小説 私立馬野女子学園ポニー競技部物語 4(挿絵つき) (Pixiv Fanbox)
Published:
2019-08-01 09:16:58
Edited:
2022-04-08 09:31:57
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4.貞操帯トレーニング
「カケルさん、アナルプラグに焦らされて、どうなっているでしょうか……」
窓から朝日が差し込む廊下を歩きながら、馬野女子学園ポニー競技部の顧問にして調教師《トレーナー》、アイリーン・バーンズがつぶやく。
「緩い快感に悶々として、ひと晩過ごしたでしょうか。それとも、アナルプラグを自力で抜いてしまったでしょうか。あるいはそれもできず、快感に焦らされすぎて……」
正直なところ、アイリーンにとっては、いずれのパターンでもいい。
翔がどの道を選んでいても、それに対応する調教《トレーニング》の準備はできている。
そう考えながら、たどり着いた翔の部屋の扉を開ける。
「さて、カケルさんは……Oh!」
そこには、下半身丸出しで眠りこける翔の姿があった。
体操着のパンツと下着のショーツは脱ぎ捨てられ、アナルプラグは挿入されたまま。前の女の子の部分と、右手のポニーグローブには、自慰の痕跡が如実に残っている。
その光景を見て、アイリーンは唇の端を吊り上げた。
「なんということでしょう……」
翠の瞳に妖しい光を灯し、嗤ってつぶやいた。
「さすがカケルさんデース。想定していたなかで、ワタシがもっとも望んだことをしてくれました」
そしてアイリーンは表情を作り直し、平静を装って、明るく陽気な声で叫んだ。
「おはよーございマース! カケルさん、朝デスよー!」
不意に声をかけられて、翔は弾かれたように飛び起きた。
体操着のパンツとショーツを脱ぎ捨てたまま、眠りこけていたことは自覚していた。
「あ、アイリーン先生……こ、これは……」
醜態を取り繕うための言葉は咄嗟には出ず、ポニーグローブの手ではパンツとショーツを取ることもできず、下半身丸出しでぺたんこ座りで前を隠す。
(恥ずかしい……)
それは、若い女の子としてあたりまえの感情だ。
(なにを言われるだろう……)
その不安を抱いたのは、恥ずかしいことをした自覚があるからだ。
しかし、アイリーンは翔を責めたりせず、穏やかにほほ笑んだまま、彼女の前にひざまずいた。
「わかります、カケルさん……」
そしてそう言うと翔の首に手を回し、ギュッとハグしてくれた。
「身体が疼いてつらかったのでしょう? ワタシも、最初はそうでした」
ハグしたまま、耳元で囁いてねぎらってくれた。
その言葉と態度で、心が癒される。
はしたない行為をしてしまった自分を赦してもらった気がして、気持ちが落ち着く。
しかし、優しいねぎらいは、そこまでだった。
「デスがポニーガールは、そんなときでも凛としていなければなりません」
ハグしていた翔から離れ、肩に手を置いたまま、アイリーンが表情を引き締めて告げた。
「カケルさんのような、アナルが感じやすいポニーガールは、なおさらそうデース」
その意味するところは、なんとなくわかる。
ポニーガールのパンツの尻尾の裏には、最大径5センチを超えるアナルプラグが取りつけられている。
そのプラグに1歩歩くたび肛門を抉られ、アナルの性感を高められながら、翔はポニーの歩法で馬車を引かなければならない。
「そのためには、疼き火照る肉を抱えたまま、素知らぬふりで凛としていなければならないのデース」
今の翔には、それが並大抵のことではないともわかる。
ただ緩い快感がある段階ならポニーの歩法で歩けても、その快感がどんどん大きくなったとき、凛として歩き続けられる自信はない。
そんな翔のポニーグローブの手を取り、アイリーンが声をかけた。
「だからこそ、デース。そうなったときでも凛としていられるよう、カケルさんは肉の疼きと火照りに耐えるトレーニングを受けなくてはなりませーん」
そして翔の手を取り立たせて告げた。
「朝食の前に、トレーニングの準備をしましょー。そのままの姿で、ワタシの部屋に来てくださーい」
アイリーンに手を取られ、廊下を歩かされる。
「ハイ、ハイ、ハイ……」
声に合わせて。
カッ、カッ、カッ……。
ブーツの底の蹄鉄が床を叩く音をたてながら。
『ポニーブーツを履いているあいだは、常にポニーのトレーニングデース。移動するだけでも、ポニーの歩法を忘れずに!』
