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後編 ポニーガールの調教  フェステール族においては、奴隷は女だけである。  戦闘部族たるフェステール族では、戦いに赴く役割を与えられていない男は、純粋に繁殖用として飼われる存在。  実態としては奴隷同然だが、繁殖以外の役割がないため、制度上奴隷とは別枠の存在とされていた。  そんな女奴隷は、与えられた役務により分類されている。  娼館や愛玩用として個人に飼われる性奴隷。  農園などで使役される労働奴隷。  個人宅で主に家事労働に従事する家事奴隷。  各種奴隷を束ね、それぞれの役務の成果を主人に報告する奴隷頭など。  ただし、奴隷の区分が厳密というわけではない。  個人所有の労働奴隷や家事奴隷が、夜には性奴隷の役目を務めることもある。  ガブリエラに仕え、ニーナの世話をしながら日々の所業を報告していた9の娘は、家事奴隷と奴隷頭を兼ねていると言えるだろう。  そんなフェステールの奴隷のなかで、ほかに類を見ない独特なものが馬奴隷。  なかでも荷車を引いたり農耕などの目的ではなく、娯楽や愛玩のために飼われる馬奴隷を、ポニーガールと呼んでいる。  ガブリエラは、そのポニーガールにニーナを仕立てようとしていた。  檻の中の奴隷暮らしが始まって、10日ほどが過ぎた。  後手に拘束されていることによる苦痛に苛まれていたのは、3日めくらいまで。  今はもう、肩の鈍痛も轡を噛まされた口の痺れも感じない。  それは、拘束状態に馴らされたということだろう。  逆に拘束を解かれたときのことを考えると不安になるが、そのことをずっと気に留めてはいられなかった。  あれから――強制排泄のあと矯正絶頂させられて、心身ともに消耗しきったニーナは、あたりが暗くなると泥のように眠った。  そして、朝。9の娘が桶を持って現われて、食餌と水分補給。  ただし、轡は外されない。  食材の原形がなくなるほど煮込まれたドロドロの液体を、水を飲まされるときよりは慎重に口に流し込まれる。そのあと、溢れた液体を洗い流すように、乱暴な水分補給。  さらに桶を交換して小水を取られて、あとは昼まで檻のなかで過ごす。  ときおり、立ったりしゃがんだり。身体を動かすのは、体力の衰えを防ぐため。  固く縛《いまし》められた上半身は鍛えられなくても、足腰の鍛錬だけは続けようと始めた行為は、思わぬ副作用をニーナの肉体にもたらした。  すねから甲までを一直線に伸ばして固定する異形のブーツ――たしかガブリエラは、馬のブーツと呼んでいた――を履いたまま運動するには、脚だけではなく下半身全体、普段は存在を意識しない深部筋肉《インナーマッスル》まで総動員しなくてはならない。  もちろん、異物を挿入固定された、肛門や膣口を引き締める筋肉も。  立ったりしゃがんだり、脚に力を入れるたび、3つの穴で異物を食い締めてしまう。  さらに、筋肉の動きに合わせ、穴の中の異物に粘膜を擦られる。  そしてニーナの粘膜は、異物を挿入されたときの生体反応により、分泌された粘液で潤っていた。  粘液でヌルヌルの穴が異物で擦られ、妖しい感覚が生まれる。  それでさらに粘液が分泌され、感覚に妖しさが増す。  それは、性の快感だ。ガブリエラに淫なる魔法で昂ぶらされたときよりはるかに小さいが、弱く緩い快感だ。  ニーナはすでに、そうと認識していた。  だが、やめられない。  騎士だった頃は性的なこといっさいを遠ざけてきたのに、今は自分の行為が淫らなものであるとわかっていながら止まらない。 (これは、鍛錬だから……けっして、快楽を求めてしているわけじゃない……)  自分に言いわけしながら、ニーナは行為を繰り返す。  これこそが、ガブリエラの深謀遠慮。  強制排泄で騎士の心を完全に砕き、恥の気持ちを萎ませてから、快楽の味を教え込む。  恥の感情が小さくなったニーナは、一度覚えた甘美なる快楽を、自ら求めるように矯正されてしまう。  