗なら、港に上陸してすぐにしたではないか。あれで鞭で打ち据えられ、失禁してしまい、そのショックで素直になったのではないのか?」
「いえ、ミワ号の素直な性格は、生来のものです。それにあれは、絶対服従を教え込むための初期教育の一貫。素直で純粋な性格ゆえ、騙されたと知らせて逆上させ、一時の怒りにまかせて挑みかからせただけ。ミワ号自身の意思で、彼女の信念にもとづいて、あるいは熟慮の結果、反抗したわけでありません」
「ふむ……回りくどいな。要するに、それのどこが問題なのか?」
「はっ、自らの意思で、信念にもとづいて、あるいは熟慮の結果反抗し、その反抗心を完膚なきまでに潰された経験がないまま完成されてしまったポニーは、制圧する能力のある調教師の手を離れたあと反抗心を抱いたとき、それを抑えることができなくなるのです」
「つまり、調教師の手を離れ顧客の手に委ねられたあと、決定的な反抗をする恐れがあると?」
「そのとおりです。早期の反抗を促すためにも、いっそう厳しく調教する所存ですが、それでミワ号が反抗の意思を示すかどうか……」
「では、罠にはめてはどうか? 港で絶対服従を教え込んだときのように」
「お言葉を返すようですが……調教師の役割は、常にポニーの側に寄り添うこと。それにより、ポニーに100%の信頼を寄せられること。すでに調教では反抗しなくなったミワ号に、調教以外の部分で反抗させるような行動を取れば、その信頼を損ない、調教そのものが失敗に終わりかねません」
「ふぅむ……」
止めた手を胸の下で組み、貴龍園長がしばし考えた。
ポニー調教の専門家ではなくても、実業家、あるいは実務家として経験を積んできた優秀な頭脳で熟考し、やがて再び藤島調教師を見る。
「つまり、藤島調教師の言動以外で、反抗のきっかけが必要ということか……わかった。近いうちにそのきっかけを準備しよう。それまで予定どおりに調教を進めるように」
そして藤島調教師にそう命じると、貴龍園長は書類の処理を再開した。