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「ーーー遅かったなー?大丈夫だったか?」

男子大学生の栗山 武明(くりやま たけあき)は、

少し心配そうな表情を浮かべながら、そう言葉を口にしたー。


「ーーーあ、あぁ…大丈夫ー。ち、ちょっとー色々あってー」

武明から、心配の眼差しを向けられた同じ大学の男子・

浜田 紀夫(はまだ のりお)は、少し表情を曇らせながら

そう言葉を口にすると、

「ーぼ、僕、疲れちゃったら今日はもう寝るよー」と、

そんな言葉を口にしながら、慌てた様子で

自分の部屋へと駆け込んでいったー。


「ーーーーー?」

武明は、心配そうに紀夫の部屋を見つめるー。


二人は、同じ大学に通う親友同士ー。

小さい頃からの幼馴染で、お互いのことは良く知っているー。


そんな二人が

お互いに、実家を出て一人暮らしをしようと模索していたところ

”いっそのこと、二人で住んだ方が安くね?”と、いうことになって

現在は二人で同じアパートの部屋を借りて住んでいるー。


一人で一部屋借りるよりも、二人で借りて

家賃を半分ずつ払った方が安上がり、と、そういう判断だー。


同居を始めてからも、二人は親友同士、

何だかんだで上手くやっていて、特に問題なく

半年間を過ごして来たー。


だがーーーーー


「なんかあったのかー?」

紀夫が、深夜まで帰宅しなかったのは初めてだー。

しかも、途中で連絡をしても、

何だか、何かを誤魔化すような曖昧な返事しか返って来ずー、

結局、紀夫が帰って来たのは日付が変わってからだったー。


「ーーーーー」

武明は心配そうにしながらも

”まぁ、アイツももう大人だしなー”と、そう思いながら

詮索しないことにして、そのまま自分も寝る支度を始めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーはぁ…はぁ…はぁ…

