小説 私立馬野女子学園ポニー競技部物語 3 (Pixiv Fanbox)
Published:
2019-07-26 10:00:55
Edited:
2022-04-08 09:31:43
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3.悶々とする夜
カッ、カッ、カッ……。
ポニーグローブの手を取られ、ポニーブーツの足で床を踏みしめながら、廊下を進む。
「ポニーブーツを履いているあいだは、常にポニーのトレーニングデース。移動するだけでも、ポニーの歩法を忘れずに!」
アイリーンにそう言われ、背すじをまっすぐ伸ばして顎を上げ、太ももが床と水平になるまで高く上げて足を踏み出す。
カッ、カッ、カッ……。
硬いフロア材の床を、ポニーブーツの蹄鉄が叩く。
「ふっ、んっ、くっ……」
1歩歩くたび、鼻に吐息が抜ける。
「くぅ、んん、んふぅ……」
吐息に甘みが混じる。
それは、アナルにプラグがねじ込まれているからである。
材質がなにかははっきりわからないが、アナルプラグは比較的硬い。
対して、プラグのくびれた細い部分に嵌り込んだ、翔のアナルの肉は柔らかい。
足を運ぶたび、アナルの括約筋にも力が入り、柔らかい肉で硬いプラグを食い締めてしまう。
食い締めた状態で柔らかい肉が動き、硬いプラグにアナルがこすられる。
それが、緩くアナルを刺激する。
その緩い刺激が生むゾワリとした感覚に、少し前までなら『変な感じ』と思っただけだろう。
しかし今の翔は、それがアナルの快感だと知ってしまった。アイリーンに教えられてしまった。
(私、アナルで感じる女の子だから……)
プラグを挿入して歩かされるだけで、快感を覚えてしまうのだ。
(アナルで感じる私は、ポニーガールの素質があるから……)
快感を覚えながらも、ポニーの歩法を守って歩くことができるのだ。
そう考えながら。正確にはアイリーンにそう考えるよう仕向けられて、廊下を歩かされる。
「ハイ、ハイ、ハイ……」
アイリーンの声に合わせて。
カッ、カッ、カッ……。
ブーツの底の蹄鉄が床を叩く音をたてながら。
「んっ、んふ、んうぅ……」
開発されたばかりのアナルをプラグでこじられて、甘い吐息を漏らす。
(気持ちいい……お尻、気持ちいい……)
アナルに生まれる妖しい感覚を、はっきり快感と認識してしまう。
認識した快感に、官能が高められる。
そのせいで、身体の芯が火照る。肉が疼く。
そして――。
「……ッ!?」
身体の芯に生まれた熱いものが、お股の肉からジュンと浸み出した気がしたところで、荷物を置いた部屋にたどり着いた。
扉が開かれ、アイリーンに背中を押されて部屋に入る。
ここで荷物を取って、個室に向かうのか。そのために、ここでポニーグローブを外してくれるのか。
しかしそこで、アイリーンが南京錠を取り出した。
「手を出してくださーい」
言われてポニーグローブの手を差し出すと、バックルの爪に南京錠をかけられた。
カチリ。
まずは右。続いて左。
カチリ。
すぐにその意味がわからなかったのは、アナルの快感に頭が蕩け始めていたからか。
「えっ……これって……」
絶対にポニーグローブを外せなくされたのだとわかったところで、アイリーンが翔から離れる。
「今日のトレーニングはこれで終わりデース。明日は早いですから、もう寝てくださーい」
そしてそう言うと、なにもない部屋に翔をひとり残し、アイリーンは部屋を出ていった。
「カケルさん、素晴らしい素質の持ち主デス……」
教え子を部屋まで送り届けたあと自室に戻り、アイリーンはひとりつぶやいた。
「身体能力はもちろん……」
それは、初めてポニーブーツを履き、スッと立ち上がったこと。それどころか、ポニーの歩法で歩けたこと。
できることなら、飴と鞭のうち飴だけで調教を成し遂げたいと考えているアイリーンにとって、鞭を使う機会がもっとも多い歩法の調教《トレーニング》に、手間と時間をかけなくてよいのは好都合。
「それに、感度がとってもいいデース」
それは、アナルが敏感で感じやすいということ。
ポニープレイのようなフェティッシュなプレイには、必ずしも性器への挿入が不可欠ではない。
