小説 私立馬野女子学園ポニー競技部物語 2 (Pixiv Fanbox)
Published:
2019-07-19 09:23:19
Edited:
2022-04-08 09:31:18
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2.アナルトレーニング
アイリーンの個室は、荷物を置いた部屋とはまったく違っていた。
広さ自体もずいぶん広い。物置き部屋が6畳程度なのに対し、10畳くらいはあるだろう。
ただし、家具の類が充実しているため、だだっ広い印象はない。
ドアから入って正面に、両開きの大きなサッシ。その向こうは、物干し兼用のベランダになっている。
そのブラインドが取り付けられた窓の左側に、窓側を頭にしてセミダブルのベッド。足元の壁際には、大きな姿見の鏡が取り付けられた収納の扉。
右側は、棚と一体のデスクをはじめ、備えつけの家具が壁一面に並んでいる。
その部屋で、アイリーンはポニーガールの装備一式を用意して待っていた。
いちばん端に、先ほども履いたポニーブーツ。
「まずは、またブーツを履きましょー」
そう言われ、作り付けのデスクの前の椅子に座ってポニーブーツを履かされる。
「次はこれデース」
そして次にアイリーンが手にしたのは、ブーツと同じく馬の足を象ったポニーグローブ。
「防寒用のミトン、着けたことはありますかー? 内部の構造は、それと同じデース。ただ内部は少し狭いので、手を差し込んだら中でグーを握ってくださーい」
言われてそのとおりにすると、グローブの内側は、翔のグーの手にぴったりだった。
手首の内側で、編み上げを締められる。編み上げを覆うように。ベルトを締めて留められる。
そのベルトのバックルは小指側。ツメの部分の先端が丸められているのどういうことだろう。
親指側に設えられた金属製のリングは何をするためのものか。
手はグローブの中でグーに固められ、自力でグローブを脱ぐことは難しそうだが、考えてみればボクシングのグローブもそんな感じ。スポーツ競技の道具とは、えてしてそういう不便をともなうものだ。
そう考えたのは、いまだポニープレイを女子スポーツ競技だと思い込んでいるから。
そんな翔の前に、アイリーンがラバー製のパンツをかざした。
「ワタシがデザインした、ポニーガール用のパンツデース」
デザインしたというのは、体操着に似せたということだろう。丈は今履いている体操着のクォーターパンツと同じくらい。配色も共通。
ただし、大いに違っているところがある。
まず、サイズ的にぴっちり密着させて着ると思われる点。
そして、パンツのお尻の部分に取り付けられた馬の尻尾。
「このパンツを穿いた上にレオタードを着、さらに連結用のボディハーネスを着けて、馬車を引くようになりマース」
それだと、せっかくパンツに付けた尻尾が隠れるのではないか。
翔が思ったことを素直に口にすると、アイリーンはパンツを机に置き、同じラバー素材のレオタードを手に取った。
「パンツの上に着るレオタードには、お尻のところに穴があいてマース。尻尾は、この穴から引き出すのデース」
たしかに、それなら尻尾が隠れたりしない。でもどうせなら、レオタードに尻尾を付けたほうがいいのではないか。
翔がその疑問も口にすると、アイリーンは翠の目を細めて嗤い、もう一度パンツを手に取った。
「それは、パンツの裏側、尻尾の反対を見ればわかりマース」
そしてそう言うと、尻尾つきラバーパンツを裏返した。
そこには、長さも最大径も5センチ程度、長さはもう少し長い、根元付近が細くくびれた砲弾のようなの物体。
「……?」
最初、その物体の正体がわからず。
「……!?」
取り付けられた位置が、自分の身体のどこにあたるのかを考えてハッとした。
「ま、まさか……!?」
「そのまさかデース。尻尾の裏側のプラグを、アナルに挿入してパンツを穿くのデース!」
「いやいやいや、ムリムリムリ!」
それは、翔の直感が生んだ言葉だった。
「ぜーったい、ムリ!」
しかし、アイリーンの考えは違った。
「最初はムリと思うかもしれませーん。でも、へいきデース」
「だ、だって……」
大きすぎる、太すぎる。それに、お尻の穴に異物を挿入して馬車を引くなんて、スポーツ競技としておかしい。