その策が奏功し、ニーナの精神は、わずか1日で奴隷のもの作り変えられようとしていた。  あとは、奴隷精神を定着させ、そののちに次の段階に進む。  とはいえ、それはニーナの知らないこと。  ガブリエラの思惑には思い至れないまま、ニーナは鍛錬のためと言いわけしながら、淫らな行為を繰り返す。  疲れたところで休憩。  再び現われた9の娘に水と餌を与えられ、小水を回収されてから、また淫らな鍛錬を始める。  とはいえ、それで絶頂できるわけではなかった。  行為で得られる弱く緩い快感では、性の頂を遠くからかいま見ることすらできなかった。  それだけに、絶頂への渇望は強くなる。  強くなるがゆえに、自分に言いわけしながら行為に没頭してしまう。  そうして、夕方。  大きいほうの強制排泄が行なわれる。  9の娘から報告を受けていたのだろう。そのあと、つつがなく奴隷として1日を過ごしたことに対し、ガブリエラからご褒美が与えられる。  そう、ご褒美。  はじめガブリエラがご褒美と称した淫なる魔法による快楽は、もはやニーナにとってもご褒美以外の何ものでもなかった。  1日の終わりにそれを貰うために、9の娘が行なう作業に、積極的に協力もした。  それは、かつて女騎士だった頃のニーナなら、ありえなかったこと。  ガブリエラは、見事にニーナの精神を自分好みに矯正しつつあった。  あとは、見初めて捕らえた元女騎士を、奴隷として目指す形に仕立てあげるだけ。  そんなガブリエラの思惑にも気づけないまま、ニーナの調教は新たなステージに入ろうとしていた。  その日は、朝の食餌と水分補給、小水の採取のあと、ガブリエラが姿を見せた。  もう、ご褒美をもらえるのか。  心の奥底で期待し、心を浮き立たせるが、彼女が淫なる魔法を発動させることはなかった。  そのことにわずかばかりの残念な気持ちを抱きながら、首の後ろにつながれていた鎖を外される。  それから左右の乳首ピアスをつなぐ鎖を握られ、命じられた。 「立て」  乳首ピアスの鎖をくいっと引かれ、不安定な足で否応なく立たされる。  いや、緩い快感を求めて立ったりしゃがんだりをを日々繰り返していたニーナにとって、踵のない超ハイヒールの異形のブーツは、もはや足を不安定にする装具ではなかった。  それもまた、ガブリエラの深謀遠慮のひとつ。  快楽を求める気持ちが強くなるよう精神を矯正するとともに、娯楽と愛玩の目的に供される馬奴隷、ポニーガールとして肉体をも矯正していたのである。  ともあれ、それにもニーナは気づけていない。  そもそも、自分がポニーガールに仕立てられることも聞かされていない。 「歩行訓練だ」  なにも知らないままそう言われ、乳首ピアスの鎖を握られて、檻のから引きずり出される。  カッ。  床に干草が敷き詰められた檻を出、石造りの床を踏んだところで硬い音。  カッ、カッ。  ニーナが足を踏み出すたび、その音がブーツの底から聞こえる。  まるで、馬に騎乗して石畳の道を進んでいるときのような音が、ガブリエラが馬のブーツと呼んだ――。  そこで、ハッとした。  馬のブーツは、ただ馬の足のような形をしているだけではない。馬の蹄を象った足底の部分に、蹄鉄が取りつけられているのだ。 (でも……)  なぜ、ブーツの底に、蹄鉄が取りつけられているのか。そもそもどうして、馬の足を象った外見なのか。  歩行を制限し逃亡を防ぐ目的なら、踵のない超ハイヒールというだけでいいのに。  とはいえ、轡を噛まされた口では、訊ねることはできない。  ガブリエラは、なにも教えてくれない。  ただ、容赦なく歩かされる。  立ったりしゃがんだりの淫らな運動はしていたとはいえ、不安定な馬のブーツを履いての歩行に慣れていないニーナの乳首ピアスの鎖を、グイグイ引いて歩かせる。  檻が設置された部屋を出て、廊下へ。  窓から光が差し込む部屋と比べ薄暗いそこを、蹄鉄の音を響かせて。  まるで、馬を厩舎から引き出し、訓練用の馬場に連れていくように。  カッ、カッ、カッ……。  