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天才外科医・信一郎と、ドジなナース・麗の二人は

入れ替わった状態のまま、生活を続けていたー。


入れ替わったことを隠したまま、患者を救っていく二人ー。


そんなある日、

桐生病院長の娘が入院することになり、

プライドの高い別の医師が、そのオペを担当することになったもののー?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>ドジなナースの本当の素顔②~2つの顔~

天才外科医・信一郎とドジなナース・麗ー。 入れ替わってしまった二人は、 周囲にそのことを隠しながら、この半年間何とか過ごして来たー。 表向きは信一郎(麗)がオペをしていることにしつつ、 裏では麗(信一郎)が執刀するー。 そんな日々ー。 しかし、ある日、麗(信一郎)は突然、桐生院長に呼び出されてー? ★前...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


麗(信一郎)は、数日後に控えた手術の確認をしていたー。


「ーーとりあえず、こんな感じだなー」

麗(信一郎)が、女らしく振る舞うつもり0のような

座り方で、イスに座りながらそう言うと、

信一郎(麗)は「はいっ!わかりました!」と、そう言葉を口にするー。


いつも、”手術”前には、麗(信一郎)は

信一郎(麗)に対して手術の説明をしているー。


実際に執刀するのは”麗(信一郎)”だが、

表向きは”信一郎(麗)”が執刀していることにしているー。


そのため、信一郎(麗)が、オペの説明や、

術後の報告などを行うため、”実際にやらなくても”

どんな手術をするかは、理解してもらう必要があるー。


幸いー、信一郎(麗)は意外と物分かりがよくー、

また、夜にこっそりと医師としての勉強を必死に頑張っていることもあってか、

麗(信一郎)の説明を、いつもしっかりと理解していたー。


「ーーーーところで先生ー

 そろそろ、美容院行ってくださいよ~

 髪、随分伸びてますよ~?」


不満そうに信一郎(麗)がそんな言葉を口にすると、

麗(信一郎)は「ん?あぁ~…俺、あの雰囲気苦手なんだよな」と、

髪を触りながらそう呟くー。


「ーーそ、それは慣れて下さい!」

信一郎(麗)がそう言い放つと、

麗(信一郎)は「もう、床屋に行ってバッサリ切って短くしたいんだけどな」

と、イスから立ち上がりながらそう言葉を口にするー。


「だ~め~で~す!わたし、あまり短いと落ち着かないんです!」

信一郎(麗)の言葉に、

麗(信一郎)は「分かったよー。近いうちに行く」と、

それだけ言いながら、そのまま部屋を後にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一方ー、

信一郎と同じく外科医で、

”天才外科医”である信一郎がこの病院にやってくるまでは

”外科医のエース”だったDr・間宮 新太は、

桐生病院長の娘・桐生 明日香が入院している病室へと

やってきていたー。


「ーー明日香さんのオペを担当する

 間宮と申しますー」

自信に満ち溢れた表情で、Dr間宮が自己紹介をすると、

明日香は「え?わたしの担当、噂の天才外科医じゃないの?」と、

不満そうに表情を歪めたー。


Dr間宮は少し表情を曇らせると、

「今回の手術は、私の方が実績があり、私の得意とする手術ですー。」と、

得意気な表情で言葉を口にするー。


「ーーーふ~ん」

明日香はなおも不満そうな態度を示すー。


「ー安心して下さいー。

 私の辞書に”失敗”と言う言葉はありませんー。

 明日香さんの手術は100パーセント成功します」


Dr間宮が笑みを浮かべながら言うと、

明日香も笑みを浮かべたー。


「そういうのさー、”フラグ”じゃないー?

