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その言葉が、すべてを打ち砕いた。


わがままな星奈は、

彼氏の和夫が”助けてくれるのが当たり前”という

考えに次第になっていってしまい、

わがままし放題だったー


和夫のことは本当に好きだったー

けれど、

”和夫が近くにいるのが当たり前”に

なってしまっていたー。


和夫に甘えて、

”入れ替わりの力”を持つ和夫に

辛いことや嫌なことはすべて押し付け

お礼も言わず、好き放題していたー


そしてー

ついに


「--もう別れよう」

「--この身体は、俺のものだ!」


和夫の怒りは限界に達してしまった。


星奈と入れ替わった状態のまま、

和夫は、家から飛び出してしまったのだー。


身体を奪うと宣言してー


「---…お願い…出てよ…」

和夫の身体になった星奈は

弱気な表情で必死に何度も何度も電話していたー


家にはー

星奈自身の身の回りのものが

無くなっていたー

スマホもー。


けれど和夫(星奈)は楽観的だったー。

”どうせすぐに戻ってくるでしょ”


とー。

電話に出てくれない星奈(和夫)に少し

腹を立てながら、

和夫(星奈)は、ちょうど明日から休みだし、と

その場で寝ころびー

いつものように和夫の身体で過ごすのだったー


だがー

翌日、その次の日もー

星奈(和夫)は帰ってこなかったー。


ようやく、和夫(星奈)は事態の深刻さを理解するー。


和夫は、本気で星奈の人生を奪う気なのだー


残された和夫のスマホで、

電話をかけるも

星奈(和夫)は電話に出てくれないー


LINEで連絡を送ろうとしても

ブロックされてしまいー

ツイッターのアカウントも既にブロックされていたー


「---…どうすればいいの…」

へなへなと座りこむ和夫(星奈)


急に焦りの感情に支配される和夫(星奈)


その目からは涙がこぼれているー。

自分のこれまでの振る舞いを思い返す和夫(星奈)


確かにー

自分は和夫に甘え過ぎていたかもしれない。


和夫が何も言わないのをいいことにー

和夫のやさしさに甘え過ぎたのかもしれないー。


「--お願い…電話に出てよ…」

和夫(星奈)は呟く。


何度も、何度も電話をかけるー


そしてー


”--もしもし?”


ついにー

星奈(和夫)が電話に出てくれたー


「も…もしもし!ごめん…和夫…

 わたしが間違ってた!

 わたしが嫌なことは和夫だっていやなはずなのに、

 わたしってば、自分のことばっかりで…」


和夫(星奈)は謝罪の言葉を口にするー。


星奈はー

心からは反省していなかったー。

”半分”反省ー

もう半分は、”とにかくもとに戻りたい”という考えー


”---ふふふ♡”

電話先から甘い声が聞こえてくるー


星奈の甘い声ー


”あぁぁ…♡ たけしぃ…♡”


はぁはぁ言いながら星奈(和夫)が

何かを呟く。


「--わ、、わたしの身体で何をしてるの!?」

震えながら和夫(星奈)は叫ぶ。


”なにって…♡ んふふふ…

 お前の身体、いい身体だなぁ…♡

 もっと早くこうすればよかったぁ…♡


 あぁ…中に出して…♡”


「え…うそ…や、、やめてよ!ねぇ!」

和夫(星奈)は震えながら叫ぶー


プっー


電話が切れたー


「…や、、やめて…お願い…」

和夫(星奈)は泣きながら叫んだー


自分の身体がーー

勝手に使われているー

そんなことを、和夫にさせてしまっているー。


早く、何とかしないと、と焦りながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「-----…」

電話を切る星奈(和夫)-


星奈(和夫)は、風でなびく髪を抑えながら、

遠くを見つめたー


・・・・・・・・・・・・・・・


”会って、謝らなくちゃー”


和夫(星奈)は家を飛び出すー。


今まで自分が和夫にしたことを思い出しながらー


和夫のことをあるで、便利な道具のように扱ってしまったー

優しい和夫を追い詰めてー

そして、変えてしまったー。


もう、許してもらえなくても構わないー


でもー

それでもー

謝りたかったー


そして、元の姿に戻りたかったー


「---あれぇ?どうしたの?」

大学の共通の友人が、和夫(星奈)の姿を見かけて

声をかけてくるー


「--…あ、、え、、えっと……」


「--あ、そうだ!星奈、浮気してるかもよ~?」

友達が言うー。


「--え…どういうこと…?」

和夫(星奈)が言うと、

その友達は言った。


「--星奈ってば、昨日、男の人と寝てる写真

 わたしに送ってきたの…!

 もしかしたら、星奈、浮気してるのかも…。

 ちゃんと話、してる?」


友達の言葉に、

和夫(星奈)は慌てて走り出すー


”--ごめん、和夫、、ごめん…お願い…もうやめて”


とー。


自分の身体を取り戻したい気持ちー

そして、和夫にそんなことしてほしくないという気持ちー。


和夫(星奈)は、

実家に助けを求めようと考えたー


それほど実家は遠くはないー


焦りながら実家へと向かう和夫(星奈)-

そして、ようやく星奈の実家へとたどり着いた。


インターホンを鳴らす。


すると、星奈の母親が出てきた。


「お、、お母さん!助けて…わたし!」

和夫(星奈)が叫ぶー。


「--あらあら、和夫くん、こんにちは」

星奈の母親はほほ笑んだ。


星奈と和夫が付き合っていることは

両親も知っている。


「ち、違うの!」

和夫(星奈)は叫ぶ。


そして、和夫が入れ替わりの力を持っていること、

その力を借りて、自分がわがまま放題したことによって

入れ替わったまま和夫が出て行ってしまったことー

和夫が星奈の身体で好き放題していることー

和夫にもう一度会って謝ろうとしていることを

手短に伝えたー


しかしー


「---…何言ってるの?」

星奈の母親は、不審なものを見る目で呟いた。


「---お、、お願い!お母さん!信じて!