 だ、大丈夫だったかなー…?」

部屋に駆け込んだ紀夫は、戸惑いの表情を浮かべながら

一人、そう呟くー。


そしてーー…

自分の身体を見下ろすー。


すると、そこには服の上からでも分かる、胸の膨らみがあったー。


「ーーー……ど、どうしてこんなことにー」

紀夫は戸惑いながら自分の胸を触るー。


それはー、決して作りモノではないー。

正真正銘の、胸ー。


それにーーーー


「ーーー…」

ズボンの上から、アソコのあたりを触りながら、

紀夫は表情を歪めるー。


「なんで…どうして…?」

慌てふためく紀夫ー。


”男”であることを証明する”ソレ”がないー。

どんなにどんなにズボンの上から触ってもー、

ずっとこれまでの人生ー…

ある意味では苦楽を共にしてきた”相棒”の存在は、

そこにはなかったー。


「ーーど…どうしてこんなことにー…?」


そうー

紀夫は今日”女体化”してしまったのだー。


大学帰り、バイトを終えた紀夫は

いつものように帰宅しようとしていると、突然体調が悪くなってしまい、

しばらく近くの公園のベンチで休んでいたー。


今まで感じたことのないような身体の違和感ー。

それがようやく収まった頃に、立ち上がった紀夫は表情を歪めたー。


”髪”の様子がおかしいー

いや、身体もー。


さっきまで短かったはずの髪は伸びー、

胸が膨らんでいるー。


「えーー…ど、どういうことー!?」

戸惑いながら、紀夫は自分のズボンの上から身体を触って、

顔を真っ青にしながら、トイレへと駆け込んだー。


そしてーー

鏡に移っている自分の”女体化した姿”を見て、

紀夫は思わず悲鳴を上げたー。


どうしようかと散々悩みー、

元に戻る方法はないかと必死に探しー、

それでもどうにもならず、

とにかく、この急激に伸びてしまった髪だけでも何とかしなくちゃ、と、

理髪店に駆け込んで髪を切って、

分厚いコートを着て、胸に気付かれないようにしながら、

帰宅したー。


そのため、深夜になってしまったのだー。


幸いー、紀夫も武明も、どちらかというと、中性的な雰囲気で、

二人とも周囲からは”イケメン”などと言われるような容姿ー。


女体化しても、顔立ちは”元々の自分”がベースのまま

女体化したために、何とか誤魔化すことができたー

元々”おじさん顔”だったりしたら、100パーセント顔でバレただろうけれど、

元々、中性的な顔立ちだったために、その点は助かったー。


「あ~~…でも、明日以降は流石にバレるだろうなぁ…」

女体化した紀夫はため息をつくー。


今日は隠せたー。

でも、明日以降は隠せるだろうかー。


あまり武明に心配を掛けたくないし、

”急に女になっちゃった”なんて言えば、どんな顔をさせるか分からないー。

おかしくなったと思われて、下手をすれば

家を追い出される可能性だってあるー。


色々な不安に駆られた紀夫は、

明日以降も”女体化”を隠し通そうと、心の中で固く決心して

静かに息を吐き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


「ーーーーえ」

いつもの時間に目を覚ました武明は、表情を歪めるー


一緒に住んでいる紀夫の姿はすでになく

”今日は、やることがあるから先に大学に行ってるね”と、

そんな置手紙だけが置かれていたー。


「ーーーーー」

心配そうに、その置手紙を見つめる武明ー。


やっぱり、何かあったのだろうかー。

そう思いながら、武明はいつものように大学に行く準備を終えると

自身も大学へと向かうー。


大学に到着した武明は、紀夫の姿を見つけだすと、

「お~い!ノリ!」と、手を振りながら紀夫に近付いていくー。


”女体化”してしまった紀夫はギクッとした顔をしながらも、

その場で「あーーー武明くんー」と、そう言葉を口にするー


だがーーー

その”声”を聞いて、武明は表情を歪めたー。


「ー何か、声、変じゃね?」

武明の言葉に、紀夫は困惑しながら

「ち、ちょっと、昨日から喉の調子が悪くてー」と、

そう言葉を口にするー


「ーーん~?風邪でも引いたのか?」

武明はそう言いながら、”妙に厚着”な紀夫を不満そうに見つめるー


”胸”を隠すために厚着をしているのだが、

それを知らない武明からすれば

”そんなに寒くもないのに”と、余計にその心配は膨らんでいくー。


「ーーーん、ん~~…まぁ、そんな感じかな」

明らかに不自然な感じの紀夫の声ー。


「ーーーほ、ホントに大丈夫か?」

武明は、なおも心配そうに紀夫を見つめるー。


「ーう、うんーた、大したことはないよー

 ただ、声がちょっと変なだけでー…」

女体化した紀夫は、それを隠そうと必死だー。


「ーーそ、そっかー…

 で、でも、そんな厚着してるってことは

 悪寒とかもしてるんだろー?

 あまり…無理はするなよ?」

心配そうに、言葉を口にする武明ー。


「わ、分かったー…無理はしない程度に頑張るよー」

女体化した紀夫はそれだけ言うと、

武明には女体化のことを口にせず、そのまま足早に

立ち去って行ったー。


「ーー…ーーー…大丈夫か、アイツー?」

武明は、紀夫が立ち去ったあとも心配そうに言葉を

口にすると、そのまま不安そうな表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーはぁ…ホント、これからどうしようー」

今日は武明はバイトで遅いー。


先に帰宅した”女体化した紀夫”は、

服を脱ぎながら、自分の胸が目に入って

ドキッとしてしまうー


「何なんだよこれ……ーー」

戸惑いの表情を浮かべる紀夫ー。


やっぱり、こんなこと武明には言えないー。

そう思いつつも、”この先、どうやって誤魔化し続ければー”と、

不安を覚えるー。


”ずっと風邪で声が変わってる”と、誤魔化すのは流石に無理があるだろうし、

胸もずっと隠し通せる自信はないー。

同居状態にあるとは言え、一緒にお風呂に入るわけではないから、

気を付けさえすれば”アレ”がなくなってしまったことは

隠し通せるかもしれないけれど、

”声”と”胸”が問題だー。


「ーどうにかー、どうにかできないかなー」

そんな言葉を口にしながら、女体化した紀夫は

”急に女になってしまった”などと、ネットで検索をして

対処法を探すー。


が、”現実”に向けたそんな情報はなく、

主にゲームやアニメ、小説などのそういった描写や、

”女体化”のイラストなどが検索に引っかかるだけで、

それ以上の情報を得ることはできなかったー。


「ーーーはぁ…病院行こうかなー」

紀夫は、自分の胸を再び服の上から見つめながらそう呟くー。


「急に女になるとか、絶対おかしいしー…」

心配そうに呟く紀夫ー。


自分で何かをしたならともかく、

昨日も、特に何もしておらず”いつも通り”バイトから

帰ろうとしていただけー。


その途中に調子が悪くなって、休んでいたら

女になっていたのだー。

やはり、何かの病気なのかもしれないー。


そう思いながら、”女になってしまう病気”