しかし翔がそう告げる前に、アイリーンが顔の横に立てた人差し指を横に動かして口を開いた。
「いえ、へいきデース。ワタシはもっと太いのを挿入《い》れて、馬車を引いていたデース」
それは、アイリーンが元フェティッシュモデルだからである。
その仕事のなかで、フェティッシュなキンキー《変態》プレイの一環として、アイリーンは尻尾のアナルプラグを挿入していた。
アイリーンは、母国ではフェティッシュなボンデージプレイとして知られていたキンバクが、この国では歴史と伝統に根ざしているのだと考えている。
そして、フェティッシュなキンキープレイとして、ポニープレイを普及させるよう校長に依頼されたと信じ込んでいる。
それゆえ、ポニーガールにアナル開発は不可欠と考えたアイリーンの言葉に、翔が反応した。
「えっ……ほ、ほんとうに……?」
ポニープレイの本質を知っているアイリーンと違い、理事長や校長と同じように、翔はそれを女子スポーツ競技のひとつだと思っている。
アイリーンのことを、その女子スポーツ競技、ポニー競技の経験者で指導者だと信じ込んでいる。
そして日本の競技、特に武道由来の競技のルールには、違う伝統文化を持つ国の人には不可解なものもあるとも知っている。
たとえば柔道の試合前の『礼』などは、当初外国選手には不可解に感じられたことだろう。彼らの価値観からすれば、これから闘う相手に礼をする感覚は理解できなかったに違いない。
(そう考えると、外国発祥のポニー競技に、私にとって不可解なルールがあるのは仕方ないのかも)
自身陸上競技のアスリートであり、競技のルールには従うことがあたりまえと思っている翔は、そう考えてしまった。
とはいえ、ムリなものはムリである。
「でも、こんなに太くて大きいの、私には……」
しかし尻込みしようとする翔を、アイリーンは許さなかった。
「だから、トレーニングするデース。アナルトレーニングで、規定のプラグが入るよう拡張するのデース」
このたびも『調教』の意味でトレーニングと口にし、翔に『練習』の意味だと受け取らせ、アイリーンはポニーグローブを着けた翔の手を取った。
「ほ、ほんとに……か、拡張するんですか?」
ポニーグローブの手をデスクにつき、前屈みになってお尻を後ろに突き出した翔が、首だけ後ろに回してアイリーンに訊ねた。
「ほんとうデース。パンツの尻尾プラグが入るよう、カケルさんのアナルを拡張するトレーニングをするデース」
引きつった笑顔の翔に、アイリーンがほほ笑んで答える。
「人のアナル、完全に弛緩したら直径4インチ……10センチ程度までは拡張できるデスよー」
「う、嘘……」
「嘘じゃないデース。もちろんそこまで拡張するには、すごく頑張らなきゃいけないデスが、パンツのプラグ程度の太さならすぐ拡がるデース」
ほほ笑んだままそう言い、パチンパチンと音を立て、薄手の医療用ゴム手袋を両手にはめる。
「それじゃ、パンツを下ろすデスよー」
「ひっ!?」
アイリーンが体操着のクォーターパンツに手をかけたところで、翔が短く悲鳴をあげた。
「カケルさん、パンツずり下げられるの、恥ずかしいデスか?」
言葉では答えられず、コクンとうなずく。
「恥ずかしかったら、目隠ししますか? 見えなければ、ずいぶん恥ずかしさがまぎれるデスよ」
恥ずかしさから逃れたい一心で、その言葉にもコクン。
するとアイリーンが、革のアイマスクを取り出した。
「わかりました。コレ着けてあげマース」
その言葉にもう一度うなずいたところで、目の上にぶ厚く柔らかいが押しつけられる。後頭部にベルトを回されて、ギュッと締め込まれる。
もう、なにも見えない。額から鼻梁をかわして頬まで覆われて、光すら差し込まない。
「これで、恥ずかしくないデスよー」
アイリーンがそう言った直後、不意に体操着のクォーターパンツをずり下げられた。
「ひっ……!?」
短く悲鳴をあげると、下着のショーツもずり下げられた。
「ひいっ!?」
いずれも不意打ちのずり下げ。
視界を奪われていたせいで、事前に察知できなかった。
実はそれが、翔に目隠しをさせた真の理由のひとつ。
その策が功を奏し、翔は窄まりの襞に触れられるまで、その予兆を察知できなかった。
「ひあっ!?」
不意にアナルを撫でられて、また悲鳴をあげた。