昨夜アイリーンに言われたように、背すじをまっすぐ伸ばして顎を上げ、太ももが床と水平になるまで高く上げて足を踏み出す。
昨夜と同じように、アナルに挿入されたプラグに性感を高められながら。
昨夜と違い、下半身を露出したまま。
それが、激しい羞恥を生む。
ここには自分とアイリーンしかいないとわかっていても、寮の廊下という公共のスペースを下半身丸出しで歩かされることは恥ずかしい。
その緊張が、翔の身をこわばらせる。
こわばらせて、ポニーの歩みをぎこちなくさせる。
「カケルさん、ペースが遅くなっていますよ!」
そのせいで、アイリーンに叱責された。
「ポニーガールたる者、どんなときでも歩法を守らないといけません!」
そう言って、お尻の肉を平手でピシャリと軽く叩かれた。
「ひうッ!?」
悲鳴じみて声をあげてしまったのは、平手の打擲が痛かったからではない。
驚き、反射的に括約筋を引き締めてしまい、プラグを食い締めてしまったからだ。
それでゾワリと快感が駆け抜けると同時に、アナルに挿入されたプラグを、あらためて意識してしまった。
そのせいで、アナルの快感も強く意識してしまう。
(ここで、またアナルで感じちゃうと……)
肉の割れめから、蜜を溢れさせてしまう。粘りけのある液体をせき止めるべき、ショーツもパンツもない状態で。
快感そのものとその恐れに気を取られ、いくぶん羞恥心が薄らいだ。
そのためかえって、歩法を守って歩けるようになった。
実はそれこそが、ポニー調教師の狙い。まだ羞恥心の強い初心者ポニーガールの調教術を、アイリーンは心得ている。
そして歩法を守って歩く機会が増えるほど、それは翔の身に染みついていく。
歩法が染みついていくほどに、ほんもののポニーガールになっていく。
そしてアナルの快感に翔の吐息が甘みを帯び始めたところで、アイリーンの部屋にたどり着いた。
「カケルさんには、これを着けてもらいまーす」
そう言ってアイリーンが取り出したのは、ピカピカに磨きあげられた金属製のパンツだった。
「そ、それは……?」
「Chastity belt……貞操帯デース」
「つ、つまり、疼きと火照りに耐えるトレーニングというのは……?」
「ハーイ、貞操帯を着けて、性器での自慰《オナニー》をできなくすることデース。カケルさん、貞操帯知っていますか?」
知っていた。実物は見たことがなかったが、かつてヨーロッパで出征する兵士が、留守中奥さんが浮気しないよう着けさせたという話は聞いたことがあった。
ポニーグローブの手で前を隠しながら、翔がとまどいつつもそう答えると、アイリーンはにっこり笑ってうなずいた。
「カケルさん、よく知ってますねー。でも当時の貞操帯と、現代の貞操帯はまったく違いまーす。昔のものは無骨な鉄製で、着ける女性の快適性など考えられていませんでした。でも現代の貞操帯は、きわめて快適なのデース。まぁそれは、着けてみないとわからないと思いますが……」
とまどいが続く翔にそう告げて、アイリーンが金属製のパンツ――貞操帯を見せた。
横の金属ベルトにおしゃもじ形の金属板が組み合わされ、南京錠で留められた部分が、前側だろうか。
おしゃもじ形の途中から最下部のクロッチ部分にかけて、別の南京錠で小さい穴が無数に穿たれた細長い金属板が、少し浮かせて取りつけられている。
「この板の下が、女の子の性器を収める部分デスねー」
そう言ってアイリーンが濃紺のゴムが貼られた裏側を見せると、そこには細い溝が切られていた。
「この細い溝から、男性が挿入することはできませーん。貞操帯の本来の目的からすればこれだけで充分デスが、カケルさんの貞操帯はオナニーをも禁止するため、溝の上に別体の板……自慰防止板を取りつけられてまーす」
つまり、おしゃもじ板に切られた溝の上に少し浮かせて取り付けられた金属板が、自慰防止板というわけだ。
その板に無数に穿たれた小さい穴は、おそらくおしっこを排泄するためのものだ。
ひとつひとつの穴は数ミリ程度。たくさん開けられているから、おしっこの排泄は問題なくできるだろう。
しかし、その小さな穴から、奥の肉に触れることはできない。金属板はおしゃもじ板から浮かせて取り付けられており、横に何ミリかの隙間はあるが、狭すぎてそこからも触れられないに違いない。
「だから、自慰防止板……」
「そうデース。そして……」