 よく、ドラマとかで、あんたみたいにドヤ顔するドクター、

 オペを始めると、失敗して狼狽えるじゃんー?」


明日香のそんな態度に、

Dr間宮は悔しそうな表情を浮かべながらも、

「ー現実は、ドラマとは違いますからー」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーふ~~~ん…

 失敗したら、お父さんがアンタをクビにするからねー」


明日香は、なおも不遜な態度を取るー。


Dr間宮は内心で腹を立てながらも、

「ご安心をー。100パーセント成功しますー」

と、自信に満ち溢れた笑みを浮かべながら、

そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


「ーーーねぇねぇ、麗ちゃん、一緒にお昼行かない?」

同僚の女性看護師にそう言葉を掛けられた

麗(信一郎)は、時計を見つめながら

「あ、ごめんなさいー。今日はちょっと食欲がなくてー」

言葉を口にするー


「え~~~…大丈夫?体調悪いの?」

同僚の看護師のそんな言葉に

「いえ…よくあることなのでー心配しないでください」

麗(信一郎)はそう言いながら、ぺこりと頭を下げると、

休憩時間に突入すると同時に、行動を開始したー。


”ドジな笑顔”を浮かべていたその顔が、

一転して、天才外科医の眼差しになるー。


大沼 善一(おおぬま ぜんいち)ー

今日、オペをする予定の男性患者だー。

とある疾患を抱えており、その治療のために手術を行うー。

さほど、難易度の高い手術ではなく

”昼休みの間”に、手術を終えることができるー。


「ー準備は出来ているか?」

麗(信一郎)が、手術室に入ってくると、

助手の聡美と健介が頷くー。


「ーーあんたの腕なら、あっという間よー」

聡美が、麗(信一郎)に言うと、

「ーー当たり前だ」と、麗(信一郎)は

そう返しながらオペを開始するー。


「ーー既に、必要なものも全て揃えてあります」

助手の健介が言うー。


信一郎のことを昔から知る聡美とは違い、

健介は、この病院で知り合った人間だー


健介は元々、ドジな麗に片思いをしていたー。

しかしー、”入れ替わったあと”麗の様子がいつもと違うことに気付き、

心配して後を付けたところー、

”麗(信一郎)”がオペをする現場を目撃してしまったのだー。


その場で、麗(信一郎)たちに見つかりー、

真実を知った健介ー。


がー、健介はその場で「二人が元に戻れるまで、俺にも協力させてください」と

申し出て、聡美と共に助手を続けているー。


「ーーやっぱり、オペの時の先生はすごいー」

信一郎(麗)が、オペをサポートしながらそう呟くー


入れ替わった後に、こっそり勉強を続けている彼女には分かるー。


”天才外科医・信一郎”が、どれほどすさまじい腕前の持ち主なのか、

前よりもよく分かるー。


「ーー普段の俺は、すごくないってことか?」

麗(信一郎)はオペを進めながらそう言うと、

信一郎(麗)は「だって、意地悪するんですもんー」と、

不満そうに頬を膨らませたー。


「ーふん。お前がドジだからだ」

麗(信一郎)が少しだけ笑いながらそう言うと、

助手の聡美は、少しだけ複雑そうにそんな二人のやり取りを見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻ー。


「ーー”芸術”とまで言われた私のオペを見せてやるー」

Dr間宮は、桐生病院長の娘・明日香の手術を開始していたー。


信一郎は、”アイツには難易度が高すぎる”と言っていたものの、

”クビがかかっているとなれば、アイツもちゃんとこなすだろう”と、

そう考えていたー。


しかしーー


「ーーーーーー!」

明日香の身体から血が噴き出すー。


「ーくそっ!予想以上に出血が多い」

Dr間宮が表情を歪めるー。


慌てた手つきで、汗を流しながら

オペを進めていくー。


がーー


「先生!心拍低下ー!」

助手がそう叫ぶー


「なんだと!?」

裏返った声でDr間宮が叫ぶー。


”「そういうのさー、”フラグ”じゃないー?

 よく、ドラマとかで、あんたみたいにドヤ顔するドクター、

 オペを始めると、失敗して狼狽えるじゃんー?」”


明日香の言葉を思い出すDr間宮ー


「ー違う!これはドラマじゃないー!

