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「昨日はごめんね…」

飼いネコのしずくのことを撫でる加奈。


最近は、自分が自分でないようなー

そんな”奇妙な感覚”に襲われるー。

いつも穏やかな心が、常に荒々しい波に

飲み込まれているような、

そんな感じがするー


どうして、こんな気持ちになるんだろうー。


加奈は、自分の心が、まるで自分の心では

ないかのような違和感を感じながら

学校に向かう準備をするー


「---だいじょうぶ?」

ふと、母親が加奈に声をかけた。


「え…?」

加奈が母親のほうを見る。


「最近、ちょっとピリピリしてることが

 多い気がするけど、

 何かあったの?」


母親の言葉ー


加奈は”ほかの人にもやっぱり伝わってる…”と

さらに不安になる。


母から見ても、自分は何かにイライラしているように

見えているのだろうかー。


変わったことー。

加奈はここ数日のことを思い出す。


「おびえんなよ…なぁ…

 俺は…まだ、、、死にたくね……ぇ」


あの、暴走車ー。

逃亡中だったと思われる犯罪者の死ー。

あれを目の当たりにしてからかもしれないー


加奈はそんな風に考えていたー


”おびえんなよ…”


頭の中に、あの男の声が響いた気がしたー


「--え?」

加奈が驚くー


”怒りと快楽に身を任せろよー”


「---!!」

加奈が周囲を見渡す。


「だ、、、大丈夫…?」

母親が不安そうに加奈を見つめる。


「え…あ、、、うん。」

加奈は、”母を心配させてはいけない”と思い直して、

母のほうを見てほほ笑んだー


「だいじょうぶ」


とー。


・・・・・・・・・・・・


「---よぉ」

登校すると、

不良生徒の岸田 純一が、

加奈のことを待ち伏せしていたー


「---…な、、何の用…?」

加奈は少し怯えながら答えるー


昨日、気弱なクラスメイトの山岩 恭平を

いじめていた純一を、加奈は止めたー


その時のことで、何か言いたいことがあるのだろうー。


「----…お前…俺と”同類”だったんだな」

ニヤニヤしながら言う純一。


「同類?…」

加奈は不思議そうに返事をする。


「--くく…気に入ったぜ」

純一は、自販機で買ったばかりの

コーラを一気飲みすると、大きなげっぷをして、

加奈を睨みつけたー


「---俺の女になれ」

純一が加奈を睨みつけるー


「----…い、、、意味が分からないよ!」

加奈は怯えながら純一を振り切り、

そのまま教室へと向かったー


・・・・・・・・


6時間目には、

DVDを見る授業…

警察の人が来て、熱心に説明していたが、

加奈は腹が立って仕方が無かった。


「お前ら、そんなに誇れる人間なのかよ…」

視聴覚室からの帰路、加奈は呟いた。

イライラして握りこぶしを作るー。

あの警察官をぼこぼこにしてやりたい。

そんな風にすら思った。


無意識だった。

自然と、腹が立ったし、

自然と、口から言葉が出た。

舌打ちを繰り返す加奈。


「え??」

隣に居た美優が驚いて加奈の方を見る


「いま、、何てーー?」

美優が加奈の方を見て言う


「ううん。何でもないよ」

加奈はそう言った。


そう、何でもない。


今朝、加奈は自分が何だかオカシイことを不安に

思っていた。

だが、今はそうではないー。


なんだか、本来の自分を取り戻しているような

そんな錯覚さえする。

朝の不安は、なんだったのだろう、と

朝の自分をあざ笑ってやりたくなるほどだ。


勿論、授業は真面目に受けなくてはいけないし、

美優の事も大切な友達だ。


でも、腹が立つものには腹が立つし、

なんだか今日は自分の体がいつも以上に愛おしく感じる。

いま、この場で自分自身を滅茶苦茶にしてしまいたい。

そんな感情に支配される。


「----ふふ」

自分の胸を見つめるー

なんだかドキドキするー

この場で揉みまくりたいー


「…やっぱ変だよ、今日の加奈…

 どうしちゃったの?」

美優が心配そうに聞く


「変?私が?」

自分の胸を見つめていた加奈は、

そう聞き返した。


「だって…なんかさ…」

目の前の美優が心から心配している、という

表情で加奈を見る


!?

