小説 貞操帯倶楽部 夏の合宿編.3 (Pixiv Fanbox)
Published:
2018-08-17 10:03:05
Edited:
2022-02-04 10:58:29
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夏の合宿.3
「ふう、終わったわね」
「はい。皆さんに満足してもらえて、よかったです」
夕食の片付けを終えて食堂の椅子に座り、私と愛美先輩はほほ笑みあった。
「うん、よかった。裕香のおかげよ」
「そんな、愛美先輩こそ……私なんか、大して役に立ってません」
それはお世辞などではなく、ほんとうのことだった。
私は愛美先輩の完璧なレシピに従い、お米を研いだり材料を切ったりお鍋の番をしていただけだ。
それだけで、いつのまにか和食のおかずが数点、暖かいご飯と味噌汁ができていた。
「でも、なぜ和食だったんですか?」
そう訊ねたのは、私が想定していたメニューが、別のものだったから。
「もしかして裕香、合宿の晩御飯の定番はカレーだ! とか思ってる?」
「えっ……」
図星だった。
「もしくは、夏はバーベキューだー! とか?」
「うっ……」
それも当たっていた。
「だからよ」
「どういうことですか?」
「合宿はカレーだ、は芽衣瑠衣姉妹。夏はバーベキューだ、は純の、去年のセリフ」
「あー……」
それで得心した。料理のレパートリーが一番多い愛美先輩が、残るふた組に合宿の定番メニューを譲ったのだ。
そのことで、呑気に「カレーだ!」「バーベキューだー!」と思っていた自分と、愛美先輩との差を痛感する。
「やっぱり私、まだまだですね……」
朝、車内で聞かされた芦屋先生の期待とはかけ離れた自分にちょっと落ち込むと、愛美先輩が優しく手を握ってくれた。
「ううん、そんなことない。裕香は私の気遣いを理解し、自分にはまだできていないとわかった。それを理解し、わかる裕香は、きっと次は同じことができるわ」
ほんとうだろうか。
本当に私に、そんなことができるだろうか。
(でも……)
そこで、思い直した。
(愛美先輩ができると言ってくれたんだもの。きっと私にもできる)
そしてにっこり笑い。
「はいっ!」
元気よく答えると、愛美先輩が私の手を引いて立ち上がった。
「ともあれ、今日の仕事は終わったわ。私たちのお部屋に行きましょう」
「ねえ、裕香、一緒にお風呂入らない?」
ふたりの部屋に入ると、愛美先輩がそう切り出した。
芦屋先生の別荘のゲストルームには、ひと部屋にひとつシャワールームがあるが、それとは別に、露天のお風呂があるのだ。
「今ならたぶん、誰もいないよ」
それは夕食のあと、私たちが片付けをしていたから。他に露天風呂を利用する部員がいても、この時間ならもう入浴を終えているはず。
「そうですね。先輩とふたりなら……」
そこでなんの気なしにそう答えて、かえって恥ずかしくなってしまった。
そもそも、私は女の子どうしでお風呂に入ることは、あまり恥ずかしくない。小学校でも中学校でも、修学旅行ではみんなで一緒に入った。
それなのに、あえて言ってしまったことで、『ふたりで』の部分を意識してしまった。
「いえ、あの……特に深い意味はなくて……」
「そうなの?」
しかし、照れ笑いしながら恥ずかしさをごまかそうとすると、愛美先輩は真顔で言葉を返した。
「私は、深い意味で言ったんだけど?」
言われて、ドキリとした。
コンプリッツェ、共犯者。貞操帯の鍵を管理し合い、秘密と罪を共有し合う関係。
その関係の一つとして、愛美先輩はお風呂に誘ったのだ。
「あ……」
言葉を詰まらせた私を、妖しい光をたたえた瞳で、愛美先輩が見る。
しかし、それは一瞬。すぐに愛美先輩は目を細めて笑い、私の手を取った。
「うふふ……冗談よ。さあ、行きましょう」
そしてドキドキが消えない私の手を引いて、露天風呂へ向かった。
Tシャツを脱ぎ、スカートを下ろす。
今日はショーツは穿いていないから、それだけでもう、貞操帯とブラだけの姿。
(そういえば、まだ胸は見せたことがなかった……)
思い出してちょっとドキドキしながら、ブラのホックを外そうと背中に手を回したところで、隣の愛美先輩を見ると、目が合った。
「あ……」
ふたり同時に声を出し合って、クスリと照れ笑い。
「せーので見せ合いっこしようか」
「はいっ」
そう言い合ってお互い背を向け、ブラを外して手で隠す。
「準備できた?」
「できました」
「それじゃいくよ。せーの!」
隠していた手を下ろし、愛美先輩の声に合わせて振り向くと、愛美先輩はまだ胸を手で隠していた。
「うふふ……裕香の胸、綺麗」
「あ、先輩、ひどーい!」
「ごめんごめん」
そして愛美先輩が手を下ろすと、彼女の胸は私なんかと比べものにならないほど、素敵だった。
いわゆる巨乳というわけではないが、形がいい。
ぱっと見ブラのカップサイズはCくらい。お椀を伏せたような形の膨らみが、ツンと上を向いている。
先端の色は淡く、乳輪は周りの皮膚との境いめがはっきりしない清楚なもの。その中心でぷっくり膨れて屹立した乳首がエッチな感じ。
清楚と淫蕩がないまぜになって、でも表面には清楚な部分しか見せない。まるで、愛美先輩そのもののような――などと思っていると、愛美先輩が私を見て口を開いた。