 私は、私は失敗などしない!!!」


狼狽えながら、そう叫ぶDr間宮ー


「くそっ!!くそっ!!くそっ!!!」

血走った目でDr間宮はそう声を上げると、

「ー先生!このままではー」と、叫んだ助手に対して

「うるさい!黙ってろ!」と、そう叫んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


別室で行われている麗(信一郎)のオペは

順調に進み、終盤に差し掛かっていたー。


がーーー


「ねぇー。

 間宮先生のオペ、ヤバいみたいー」


オペ前に、麗(信一郎)から

”あっちに何かあったら報告してくれ”と頼まれていた

聡美はそう言葉を口にするー。


「ーーーチッーやっぱりしくじったかー」

オペを進めながら、そう言葉を口にする麗(信一郎)ー


「ー柿崎(かきざき)先生か、住野(すみの)先生に

 連絡をー」

麗(信一郎)がそう言葉を口にするー。


”柿崎”先生はベテランの医師ー。

飛びぬけた才能はないが、堅実なオペをする男で、

有事にも対応できるー。


”住野”先生は、若手の医師ー。

向上心が強く、知識は非常に豊富だー。

院長の娘の危機となれば、自分の功績にするために

喜んで駆け付けるだろうー。


がーーー


「ーー無理ー。

 柿崎先生は学会に出席中で、

 住野先生は今、別の急患のオペに入ってるー」


聡美がそう言うと、

信一郎(麗)は「せ、先生ー…」と不安そうに呟くー。


「ーー間宮じゃ対処できそうにないか?」

麗(信一郎)がオペを続けながらそう言うと、

聡美は、Dr間宮のオペ室の様子をモニターで確認しながら

言葉を口にするー


「無理ねー。このままじゃ死ぬわー。

 一刻を争う状態ー」


聡美がそう言うと、麗(信一郎)は舌打ちをすると、

突然、オペを中断して、信一郎(麗)のほうを見つめたー。


「ーこっちはほぼ終わってるー

 あとは簡単な作業だー

 お前がやれ」

とー。


「ーーえ、えぇっ!?わ、わたしがー!?」

信一郎(麗)が、狼狽えながら言うと、

麗(信一郎)は言葉を口にしたー。


「俺の身体は医師免許を持ってるー

 それに、お前はーー

 毎晩、必死に勉強しているー。

 知識は十分のはずだー」


麗(信一郎)の言葉に、

「べ、勉強してるの知ってたんですかー?」と、

そう言葉を口にするー。


「ーあぁ。大丈夫だ。聡美と健介くんもいるー。

 二人のサポートを借りながらなら、できる」


麗(信一郎)がそう言うと、オペ室の外に向かおうとするー。


「ーちょ!ちょっと!待ちなさいー!

 あんたがあっちに行ったら、その身体でオペしてることが

 バレるでしょ!?」


聡美がそう口を挟むー。


しかし、麗(信一郎)は言ったー。


「ー患者を見殺しにするのか?」

とー。


「ーーで、でもーー

 そ、その身体は麗ちゃんのものよ!?

 医師免許なしでオペをしたら、罪を被るのは麗ちゃんでしょ!?」


聡美が食い下がるー。


その言葉に、麗(信一郎)はわずかに躊躇したー。


がーーー


「ーー行ってくださいー」

その”躊躇”を振り払ったのは、信一郎(麗)だったー。


「目の前に、救える命があるならーーー

 行ってくださいー。

 わたしのことは、気にしないでいいですからー」


信一郎(麗)の真っすぐな瞳ー。


その目を見て、麗(信一郎)は少しだけ笑うと、

「ーお前はドジだがー、勇気はあるー」と、それだけ呟くと、

そのまま、院長の娘のオペが行われている部屋に向かったー。


「ーーーー」

ゴクリ、と緊張した様子で信一郎(麗)は、オペの仕上げを始めるー。


”大丈夫ー…きっと、大丈夫ー”


そう、思いながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあぁ、くそっーーー

 くそくそくそくそっ…!」

ギリギリと歯軋りをしながら、Dr間宮は

表情を歪めるー。


桐生病院長の娘・明日香の出血を止めることができず、

手術室には、明日香の危機を知らせる音が鳴り響いているー。


「ーー先生!どうにかしないと!」

その言葉に、Dr間宮は「ーー私を誰だと思ってる!?黙ってろ!」と、

声を荒げるー。


ーが、その時だったー。


手術室の扉が開き、麗(信一郎)が中に入って来るー。


「ーーー…なんだお前は!」

Dr間宮が声を荒げるー。


「ーーオペの最中だぞ!邪魔をするつもりか!」

Dr間宮が、なおも麗(信一郎)に向かってそう叫ぶと、

麗(信一郎)は、”麗”として振る舞おうとしているのか、

にこっと笑いながら、言い放ったー。


「ーー邪魔なのは間宮先生ですー。どいてください」

とー。


周囲の助手たちもどよめくー。


「ーーな、な、なんだとっ!?

 お前ー…確か、いつもドジばっかしてる

 無能ナースじゃないか!

 お前ごときが、この私にーー」


Dr間宮が不満そうにそう叫ぶと、

麗(信一郎)は言葉を続けたー。


「ーーどいてくださいー

 じゃないと、院長の娘さん、死にますよ?


 そうしたらー…あれだけ大きなことを言って

 手術に失敗した間宮先生は大恥をかきますし、

 クビになると思いますが」


麗(信一郎)の脅すような言葉に、

Dr間宮は「なんだと…」と、なおも反論しようとするー。


「ーー…小娘は黙ってろ!

