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「---」


京太郎は、彼女の優菜に呼び出されていたー。


ネオンが輝くビルの屋上ー

他のビルのライトが、2人を照らすその場所で、

優菜は静かにほほ笑んだー


「--京太郎」

優菜のほほ笑みは、どこか寂しげだったー。


ビルの屋上に吹き付ける風ー。

優菜の髪が風でなびくー


「--優菜…」

京太郎はどうしてこんな場所に呼び出されたのか、

不安になりながら優菜のほうを見る。


「お前と付き合おうと思った理由…

 くくく…

 勘違いするな。

 俺はお前と付き合ってるつもりなんかねぇ」


あの日の夢を思い出すー

優菜が皮のようにぱっくりと割れて

中から男が出てきたあの光景をー。


そんなはずはないー

あんなことは、あり得ないー。


京太郎は、反対側のビルの光を見つめながら

目を細めるー


優菜が、いじわるそうな笑みを浮かべて

口を開いた。


「--わたし…実はね…」


優菜の口元が歪むー


ぱっくりと優菜が割れるー


「実は…高校入学直前に

 着られちゃったのぉ~!

 あっははははははは~♡」


中から邪悪な男が姿を現したー


「--!!!」

京太郎は驚くー


やっぱりー

あれは夢なんかじゃー


「うわあああああああああああ!!!!」


京太郎は飛び起きたー


「--うるさい!何よ急に!」

隣の部屋の妹・千佳が駆け込んでくる。


京太郎は周囲を見渡す。

自分の部屋と

ちょっと口うるさい妹。


いつも通りだー


また、夢を見てしまったー。


「---はぁ…」

京太郎は思わずため息をついた。


大体、夜のビルの屋上に呼び出されるなんて

シチュエーション、あるはずがないー

明らかに夢だったのにー


京太郎は、夢を夢と気づくことのできない

自分が嫌になりながら、学校に向かう準備をするー。


”夢、だよな…?”


2回も、彼女の優菜が皮にされている夢を見たー


それにー

友人の和典が、

優菜は、中学生の時と別人のように変わったと

言っていたのも気になるー。


気にしすぎかー。

京太郎はそう思う。


人間は、気にしていることを何度も

夢に見ることがある。

京太郎は、ここ数日、ずっと優菜の皮のことを

考えているー

それで、2度目の夢を見たのだと信じたいー


けれどー、

けれど、もしも、もしも本当に

優菜が皮にされているのだとしたら?


「---聞くか」

京太郎が呟く


「え?」

まだ近くにいた妹の千佳が首をかしげる。


「--え?あ、いや、なんでもないよ」

京太郎はそう言うと、意を決して学校に向かうのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


京太郎は、いつものように優菜と雑談をしていたー


優菜はいつも通りだー。


だがー

中学のときは、スポーツ万能な子だったのだと

友人の和典は言っていたし、

今の優菜にその面影はない。


どうして、優菜はそんなに急に変わったのかー


少し、不安になる。


京太郎は決意するー


優菜と、放課後に話をしよう。


優菜に直接聞いてみようー。

こういう夢を見たって付け加えてー。


もしも、優菜に笑われたら

別にそれはそれで構わないし、

笑ってほしい。


でもー

もしも、

夢が正夢だったらー

優菜の中から男が出てきたらー

優菜のために、京太郎は現実と向き合う覚悟していたー


「---ゆ、、」


「--優菜!」

別のクラスメイトの声がした。


共通の友人で、優菜の幼馴染の和典だ。


「--放課後、話があるんだけど」


「え?話?別にいいけど?」


優菜と和典が話をしている。


先を越されたー

京太郎はなんとなく、

”放課後いいか?”と言いだすことができず、

そのまま黙ってしまったー。


・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


そういえば-

和典が今日はよそよそしいー


京太郎を避けるかのような行動をとっている。


「--じゃあ、今日はわたし、一緒に帰れないから

 また明日ね」

優菜が京太郎にほほ笑みながら言うー。


そして、教室から廊下に出ていく優菜ー


なんとなく、胸騒ぎがした。

京太郎は、優菜と手を振って優菜を見送るとー

そのまま優菜の後を尾行したー


学校から外に出る優菜。


優菜は周囲をキョロキョロするような仕草を見せた。


途中で、優菜はスマホを手にしたー


”----おれ   あぁ、そうして”


小声でしゃべって手早くスマホを切る優菜。


「---おれ…?」

京太郎は不安になりながら

優菜を尾行する。


優菜が鋭い目つきで振り返る。


「--っぶね…」

京太郎はとっさに物影に隠れた。


「---…」

優菜はそのまま歩いていく。


そしてー

見晴らしの良い高台にやってきたー


日が暮れ始めるー。


”俺さ…”

京太郎が物影に隠れるー

先に待っていた男の声がする。


優菜の幼馴染・和典の声だー。


「---」

京太郎は、二人の姿を確認するー

暗くなり始めて、高台から見える建物がー

光を放ち始めていたー


夢はービルの屋上だったが

なんとなく、その光が夢と重なって見えた。


「--俺さ…」

和典が優菜のほうを見て話を始める。


”あいつ…まさか”

