Home Artists Posts Import Register

Content

入れ替わりの力を手に入れた姉・綾は

引きこもりの弟・直人のために入れ替わりを駆使して、

夕方までは自分の身体で自分の高校に、

帰宅後には、弟と入れ替わって、定時制高校に通う弟のために

弟として学校に通うー。


そんな”一人二役生活”をしていたー。


本当は弟・直人が立ち直ってくれるのが一番いいが、

すぐには立ち直りそうにない。

その間に、高校の出席日数が足りなくなってしまうし、

引きこもりを続けている弟の身体はどんどん

弱っていってしまうー。


そんな弟を救うための決断だったー。


そしてー

入れ替わりによる一人二役生活を始めてから

2週間ー。


綾は、弟の身体で定時制高校に通っている際に、

気付いたー


弟は、いやがらせを受けていたーー

と、いうことを。


先輩にあたる生徒・辻上 丈ー。

弟・直人が不登校になるきっかけを作った生徒と、

偶然、遭遇してしまったのだー


「--二度と学校に来るな。そう言ったはずだよな?」

丈がニヤニヤしながら言う。


見た目からして危険な風貌の男だ。


いかにも”ワル”という感じを

漂わせている。


「--あ、、あんた…弟とどういう関係なの?」

直人(綾)は、つい素を出してしまったー


入れ替わりを駆使して、夜は弟の直人として

過ごすようになってから2週間ー

だいぶ、慣れては来ているものの、

やはり、感情が高まったりすると、

本来の自分…綾としての自分が表に出てしまう。


「ア?」

間抜けな声を出す丈。


急に”弟”と言われたこと

そして、”あんた”と呼ばれたことに唖然としていたー


「先輩に向かってその口の利き方はなんだぁぁぁぁ????」

丈がドン!と壁ドンをするー


「!」

直人(綾)はそれでも丈を睨んでいたー。


綾は負けず嫌いな性格だー。

弟の直人が、この丈という男にどんな対応を

していたのかは知らないが、

綾は引き下がるつもりはなかった。


「---ごめんなさい。言葉遣いのことは謝ります」

直人(綾)はそういつつも、

引き下がるつもりはなかった。


「---ふん。まさかまた登校してくるとは

 いい度胸じゃねぇか」


丈はそう言いながら直人(綾)を睨むー


他の2人の生徒も、丈の背後で

ニヤニヤしながら直人(綾)を見ているー


「--テメェのせいでよ、俺らはひでぇ目に

 あったんだ。忘れたとは言わせねぇぞ」


丈が言うー。


「ひどい目…?」

直人(綾)は、

直人の記憶はないー

直人から必要なことを聞き出し、

あとはなんとか空気を読んで

直人として振舞っている。


もっとも、直人はあまり交友関係の広いほうじゃなかったから

多少様子が違っても、周囲は不思議に思わなかった。


「---テメェ!とぼけるのか!」

丈が大声を出した。


「--たばこだよ」

丈が、ポケットからニヤニヤしながら煙草を取り出す。


「--これ、テメェがチクりやがったせいで、

 俺らは停学処分。学校からも散々ぐちぐち言われてよぉ!

 面倒くさいったらありゃしねぇ」


丈が叫ぶー


直人(綾)は”そう…”と心の中で納得するー

弟の直人が、この不良たちの喫煙の現場を見かけるか

何かして、それを先生に言ったことを逆恨みされている…

そんなところだろうー。


「---そんなの、逆恨みですよね」

直人(綾)は毅然とした態度で言う。


「ア?」

丈が怒りに満ちた表情で直人(綾)を見つめる。


「----もうこれ以上お話することはありません。

 失礼します」

直人(綾)は毅然とした態度で、

丈たちをスルーし、そのままトイレの外に向かう。


「っ!おい!”あの約束”忘れてねぇよなぁ?

 次、てめーを見かけたら、ただじゃ済まねぇからな!」


去り際に、トイレから丈が叫んだー


「--あの約束?」

直人(綾)は

”弟は、この不良たちに何か脅されているのかもしれない”

そう思いながら男子トイレから外に出たー


「ふ~…それにしても…」


直人(綾)はズボンのほうを見つめる。


「--な~んか、ここについてるって…

 変な感じ…」


苦笑いしながら、直人(綾)は教室に戻るのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--あっ…♡ あっ…♡」


自宅ではー

綾の身体になった弟の直人が

こっそり綾の部屋に入って

綾の高校の制服を着て、

胸を触ったり、鏡を見つめたり、

ほほ笑んでみたりー

ちょっとしたお楽しみをしていたー


「俺、三次元には興味ないし、

 お姉ちゃんの身体には興味ゼロ」


などと言っていた直人も、

いざ入れ替わってみると、いろいろ気になってしまって

最近では、直人(綾)が帰宅するまで

こっそりお楽しみをしていたのだー


「---直人…お姉ちゃんが、守ってあげるからね…」

鏡の前で、そう口にしてみる綾(直人)