 私はまだ失敗してないー…!」

Dr間宮はそう言うと、周囲の助手に向かって

「おい!手術を再開するぞ」と、そう言葉を口にしたー。


しかしーーー


麗(信一郎)は、Dr間宮の腕を掴んだー。


「ーーーいいから、交代してくださいー。

 間宮先生じゃ、無理ですー」


「ーーー黙れ!大体お前は医師ですらないだろ!

 いい加減にしないとー」

Dr間宮が声を荒げるー


がーーー


「ーーいいから早くどけって言ってるんだよー。

 じゃないと、桐生明日香は死ぬぞ!」


麗(信一郎)が突然声を荒げたことに、

Dr間宮は驚くー。


「ーーーな…なんだその口のーーー」


「ーー患者を殺す気か!とっととどけ!!!」

麗(信一郎)の怒鳴られて、Dr間宮は「ひぃっ!?」と、

声を上げて、そのまま尻餅をつくー。


「ーーーー」

麗(信一郎)はすぅっと息を吸うとー、

「ーとにかく、今は患者を救うことを優先しましょうー。

 わたしの指示に従って下さいー。お願いします」と、

助手たちに言い放つと、そのまま物凄い速度で手術を行っていくー。


明日香の出血は止まりー、

あっという間にバイタルは安定ー、

神業とも言えるスピードでオペが進むー


「ーーな、な、なーーー

 お、お、お前は…いったいー!?」


Dr間宮が尻餅をついたままそう言葉を口にすると、

麗(信一郎)は、ふぅ、とため息をつくと、

「手術完了ー」と、そう呟いたー。


「ーーーーお、お疲れ様でしたー…」

助手たちも唖然とした表情を浮かべるー。


麗(信一郎)は、そのまま立ち去ろうとすると、

立ち止まって、Dr間宮の方を見つめたー。


「ーーこのオペは、間宮先生が行ったことに

 して頂いて結構ですー。


 ですが、わたしのことは黙っていて下さいー。


 それが、お互いのためですー。

 

 ”失敗しそうになって、小娘にオペを代わって貰ったー”

 なんてー…、知られたくないですよね?」


麗(信一郎)がそう言葉を口にすると、

Dr間宮はすっかり弱弱しい表情で、

「わ、わ、わ、わかったー」と、それだけ言葉を口にしたー。


麗(信一郎)はその返事を確認すると、

そのままオペ室から立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


慌てて、元々手術をしていた

男性患者・大沼 善一のオペ室に戻ると、

信一郎(麗)がへなへなと座り込んでいたー。


一瞬、”失敗”したのではないかと感じた麗(信一郎)ー


がーーー

麗(信一郎)が入ってきたことに気付くと、

信一郎(麗)は、放心状態のまま微笑んだー


「ーー先生ー、わたし、ちゃんとできました」

と、そう言葉を口にしながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


「ーーやるじゃんー…ありがとうー」

桐生病院長の娘・明日香の意識が回復し、

Dr間宮は明日香からお礼を言われていたー


「ーーはははーだから言ったはずですよー。

 私の辞書に失敗の文字はない、とー」

得意気に笑うDr間宮ー。


明日香に対して、退院までの道筋を説明すると、

「院長もきっと喜びますよ」と、そう言葉を口にしながら、

立ち去っていくー


”ーーーーー…あの看護師の女ー……いったいー?”

Dr間宮は、オペ室に乱入して明日香を救った麗(信一郎)のことを

考えながら、険しい表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーアイツは、保身のために何も言わないはずだー。

 とりあえずは、問題ないだろうー」


麗(信一郎)がそう言葉を口にすると、

信一郎(麗)は安堵の表情を浮かべるー。


「ーそれにしても、よく頑張ったなー。」


麗(信一郎)は少しだけ笑うー。


信一郎の身体は”医師免許”を持っているー

オペのことも”身体”がある程度覚えているー。


麗自身が勉強して、ちゃんと知識を身に着ければー、

”信一郎(麗)”は、本物の天才外科医になれるー。


「ーーえへへーもっと褒めて下さいー」

嬉しそうに笑う信一郎(麗)ー


「調子のいいやつめー」

麗(信一郎)は、そう言葉を口にしながら、

面倒臭そうに目を逸らすー。


いつものようなやり取りをしながら、

今日もオペをこなしていく二人ー。


しかしー、

二人は、まだ知らないー。

”大きな試練”が、迫りつつあることにー。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


実際に半年もバレずにオペをしていくなんて

無理な気もしますケド、

それは、二人がとっても上手くやっているということで…★笑


物語は終盤へ…★!

次回も楽しんでくださいネ~!


今日もありがとうございました~!☆

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