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彼氏はとても親切だったー。

どんな時でも、優しく、親切な彼氏ー


そんな彼氏に彼女は甘えていたー。


大学生の坂下 星奈(さかした せいな)は、

小さいころから父親に溺愛され、甘やかされて育ったために

とてもわがままな性格の持ち主。

家庭が裕福だったこともあり、欲しいものは

なんでも買ってもらえたし、甘やかされて育った。

大学生になり、一人暮らしを始めたものの、

大学内で出会った先輩と意気投合して

付き合い初めて、今は先輩の家で同棲している状態だった。


そんな彼氏の、倉本 和夫(くらもと かずお)は、

とても優しい性格の持ち主で

小さいころから困っている人を見かけると

絶対に放っておくことのできない、

優しい人間だった。

星奈のわがままにも、嫌な顔一つせずに付き合っていたー。


ある日ー


「ねぇ~…バイト面倒なんだけど」

星奈が言う。


一般的に言わせればとてもかわいい部類に

入る星奈だが、そのわがままぶりは

周囲からも敬遠される原因のひとつになっていた。


「--はは、またかよ~」

和夫が苦笑いしながら言う。


星奈がバイトを面倒臭がるのはいつものことだ。


「---…要するに、俺に代わりに行ってくれって

 ことだろ?」

和夫が苦笑いしながら言うと、

「うん!よくわかったね!さっすがわたしの彼氏!」と

星奈はほほ笑みながら答えたー


”代わりにバイトに行く”