綾の表情がいつもは、見れないような

恥ずかしそうな表情になっているのを見て

綾になっている直人は興奮する。


「あぁぁぁ…姉さん…」

綾(直人)は興奮しながらも

少し申し訳ない気持ちになったー。


姉の綾に学校を押し付けておいて

自分はこんな…


「そ、、そろそろ姉さん、帰ってくるかな」

綾(直人)は時計を見つめるー。


そして、着替えると、綾の部屋を片付けて

綾の身体のまま自分の部屋に戻り、

そのまま寝そべってゲームを始めるのだったー


・・・・・・・・・・・・・・


「ただいま~」

直人(綾)が帰ってくる。


「---最近、頑張ってるわね」

母親が言う。


「え、、あ、、あ、、うん!」

直人(綾)が慌てて返事をする。


姉弟で入れ替わっているー

なんてことは母親にも父親にも言っていない。


「--そういえば最近、綾、帰ってきてから

 家からでなくなったけど、大丈夫かしら…」


母親が心配そうに言うー


「--え、??あ、、だ、大丈夫じゃないかな。

 わたし…じゃない、姉さん、昼間は普通に

 学校に行ってるんだし、心配しなくていいと思うよ」


直人(綾)が苦笑いしながらそう答えたー


帰宅後に綾が外出しないのは当たり前だー。

”引きこもりの弟”と入れ替わってるのだからー。


午後は、代わりに綾が引きこもりになって、

そして直人が外に出るー。

それだけのこと。


「--でも心配だわぁ…」

母親が言う。


「--だ、、大丈夫だって…じゃ!」

直人(綾)はそう言うと、弟・直人の部屋に

駆け込んだ。


「--直人~ただいま~!」

直人(綾)が言うと、

髪がぼさぼさのまま寝転がってる綾(直人)を

見つけて苦笑いする。


「も~!誰の身体でもおんなじなのね」

直人(綾)がそう言うと、

「俺の身体で女言葉はちょっときもいかな」

と、綾(直人)は答えたー


「さ、戻ろっか」

直人(綾)の言葉に綾(直人)も頷くー


そして、この日も二人は元通りに戻ったー



部屋に戻る綾。


「----」

綾が高校の制服を見つめて苦笑いする。


「まったく…何してるんだか」

苦笑いしながら弟・直人の姿を思い浮かべるー


制服がずれているー…

たぶん、弟の直人が入れ替わっている間に

何かしている…


「別にいいけどさ…」

綾は苦笑いしながら

”今後の対策”を考えることにしたー


なんとか、弟・直人を立ち直らせたい。


そのためにもー

タイミングを見計らって

直人に不良生徒・丈の話も聞いてみたい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「綾、最近疲れてない?」

友達にふと、そんなことを聞かれた。


「---え?わたし?」

綾はハッとするー。


最近ー

自分の時間がほとんどとれていないー


確かに、疲れているのかもしれないー


土曜日と日曜日にも、

弟と入れ替わって外出したりするようにしているー


「だ、、大丈夫だぜ~!」

綾はそう答えたー


「え?」

綾の友達・富治子(ふじこ)が不思議そうな顔をする。


「あ、ちがっ!ごめん!今のなし」


”直人”として定時制高校に登校している間は

”男”として振舞うー


綾の場合

1日の半分は女子として、

半分は男子として過ごしていて

頭がごっちゃごちゃになりつつある。


「--ほんとに大丈夫?」

友達が心配そうにしているのを見て、

綾は「大丈夫だよ、ごめんね」と答えたー。


綾は、ふとある違和感を感じるー


”友達の女子を見ると、少しエッチな気持ちになるような気がするー”

ということに気づいたのだ。


1日の半分を男子として

過ごしている影響だろうか。


このままでは、取返しのつかない状況に

なる可能性もあるー。

”一人二役生活”をいつまでも続けるー

と、いうのは無理があるかもしれないー


そんな風に思い始めていた。



放課後ー

綾は今日も急いで帰宅しようとする。


「---なぁ!綾!」

ふと呼び止められたー。


振り返ると、そこには彼氏の

森路 淳史(もりみち あつし)がいたー。


「淳史…」

綾が足を止めると、淳史が不安そうに言う。


「最近…なんか俺を避けてる気がするんだけど…

 俺、何かしたか?」

淳史の言葉に、綾は「そんなことないよ!ただ、ちょっと忙しくて」と

慌てて言い訳をするー


前は淳史と一緒に帰っていたが

最近は、弟・直人の定時制高校に間に合わせるため

淳史とは一緒に帰ったりできていないー

休日にもあまり会えないし、

LINEのやり取りもあまり出来ていないー


「……」

淳史が表情を歪める。


「ごめんね!家の都合で…」

綾はそう言って走り去っていくー


「---…」

そんな淳史の背後から、綾の友達・富治子が

姿を現して呟いた。


「ほら、わたしの言った通りー

 やっぱ、誰かと浮気してるのよ」


とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅ー


そして、綾はそのまま外出した。


”母を心配させないため”だー。


「買い物に行ってくる~!」

わざと母親にそう告げてから出かけるー


そして、30分で帰宅しー

弟の直人と入れ替わるー


入れ替わったあとに、直人(綾)は言う。


「そういえば…

 学校で、変な先輩にからまれたんだけど…

 どういう関係?」


直人(綾)の言葉に

綾(直人)は驚いたような表情を浮かべるー


「--そ、、そいつに関わっちゃだめだ!」


とー。


「どうして?」

直人(綾)の言葉に、

綾(直人)は事情を説明することなく

「とにかく、ダメだ!」とー。


そしてー

「もう入れ替わりもやめよう!俺はこのまま引きこもりでいいから!」

綾(直人)の態度の急変に驚く直人(綾)。


「よくない!」

直人(綾)はそう言うと、

「--何があったの?聞かせて」

と、優しく呟いたー


けれどー

綾(直人)は答えなかったー


不安を抱えたままー

直人(綾)は、今日も弟・直人として

定時制高校に向かうのだったー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


一人二役…

考えただけで頭が混乱しちゃいそう…?


第3話は、金曜日に書く予定デス~!

今日もありがとうございました!!

Files

Comments

No comments found for this post.