しかし、調教の飴と鞭のうち、飴は快楽だ。アナルだけで飴を与えられると、調教を進めやすい。
翔にアナルで感じる女の子はポニーガールの素質を持っていると暗示をかけたが、それはアイリーンの経験則でもある。
「そして、精神的にも抜群の適性デース」
それは、翔が数々の暗示に、素直にかかったこと。
なんに対しても疑心暗鬼になり、疑ってかかる性格のポニーガールには、やはり鞭を使う機会が増える。
「かわいい女の子には、できるかぎり優しくしてあげたいですからねー」
そういうアイリーンには、もともと同じ女性を好きになる性向がある。その性向で、アイリーンはひと目見て翔に好意を寄せていた。
とはいえ、アイリーンは翔が教え子だと理解している。一線を引き、ポニーガールと調教師《トレーナー》の関係以上には進まないと決めている。
そしてポニーガールと調教師という関係である以上、好きになった女の子にも手心を加えるつもりはない。
できるかぎり飴だけで調教したいと考えているが、必要と判断すれば、容赦なく鞭を使うつもりでいる。
その覚悟を決めながら、アイリーンがひとり言《ご》ちた。
「今夜ひと晩、カケルさんはアナルプラグにジリジリ焦らされて、いい感じに仕上がるでしょー」
そして、ポニープレイが大好きな同性愛の調教師は、唇の端を吊り上げて妖しく嗤った。
「明日からの本格的な調教、すごく楽しみデース」
「ふう……」
ひとり部屋に取り残されて、翔はため息をついた。
コンクリート打ちっ放しの壁に設えられた金属リングと翔の荷物以外、部屋にはなにもない。
「まさか……」
窓も家具もないこの部屋が、寮の個室だと言うのだろうか。
だとすれば、あんまりだ。
「ふう……」
もう一度ため息をついて、あらためて部屋を見る。
部屋の広さは、6畳くらいの長方形。
四方の壁はすべて、打ちっ放しのコンクリート。その長辺の壁には、向かい合うように頑丈そうな金属リングが設えられている。
高い天井もコンクリート打ちっ放しだが、2メートルを少し超える程度の高さには、部屋を二分するように太い木の梁。
その梁には、カーテンレールを頑丈にしたようなレールが設えられ、壁のものを小ぶりにしたようなリングがいくつか設えられている。
クッションフロアという名前だったか。床には廊下や食堂のものよりいくぶん柔らかい床材が貼られていて、ポニーブーツの蹄鉄の音は高く響かない。
照明は天井には設えられておらず、壁の高い位置に間接照明がふたつ。部屋全体が薄暗いということはないが、それだけで勉強するには少し暗め。
その間接照明のちょうど中間に、昔ながらの壁かけ時計。
「ともあれ、今日はもう遅いから……」
今夜ひと晩は、ここで寝るしかないだろう。
「パジャマに……」
着替えようと荷物のほうに歩み寄って、ポニーグローブを嵌められたままだと気づいた。
「これじゃ……」
着替えられないと考え、ポニーグローブのベルトを口で外そうとして、バックルに南京錠をかけられたことを思い出した。
「アイリーン先生に頼んで、外してもらわないと」
そのために今度は出入り口の扉のほうに歩いていき、荷物を開けられないのと同じ理由で、ドアノブを回せないことに気づいた。
「そ、そんな……」
愕然としてつぶやくと、頭上からアイリーンの声。
「消灯時間デース。照明を落とすですよー」
館内放送施設があるのだと理解したところで、間接照明が少しずつ暗くなっていった。
「仕方ない……今日は我慢して、明日話すことにしよう……」
そして照明が常夜灯になったところで、翔は諦めてため息をついた。
アナルに挿入されたプラグがもたらす、緩い快感を抱えたまま。
「んぅん……」
くるおしくうめいて、翔は目覚めた。
床が硬くて。それ以上に、身体が火照って。そして、お股が気持ち悪くて。
ポニーブーツで歩くと廊下より柔らかいと感じるクッションフロアの床も、横たわって寝るには硬い。
常にプラグにアナルを刺激されて、緩く性的に高められたまま。肉の芯に生まれた火照りは、けっして冷めない。
そして火照りの熱が蜜となり、肉の割れめはしっとり潤ったまま。その蜜がショーツに染み出し、その中は湿って蒸れてしまっている。