そんなこと、普通はできないー

双子でもない限り、

100パーセント、ばれるだろう。


だがー

彼にはできるー


和夫は、生まれつき、ある力を持っていた。


「--じゃ、入れ替わろうか」

和夫が言う。


星奈が「うん!」と答えるー


和夫と星奈がお互いの手を握るー


和夫はー

生まれつき”他人と入れ替わる”能力を持っていたー

相手の手を握り、念じることで

相手と身体が入れ替わってしまうのだー


子供向けのアニメで、そういうお話を見て、

ふざけて妹とアニメ通りのことをやってみたら

本当に入れ替わってしまったことで、

自分の力に気づいたー。


だがー

和夫は真面目な人間だった。


”入れ替わり”の能力を

自分が自由に使うことができると知っても

それを悪用するようなことはなく、

むしろ、人助けにそれを利用していた。


今もそうだー。


「---あ~…やっぱ星奈は可愛いな~」

星奈になった和夫が笑う。


「和夫の身体ってやっぱり、わたしより体力あるぅ~!」

和夫になった星奈が笑うー


ふたりは”いつものように”入れ替わったー


星奈(和夫)は、そのままバイト先に向かう準備をするー


彼女の星奈が

面倒がっていたり、嫌がっていたりすることを

こうして入れ替わりの能力を使うことで、

代わってあげているー。

和夫は、そんな人間だった。


「でもさ~、俺に身体を貸すことに

 躊躇とかないのか?」

星奈(和夫)が軽くメイクをし終えるという。


「ないない~!和夫のことは信頼してるし、

 わたしの身体で変なことしたり、しないでしょ?」

和夫になった星奈が言うと、

「まぁな」と星奈(和夫)がほほ笑んだー


星奈の身体になっても、

和夫は、エッチなことを一切したりすることはなかったー。


もちろん、トイレに行ったりはするし、

必要であれば着替えたりはするが

”日常生活に必要なこと”以外は、しない。


だからこそ、星奈も和夫のことを信頼していた。


もちろん、最初は戸惑ったものの、

今ではすっかり、星奈として振舞うことにも慣れているー。

最初は、女性としてトイレすら満足に

することができなかった和夫も、今では

男女両方のトイレに慣れきっている。

最初に入れ替わりをしたときに、

星奈からレクチャーを受けたからだ。


周囲から見たら、男子大学生の和夫が

女子大学生の星奈に、女性としての

トイレのコツを教えるというなんとも

奇妙な光景にしか見えなかったかもしれない。


けれど、そのおかげで

今の和夫がいる。

星奈として、しっかりとふるまうことのできる和夫がー


「--じゃ、行ってきます」

星奈(和夫)が言うと、

和夫(星奈)が”行ってらっしゃ~い!”と、ほほ笑んだー。


そしてー

玄関の扉がしまったことを確認すると、

和夫(星奈)は笑みを浮かべたー


「んふふふふ…和夫のからだ~♡」

星奈は、彼氏には”変なことしないでよね!”と言っていて

”お互い変なことはしない”という約束をしているのに、

自分は、隠れて好き放題やっていたー


「---…あぁぁ…大きくなっちゃったぁ♡」

和夫(星奈)が顔を赤らめて、

和夫のソレを見つめるー


さっそく服をすべて脱ぎ捨てて

大好きな彼氏の身体を抱きしめると、

一人、それを刺激して、

うめき声を上げ始めたー


・・・・・・・・・・・・・


「-----」

和夫は、気づいていたー


星奈が、自分の身体で好き放題していることをー。


なぜなら、バイトが終わって元の身体に戻った時

いつも”得体のしれない疲れ”を感じるからだー。

星奈が、自分の身体を酷使しているに違いない。


とりあえず、人生を壊されるようなことは

されていないから、と

和夫は持ち前のやさしさで星奈のことを

黙認していたが、

最近は、次第に疲れを感じるようになってきていたー


「--今日は、ずいぶん落ち着いてるね」

バイト先の先輩が言う。


「え!?あ、は、はい!」

星奈(和夫)が言う。


前回のシフトは、星奈本人がバイトに出ていた。

その際に、いろいろやらかしたのだろう。


「--この前は、ご迷惑をおかけしました」

星奈(和夫)が頭を下げると

バイト先の先輩は笑う。


「だいじょうぶだいじょうぶ! 

 でも、星奈ちゃんってふしぎ…」


先輩は星奈(和夫)に顔を近づけて

じーっと星奈(和夫)を見つめたー


「時々、二重人格みたいなんだもの」

先輩が笑うー


思わず、星奈(和夫)はドキッとしてしまうー


「--なんだか、抱きしめてぎゅーってしたい気分…」

先輩の言葉に、星奈(和夫)は顔を

赤らめながら、「ちょ、、ちょっと近いです」と苦笑いしたー。


先輩は「ごめんごめん」と言いながら立ち去っていくー


バイト先の先輩ー

長坂 里穂(ながさか りほ)

”綺麗なお姉さん”という感じの人で、

星奈も、星奈としてバイトに来る和夫も、

里穂のことを信頼していたー


妙に星奈に優しくしてくれるのは、

少し違和感があるものの、

悪い人ではなさそうだった。


バイトを終えた星奈(和夫)は

家に帰宅するー


「あはははははは!」

中から和夫(星奈)の笑い声が聞こえてくる。


和夫(星奈)は、バラエティ番組を見ながら

ゲラゲラと笑っていたー


「あ、おかえりぃ~!」

和夫(星奈)が言う。


星奈(和夫)は「ただいま」とほほ笑んだ。


「--あ、そうそう、今日、給料日だったよ」

星奈(和夫)が、バイト先から手渡しされた

封筒を取り出すと、和夫(星奈)は「あ、やった~!」と

言いながらその封筒を取り上げたー


”なんのためにー”


和夫は、ふと、内心そう思ったー


そして、すぐにその考えを取り払うー


なんのために?

決まっているー

彼女のためにー


けれどー。

まるで”働きアリ”のように、

酷使されている最近の状況を和夫は

少し不満に思い始めていたー。


優しい和夫ー。

それは小さいころから変わらないけれどー。


人にバイトを押し付けて、お礼も言わず、

自分は約束を破り、

さらには、我が物顔で給料もすべて

自分のものにする星奈に対しー

不満が確実にたまっていたー


「あ!そうそう!明日、大学もお願いできるかな」

和夫(星奈)が言う。


明日、和夫は久しぶりの休みだったー


だが、星奈は、それすらも奪うつもりだったー


「--いや、、明日は俺、約束があるし…」

星奈(和夫)がそう言いかけると、

和夫(星奈)の表情から笑顔が消えた。


「--ちょっと、疲れたから、たまには休んでもいいかな?」

星奈(和夫)のお願いー


しかし、和夫になっている星奈は、それを一蹴した。


「わたしだって疲れてるんだよ?

