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優奈は、後輩の奈津子を呼び出していたー


「これ以上、義信に近づくの、やめてくれる?」

優奈が奈津子を睨む。


「--え…ど、どういうことですか?」

奈津子は戸惑った。


奈津子は、義信と同じサークルに所属していて

その活動の業務的な連絡をしているだけ。

もちろん、ある程度雑談をするものの、

特別距離が近いわけでもなく、

義信の側も特に何か奈津子に感情を

抱いているわけではない。


「---わたしの義信に近寄るなって言ってるの!」

優奈がいらだちを隠さずに叫ぶ。


「--わ、わたしは別に、そういうつもりで

 先輩とお話してるんじゃ…」


奈津子は戸惑うー


義信の新しい彼女・優奈。

あまり面識はないが、何回かあったことはあるし

義信と一緒にいる優奈としゃべったことがある。


だがー

その時はこんな感じじゃなかったはず。

優しく、穏やかな雰囲気だったはず。


優奈が、義信の元カノ・理沙に憑依されていることを

知らない奈津子は、優奈の様子に戸惑った。


「---ねぇ」

優奈が奈津子に近づき、顔を近づけた。


「---義信はわたしのものなの。

 誰にも渡さない」

優奈が奈津子を脅すように、

威圧する口調で囁く。


「---な、、何を言ってるんですか…さっきから!」

奈津子は戸惑いうを隠せない。


「---泥棒猫は、許さない」

優奈が奈津子の髪を引っ張る。


「あ、、、い、いたい!?や、、やめてください!」

もがく奈津子。


しばらく奈津子の髪を引っ張った後、優奈は言った。


「二度と義信に近寄るな!」

吐き捨てるようにして言うと、優奈は奈津子の

頬をビンタして、そのまま立ち去って行ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


義信は、後輩の奈津子が自分を

避けていることに気づく。


「--ごめん。なんか、今日避けられている気がするけど

 俺、何かしちゃったか?」

義信は、心配になってそう尋ねた。


奈津子があまりにも露骨に、挙動不審だったからだ。


「---え…いえ、あの…」

奈津子の言葉に不安を感じた義信は

「誰にも言わないから…何かあるなら聞くよ」と

優しく呟いた。


奈津子は口を開くー


「昨日…」


奈津子は、昨日、放課後に義信の彼女・優奈に

脅されたことを語った。


「え…」

義信は唖然とする。

あの優奈がそんなことをー?


最近の優奈はやはりおかしいー。

まるで、優奈が理沙になっているようなー

そんな感じがする。


この”束縛感”

これはー

理沙と付き合っていた時に感じたものだ。


義信はたまらず、優奈と昼食を食べている最中に

話を切り出した。


義信は、優奈が奈津子を脅したことについて、

優奈を問い詰めた。


”どうしてそんなことするんだ?”


とー。


優奈は笑うー


「義信が好きだからー」

とー。


”あのクソ女!チクりやがった”

優奈は、笑顔を浮かべながらも

歯をギリギリさせて、怒りを爆発させていたー


理沙が憑依してからの優奈は、

ヒステリックになっているー

本当の優奈が今までの人生で感じた怒りを

既に超えているかもしれないほどにー


「---優奈。最近…どうしちゃったんだよ…」

義信は心配そうに優奈のほうを見るー


一瞬ー

優奈と理沙がだぶって見えたー


そんなはずはないのにー

理沙は、この前、死んだ。

理沙は、もういないー。


なのにー

まるで、優奈が理沙そのものに見えてくるー


「--わたしは…」

優奈が悲しそうな表情で呟くー


「わたしは、、大事な人を失いたくないの。

 義信を…失いたくないの!」


”ーー理沙ちゃんも覚えておきなさいー

 欲しいものは、力で奪い取るのー。

 欲しいものは、一瞬でも手を離しちゃいけないのー。”