ふと、加奈は我に返った。


何でさっき、、あんなにイライラしていたんだろう・・・


それに何で、自分の体に…こう、

興奮したりなんかしたんだろう…。


「え…あ、、、み、美優ちゃん

 ごめん…

 そうだよね、、私変だよね」


加奈は咄嗟に言う。

目線が泳いでいるー

動揺しているー。


自分でも自分の置かれている状況が分からない


「…あ、明日から2連休だし、

 ちゃんと休むね!」

加奈は無理やり笑顔を作ってそう言った。


「…う、うん…そうした方がいいよ」

美優は一歩引いたような笑顔でそう言った。


私・・・本当にどうしちゃったんだろう…?


きっと、疲れているに違いないー。

加奈は、自分にそう言い聞かせる。

そうー

土曜日と日曜日、ちゃんと休めば

この変な気持ちもきっと、

ちゃんと解消されるー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


不安な気持ちは消えない。

加奈は一人、下校していた。


そのまま加奈は帰るはずだった。


今日はバイトも無い。

明日からは休み。


しかし、気が付くと加奈は洋服屋に入っていた。


「うわ~~

 この服来たら、可愛いだろうな~」

加奈は満面の笑みで服を物色している。


しかも、普段の加奈が着そうにない、

男を誘うような派手なものばかりみている


そして加奈は乱暴な手つきで服を数点選ぶー。

普段の加奈とはまるで違う姿。


「---」

レジに並んだ加奈はイライラしていた。


前に並んでいたおばあちゃんが

会計の際に戸惑っているー

そして、店員と知り合いなのか

雑談を始めてしまうー


「チッ」

加奈は思わず舌打ちをした。


「あ、、、」

おばあちゃんがそれに気づいたのか、

加奈のほうを見る。


「ご、ごめんなさいね」

おばあちゃんの言葉に、

加奈は「わたし、さっきからずっと待たされてるんですけど」と

不機嫌そうに呟いたー


会計中も、加奈はずっと不機嫌だった。

腕を組んで、足をトントンしながら

会計を待つー。


自分でも

”わたし、なんでこんなイライラしてるんだろう”と

内心で思ったものの、

もう、そのイライラを止めることはできなかったー


店から出るー。


そしてー

「ウフフ…楽しみ!」

加奈は嬉しそうに笑みを浮かべた。


・・・・・・・・・・


夜。


「あれ…どうして私・・・」

加奈は自分の購入した服を見て戸惑う。


「お金…ためてたのに…

 何で、こんなもの買っちゃったんだろう…」


チャイナドレスー

バニーガールの服ー

まるで夜の仕事をしているかのような服ー

コスプレ衣装ー


加奈は、自分で購入したものを見て

唖然とするー


ドキドキするー

けれどー


「こんな服、、着れないよ・・・私は」


加奈は涙ぐんだ。


自分はいったいどうしてしまったのか?


この服を買った時もそうだ。

その時はとても、気分が良いし、買うことに迷いはない。


ただ、時間が経つとふと我に返るような瞬間がある。

いまがそうだ。


どうしてこんなモノを買ってしまったのだろう・・・。


自分が自分でないような感覚になっている瞬間とー

まるで、正気に戻るような瞬間があるー


明らかに、おかしいー。


「・・・私・・・どうすればいいの・・・?」


加奈は不安そうにそう呟いたー


けれどー

鏡に映る加奈は笑みを浮かべていたー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝


2階から降りてきた加奈を見て母親が驚く。


「加奈・・・?随分今日はおしゃれなのね・・?

