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 変態女子学院の廊下を、風紀委員会の面々が闊歩する。  先頭は、風紀委員長・大田黒房美《おおたぐろ ふさみ》。その斜め後ろに、次期委員長と副委員長の2年生、岬蓮香《みさき れんか》と首藤理佐《すどう りさ》。  学院の絶対的支配者になった房美は、蓮香を後継者に指名するとともに、理佐に彼女を補佐する役目に任命したのだ。  とはいえそれは、とある事件があったのちのこと。  露見すれば風紀委員会を再び窮地に追い込みかねない事件が起こるまで、房美は別の2年生を後継者にすると考えていた。  その者の名は、阿久野栄枝《あくの さかえ》  次期風紀委員長と目されていた栄枝が、その権勢を利して起こした事件とは――。  それは、学院の夏休みが半分ほど終わった頃。房美が蓮香の調教を進めつつ、理佐とのフェティッシュなプレイを愉しんでいた時期のことである。 「スカートをめくりなさい」  人けのない学院の廊下、房美を真似たような尊大なポーズで、栄枝がひとりの学院生に命じた。 「くッ……」  悔しげにうめき、ショートカットの学院生がおずおずとスカートの裾をたくし上げる。  羞恥と屈辱に頬を朱に染めた娘の白い下着がわずかに見えたところで、その手が止まった。  しかし、それでは栄枝は満足しない。 「もっとよ。スカートの下になにを穿いているか、私にはっきり見せなさい」  命じられた学院生は栄枝を一瞬にらみ、だがすぐ目を伏せてスカートの裾を握った手をさらに持ち上げた。 「うふふ……服装規定どおりのショーツを穿いているようね」  栄枝はそう言ったが、彼女の行為は風紀委員権限による下着検査ではない。 「もっとも、私が見たいのは、ショーツの下なんだけれど」  それを見るために、栄枝があらためて命じる。 「いいこと? けっして動いては駄目よ」  そして学院生の前にしゃがみ込むと、ショーツをひと息にずり下ろした。 「ひッ!?」  憐れな犠牲者の短い悲鳴とともに露わになったのは、ピカピカに磨き上げられた金属製の下穿き――貞操帯である。  それは、一般的な女性用貞操帯ではなかった。  通常の貞操帯なら平らな金属板になっている部分には、特殊な形状のネジで留められた、中心部に小さい穴のある円形の蓋。  さらにその下、並みの貞操帯なら小水排泄孔が無数に穿たれた部位には、まるで男子の睾丸を収納しているかのようなわずかな膨らみ。  いや、それは『男子の睾丸を収納しているかのような』ではない。  そこには、ほんとうに睾丸が納められていた。  直上の丸い蓋の奥には、周囲の肌とほとんどフラットになるほど窮屈に、ペニスが閉じ込められていた。  そう、栄枝の検査を受けるショートカットの学院生は、女子ではなく男子だった。  栄枝と大差ない体格の男子が、特殊貞操帯で性器を封印されたうえで、学院の制服を着させられ、強制的に女装させられているのだ。 「うふふ……貴方のペニス、なくなっちゃってるね」  しゃがみ込んだまま女装学院生を見上げ、栄枝が目を細める。 「自分のペニス、取り返したい?」  細めた目を、妖しく輝かせる。 「でもね、私の奴隷になると誓わないかぎり、貴方が自分のペニスを使える日は、二度とこない。使うどころか、目にする機会も一生訪れないのよ」  残酷な言葉をさらりと告げ、栄枝がシリコーンゴム製の黒い物体を取り出した。  貞操帯の丸い蓋と同程度の丸い球大きさの土台から、子どもの拳ほどの丸い球を連ねたような棒が生えている。  30センチほどの長さの棒の反対側には、それよりはるかに細い凸凹の金属棒。  つまり、土台を挟んでアナルディルドの反対側に、尿道プラグが取りつけられた特殊淫具。  その淫具の尿道プラグにローションをまぶし、栄枝が貞操帯のペニス蓋の穴に挿入する。 「うッ……」  うめきはしたものの、女装学院生が尿道へのプラグ挿入を痛がることはなかった。  それは、蓋裏に設えられたカテーテルが、すでに鈴口から尿道の先端部分を占拠しているからである。 「ぁ、うぅ……」  女装学院生が途中から悶え始めたのは、プラグの先端が短いカテーテルの先から顔を出し、凸凹が尿道内を刺激し始めたゆえである。  そして、カチリと金属音が聞こえ、ディルドの土台が貞操帯の蓋に固定されたところで、栄枝が立ち上がった。 「さあ、今日もその偽ペニスで私を愉しませて頂戴。尿道内の刺激だけで気持ちよくもなく、どれほど腰を振っても射精はおろか勃起もできない状態で」  妖艶に嗤い、栄枝は女装学院生の手を引き、空き教室に入った。 「まだ夏休みは半分もあるわ。そのあいだ、貴方の女装体験入学は続く。早く降参し、私のものになったほうが楽になれるわよ」  そう言って、獲物を前に舌なめずりする捕食者の笑みを浮かべながら。  その後、栄枝の不埒な行ないは、風紀委員長・大田黒房美の知るところとなった。  体験入学とはいえ、伝統ある女子学院に男子を連れ込んだ罪で、栄枝は退学処分。その名は学院の公式な記録から抹消された。  栄枝の手練手管に落ちていた女装学院生は無罪放免となり、房美の権限でもって望む進路が与えられたという。  ただし、その詳細は不明。彼が男子として社会復帰したのか、特例として正式の特殊貞操帯女装学院生になったかは、房美と彼女に絶対服従を誓う蓮香と理佐以外、誰も知らないのだった。

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