理沙が小さいころ好きだった父親を奪った

浮気相手は、そう言っていた。


「離さない…わたしは、義信を離さない!」

優奈が叫ぶ。


周囲の学生たちが驚くー


「---優奈…」

義信はため息をついた。


「ごめん。しばらく…しばらく距離を置こう…

 最近の優奈は…

 こんなこと言っちゃだめだと思うんだけど…

 その…どうかしてる…


 ほかの子に因縁つけたり、

 そんなことばっかりされてたら、

 俺も困っちゃうし、俺のせいで

 ほかの子に迷惑をかけてしまうから…


 ごめんな」


義信は、それだけ言うと、

昼食を食べ終えてそのまま立ち去ってしまったー


一人残された優奈は唖然としているー


「また…」

優奈は涙を流していたー


「また…また、わたしを置いていくの…?」

優奈は机をバンバン叩きだす。


「本当にごめん…

 俺…もう、無理なんだ…

 理沙に悪気はないのかもしれないけど、

 あまりにもいろいろ縛られ過ぎて、

 理沙と一緒にいると…正直、きついんだ…」


前に振られたときのことを思い出すー


「置いていかないで…

 置いていかないで…

 置いていかないで…」


呪文のように呟き続ける優奈…

優奈はその場に蹲って一人、泣き出してしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


義信はスマホであることを調べていた。


元カノ・理沙の死ー。

詳しく調べていくと

”まるで抜け殻”のような遺体であったと

書かれていたー


脳機能が全停止し、

まるで”魂や記憶が抜けたような”

そんな状態になっていたのだと、

そういう記事を見かけた。


本当かどうかは分からない。


そしてー

理沙の遺体が見つかった同時刻ー

周辺の監視カメラにー

同じぐらいの年齢の女性が

映っていたのだという。


遺体の状況から殺人の可能性は

限りなく低いものの、

その女子大生からも警察は事情を

聞こうとしている様子だったー


理沙の遺体が抜け殻のようになっていたのはー

”憑依薬”によって理沙が優奈に憑依したからー。


理沙の身体には、

もう”誰も”いないのだー。


しかし、義信はそのことを知らない


「---同じぐらいの年齢の女性…」


優奈の様子が最初におかしくなったのは

デートの日からだ。

妙にイライラしてたし、妙におかしい感じだったー


それからも、それが続いている。


そして、理沙の遺体ー

死亡推定日時は、優奈が豹変する直前ー


「----…」

義信は頭を抱える。


「まさか…まさか、そんなことはないよな…」


優奈が、理沙に見えるー


優奈の中に、理沙がいるー


そんなことあるはずがない


でもー


「--優奈…」

義信は、頭がごちゃごちゃになりながら苦しみの

表情を浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


バン!バン!バン!バン!


優奈の家ー


家の中では、優奈が怒りの形相で暴れていたー


「お前に!魅力がないからよ!!!

 役立たず!役立たず!」

優奈は自分を顔を自分の手で殴っている。


「--あんたに魅力がないから!

 また義信に振られちゃったじゃない!

