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元カノの理沙が、トイレで変死体となって

発見されたーーー


ビルの壁面に設置されたスクリーンから流れる

ニュース…


それを目にした義信は唖然とするー


「理沙が…」

義信はビルのテレビを見ながら思わずつぶやいた


隣にいた優奈が軽く舌打ちをして、

義信に甘えるようにして、腕にしがみつく。


「どーでもいいじゃない!

 早く!ホテルに行こうよ!」


無邪気に言う優奈。


だがー

義信にとってはそれどころではなかったー


元カノとは言え、

性格に色々問題があったとは言えー


”理沙の死”という事実は

義信に重くのしかかった。


「……そ、そんな場合じゃないだろ?

 理沙に一体何があったんだ?」


彼女に一体何があったのか。

義信は、理沙のことを思い出すー。


理沙の異常なまでの束縛ー。

付き合っているとき、理沙は口癖のように言っていたー


「わたしを、捨てないでねー」


とー。


その理沙が死んだー。


義信は複雑な思いを抱きながら、

既に別の事件を報じ始めている

壁面のスクリーンを見つめるー


「ねぇ…元カノのことなんて

 どうでもいいでしょ!

 わたしを見て!」

優奈は、理沙が死んだというニュースを

全く気にも留めずー

まるで”そのことを知っているかのように”

義信をホテルに誘うー。


何なんだ?

今日の優奈はおかしい。。


”まさか…”


義信は不安を覚えるー


まさかとは思うが、

優奈が、理沙に何かをしたのか?


義信の中に、そんな考えが浮かぶ。


義信は、”理沙が優奈に”何かしてくることばかり

心配していたー

だが、逆が起きているとしたら…?


「なぁ…今日はもう帰ろう。

 理沙のヤツに何があったのか気になるし…」


義信がそう言うと、突然優奈が「バカ!」と叫んだ


「今さら遅いよ!

 何で今になって心配するの?」


優奈が涙ぐんで言う。


「は??…な、何だよ?どういうことだよ?」

義信はますます混乱した。

今日の優奈は変だ。


髪型にもメイクにも違和感があるし、

服装も派手だ。

言動も何かおかしい…


まるで理沙みたいな…


「……」

義信は優奈の打撲を見ながら言った。


不安になるー


もしもー

もしも、そうだとしたらー。


「…優奈…

 まさか、優奈が理沙を……

 そんなこと…ないよな?」


義信は、優奈にそう尋ねた。

聞かずにはいられなかったー


いつも優しい優奈がそんなことをするはずがないー


と、思いながらー。


”目の前にいる優奈が、理沙に憑依されている”

そんなことを夢にも思っていない

義信は、優奈を疑ってしまった。



「はぁ?」

優奈が優奈とは思えないような悪態をついた。


「バッカじゃないの!

 これ以上、私を馬鹿にすんのもいい加減にしろ!」


優奈が叫ぶ。


「--バ…馬鹿になんかしてないけど…

 き、今日の優奈は、何か変だ…

 いったい、どうしたんだよ?」


義信が言うと、

優奈はイライラした様子で髪を掻きむしるー。


そして、

「--義信は、わたしのものだもん!」


優奈はふてくされた様子で義信を見つめるー


その姿が、--

優奈の姿が一瞬、理沙と重なって見えたー


「--…!」


「---せっかく楽しいデートだったのに。

 今日はもう帰る」


あからさまに不機嫌になった優奈は

そのまま立ち去ってしまったー


「…優奈……」

あまりの彼女の豹変ぶりに義信は、ただただ、唖然とするしかなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜ー。


「---……ああぁぁああああああああ!!!」

優奈は自分の部屋で、自分の写真…優奈の写真を

壁に貼り付けて、何度も何度も、

帰りに購入したナイフで切り付けていた。


「--泥棒猫!泥棒猫!泥棒女ぁぁ!」

優奈がはぁはぁ息を荒げながら

自分の写真を切り裂いていくー


「---義信を奪ったあんたを

 わたしは許さない…」

泣き叫びながら優奈はナイフを自分の写真に突き刺して

机の椅子を蹴り飛ばす。


髪を振り乱して鬼のような形相の優奈は

父が去っていく直前のことを思い出すー


”わたしのほうが魅力的だったからー”


