＜寄生＞目撃してしまった彼氏の日記⑦4/3-4/9（完） (Pixiv Fanbox)

彼はー

”目撃”してしまったー。

彼女が”寄生”される瞬間をー。

これは、彼女が寄生された瞬間を目撃した

彼氏の戸惑いの日記…

（第7週）

☆前回はこちら↓☆

＜寄生＞目撃してしまった彼氏の日記⑥3/27-4/2

彼はー ”目撃”してしまったー。 彼女が”寄生”される瞬間をー。 これは、彼女が寄生された瞬間を目撃した 彼氏の戸惑いの日記… （第6週） ☆前回はこちら↓☆ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3月27日（水曜日） 誰が寄生されていて、 誰が寄生されていないのかー。 それすらも、分からない状態ー 寄生虫に寄生さ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4月3日（水曜日）

春休み明けに、俺は”寄生”の決定的な証拠を手に入れて、

勝負に出るー。

先生、親、警察ー…

誰でもいいー。

とにかく、身近な人間に寄生が広がっていることを、

大人たちに伝えないといけないー。

俺一人でこうして悩んでいても、もはや事態の改善は難しいー。

悔しいけれど、俺はヒーローでもなんでもない。

ただの学生だー。

彼女の志穂も、クラスメイトの虫好き・水谷も、

隣のクラスの水無月さんも、みんな寄生されているー。

恐らく、これで全部じゃない。

この広がり方から考えるに”まだ”寄生されている人間は他にもいるー。

もう、俺一人でどうにかできる段階じゃないー。

4月4日（木曜日）

土日の都合上、学校が始まるのは来週からだー。

来週になったら、寄生されていると確実に分かっている三人のうちの

誰かから、”寄生の証拠”を手に入れて見せるー…。

……本当はそんなことしたくないけれど、

多少手荒なことをしてでも、三人のうちの誰かから、

寄生の証拠を手に入れないといけないー。

そういえば、今日は妹の麻友に

どうして俺を避けるのか、思い切ってかなりしつこく聞いてみたー。

最後には「しつこいな！」と、怒られてしまったものの、

麻友はこう言っていたー。

”自分のせいでこんなことになってるのに”