 このクソ女!クソ女!」


優奈に憑依した理沙は、

再び振られたことで怒り狂っていたー


振られたのを全部、優奈の身体のせいにして

怒り狂っているー


「--クソ!クソ!クソ!泥棒猫!ごみ女!」

優奈は自分のことをそう叫びながら

頭を壁に打ち付けているー


やがてー

顔から流血した状態で

優奈は泣きながら笑い始めたー


「もう、、わたしの身体はないから…

 あんたの身体を…使って、、

 どんな手を使ってでも、義信を

 振り向かせるー


 どんな手を使ってでも…

 義信はわたしのもの」


壁を力強く殴った優奈は、

手に打撲を作りながら

歩き出すー


義信の写真を貼ったマネキンに抱き着く優奈。


「あぁん…義信ぅ…♡」

正気を失った狂気の目つきで優奈は

マネキンに抱き着くと、

身体をくねらせながら気持ちよさそうに

喘ぎ始めた。


優奈の意識は、封印されたままー

理沙の意のままに操られて

優奈は狂気の女に変貌していたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


大学が休みだった義信は、

理沙の死について調べていた。


優奈の豹変のヒントがそこにあると感じたからだ。


義信は、理沙の遺体が見つかったという

公園のトイレを訪れようとしていたー


しかしー


♪~


そこに、優奈がやってきた。


「--優奈!?」

突然の訪問に驚く義信。


優奈は、義信の家に強引に入ってくる。


いつもよりきついメイクで、

胸元を強調した服装にミニスカートという

派手な格好だー


「--急にどうしたんだ?」

義信が言うと、優奈は突然義信を押し倒した。


優奈の目は明らかに正気を失っているー


そう感じた。


「義信ぅぅぅ…わたし…わたしね…義信が

 好きで好きでたまらないの…

 わたしを抱いて…!わたしを捨てないで…

 はぁ…はぁぁぁ♡」


「--優奈!どうしちゃったんだよ!優奈!」

義信は叫ぶー


優奈はこんな子じゃないはずー


いやー

理沙も最初は穏やかな女性だと思っていたー


”俺に見る目がないだけなのか?”


義信はそう思ったー


だがー

目の前にいる優奈は、まるで理沙みたいだ。

優奈の姿をした理沙みたいだー


今までの優奈の言動ー

理沙の言動ー

そして、理沙の遺体が見つかった場所に

優奈もいたかもしれないことー


「ーーーーー逃げてーーー」


ふと頭の中に優奈の声が聞こえた気がした。


豹変した優奈ー

死んだ理沙ーーー


まさかーーー!


「----お前・・・」

義信はとっさに口を開いた


信じられないー

あり得ないー


そう思いながらも、

義信は、口にしたー


「---お前ーーー優奈じゃないな?」

ーと。


「は?」

優奈がバカにしたように笑う


「何言って…?」


「----ーー理沙だよな?」


義信がそう言い、優奈を睨みつけたー。


「----」


「----」


睨み合う二人ー


優奈の豹変ー

どう考えてもおかしいー


もしもー

もしもーーー


”トイレの遺体が本当は優奈で、

 理沙が何らかの方法で優奈の姿

 そっくりになっていたらー?”


義信は頭の中でそう考えた。


事実は違う。

遺体は理沙本人のもので、

優奈は憑依されているー


だがー

ちょっとずれた推理でも、

目の前にいる優奈が優奈じゃないかもしれない、

という点は当たっていた。


そして

突然優奈が狂ったように笑い出した


「あ、あははははははは、はは!

 ば~れちゃった!

 そーよ!私は理沙よ! 

 私がどれだけ義信のコト好きだったか分かる!?


 でも義信は、この女を選んだ!

  

 だから私、決めたのよ!

 私が優奈になるってね!」


優奈が早口でそうまくし立てた。


「-お前、、、優奈は!!優奈はどうしたんだ!」


義信は信じられない現実を前に

パニックになった。


優奈が、、理沙に??


「ふふふふ…

 優奈の心と体を乗っ取ったのよ!


 見てよホラ!

 今じゃ、優奈が私の思いのまま!


 カワイイでしょ?ホラ!

 義信、優奈が好きなんでしょ?」


優奈が挑発的に義信に言い放った。


乗っ取ったー。

憑依?


義信は混乱しながら言い放つ。


「…優奈から出ていけ」

自分でも驚くぐらい、怒りのこもった声だった。


「はーーー?」

義信の言葉を聞き、優奈も笑顔を捨て、

義信を睨みつけてきた。


義信と優奈はにらみ合うー


そしてーーー

優奈が呟いたー


「義信…わたしには、義信しかいない。

 ほら、見た目は優奈だし、

 わたし、優奈として振舞うからー


 もう一度、付き合ってー?」


と。


⑥へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今回は、ほとんどが新シーンでした!

最後の対峙シーン以外は、

完全な新規シーンですネ!


最後の結末も原作とは異なるので

お楽しみに!デス!


今日もありがとうございました~

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