翔がその名称の意味を理解してつぶやくと、アイリーンは満足げにうなずいて、貞操帯の後ろ側を見せた。
全体の形としては、Tバックショーツのような形。その細い板の下端付近は弧を描いて膨らみ、中央部が丸くくり抜かれている。
「ここが、カケルさんのアナルの位置デース。ウンチするのに問題はないデスし、前ではオナニーできなくても、プラグは出し入れできるので、こっちで愉しめますよー」
明るくあっけらかんと言われ、再びそこを意識してしまった。
「ふぅん……」
意識してプラグを食い締めてしまい、甘い吐息を漏らしてしまった。
そのことに気づいていながらあえて指摘せず、アイリーンがにっこり笑う。
「それじゃ、貞操帯を着ける前に、アナルプラグを抜きましょー」
「えっ……?」
「プラグの土台は、貞操帯のアナル開口部より大きいデース。プラグを挿入したまま貞操帯を着けると、二度と抜けなくなっちゃいますよ。それでいいデスかー?」
そう言われて、ブルブルと全力で首を横に振る。
「じゃあ、プラグ抜くデスよー」
さらに言われて、コクンとうなずく。
(それにしても、どうして……)
いつもアイリーンのペースに乗せられ、いいように操られるのだろう。
昨夜下半身を露出させられ、アナルを弄られたときも。アナルプラグを挿入されたときも。ふだんなら絶対拒絶していたはずの行為を、自然に受け入れてしまっていた。
そして今また、アイリーンの手でプラグを抜かれようとしている。
実のところこの時点で、翔は自分でもそうと気づかないまま、心の奥底で貞操帯装着も受け入れていた。
それはすべて、アイリーンの調教師としての手練手管である。
言葉巧みにアナルが感じると気づかされ、それがポニーガール向きの資質であると思わされた。
ポニープレイがポニー競技という名の女子スポーツだと信じたまま、翔はフェティッシュプレイの世界に足を踏み入れてしまった。
そして今、下半身丸出しのポニー歩行と他人の手によるプラグ抜きの激しい羞恥のなかで、貞操帯装着という行為の異常さに気づけない状態に貶められた。
「くぅう……」
羞恥心にうめく翔の背後に、アイリーンがしゃがみ込む。
「軽くいきんでくださーい」
アナルプラグの土台を持たれてそう言われ、反射的に従うと――。
「う、うんち出ちゃう!?」
「違いまーす。それはプラグの太いところが、アナルを通過するときの感覚デース」
思わず叫んで、その声にアイリーンが答えたときである。
むにゅ、という感じで、そこが括約筋を通過した。
「んひいッ!?」
その異様な感覚に目を剥いて声をあげた刹那、ゾクリと快感が駆け抜ける。
「い、いや……見ないで!?」
アナルが開きっ放しになってしまったような感覚に声をあげると、アイリーンが応えるように立ち上がった。
それは、翔が充分に羞恥心を感じているから。
アナルの現状を言葉にし、これ以上の激しい羞恥を与えることは、かえって調教の妨げになると判断したから。
「さあ、貞操帯を着けるデスよー。その前に、体操着のシャツを脱ぎましょー」
再び前に回ったアイリーンが、明るく告げた。
その意味するところは、なんとなくわかる。
おへそのだいぶ下まであるシャツの裾が、貞操帯装着の邪魔になるのだろう。胸の下あたりまでたくし上げればいいのだろうが、あいにくポニーグローブの手ではなにも持てない。
「はい」
そのため、翔は素直にうなずいた。
体操着の下には、スポーツブラを着けている。
学校でクラスメートや陸上部の部員の前で着替えることに、翔は慣れている。
だから素直にアイリーンの手を借りてシャツを脱ぐと、彼女は再び貞操帯を手に取った。
カチリ。
上下にふたつ並んだ南京錠のうち上のほう、貞操帯本体を留める南京錠が外される。
濃紺のゴムで縁取りと裏打ちが施された金属製の貞操帯が、お尻側を支点にハラリと解ける。
「ポニーの姿勢、忘れましたか? 両手をポニーの構えに」
そこでそう言われ、前を隠していた手を持ち上げ、肘を90度に折ってお腹の横で構える。
恥ずかしいのに迷わずそうしたのは、昨夜のアイリーンの言葉。
『ポニーブーツを履いているあいだは、常にポニーのトレーニングデース』
今もポニーブーツとポニーグローブを着けている翔は、ポニーの姿勢を忘れてはならない。
そう考え、頬を朱に染め瞳を潤ませ、羞恥に耐えながらもポニーの姿勢を取った翔の前に、貞操帯を手にしたアイリーンが再びしゃがみ込んだ。
「アイリーン先生、早く着けて……ください」