乳首ピアスの鎖を引かれて。  抗えば乳首がちぎれそうで、敏感なそこが鎖に引き伸ばされないよう、不自由な脚を必死に動かす。  騎士だった頃のニーナなら、そんな狼藉をけっして許さなかっただろう。  自らの肉体が傷つくことも厭わず、抗おうとしただろう。  だが、現在は違った。  肉体と精神を矯正され改造され、かつて誇り高き辺境女騎士だったニーナには、今やすっかり奴隷根性が染みついていた。 「ぁう、ぁうぅ……」  乳首がちぎれないよう、必死で歩く。 「あぅ、あぁう……」  鎖を引くガブリエラのペースに合わせ、足を運ぶ。  それは、難行苦行だった。  足の拘束具同然の馬のブーツを履かされているうえに、短い金具てつながれた太腿枷を嵌められて、ニーナは歩幅を制限されているのだ。 「ぁう、あぅ、ぁあ……」  そのため、歩かされているだけで、すぐ息がきれる。  足腰を中心に、疲労の蓄積も早い。  そのせいで、よろめいてしまった。  とたんに、鎖がピンと張る。張った鎖に、乳首が引かれる。 「ぃ、あ……ッ!?」  その痛みに、ぶざまに悲鳴をあげてしまった。 「あぇえ(やめて)……」  乳首がちぎれる恐怖に、みじめに懇願してしまった。  そして、悲鳴と懇願のふざまさとみじめさに、今のニーナは気づけない。  ただ、乳首ピアスの鎖を引くペースを緩めようとしないガブリエラに、必死でついていくだけ。  肉体も精神も矯正されてしまった元女騎士の奴隷は、娯楽愛玩用馬奴隷、ポニーガールとして躾けられていく。  カッ、カッ、カッ……。  硬い床を、馬のブーツの底が叩く。 「ぁう、ぁ、うあ……」  みじめなニーナがぶざまに苦悶する。  痛い。乳首が痛い。  だが痛みのなかで、下半身にほのかな快感が生まれている。  それは、3穴に異物を挿入固定された状態で歩かされているから。  歩くときにも、立ったりしゃがんだりするときと同じように筋肉が使われる。  一歩足を踏み出すごとに下半身全体に力を込め、異物を食い締めてしまう。  さらに、筋肉の動きが違うから、粘膜の擦られかたも変わってくる。  そのため、立ったりしゃがんだりを繰り返していたときとは、味わいが少し違う快感が生まれているのだ。  カッ、カッ、カッ……。  蹄鉄の音を響かせながら。 「ぁう、あっ、ぅあん……」  苦悶のうめきに、艶を帯びさせて。  とはいえ、その快感もやはり、淫なる魔法による矯正快楽には遠く及ばない。  乳首の痛みを凌駕し、ニーナを酔わせるほどには強くない。  痛みと快感が入り混じるなか、ついに廊下の突き当たり。  反転するのかと思いきや、後ろをついてきていた9の娘が、先回りして扉を開けた。  そこは、屋外だった。  周りを建物に囲われた中庭だが、これまでの屋内ではなかった。  そのため、みじめな奴隷姿のニーナは、扉から出ることを躊躇する。  だが、ガブリエラは許さなかった。  思わず足を止めたニーナの乳首ピアスが、鎖で引かれる。 「あうッ!?」  乳首の痛みに悲鳴をあげ、慌てて足を踏み出す。  すると、手入れされた芝の中庭に、手押しの荷車が置かれていた。 (いえ、これは……)  荷車ではない。荷車なら荷物を載せる部分に、小型の椅子が設えられている。 「馬車だよ」  ニーナが導き出した答えと同じ言葉を、ガブリエラが口にした。 「おまえは、この馬車に私を乗せて引くのだ」  そして初めて、ニーナを奴隷にした目的を明かした。 「娯楽愛玩用馬奴隷、ポニーガールに、おまえはなるんだよ」  馬奴隷。フェステール族独特の残酷な奴隷の制度は、聞いたことがあった。  ニーナが護っていた辺境では、小さい子どもを叱るとき『フェステールに連れていかれて馬奴隷にされるぞ』と言う親がいるほど、有名な話だった。  その馬奴隷に、自分は堕とされようとしている。  いや、罠に嵌められ捕らえられたときから、堕とされることは決まっていたのだ。  だからこそ、最初から馬のブーツを履かされていた。9の娘と違い厳重に拘束されていたのはも、装具が違っていたのも、それが馬奴隷の設えだったから。