さらに、今もアナルに残る潤滑用のローション。
その一部は蜜と同じようにショーツに染みを作り、残りはいまだにヌルリヌルリとプラグを潤滑している。
そのせいで、お股の気持ち悪さのみならず、今もまだ、アナルに緩い快感を覚えていた。
「ぅうん……」
体勢を変えるときにも、アナルをヌルリとこすられる。
「ん、ふん……」
プラグの存在を意識して、思わず食い締めてしまう。
「んふぅん……」
それでゾワリと快感が駆け抜けて、さらにアナルプラグを意識してしまう。
そうなると、もう寝つけなかった。
無理に眠ろうと目を閉じて、余計にプラグを意識してしまうのは、目隠しをされて敏感になったのと同じ理由。
「くぅウゥ……」
視覚を補うため触覚が鋭敏になり、アナルがいっそう感じやすくなったところでプラグを食い締めてしまい、快感が股間全体に広がる。
広がった快感が肉の奥に火照りと疼きを生み、割れめから熱い蜜を溢れさせてしまう。
(もう、ダメ。アナルプラグを抜かないと……)
今夜は眠れそうにない。
そう考えて、ポニーグローブの手で体操着のパンツを脱ごうとする。
しかし、それは簡単な仕事ではなかった。ふだんなら一瞬でできる『パンツをずり下げる』という簡単な作業が、今はとんでもない難事業だった。
「そ、そんな……」
愕然としながら、ポニーグローブの手を見る。
ものの形がぼんやりとしか見えない常夜灯の下でも、光沢ある白のポニーグローブだけは、浮き立つようにはっきり見える。
その先端は半円状。手の甲側は丸く、逆に手のひら側は平たい。丸い外側に沿って文字どおり馬蹄形に盛り上がった部分に蹄鉄が取りつけられ、中央部は窪んでいる。
「この角に、パンツのゴムをひっかければ……」
ポニーグローブの形を見ながらそう考えて、身体をひねって手のひら側の角を、お尻側でパンツのゴムの上端に押し当ててみる。
そしてゴムが角から外れないよう、慎重に下に動かすと、パンツをずり下ろすことができた。
「ふう……」
とひとつため息をつき、次はショーツ。
なんとかこちらもずり下ろし、脚を蠢かして脱ぎ捨てたところで、ふと気になった。
「どうやって、プラグを抜くの?」
体操着のパンツとショーツは、ポニーグローブの角をゴムにひっかけて脱ぐことができた。
しかし、アナルに挿入されたプラグの土台。お尻の肉のあいだに露出した部分には、角をひっかける場所がない。
無理やり隙間を作って角をねじ込めば、わが身を傷つけるかもしれない。
それに今、翔の括約筋はプラグの一番細いところに嵌り込んでいる。抜くためには、太いところを通過させなくてはならない。
おそらく相当な繊細さを要求される行為を、ポニーグローブの手でやれる自信はない。
「仕方ない……」
そう考えてアナルプラグを抜くことを諦め、再びパンツとショーツを穿こうとしてハッとした。
「ポニーグローブを嵌めたままじゃ……」
体操着のパンツとショーツを穿くことができない。
ポニーグローブの蹄鉄部分の角をゴムにひっかけて脱ぐことはできても、穿くためにはそれらをしっかり持たないといけない。
「どうして……」
脱ぎ捨てる前に、そのことに気づけなかったのだろう。
時刻は夜中。目覚めても頭が覚醒しきらず、思考能力が落ちていたのか。
それともアナルプラグの緩い快感のせいで、頭がぼうっとしていたのか。
わからない。わからないが、このまま朝まで下半身裸というわけにはいかない。
「なんとかして、もう一度パンツとショーツを穿かなきゃ……」
そう考えて、薄暗い常夜灯の下、膝立ちで脱ぎ捨てられてくしゃくしゃになった小さな布に歩み寄る。
そしてポニーグローブの蹄鉄部分で挟んで持ち上げ、小さな布を広げてみる。
「これを穿くには……」
お尻を床につけ、胡座をかくような視線で、ポニーグローブで挟んだショーツに足を通さないといけない。
そこからきちんと穿くことも難しいだろうが、まずはそれだ。
そう考えて、お尻を床につけようとしたときである。
「……ッ!?」
身をよじったせいで、アナルの中でプラグがヌルリと動いた。
「んひいッ!?」
それで思わずプラグを食い締めたところでもう一度プラグが動き、ゾクリと快感が駆け抜けた。