「うふふ……カケルさんは、ここが敏感なんですねー」
「ふひ……わ、私、そこが敏感?」
「ハイ。カケルさんは、アナルが敏感デース」
そうさせることが、目隠しをしたふたつめの理由。
人は情報の大半を、視覚から得ている。
その最大の情報源を奪われたとき、無意識のうちに、残された感覚を鋭くして情報不足を補おうとする。
そのため翔の触覚は、ふだんより鋭敏になっていた。
そうして敏感にさせたアナルの襞を、アイリーンが撫でる。
「はっ、ふあっ……」
「やっぱりカケルさんは、アナルが敏感デスねー」
そこに生まれた妖しい感覚に翔が吐息を漏らしたところで、いったんアイリーンの指が離れた。
次に指が触れたとき、それは粘度の高い液体にまみれていた。
そのことに感触の違いで気づいたのは、視覚を奪われて触覚が鋭くなっていたから。
ピチャ……。
粘度の高い液体――ローションの水音がやけに大きく聞こえたのは、聴覚も敏感になっていたから。
「アナルが敏感なカケルさん、アナルトレーニングで感じてしまうかもしれないデスねー」
耳元でささやかれ、耳たぶにかかる息でゾクリとした感覚が走る。
敏感になったアナルを円を描くように撫でられて、そこにもゾワリと妖しい感覚が生まれる。
「か、感じる……?」
その意味がわからなかったわけではない。
今覚えているのが性の快感なんだろうとは、経験のない翔にもわかる。
「私……アナルでも感じる?」
『アナルでも』と言って訊ねたことで、今すでに感じ始めていると白状したも同然。
しかし、頭がいっぱいいっぱいの翔は、そうと気づかない。
気づいていても、アイリーンはあえて指摘しない。
「そうデース。カケルさんは、アナルで感じる女の子デース」
指摘せず、あくまで明るく陽気に断言する。
それは、翔に『アナルでも感じる』と暗示をかけるための策だった。
実のところ、翔が今覚えているのは、性の快感の予兆と呼ぶべき感覚である。
にもかかわらず、アナルで感じると断言されることで、それが性の快感なんだと認識させられた。
「で、でも……どうして……?」
お尻の穴なんかで感じるのか。
翔が口にしかけた疑問を察知して、アイリーンが口を開く。
「アナルで感じるよう、人の身体を神さまがお造りになったからデース」
「えっ……?」
「気持ちよくウンチすることは、健康にとって大切なこと。だから『ウンチを出したらスッキリして気持ちいい』と感じ、次も気持ちよくウンチしたいと思うよう、人のアナルには性感帯があるのデース」
「だ、だから……」
「そう、アナルで感じるのは、人としてあたりまえのことなのデース」
アナルで感じると暗示をかけられたうえ、その言葉でアナルで感じることはあたりまえなのだと思わせられた。
「そして、アナルで感じる女の子は、いいポニーガールになる素質を持っているのデース」
それが直接関係があるとは思えないが、アイリーンが実体験から導きだした経験則なのだろう。
だとすれば、今アナルで感じている自分は、いいポニーガールの素質がある。
そう心に刷り込まれながら、ローションまみれの指でアナルの襞を撫でられる。
「はひゃッ!?」
ときおり窄まりの中心の上を指が通過して、変な声を出してしまう。
「カケルさんは、アナルで感じるいいポニーガールになりマース」
繰り返し、心に刷り込みながら。
「素質があるカケルさん、もうポニーガールになるしかないですねー」
さらに、さもあたりまえのようにそう告げることで、ポニーガールになる運命を受け入れさせようとしながら。
アイリーンは翔のアナルを撫で続ける。
「はっ、ひっ、あ……」
駆け抜ける妖しい感覚に、甘い吐息を漏らす。
「あひいッ!?」
窄まりの中心を指が通過し、喘いでしまう。
「ひはっ、はあぁ……」
指が中心から離れても、円を描くように襞を撫で続けられる。
そして、再び窄まりの中心に指を這わされ、またそこの上をスッと通過すると思われた刹那――。
「ひいいッ!?」
不意に指を挿入され、悲鳴をあげた。
「ひぁ、はふぁ……」
今までより大きな妖しい感覚が背すじを駆け抜け、艶めいた吐息を漏らしてしまった。
「ひっあっ……な、なぜ……?」
いとも簡単に挿入されてしまったのか。
それは、不意打ちされたからである。