噛まされた轡は、馬の馬銜《はみ》代わりだった。  そうと知り、愕然とするニーナ。  しかし、抗えなかった。  心を折られ、絶望し、肉体と精神を矯正改造されたうえ、乳首の痛みとちぎれる恐怖に囚われたニーナは、馬車の方に引き立てていくガブリエラに抵抗できなかった。  乳首ピアスの鎖を引かれ、馬車の前に立たされる。  馬車の棒の先端を、9の娘の手で腰ベルトに設えられた金具に接続される。  そこで、ガブリエラが魔法を発動させた。 「少しばかり、乳首が傷んでいるようだな。治療してやる」  そして回復魔法で、鈍痛を覚えていた乳首を治癒する。  それから9の娘から鞭を受け取ると、ガブリエラは馬車の座席に座り込んだ。  腰のベルトに、彼女の体重がかかる。  だが重みの大半は車輪が受け止めているうえ、ベルトの位置が絶妙なおかげで、ニーナの身体への負荷は最小限。  馬のブーツを履かされた足でも、ふつうに立っていられる。  そこで、ガブリエラが鞭を振るった。  ピシッ!  それがニーナの足下の地面を打つと同時に、背後から声がかけられる。 「進め」  鞭で打たれたわけではないのに、ニーナは弾かれたように脚に力を込める。  だがガブリエラを乗せた鉄製の馬車は、元騎士たるニーナの筋力をもってしても、簡単には動かなかった。 「脚の力で引こうとするな。体重移動を使え」  そこで、再び鞭の音とガブリエラの声。  それだけで言葉の意味を理解し、ニーナは前傾姿勢を取る。  すると、それまでの半分ほどの力で、馬車が動き始めた。  辺境女騎士として鍛えられてきたニーナの身体能力と、ガブリエラの深謀遠慮による調教の成果である。  実際に娯楽愛玩用馬奴隷、ポニーガールの調教は行なわれていなくても、通常の奴隷としての馴致調教だけで、優れた身体能力を持つニーナは対応してみせた。  そのことに満足し、心のなかでほくそ笑みながら、ガブリエラが鞭を振るう。  ピシッ! ビシッ!  ガブリエラの思惑には思い至れないまま、地面を打つ鞭に急かされたニーナが、足を運ぶペースを上げる。 「このままの速度で、中庭を周回しろ」  ガブリエラに命じられ、速歩きのペースを維持して歩く。  石の床の上を歩かされていたときより、芝の中庭で馬車を引かされているときのほうが、脚に力を入れやすい。  それは、馬のブーツの蹄鉄が、芝用のものだからだろう。  そのことでも、自分はポニーガールにされるため、捕らえられたのだと。ガブリエラに目をつけられた時点で、ポニーガールにされる運命だったのだと思い知らされる。  折られ、砕かれ、矯正されていたニーナの精神は、その運命を受け入れてしまう。  それには、乳首ピアスの鎖を引かれて歩いていたときより、脚に力を込めていたことも影響していた。  脚により力が込められるということは、下半身全体にも今までより力が入るということだ。  そのせいで、ニーナの3穴をいっそう強く食い締めている。  さらに、これまでより広く脚を開いて運ぶことで、強く食い締めた異物を包む肉の動きも大きくなっていた。  それが、3穴に生まれる快感を増大させる。 「ぁう、ぁう、ぁうん……」  大きくなった快感が、ニーナを甘くうめかせる。  加えて、回復魔法で乳首を治癒されたことだ。  それにより、痛みが消えた乳首に取りつけられたピアスの先で、つながれた鎖が1歩進むごとに揺れる。  鎖の動きにつられて、乳首ピアスも揺れる。  それが敏感なそこを、肉の内側から刺激する。 「あぅん、あっ、あっ……」  3穴の快感に乳首の快感が上乗せされ、甘いうめき声が艶を帯びる。  気持ちいい、気持ちいい。  熱い、熱い。火照る肉が熱い。  快感が生む熱が、全身に回る。  快楽そのものが、頭を蕩かせる。  それが、脚を運ぶペースに影響を与えていたのだろう。 「速度が落ちている!」  背後から、ガブリエラの叱責。  ピシッ!  前後して、鞭がニーナの尻肉に炸裂した。 「ぃ……ぎッ!?」  衝撃的な激痛。 