「ふぁ、はっひっ……」
痺れるような余韻に吐息を漏らすと、肉の奥から熱い蜜がジュンと溢れた。
「ふっ、ひ……」
それが床に垂れてしまわないよう、反射的に手で押さえようとして、ポニーグローブでそこに触れてしまった。
「……ッ!?」
刹那、ジーンと痺れるような感覚。
「はっひゃあ……」
そうしようと意識せず、甘く喘いでしまう。
「こ、これは……」
性の快感だ。
少し前の翔なら、その感覚の正体がわからなかっただろう。
しかし今は、アナルで快感を知ってしまった。
ポニーグローブで偶然肉の割れめに触れてしまったことで、快感を覚えたのだとわかってしまった。
コクリ。
アナル以外に快感の源泉かがあることを思い出してしまった翔が、喉を鳴らす。
『そう、アナルで感じるのは、人としてあたりまえのことなのデース』
アナルで感じた翔に、アイリーンがかけた言葉。
『そして、アナルで感じる女の子は、いいポニーガールになる素質を持っているのデース』
だとすれば、前のほうで感じてもいいんじゃないか。
そう考えて、もう一度コクリと喉を鳴らす。
さすがに角のほうをそこに当てるのははばかられ、身体を横たえ背すじを丸くして手首を返し、甲側の丸くなったほうを肉の割れめに押しつける。
「んっ、ふぁ……」
するとそこにゾワリと快感が生まれ、甘い吐息を漏らしてしまった。
「はふぁ……どうして?」
軽く押しつけただけで、これほど感じてしまうのか。中学生の頃、興味本位で触れてみたときは、これほど気持ちよくなかったのに。
実のところ、それは翔の身体が快楽の味を憶えてしまったからである。
アイリーンにアナルの性感を開発され、その後も開発されたアナルをプラグで緩く刺激され続けたせいで、快感を受け入れやすくなっていたからである。
とはいえ、翔はそのことを知らない。
知らないまま、さらなる快楽を求め、割れめに押しつけたポニーグローブをゆっくりと上下に動かす。
すると期待したとおり、そこに生まれる快感が大きくなった。
「ふひ、ふぁあ……」
それで口から甘い喘ぎを漏らし、肉の割れめから熱い蜜を溢れさせる。
その蜜がポニーグローブを濡らして潤滑させ、刺激がますます妖しくなる。
妖しくなった刺激に、ますます快感が大きくなる。
「はぅ、んっ、はっ……」
肉が火照る、疼く。官能が高まり、呼吸が早くなる。
「はふ、んっあっ……」
緩く開いた口から漏れる声に、艶が混じり始めた。
「はふぁ、はあん……」
その声が、はっきりと喘ぎとわかるものになった。
そのことを、翔自身は認識できていない。
それほどまでに官能が高まり、快楽に酔い始めていた。
「んっあっ、ふぁん……」
快楽に酔いながら、翔はポニーグローブの背を肉の割れめにこすりつける。
溢れる蜜が、白いポニーグローブをヌルヌルに濡らす。
そのせいで、ますます快感が大きくなる。
大きくなった快感に流され、行為にのめり込んでいく。
「あぅん、あっあっ……」
窓のない部屋に、翔の喘ぎ声だけが響く。
もう、声を抑えようと考えることすらできない。行為をやめようと思うこともない。
ただ快感に流され、快楽に酔い、翔は――。
そのとき、なにかが来た。
いや、翔のほうがたどり着いたのか。
ビクン。
身体が跳ねた。
「ひゃううんッ!?」
意識せず、嬌声をあげてしまった。
「ひぅうぅウぅ……」
一瞬、身体がフワリと浮いたような感覚。
(な、なにコレ!?)
その感覚の正体がわからないまま、身体がピクピクと震える。
(わ、私、どうなったの……?)
それは、初めての絶頂である。
本能の赴くままにやってしまった自慰行為で、小さな頂にたどり着いたのである。
しかし翔には、その経験がなかった。
絶頂の経験どころか、今夜――すでに日付は変わっていたので、正確には昨夜――まで、性の快感を味わったこともなかった。
そのため自らを襲った事態が飲み込めず、翔は困惑した。
とはいえ、その正体に気づけなくても、絶頂は絶頂。女の子が味わえる最上の悦びには違いない。
とまどいつつも、その悦びがもたらす恍惚感に包まれながら――。
肉体と精神両面の疲れも相まって、翔はいつしか眠りに落ちていた。
自慰の痕跡も露わな下半身を晒したまま。