翔が消え入りそうな声で懇願したのは、しゃがんだアイリーンの顔が、性器の真ん前にあるから。
今も疼き火照り続けるそこを隠したい一心で、貞操帯を着けることの意味を深く考えず、翔はその装具の装着を望んでしまう。
「わかりました。すぐ着けてあげますねー」
翔の願いに応える形で――ほんとうはそう望むよう仕向けたのだが――貞操帯を手にしたアイリーンが、翔を抱くようお尻のほうに手を回す。
「ぃう……」
冷たい裏打ちのゴムが火照りの残る肌に触れ、思わず小さくうめいてしまった。
とはいえ、硬い金属が直接触れる不快さはない。
アイリーンは、昔の貞操帯と現在のものとの違いは快適性と言った。これが、そのひとつなのだろうか。
そんなことを考えながら、貞操帯の横ベルトを巻きつけられる。
後ろ側は尾てい骨の少し上あたりから、横は腰骨の出っ張りにひっかけるように。
そしておへその下何センチかの位置で片方のベルトの端の穴に、もう片方のピンを差し込む。
すると貞操帯の横ベルトは、まるで翔に合わせて誂えたかのように、彼女の腰回りにぴったりフィットしていた。
(どうして……)
こんなにぴったりのものが用意されていたのか。
あらかじめ自分に着けることを想定し、以前の身体測定等のデータを集め、それを元に誂えられていたのか。
しかし、それ以上深く考える暇《いとま》は与えられず、アイリーンの声。
「脚を軽く開いてくださーい」
その言葉に反射的に従うと、開いた脚のあいだに手を差し込まれ、お尻の下にぶら下がっていた貞操帯の縦ベルトをつかまれた。
その金属板が、ゆっくり持ち上げられる。
Tバック状のうしろ部分が、お尻の肉を割り裂く。
丸くなっている部分が、アナル周りに押しつけられる。その開口部から、窄まりの中心部と襞がむにっと押し出される。
冷たいゴムが、熱く火照る肉の割れめにも触れる。そこに切られた溝から、アナルと同じように媚肉が押し出される。
しかし、その淫なる肉が、少し浮かせて取り付けられた自慰防止板に触れることはなかった。
それで貞操帯の機能が完全に発揮されていると実感したところで、縦ベルトの穴が横ベルトのピンに組み合わされる。
アイリーンが左手で組み合わせた部分を抑えながら、右手で南京錠を持ち、円盤状の金属板をそのツルに被せ――。
カチリ。
うるさい場所だと聞き取れないほどの小さな金属音とともに、翔の性器は貞操帯に封印された。
「締まりすぎていたり、強く当たっているところはありませんかー?」
貞操帯を施錠し終えたアイリーンが、翔に訊ねた。
「平気、です」
「屈んだり、しゃがんだりしてみてくださーい」
言われて上半身を屈めてみても、横ベルトがお腹に食い込んだりはしなかった。
一度屈伸運動をしてみても、おしゃもじ形の板の中でそこの肉がむにっと動いただけで、どこかに金属板が強く当たることはなかった。
横のベルトもウエストではなく、腰骨の出っ張った部分にひっかけて穿く仕組みなので、お腹にきつく食い込むこともない。
「よかったデース。ワタシが言った意味、わかりましたかー?」
それは、貞操帯を着けられる前の、現代の貞操帯は快適だというアイリーンの言葉。
着けられている途中でも感じたとおり、その言葉に嘘はない。
「ワタシはカケルさんがつらくて耐えられないことは、けっしてやらせませーん。そのこともわかりましたね?」
もちろん、それもわかっていた。
初めてのアナル弄りは、快感だけをもたらした。
アナルプラグを挿入されても、痛みは感じなかった。
プラグを挿入したままにされても、緩く感じただけだった。
それで焦らされて恥ずかしい行為に及んでしまったのは、自分の責任だ。
そして、その行為のせいで着けられた貞操帯も、けっして不快なものではなかった。
たしかに硬いものに股間と腰周りを覆われている違和感はあるが、それも晴れた日に屋外に干し、ゴワゴワになったデニムのホットパンツを穿いたときと大差ない程度。
きっとこれからも、アイリーンはつらくて耐えられないようなことを、自分に強いたりしない。
そう思った――いや、思わせられたところで、アイリーンが新たなアナルプラグを取り出した。
「昨日のものより、少しだけ大きいアナルプラグデース。毎日カケルさんのアナルを拡張し、オリエンテーションの部活紹介の日には、正式のポニーパンツを穿けるようにするデース」
そしてそう言うと、アイリーンは妖しく嗤ってプラグにローションを塗り込めた。