視界を奪われて、アイリーンがなにをしようとしているかわからないうえに、このたびも窄まりの中心を通過するだけと油断していたせいである。
「はっふぁ……ど、どうして……?」
挿入されたとき、今までより妖しい感覚――性の快感が大きくなったのか。
それは、指が固形物だからである。
ウンチが通過して気持ちよくなるよう存在する性感帯が、そこに固体が挿入されたときより強く反応するのはあたりまえ。
そのことを翔に教えながら、アイリーンが指を動かす。
秒速何ミリかのゆっくりしたペースで、少しずつ指を押し込んでいく。
「はっひっ、ハヒぃ……」
圧倒的な圧迫感。とはいえ、痛くはない。
それはローションで充分に潤滑されているうえに、アイリーンの指使いが慎重だから。
「ひあ、はっ、はぁ……」
圧迫感のなかに、ゾワリゾワリと快感が生まれる。
視界を奪われて敏感になっているアナルの性感を、そうされているとは知らないまま開発されていく。
人はアナルで感じるものと刷り込まれたうえで、アイリーンに禁断の快感を覚えさせられていく。
「カケルさんが、アナルで感じる女の子デスよー」
アナルの快感に翻弄され始めた翔に、アイリーンが告げる。
「カケルさんはアナルで感じる、ポニーガールの素質がある女の子デース」
そう告げて、初めての肛門性感に翻弄される心に刷り込む。
「はっひっ、あっあっ……」
さらに深く心に刷り込まれながら、アナルで高められていく。
ローションをまぶしたゴム手袋の指を抽送されるほどに、ゾワリゾワリと快感が駆け抜ける。
そして――。
「ひはあッ!?」
奥まで押し込んだところから、スポンと一気に指を抜かれ、今までで一番大きい快感に襲われた。
「ふひいッ!?」
それであられもなく喘いだところで、指ではないなにかを挿入された。
「な、なに……!?」
アイマスクを着けられた目では確認できず訊ねるあいだに、アナルをぐいぐい押し拡げられる感覚。
「はひゃあッ!?」
それで悲鳴めいて喘ぐと、押し拡げられていたアナルの括約筋が、細いところにスポンと嵌り込んだ。
そこでまた、ゾワリと快感。
「ふひいッ!?」
艶めいて喘いだところで、アナルをこじ開けられる感覚がいくぶん弱くなった。
「うふふ……アナルトレーニング用の、拡張プラグを挿入したデース」
「えっ……プラグ?」
「はーい。パンツの裏側のものと同じ形デスが、サイズはずっと細いプラグデース。これを毎日少しずつ太くしていくことで、カケルさんのアナルを拡張していきマース!」
「そ、そんな……」
カケルが抗議したのは、ずっと細いという今のプラグでも、相当な違和感があるからだ。
しかし抗議しようとした翔の言葉を、アイリーンが遮って訊ねた。
「いいえ、へいきデース。挿入するとき、痛かったりしましたかー?」
「い、いえ……」
「挿入が終わった今、苦しいデスかー?」
「そ、そんなことは……」
ない。たしかに、痛くも苦しくもない。ただ違和感がすごいだけだ。快感の名残のように、そこがジーンとしているだけだ。
「それは、ワタシが痛くならないように慎重にマッサージし、初めてのカケルさんが苦しくならないようなサイズのプラグを選んで挿入したからデース」
それはわかった。
アイリーンがそうならないよう慎重に指を動かしていたことは、翔にも伝わっていた。
挿入されたプラグがパンツのものよりずっと細いことは、なんとなくわかった。
「だったら、ワタシがこの先も、カケルさんに痛いことや苦しいことをしないとわかりますね?」
それも、なんとなくわかった。
この人なら、耐えられないほど痛いことや苦しいことを強いたりしないと、翔は直感していた。
アイリーンのことを、ポニー競技という女子スポーツの優秀なコーチだと信じているからなのか。それとも、彼女に対して別の思いが生まれ始めているのか。
翔がアイリーンに対して、悪い感情を抱くことはなかった。
フェティッシュプレイの経験が豊富なアイリーンに巧みに誘《いざな》われたのだとは気づけず。いや、頭がいっぱいいっぱいで理由を考えられないまま、アイリーンにずり下ろされていた、ショーツと体操着のパンツを元に戻される。
そしてアイリーンは翔のポニーブーツとグローブはそのままに、手を取ってにっこり笑った。
「今夜はここまでデス。部屋まで連れていってあげましょー」