京太郎は不安に思うー


優菜と和典は幼馴染ということもあり、

仲が良い。

ただ、優菜はいつも京太郎を優先してくれるし

和典は京太郎とも親しくなって

あくまでも”幼馴染の間柄”を二人とも強調していたー


時々不安になることもあったが

優菜が優しさでその不安をかき消してくれていたー


「---」

和典が、優菜のほうをじーっと見つめる。


”おいおいおいおいおい、皮もきついけど

 浮気もきついって”


京太郎は、そんな風に思いながら

ふたりを見つめるー


だがー

和典の口から出た言葉はー


「--親父の都合で、転校することになったんだ」


だったー。


「え…」

優菜が言う。


「--ほら、優菜とは小さいころからの付き合いだから

 早めに伝えておこうと思ってー。」

和典が言うと、

優菜は

「--そっか」と少し寂しそうに返事をした。


「--昔はよく二人で遊んだよな…」

「--そうね」


和典と優菜が夜景を見つめながら言う。


「--まぁ…優菜には、

 京太郎がいるから大丈夫だろ。

 それに、京太郎のやつ、俺が優菜と話してると

 すっごく不安そうにしてるからさ…

 俺がいなくなってちょうどいいかもしれない」


和典が自虐的に笑っている。


「うん…

 京太郎は心配性だから…


 でも、和典のことは本当に

 男子として見てないし、

 わたしは京太郎一筋だからー」


優菜が笑いながら言うと、和典は

「ー男子として見てない、は

 さすがに失礼だぞ~!」と

苦笑いしながら答えた。


そしてー

優菜に向かって和典は言う。


「-京太郎のこと、大事にしてやれよ。

 二人のこと、応援してるから」


その言葉に、優菜は苦笑いする


「なんで、わたしだけを呼び出したの?

 京太郎にも言えばいいじゃない?」


とー。


「だって、、、ほら、、恥ずかしいじゃんか」


そんな二人の会話を聞きながら

京太郎は、

”疑ってごめんなさい”と

心の中で呟いて、

そのまま、二人の前に姿を現さずに

その場から立ち去ったー


「----」

優菜がちらっと後ろを見る。


「どうした?」

和典が不思議そうに言う。


「---…ううん、なんでもない」

クスッと笑うと、優菜は夜景のほうを見つめたー



和典と別れた優菜は

スマホを手にする


「--え?カフェ”オレ”なかったの?

 あぁ、うん、じゃあそれでいいと思うよ」


優菜の電話相手は弟だったー

京太郎が聞いたのは

”カフェオレ”の”オレ”の部分ー。

優菜が自分のことを俺と言ったわけではなかったー


・・・・


・・・・・・


後日ー


「--なぁにそれ」

優菜は笑ったー


笑ってくれたー


京太郎の心配は、杞憂だったー


夢は、ただの夢ー


「わたしが、皮?

 も~!なんて夢見てるのよ!」


優菜が笑いながら

京太郎の肩を叩く。


「--ほら!」

京太郎に背を向ける優菜


「え?なになに?」

京太郎が不思議そうに言うと、

優菜は自分の後頭部を指さしながら

「夢で見たっていうチャック、

 確認してもいいよ~?

 そんなものないから~!」と

笑いながら言った。


「ええええ!?優菜の髪に触れるなんて」


「--ほ~ら!」

優菜は京太郎の手を掴んで

髪の中を触らせた。


「-なんにも、ないでしょ?」


にっこりと笑う優菜に

「疑ってごめん」と京太郎は苦笑いしたー


中学卒業後に、優菜は

高校に入るタイミングでイメージチェンジしようと決心して

髪を伸ばし、女の子っぽいふるまいやおしゃれを

するようになったのだというー。


友達が”そんなんじゃモテないよ~”と、からかってきて

負けず嫌いの優菜は、イメチェンしたのだという。


「--でも、今は、京太郎に出会えてよかったし

 イメージ変えてよかったって思ってるよ」


優菜がほほ笑む。


「-だってほら、中学生の頃のわたしのままじゃ、

 京太郎、逃げていきそうだもん!」


そんな優菜に対して

京太郎は「確かに、がつがつ来られたら逃げるかもなぁ」と

苦笑いしたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


”皮”はただの夢だったー


京太郎は、心のもやもやもすっかり晴れて

晴れ晴れとした気分だったー


和典の想いに応えるためにも

優菜を大事にしなくちゃなー。


京太郎はそんな風に思いながら

眠りについたー



ペリ…


「---くふ…♡」

京太郎の部屋に、誰かが入ってくるー


熟睡している京太郎ー


「---ふふふふふ♡」


部屋に入ってきたのはー

妹の千佳ー


千佳の頭がぱっくりと割れてー

中から、男が出てくるー


男は不気味笑った後に

千佳の皮をかぶるー


そして、囁いたー


「---まさか、偶然、”皮”の夢を見るなんて…ネ?

 でも、お兄ちゃんの彼女じゃなくて

 皮にされてるのは わ・た・しー♡


 通学路で見かけたお前の妹、めっちゃ可愛くて

 エロかったからさぁ…

 ひひひひひ♡


 これからもよろしくね…お兄ちゃん♡」


とー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


身近な人が皮にされているかもしれない…?と

疑ってしまう主人公のお話でした~!


最後まで「どっちなのかな~?」を

お楽しみ頂けていれば何よりデス~!


今日もありがとうございました!!


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