 自分だけが疲れてるみたいな言い方しないで!」


とー。


「ごめん」

星奈(和夫)は思わず謝ってしまうー


そしてー

和夫(星奈)に催促されて、

手を握り合いー

お互いはもとに戻ったー


「もっとどおり~!」

星奈は、スキップしながら嬉しそうにお風呂のほうに向かっていくー


”入浴は見せないよー”と

星奈はいつも、お風呂の前にはもとの身体に戻るー。


「---…」

台所のほうを見る和夫。


高級そうなお寿司やスイーツの空き容器が

並んでいるー


そしてー

和夫の机のところには

カップラーメンが1個置かれているー


「----星奈が幸せなら…」

和夫は自虐的な笑みを浮かべて、

カップラーメンを食べ始めたー


それからもー

そんな日々は続いた。

星奈は和夫に甘えー

和夫のやさしさを、当たり前のものだと勘違いしてー

無理なお願いを続けたー。


都合の悪いことはすべて、和夫に押し付けて、入れ替わり、

自分は楽ばかりしていたー


もちろん、星奈は和夫のことが

嫌いなわけではない。

むしろ、和夫のことは好きだ。


けれどー

星奈は、和夫のやさしさに甘えていたー


「---今日も、お願い!」

いつものようにバイトをお願いする星奈。


「わかった」

和夫が優しく微笑んだー。


いつものように、手を握るふたりー。


和夫は目を瞑っていつものように

入れ替わることを念じるー。


そして、二人は入れ替わった。


「--よ~し!

 じゃ、がんばってね~!」


和夫になった星奈は、

にこにこしながらソファーに座ると

そのまま自分の好きなアイドルが

出演しているバラエティ番組を見始めた。


「---星奈」

星奈(和夫)が呟く。


「--なぁに~?」

テレビのほうを見ながら和夫(星奈)が言う。


「---いい、胸だな」

星奈(和夫)が真顔で、突然

星奈の胸を触り始めたー


「--!?」

和夫(星奈)が表情を歪める。


「--ちょっと!?わたしの身体で変なことしないって

 約束でしょ!?」

和夫(星奈)が怒るー。


だがー

星奈(和夫)は止まらなかったー


「--んふふふふふふ♡

 星奈の身体は今、俺のものなんだ…!」

胸を両手でわしづかみにして、揉んでいるー。


「ちょっと!やめてよ!」

和夫になった星奈が、自分を止めようとするー


しかしー


「もううんざりなんだよ!」

星奈(和夫)が声を荒げた。


「いつもいつもいつもいつも、自分だけ楽して!

 俺のことを道具みたいに扱って!」


その言葉に、和夫(星奈)が驚く-


今まで一度も怒っているのを見たことがない彼氏の

突然の怒りー


「--もう別れよう」

星奈(和夫)が言う。


「--この身体は、俺のものだ!」

星奈(和夫)はそう言うと、

そのまま家を飛び出してしまったー


「え!ちょっとまって!」

和夫(星奈)が叫ぶー


けれどー

星奈になった和夫は、立ち止まることなくー

そのままスカートをひらひらさせながらー

立ち去ってしまったー


「--ちょっと…え…うそ…

 そ、そんな…」

へなへなとその場に座り込む和夫(星奈)-


星奈のわがままぶりに

ついに、我慢の限界に達した和夫はー

入れ替わって、星奈の身体を奪ったまま

姿を消してしまったのだったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


優しい入れ替わり(?)を

書いてみました~!


不穏な空気になってしまったふたり…!

続きは近日中に書きます~!

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