”性別が変わる病気”などと検索をし続けると、

ようやく”ある情報”を見つけたー。


「ーーーー…!!」


がーー


ガチャ、と、玄関の鍵が開く音がするー。


同居している武明が帰宅したのだー


「ーーやべっ!」

リビングでスマホをいじっていた紀夫は、

胸のふくらみを見られないように、慌てて自分の部屋に

駆け込むと、自分の部屋の中から

「お、おかえり~!」と、精一杯低い声を出しながら

そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


紀夫は”風邪で体調が悪いから”という理由で

大学を休み、

”病院”に行くことにしたー。


昨日、武明は紀夫のことを”風邪”だと疑っていたー。

そのため、”風邪”を理由にすれば、

こうして自然な形で病院に足を運ぶことができるー。


「ーーーーー……未だに信じられないがー……しかしー」


隣県にある病院ー、

小さい頃から紀夫が親に連れられながら

お世話になっている先生の元で、診察を受けた紀夫は、

事情を説明し、

さらには昨日、スマホで見つけた

”性別が変わる奇病”について記述されたサイトを

先生に見せたー。


小さな地域の病院を開業している逢坂(おうさか)先生は、

小さい頃から紀夫のことを知っているー。


そのため”女体化した紀夫”の話を、

”信じられない”と言いつつも、しっかりと聞いてくれたー。


「ーー私も始めて聞く病気だがー、

 しかしー…一応、論文も出ていて、実在はしているようだー。」


逢坂先生は、紀夫が見つけた”性別が変わる奇病”のことを

調べながらそう言葉を口にするー。


ネット上の都市伝説ではなく、

全世界で数十例、そういった症例が実際に医師から報告

されているのだと、逢坂先生はそう言葉を口にしたー。


「ーーー…いや、しかしー…

 身体は女性そのものだー…

 こんな変化が急激に起こるなどー…」


逢坂先生は、そう言いながらも、

不安そうにしている紀夫の方を見つめるー。


「ーせ、先生ー…僕は男に戻れるんですか?」

紀夫が不安そうに呟くー。


「ーーーーーーー」

逢坂先生は表情を歪めながら紀夫を見つめると、

ふぅ、とため息をついたー。


紀夫のことを小さい頃から知っている逢坂先生ー。

”優しく包み込んだ言葉”よりも、この子は本当のことを知りたがるー。

それは、よく理解しているー。


「ーー正直、今の時点では難しいと思うー。

 海外の症例を見る限り、元の性別に戻れた人間はいないー」


逢坂先生の言葉に、

女体化した紀夫は、心底驚いた表情を浮かべるー。


が、そんな紀夫を見て、逢坂先生は少しだけ笑うと、

「ー私も色々調べてみるよ。

 何か分かったら連絡するー。」と、そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した武明は、やはり、今日も紀夫が部屋に

籠ったままなのを心配して、

部屋の外から言葉を掛けるー。


「ーー最近、何かあったのかー?

 体調が悪いだけならいいけどー」


武明がそう言うと、

紀夫は部屋の中から返事をするー


”え?う、うんー大丈夫だよー

 ただ、声がなかなか元に戻らなくてー”


”女”の声を必死に低くしながら、

そう返事をする紀夫ー。


「ーはは、それならいんだけどさー」

武明はそう言いながら、

「ー何か悩んでるなら、いつでも相談してくれよ?」と、

それだけ言うと、そのまま紀夫の部屋の前から立ち去っていくー。


紀夫は、部屋の中でため息をつくー。


本当は風邪など引いていないー。


が、さすがにずっと同じ部屋にいれば、女体化していることに

気付かれるー。

そうなれば心配をかけてしまうかもしれないし、

場合によっては”拒否”の反応を示される可能性もあるー。


けれどー、ずっと部屋に引きこもってるのも怪しまれるー。


そう思いながら、紀夫は厚着をして、

マスクで口元を隠しながら、そのまま部屋を出るー。


「ー熱?あるのか?」

武明が心配そうに、紀夫の額に触れるー。


「ーーー!!!!」

紀夫は一瞬、女体化がバレそうな気がして

ビクッとするー。


がー、武明は「熱はないみたいだな」と、安心した様子で笑うと、

「とりあえずよかったー」と、そう言葉を口にしたー。


「ーーー!」

武明が一瞬、表情を変えるー。


「ーー?」

紀夫は、一瞬、気付かれたのかとドキッとするー。


しかし、武明はすぐに

「ーーやべっ、お風呂湧かすの忘れてた」と、そう言葉を口にすると、

「あははー…僕が心配かけてるせいだねーごめんね」と、

苦笑いしながら、紀夫は安堵の表情を浮かべたー。


お風呂のスイッチを入れるためにお風呂場に向かう武明ー。


そんな武明の後ろ姿を見つめながら、

紀夫は静かにため息をつくと、

”女体化したことを打ち明けるべきかどうか”悩みながら

暗い表情を浮かべたー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


同居中の親友が”女体化”を隠しているという

お話デス~!

一緒に住んでいると、性別が変わっちゃったのを隠すのは

やっぱり難しそうですネ~…!


続きはまた次回デス~!☆☆!

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