父の浮気相手と、理沙は何度か出会っているー。

”お父さんを取らないで”


父親が出ていく前に、理沙は浮気相手の女に

そう叫んだー


その返事がー

”わたしのほうが魅力的だったからー”


だったー。


”あんたのお母さんに

 魅力がなかったの”


あの女は、そう言ったー。


”ーー理沙ちゃんも覚えておきなさいー

 欲しいものは、力で奪い取るのー。

 欲しいものは、一瞬でも手を離しちゃいけないのー。”


優奈に憑依している理沙は

怒りの形相で呟くー


「--わたしは離さない」

義信の写真を握りしめる優奈ー


「誰の身体を奪ってでもー

 どんな手を使ってでもー

 わたしは、あなたを離さないー」


優奈の目には、狂気が宿っていたー


・・・・・・・・・・・・・・・


気づくと、義信は周囲が白い空間に居た


「---ごめんね」


聞き覚えのある声がする。

優奈だった。


ーいつものように優しい笑みを浮かべている優奈。

控えめの清楚な可愛らしい服装の優奈。

長めの髪がよく似合う優奈。


ーー義信のよく知る優奈がそこにいた。


「…優奈?」

義信は首をかしげた。


この白い空間は何だ?


「…義信、、本当にごめんね。。

 私、、もうダメだから…」

優奈が悲しそうに言う。


「どういうことだよ?」

義信は聞き返した。

すると、優奈が少しだけ笑って言った


「もうーー私のコトは忘れて。

 私に惑わされないで…


 今の私はもう、義信に手を伸ばすことも

 できないからーーー


 近くに義信がいるのに、

 手を触れることもできないからーーー」


そういうと、優奈は涙をぽろぽろと流し始める


「……おい、どうしたんだよ。

 何か悩んでるなら俺が聞くから」


義信は優奈を優しく抱きしめた。


何もない白い空間ー

義信はそれでも不安を感じなかったー


大切な人が、そばにいるからー。

義信には、優奈がいるからー。


すると、優奈は義信の方をみて笑った


「---優しいね。。

 でも、もうお別れ」


優奈は涙をふいて、義信に背を向けて

光の方に歩き出した


「おい!なんだよ!お別れって!

 俺、何かしたか…!?」


義信は必死に叫んだ。


すると優奈は、涙を浮かべた表情のまま、

こちらを向いて優しく微笑んだ


「ううんーーー

 義信は何も悪くないよ


 今までありがとうーーーーー

 本当に、、、ごめんね」


光が、周囲を飲み込んだ。

もう、優奈の姿は見えない。。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はっ!」

義信は飛び起きた。


一瞬、何が何だか分からなくなった。


……少し落ち着くと、

義信は昨日、優奈と別れて家に帰宅後、

理沙の事を調べようとしたが色々あって

疲れて寝てしまったことを思い出した。


ーーーにしても、今の夢はーー?

優奈?優奈は!?


俺は慌てて優奈にLINEを送信した


だがー

返事はない。


大学に行けば、優奈に会えるはずー…。


義信は大学に行く準備を始めるのだったー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


大学ー


義信は、優奈の姿を探したー。


そして、優奈と鉢合わせしたー。


優奈は今日もいつもと違う派手な印象の服装だった。


「---…義信…

 昨日は、ごめんね…」


優奈が目をそらしながら言う。


「---…優奈」

義信は優奈のほうを見つめるー


昨日から、違和感があるー

なんだ、この違和感はー?