「ううん、私にとっては、裕香のおっぱいのほうが素敵だよ」
ほんとうに、そうなのだろうか。
信じられないが、愛美先輩にお世辞を言っているような空気はない。
それどころか、瞳を妖しく輝かせ、私の胸を凝視して――。
「ねえ、触っていい?」
そこで、愛美先輩が訊ねた。
「はい……私にも触らせてくれたら」
思いきって訊ね返すと、愛美先輩は頬を紅潮させてうなずいた。
そして身を寄せ合い、ふたり同じ動きで、お互いの胸に手を伸ばす。
愛美先輩の指が、私の胸に触れる。
「ふぁ……」
触れられたところから肉が蕩け、思わず甘い吐息が漏れる。
私の指が、愛美先輩の胸に触れる。
「ぅん……」
先輩も蕩け、小さく喘ぐ。
「お風呂、入ろうか」
「は、はい……」
そこでお互い恥ずかしくなって、脱衣場からサッシを開けて屋外へ。
貞操帯一丁の姿に夜の高原の空気を感じながら、私は息を飲んだ。
周囲を木製の格子で囲われたウッドデッキ。その中に、石づくりの湯舟。低い位置の照明で足元は暗くなく、なおかつ――。
「綺麗……」
街中では見られない満天の星空に、口から出た言葉はそれだけ。
「すごいでしょう? 私も初めて見たときは、びっくりしたわ」
そしてそう言った愛美先輩と手をつなぎ、湯舟に向かう。
木製の手桶でかけ湯をして、愛美先輩から。
「裕香、こっち来て」
続いて私が入ると、愛美先輩が手招きした。
「はい」
答えて隣に座り、胸の谷間に吃水線ができるくらいまで、お湯に浸かる。
そこで、愛美先輩がぴったりと身を寄せてきた。
「せ、先輩……?」
腕と腕が密着して驚いたところで、身体をひねり、再び胸に触れられた。
「柔らかいね」
下から支えるようにフニフニと揉まれる。
「せ、先輩も……」
そう言ったのは、愛美先輩の乳房が腕に当たっているから。
「柔らかいのに、張りがあって……素敵なおっぱい」
「そ、そんなこと……」
ありません。
答えかけて、自分のおっぱい以外はよく知らないことに気づいた。
(先輩のおっぱいはどうなんだろう?)
ふと気になったところで、愛美先輩がいたずらっ子のような表情で告げた。
「触りっこしよっか?」
「はいっ……あ」
迷いなく答えてしまい、またちょっと恥ずかしくなったところで、愛美先輩がクスリと笑う。
つられて私も笑い、体勢を変えて向き合うと、膨らみの上に下から包み込むように手のひらを重ねられた。
同じように私も先輩のおっぱいに手を置き、見つめ合ってまた照れ笑い。
私の乳房は、完全に愛美先輩の手のひらの中。対して愛美先輩のおっぱいは、私の手からはみ出している。
私より背が高い先輩との手のひらの大きさの差を考慮しても、愛美先輩の胸のほうがずいぶん大きい。
とはいえ、今はそのことを気にする余裕はなかった。
おっぱい全体をフニフニと柔らかく揉みしだかれ、そこから身体が蕩けていきそうだ。
その力加減が、絶妙にいい。女の子どうしだからわかる、女の子が一番気持ちよくなるやり方で、愛美先輩が私の胸を愛撫する。
負けじと私も、愛美先輩のおっぱいを揉む。
心地よく、気持ちいい。
とはいえ、先輩ほど繊細な愛撫ができているか、自信はない。
実際、私のほうが高まるペースが早い気がする。
「んふぁ……」
ストレスなく肉体を昂ぶらされて、ついつい甘い吐息を漏らしてしまう。
「うふふ……誰かに、声聞かれちゃうよ?」
そうだ。ここは屋外だ。
この時間に表を歩いている人はいないだろうが、誰かが窓を開けているかもしれない。あまり大きい声を出してしまうと、聞かれてしまう恐れがある。
そこから、高まるペースがいっそう速くなった。
「はっふぁ……な、なんで……?」
それは『見られるかもしれない』悦びに目覚めてしまったからである。
それゆえに『聞かれるかもしれない』と思うことで、高まってしまうのだ。
そして、それは愛美先輩も同じ。
「んっ、はぁ……」
先輩の口からも、甘い吐息が漏れた。
お湯に浸かっているからという理由では説明できないほど、顔が赤い。瞳が蕩け、潤んでいる。
「せ、先輩も、声……」
「う、うん……エッチだね、裕香も、私も」
「はい、エッチです……ぅん」
そこで乳首を指の腹て優しく撫でられて、もう一段蕩けた。
「あっ、ぅん……」
同じようにすると、愛美先輩も蕩けた。
「うっ、あっ……」
緩く開いた唇から、吐息を吐き出して――。
(そういえば……)
先輩の艶やかな唇を見ていて、ふと気づいた。
(私たち、まだ……)
キスをしたことがない。
コンプリッツェになり、共犯者になったとき、自慰防止板を外して貞操帯ごしに陰唇キスを交わしたことはあるが、唇どうしのにキスはしていない。
そのことを思い出し。
(キスしたい……)
そう思ったところで、愛美先輩が私の名を呼んだ。
「裕香……」
応えて、視線を唇から瞳に移す。
そこでなんとなく、愛美先輩も私と同じ気持ちだと思った。
「愛美先輩……」
答えて、おっぱいから手を離し、肩を抱く。
愛美先輩も、抱き返してくれる。
ふたり同時に顔を近づけあい、あと数センチというところで目を閉じ――。
そこで、扉が開く音。
「おーい、君たち、そういうことは部屋でやりなさい」
その声で弾かれたように愛美先輩から離れると、芦屋先生と三木さんがニヤニヤしながら私たちを見ていた。