ふたりの逃走~あのドアを出れば (Pixiv Fanbox)
Published:
2022-08-19 09:00:00
Imported:
2022-08
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囚われて以来、常に厳しく拘束されていた。
虐待としか思えないような、酷い調教を受けてきた。
回復可能なもの、不可逆な処置、どちらの肉体改造も施された。
(でも……)
あのドアを出れば、あたしは自由だ。
名前を奪われ、代わりに18番という番号で呼ばれ、バディとしてあてがわれた19番の娘とつながれて受けてきた調教に耐えてきた苦労が、今報われようとしている。
気弱で泣き虫の19番を励まし、鼓舞しながら、不自由な身体で苦しい逃走を続けた努力が、あのドアを出れば終わる。
あれは、外の世界への出口だ。途中掲げられていた、建物の案内図でそのことは確認している。非常口の表示があることからしても、鍵がかけられているということはないだろう。
見張りはいない。監視カメラもない。
そのことを確認し。
(大丈夫、きっと助かる。あたしが助ける)
その気持ちを込め、19番の目を見てうなずき、あたしは希望の出口に向かって――。
18番が囚われて以来、常に一緒にいた。
鎖でつながれて、ふたりで調教をしていただいた。
同じように、肉体改造も施してもらった。
(でも……)
私はもともと、女主人《ドミナ》様の調教済み奴隷だった。
新しく捕らえた18番が忍耐強く意志強固なことを見抜いた女主人様が、彼女を堕とすための策として、私をバディとしてあてがった。
気弱で泣き虫な未調教の娘を演じてきた努力が、もうすぐ終わる。
ここは、女主人様所有の絶海の孤島に建設された、専用調教施設だ。
あのドアを出れば、そのことを知った18番は絶対に逃走不可能だと悟り、絶望する。
絶望して、諦める。
諦めて、女主人様と調教に対して従順になる。
そのことを確信し。
(あなたは、助からない。あなたには、誰も助けられない)
私の目を見て頷いた18番に、心のなかで答え――。