 デートか何か?」


母が聞くと、

加奈は満面の笑みで答えた。


「ううん。何もないよ

 私だって年頃なんだから、おしゃれの一つや二つも

 するよ!」


加奈がそう言った。


いつもあまり化粧をしない加奈がしっかりと化粧をしているだけでなく、

短くて男が喜びそうなスカートをはいている。


「・・・・・・そう」

母親は疑問に思いながらもそう答えた。


テレビでニュースが流れている。


「数日前、殺人と暴漢の疑いで指名手配されていた男、

 倉持 幸雄 が警察からの逃走中に事故を起こし

 死亡した事件ーーー」


加奈はニュースの方を見る


「いや~昔から根暗なやつでしたよ。

 クラスに居るんだかいないんだか」


犯人の同級生がインタビューに答えている。


「正直、いつかはやると思ってたんすよね」

男がニヤニヤしながらインタビューに答えている


加奈は持っていたコップを握りしめた。

怒りの感情が、まるで自分が悪口を

言われているかのようにー

溢れだしてくる。


「ああいうヤツと同級生なんて、

 こっちが恥ずかしいっすよ」


テレビの方を加奈は睨みつけて

コップをテレビに思いっきり投げつけた。


「ふざけんな!」

加奈が普段出さないような怒鳴り声が自宅に響き渡る。


テレビにぶつかったコップはそのまま砕け散り、

中身と共に床に散らばった。


「ちょ、、ちょっと加奈!」

母親が驚く


「・・・・・・ゼッタイ許さない」

加奈はなおも、恐ろしい形相でテレビを睨みつけている。


「---お前らに、何が分かるんだ!!」

加奈は大声で叫ぶー。


まるでー

自分自身が悪口を言われたのかのようにー


「加奈!」

母親が加奈の肩をつかみ揺さぶる


「・・・・・・・・・え・・・」

加奈が茫然とした様子でテレビの方を見る。


「・・・あれ・・・何これ・・・」

加奈がもうろうとした雰囲気で言う。


「ちょ、、ちょっと!大丈夫!?」

母親もあまりの様子にうろたえている。


加奈は激しく動揺したー


「・・・・・・う、、うん大丈夫・・・。

 何か急にカッとなっちゃって・・・」

加奈はそれだけ言うと、散らばった床の片づけを始めた。


割れたコップを片付けながら、

加奈は困惑するー


なんでー?

どうしてー?


「私は・・・一体・・・」


そう呟いた加奈は少し笑みを浮かべた。


「加奈・・・・・・」

自分の名前を呟き、恍惚そうな表情を浮かべる加奈


「あれ・・・・・・私って・・・・・・

 加奈・・・だよね・・・?」


ふと、おかしな考えが頭をよぎった。


ユキオ・・・ユキオ・・・。


何故か頭にユキオという名前が過る


「なにっ・・・なんなのユキオって・・・」

加奈は一人呟く。


「・・・・・・違う、、違う、、私は加奈。。。加奈よ・・・」

加奈は混乱した様子で後片付けを終えると、そのまま自分の

部屋に走り去ってしまった。


「---か、加奈!?」

母親は戸惑うことしかできないー


飼い猫のしずくも、心配そうに加奈のほうを見つめる。


部屋に辿り着いた加奈は

ベットに蹲る。


「わたし、、わたし…どうしちゃったの…」

ぶるぶる震える加奈。


自分で自分が分からないー

何か、とんでもないことが起きているような気がするー。


震える加奈。


加奈はふと、

自分の姿を鏡で見た。


そして、自分の姿を見て満面の笑みを浮かべた・・・



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最初に投稿したとき、コメントを書いたつもりですが

消えてました(笑)

なので、あとから追加…!


原作に大幅にシーンを追加・書き換えして

リメイクしていますー!

この続きも原作より深く描写していくので、

お楽しみにー!

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