 ほら、えっと…7歳のときの誕生日にー」


自分しか知らないはずのことを口にするー


けれど、母は信じてくれなかったー


やがて、騒ぎを聞きつけて父親も出てくる。


「お、、おとうさん!わたしなの!信じて!」


だがー

父には

”娘の彼氏が、星奈を名乗り

 女言葉をしゃべっている”

ようにしか見えなかったー


「娘は昨日も、うちに帰ってきたぞ」

父親が言う。


「--きみと喧嘩したって」

父親が、和夫(星奈)を睨む


「え…」

和夫(星奈)は絶望したー


既に、星奈の身体を奪った和夫が

星奈のふりをして

実家にも帰ってきていたのだー


「ち…違う!わたしが星奈!

 お父さん!信じて!」


その言葉もむなしくー

”しつこいと警察を呼ぶぞ”と呟いて

父親と母親は玄関の扉を

閉めてしまったー


「そんな…」

絶望する和夫(星奈)-


自分のせいだー。

星奈はそう思ったー


今までずっと好き放題してきた罰なんだー…

とー


「ごめんなさい…」

和夫(星奈)は実家の玄関の前で膝をつき、

そのまま涙を流すー


雪が降ってくるー


星奈はー

自分の身体を失いー

大事な彼氏も失いー

家族も、友人もー


止まることのない涙がこぼれ落ちるー


「--わたしが、わがままだから…

 ごめんなさい…」


静かに振り続ける雪ー。


優しかった和夫を苦しめ続けていたー


こんなことになるまでー

そのことに気づけなかったー


泣きじゃくる和夫(星奈)


そこにー

足音が近づいてきたー


「----」

手が差し伸べられるー


そこにはー

自分のー

自分と入れ替わった星奈(和夫)の姿があったー


「---え…」

和夫(星奈)が、星奈(和夫)のほうを見るー


マフラーをして、寒そうにしながら、

星奈(和夫)はやさしく微笑んだー。


「---反省してくれた?」

星奈(和夫)が笑うー


「え……かずお…?」

和夫(星奈)は泣きながら

星奈(和夫)のほうを見つめるー


そして、すぐに和夫(星奈)は謝罪の言葉を口にしたー


「今まで、ごめんなさい…

 わたし、自分のことしか考えてなかった…


 和夫が優しくしてくれるからー

 そのやさしさに甘えてばかりだったー…


 本当に、ごめんなさい」


そこまで言うと、

星奈(和夫)はにっこりとほほ笑んで

「分かってくれればいいんだよー」

と静かに口にした。


家の中から、星奈の父親と母親も出てくるー


「--星奈が、あんまりにもわがままだから、

 星奈のお父さん、お母さんにも相談して

 手伝ってもらったんだ」

星奈(和夫)が言う。


星奈の母と父は苦笑いしながら

「--入れ替わりなんてびっくりしたけど、

 本当みたいだったし…」


「--お前が、わがままなのは昔からだからな

 ちょっと、和夫くんに協力したんだー」


と、順番に口にしたー


「え……そ、それじゃあ」

和夫(星奈)が星奈(和夫)のほうを見ると、

星奈(和夫)は笑うー


「星奈の身体で、変なことするわけないだろ?」


とー。


「--で、、でも、エッチなこと…」


電話した時、

星奈(和夫)は誰かとエッチしていたー


あれはー?


「あ…あぁ、」

星奈(和夫)は顔を赤らめながら言った。


「あれは、一人でそういう声出してただけだよ。

 何もしてないー…

 下手な演技だから騙せたか心配だったけど…」


と、笑いながら言った。


「た…たけしって…?」

あの時、星奈(和夫)は”たけし”と口にしていたー

そのことを聞く和夫(星奈)


苦笑いしながら星奈(和夫)は

「とっさに思いついた名前。誰もいなかったよ。周りには、」と

答えたー。


共通の友人も、和夫が頼んで協力してもらったのだというー。


「--もぅ…」

和夫(星奈)は安心から、そう呟くと、

もう一度頭を下げた。


”今までわがままばかりで、ごめんなさいー”


とー。


「分かってくれれば、いいんだよ」

優しく言う星奈(和夫)。


そしてー

”さ、そろそろもとに戻ろうー”と

優しく手を差し伸べたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1週間後ー


星奈と和夫は再び

同居を始めていたー


「あ~!バイト面倒くさいなぁ~」

星奈が言う。


「--変わってあげよっか?」

和夫が笑いながらそう言うと、

星奈は「うんーーー」と言った後に、にっこりと笑うー


「面倒なことを和夫にばっか

 押しつけるのは良くないもんね…!


 わたし、面倒だけど頑張る!」


星奈の言葉に和夫はほほ笑み返すと、

「がんばれ!」と優しく呟いたー


「うん!」

星奈も、ほほ笑み返すと、

そのままバイトに向かう準備をしたー


本当にー

和夫に嫌われてしまったのかと思ったけれど、

和夫はやっぱり優しかったー


和夫の心を鬼にした行動がー

星奈に大切なことを気づかせてくれたー


星奈は思うー

”このやさしさを、

 和夫を、いつまでも大事にしよう”


とー。


和夫の優しさにこたえられるようにー

私も、和夫を癒してあげられるようにー

頑張ろう、


とー。


「いってきます」

「いってらっしゃいー」


笑顔で出かける星奈を、

和夫は優しい笑顔で送り出したー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ダークじゃない入れ替わりものでした!


皆様が彼氏の立場だったら

どうしますか~?笑


お読み下さりありがとうございました!!

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