”正体不明の違和感”に

義信は困惑しながらも、優奈に言う。


「--何か、あったのか?」

義信が言うと、優奈は首を振ったー


「別に…

 ただ…」


優奈に憑依している理沙は思うー


”義信の優しさ”は、

わたしに向けられているものじゃないー

優奈に向けられているものー


このまま優奈になりきって

義信を手に入れてもー…


「---わたしを…捨てないでねー」

優奈はそう呟いた。


「---…当たり前だろ」

義信が優しく微笑むー


「--あ、そろそろ行かないと」

義信は時計を見ながら言う。


「またお昼、ゆっくり話そうな」

義信がそう言うと、

優奈はほほ笑んだー


「-----」

立ち去って行く義信を見つめる優奈ー


「---……」

昨日は失敗だったー


危うく

”同じ失敗”を繰り返すところだったー。


理沙として愛されることに拘り過ぎていたー


この際…

”優奈”としてでも構わないー


大切なものは、どんな手を使ってでも

離さないー


「--ふふふふふ…

 わたしが…わたしが…優奈になってやる」

優奈は邪悪な笑みを浮かべたー


「--あんたのかわりに」

悪魔のような笑みを浮かべながら自分の胸のあたりを

指でつつく。


「あんたの代わりに、わたしが優奈になってやる…!

 ふふふふふふふ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼ー


「---あ、先輩」


食堂で優奈と待ち合わせをしていた義信は

偶然、後輩の三条 奈津子(さんじょう なつこ)と

出くわした。


奈津子は昨日の映画館デートの最中に

義信に連絡をしてきた後輩だ。


「---あぁ、その件なら」

義信は、奈津子に対して、笑みを浮かべながら答える。


なんのことはない、サークル活動上の

ただの相談だ。


奈津子も、義信も互いに恋愛感情は、特にない。


「---ありがとうございました、じゃあそうしますね!」

奈津子がほほ笑むー

そして、立ち去って行くー



ギリギリギリギリギリ…


食堂に到着していた優奈が

恐ろしい形相で歯ぎしりしながらその様子を

見ていたー


優奈は誤解したー

義信と奈津子が親しいーー

と。


拳を握りしめる優奈。

唇をかみしめるー。

怒りにぶるぶると震えるー


普段絶対に優奈が見せない恐ろしい形相で、

食堂のテーブルにつく義信を見つめる優奈ー


「--あ、優奈!いっしょにご飯どう?」


優奈の友達が優奈に声をかける。


優奈は義信のほうを見つめたまま返事をしない。


「ねぇってば!」

友達が言う。


「---うるさい!黙ってて」

優奈は乱暴な口調でそう答えたー


「な、、なによ急に…」

友達は優奈の様子に驚きながらも立ち去って行くー


・・・・・・・・・・・・・


「--お、優奈!」

義信が優奈を見つけて、こっちこっち、と手招きする。


優奈はほほ笑みながら義信の前に座る。


義信と優奈は適当に昼食を頼みー

そして、昼食を運ぶと再びテーブルについた。


「---わたしね、昨日はちょっと

 義信とデートできるのがうれしくて

 空回りしちゃった」


優奈が申し訳なさそうに笑うー


一見、いつもの優奈に見えるー

だがー

昨日の優奈はまるでー”理沙”かのようだったー


理沙の死のニュースについても調べてみたが

イマイチ、はっきりしないー


「--わたし、義信に捨てられないように

 頑張るからー

 わたしを捨てないでね…」


優奈がほほ笑むー


「--あぁ…もちろんだよ」

義信が昼食を食べながら言うー


「ーーー」

優奈はニコニコしているー


いつもの優奈だー


「---」

だがー

優奈は拳を握りしめて

心の中では怒りを噴火させていたー


・・・・・・・・・・


放課後ー


「---ねぇ」


「--はい?」

奈津子が振り返ると、

そこには、優奈がいたー


「ちょっと、話いいかしら」

優奈は、普段の優奈とは全く違う雰囲気でー

高飛車な雰囲気で奈津子を呼んだー。


優奈とそもそもあまり面識のない奈津子は

戸惑いながらも「あ、はい…」と答えて

優奈についていく。


人の気配のない場所にたどり着くと、

優奈は言ったー。


「--これ以上、義信に近づくの、やめてくれる?」


とー。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今回も原作から大幅リメイクデス~!


原作では学校のシーンはないのですが、

原作のラストが、あまりにもあっけなさすぎて

(合作でゲーム化したときにも「あれ?元カノあっさり笑」みたいな

 感想がありましたし…笑)

理沙の性格からすると不自然かな~と思ったので

より執念深く、新展開も織り交ぜて

クライマックスをお届けしていきます~!


次回もお楽しみに~!!

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