ーと。

俺、何かしたかー？

ーーまぁ、ただー

麻友の反応を聞く限り、麻友の件は寄生虫とは関係ない気がするー。

寄生されていないならいないで、その方がいいに決まってるからなー。

4月5日（金曜日）

勝負は月曜日ー。

水谷には悪いが、俺は寄生の証拠を掴むために、

クラスメイトの虫好き・水谷をとっ捕まえて、

寄生の件について吐かせることに決めたー。

志穂と水無月さんが相手だと

”女”を武器に使われる可能性があるー。

俺が追いつめた時に「きゃ～～～～～～～～～！」とか

騒がれたりすると、俺が変態扱いされるリスクがあるー。

だから、男である水谷を狙うことにしたー。

…って、この書き方をすると何か違う意味で

ヤバいオーラを感じるなー。

4月6日（土曜日）

ボイスレコーダーにスマホのカメラー…

水谷から寄生虫に寄生されているという証拠を

手に入れるための道具は揃ったー。

寄生されている本人から”寄生”のことを

自白させる…というのでも、もちろんいいのだが、

できれば”もうちょっと”確固たる証拠が欲しいー。

志穂が寄生された時のように

”寄生虫そのものが人間から出てきている状態”のようなものを

撮影することができればー、

先生も親も、警察も信じてくれるかもしれないー。

4月7日（日曜日）

考え事をしすぎて、夕方までぐっすり寝てしまっていたー。

寝すぎて頭痛がする中、

ふと俺はあることを思うー。

俺が知っているだけでも三人ー

既にそれだけ寄生が広がっているということは、

もしかすると、”それ以上に”寄生が広がっている可能性も

十分に考えられるー。

考えたくはないけれど、

既に”正気”の人間の方が少なかったりー……

ーーーなんてことは流石にないよな？

ないと思いたい。

けれど、ちょっと不安を感じてしまうー。

4月8日（月曜日）

いよいよ、このあと水谷を捕まえて、

寄生の証拠を吐かせようと思うー。

水谷が寄生されている確固たる証拠を掴めば、

俺の話を大人たちも信じてくれるはずー。

とにかく、志穂を救い出すためにはこうするしかないー。

志穂はーー

今日も俺のことを露骨に敵視していたー。

もう、寄生されていることを隠そうともしない志穂ー。

虫嫌いだった志穂が、

教室に入ってきた虫を平気で手で掴んで

「かわいいよね～」なんて、他のクラスメイトに言っている姿も見たー。

見た目は志穂でも、記憶も志穂でもー、

アイツは志穂じゃないー。

待ってろ志穂ー。

必ず俺が、助けるからー。

4月9日（火曜日）

昨日、水谷のやつは、あっさりと全てを自白しー、

水谷の耳から”寄生虫本体が出て来る”場面を撮影することにも成功したー。

これから俺は、この動画を警察に持って行って相談ー、

そのあとに先生や親にも相談しようと思うー。

ただーー

どうしてアイツがそんなにあっさりと、

寄生のことを口にしたのかは分からないー。

何か、俺が見落としている大きな罠が

あったりしたらーーー…？

いや、考えても仕方ないー。

考えすぎて頭痛も酷くなってるし、

早いところ警察にこれを持っていｋーーー

（字はここで途切れている）

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」

”寄生虫の記録”を、他の寄生虫に共有するために残していた

志穂たちの隣のクラスの女子生徒・

水無月　凛は笑みを浮かべながら

その場にやってきていたー。

「ーーーはぁーーー

　お前がちゃんと最初から”そうしていれば”ー、

　こんな風に我々が動く必要もなかったのにー」

凛は、”凛”としてではなく、

凛を支配している寄生虫が、本性を露わにしながら

そう言葉を口にするー。

「ーーホント、手が焼けるよね」

日記を書いていた久志の彼女・志穂も

その場に姿を現して、うんざりした様子で言葉を口にするー。

「ーーーへへへー

　その方が面白いからさー

　お前たちが必死こいて、人間たちを阻止しようとする姿、

　最高だったぜー？」

志穂と凛の前に姿を現した男が、そう言いながら笑うー。

「ーーー相変わらず不愉快なやつだー。

　大体、せっかく人間の身体を手に入れたのだから、

　こうして完全に支配すればいいものを」

凛が自分の胸を触りながら言うと、

男は笑ったー

「ははは、いやだねー面倒臭いー

　宿主の意識を残しておいた方が

　普段はこの身体の中で寝てられるし、その方が楽じゃないか」

そう言い放つ男ー。

そんな男に対して、志穂は言葉を口にしたー。

「ーまぁいいやー。

　これで、”わたしたち”またカップルになれるねー」

志穂がニヤニヤしながら言うー。

「ーへへ　おいおい宿主同士が付き合ってたからって

　俺はお前には興味はないからなー？」

男はそう言い放つー。

その場に姿を現した男はー

日記を書いていた久志自身ーー。

久志はー、元々”とっくに”寄生虫に寄生されていたー。

しかし、久志に寄生している寄生虫は変わり者で、

久志の自我を残したまま、普段は久志の身体の中で眠っていて、

時々久志を支配しては遊んでいたー。

妹の麻友が久志を避けていたのはそのためー。

寄生虫に乗っ取られた久志に、麻友は酷い目に遭わされたことがあり、

それから兄を避けていたのだー。

そしてー、久志が時々”寝落ち”していたと思っていたのは

寝落ちではなく、寄生虫に支配されている間の意識が飛んでいたためー。

学校で”そろそろいい加減にしろ”と、トイレで声を掛けられたのは

久志ではなく、久志の中にいる寄生虫に

他の寄生された生徒が伝達していたためー。

そして今日ー

久志は9日の日記を書いている最中に完全に乗っ取られてしまったのだー。

「まぁいいやー

　俺もコイツを完全に支配したから、これで文句はないだろ？

　俺は適当にやるからよー」

久志がそう言いながら、その場から立ち去っていくー。

「ーー相変わらず勝手なやつだー」

凛と志穂は、そんな不満を口にしながらも少しだけ笑うー

「ーまぁいいーこれで”寄生”を目撃した人間は消えたー。

　我々はこれからも、じっくりと人間どもを支配していくことにしようー」

闇は、ジワジワと広がり続けるー。

今までも、

そしてー、

これからもー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした～！☆

日記を書いていた久志くんはとっくに寄生されていたので、

最初から勝ち目のない戦いだったのデス…！

このあともジワジワと寄生は広がっていきそうですネ～！

ちなみに妹の麻友は、今のところは特に寄生は

されていない設定デス～！

お読み下さりありがとうございました～～～！

※毎週火曜日の更新（コンパクト枠）とは？

（いつもと同じ説明デス↓　既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス！！）

毎週火曜日（以前は土曜日でしたが、また火曜日に戻りました！）は、

私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、

本来更新は難しいのですが

皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日

少しずつ執筆して、火曜日にも、作品をお届けしています！

そのため、いつもより少し文章量が少ないため

毎週火曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります！

（※火曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします！

　　途中から上がったりはしませんので、安心してください