「ぎ、ぁあああッ!」  目を剥いて叫び、悶絶したところで、もう1発。  ビシッ! 「が、ぁあああッ!」  歩行のペースを戻さないかぎり、打ち続けられるのだと理解させられ、痛みに耐えて足を運ぶ。 「あぅ、あぁうぅ……」  打擲による激痛が去り、鞭痕がジンジンと熱を持って疼きだした頃、3穴と乳首の快感が蘇ってきた。  いや正確には、激痛を覚えているあいだも、快感は生まれ続けていた。  ただ痛みが快楽を凌駕していたため、そのあいだ感じていられなかっただけだ。  その快感は、馬車を引いての歩行を続けるほどに大きくなっていく。  大きくなった快感に、ニーナはいっそう深く蕩けていく。 「遅い!」  深く蕩けたせいで、またペースが落ちてしまった  ピシッ!  叱責に間髪入れず、鞭の打擲。 「ぃ、ぎァあああッ!」  悲鳴をあげて、ペースを上げる。  そして、激痛が引いていったところで、また快感を覚える。  いまだ鞭痕が熱を持って疼くなか、ニーナの頭はどんどん蕩けていく。 「あぅ、あッ、あうッ……」  艶めいてうめきながら足を運ぶが、蕩けてしまったせいで、ガブリエラが満足するペースは長く維持できない。  ビシッ!  鞭が飛ぶ。 「ぁが、っあああッ!」  轡、いや馬銜の隙間から涎を噴き出し、悲鳴をあげる。  痛い。でもすぐに、快楽がとって代わる。 「あぃ、あっ、ぅあッ……」  ピシッ!  また、鞭で打たれる。 「ぁヒ、ぁアぁあッ!」  激しい痛みに襲われているあいだも、快楽が消えなくなった。  それほどまでに、3穴と乳首の快感は大きくなってきた。  ますます頭が蕩け、思考能力も落ちてきた。  ビシッ! 「ぃぎァあぁあぁッ!」  痛い。痛いのに、気持ちいい。  痛みのなかの、快楽が大きくなる。  ピシッ! 「ヒぎぁああァあッ!」  痛い。痛くても、気持ちいい。  ついに、快楽が鞭の痛みをも凌駕し始める。  ビシッ! 「あふァあああアッ!」  痛い。気持ちいい。今痛いのか、気持ちいいのか、思考能力が落ちてしまった頭ではわからない。  ピシッ! 「はヒぁアぁああッ!」  痛くて気持ちいい。  もはや、鞭の痛みすら快楽と渾然一体となってしまった。  そのときである。  ピシッ!  鞭の打擲が、肛門をこじ開け占拠する栓を直撃した。  猛烈な衝撃。同時に襲いくる圧倒的な快感。  それが、ニーナを一瞬で飛ばした。 「ぁひァあァああッ!」  ひときわ艶めいて悲鳴をあげた次の瞬間、膝から力が抜けた。 「ぁヒぁひぁはあッ!」  あられもなく喘ぎながら、芝の上に膝を落とした。  ビシッ!  動けなくなったニーナの背中に、容赦なく鞭が打ち下ろされる。  ビシッ! 「あヒゃ、アッあッ!」  鞭で打たれながら、その痛みすら快楽に変換して、ニーナは絶頂に達する。  ビクンビクンと跳ねる身体に鞭を振り下ろされながら、ニーナはイク。 「はヒぁ、ぁアぁあああッ!」  そして、ひときわ高く喘ぎ、地面にうずくまったまま、ニーナは意識を手放した。 「鞭でイクなんて、なんてあさましいオンナだ。おまえはもう、馬奴隷に堕ちた。この先、一生ポニーガールとして生きていくしか、道はないようだな!」  ガブリエラの言葉を、深く胸に刻まれながら。  数年後、繰り返されるフェステール族の侵入に業を煮やした王国は、西方辺境に大規模な部隊を差し向ける。  各地の騎士団から選抜され、編成された騎士を主力とした王国軍は、しかし地の利を活かした激しい抵抗に遭い苦戦。多大な被害を出しつつ、撤退した。  その失敗した遠征について、王国正史の記述はたった1行。  フェステール族討伐部隊は、一定の戦果を挙げて撤収したと書かれているだけ。戦いの詳細な経緯については、いっさい記載されていない。  一軍を率い、王国軍に多大なる損害を与えた魔法剣士が駆る人力馬車を、行方不明になっていた辺境女騎士に似た奴隷が引いていたことも含めて。 (了)

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