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奥手で、引っ込み思案な加恋は、

彼氏の奈津雄から”つまらない”と思われていないかどうか、

いつもいつも、気にしていたー。


しかし、”自分を変えたい”とは思いつつも、

なかなかそう簡単に”変わる”ことはできず、

時ばかりが流れていくー。


そんな中、加恋は

”人を操ることができる呪文”を、有人の真紀から紹介されるー


それを”自分自身”に使えば加恋は変われるのではないか、とー。


そして、加恋は

”自分で自分を洗脳”するという行為に及ぶのだったー…。


☆前回はこちら↓☆

<MC>己を操る①~変わりたい~

野々宮 加恋(ののみや かれん)は、今日も悩んでいたー。 彼女には、彼氏がいるー。 その彼氏、同じ学部の新崎 奈津雄(しんざき なつお)は とても優しい性格の男子大学生で、 加恋からすれば、”初めての彼氏”にあたる人物だ。 一方、奈津雄の方は過去に付き合ったことのある彼女もいるものの、 大学入学時点で既...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


加恋は、みるみる自分に自信をつけていったー。


今までの加恋なら、恥ずかしがって絶対にしなかったであろう

おしゃれまで、自信満々にするようになり、

その変化に周囲は驚くー。


「ーーだ、大丈夫ー?

 最近なんだか、無理してるように見えるけどー…」

友人の泰恵が、戸惑った様子で加恋を見つめるー


「あはは、大丈夫大丈夫ー。

 わたし、ずっと”変わりたい”って、泰恵ちゃんに言ってたでしょ?

 その夢が叶っただけだから、無理なんてしてないよ!」


加恋が嬉しそうに微笑むー。


しかしーー…

大胆な生足の露出に、肩を見せる服装ー

とても、加恋が”無理をしていない”とは思えないー。


「ーー…加恋…そういう格好、

 恥ずかしがってたじゃんー…


 ”こ、こんなのわたしには、絶対に似合わないし、無理だよー”

 ってー」


泰恵が不安そうにそう言葉を口にするー。

加恋本人が確かにこれまではそんな感じのことを言っていたのだー。


それも、一度ではない。何度も、だー。


それが、急にこの変わりようー。

彼氏である奈津雄のために”無理をしているのではないか”と、

やはり、思わずにはいられなかったー。


「新崎くんは、加恋のことが好きだって言ってくれてるんだし、

 そんな、無理しなくても大丈夫だってー」

泰恵が心底心配そうにそう言葉にすると、

加恋は「ーー”バカ”だからー」と、あざ笑うように言葉を口にしたー


「ーーえ?」

泰恵は少し驚いたような表情を浮かべるー。


加恋の口から”バカ”という単語が出て来るのが、少し意外だったー。

それに、一瞬、”自分”か、”奈津雄”のことを馬鹿だと言っているのかと思い、

困惑したー。


「ーーだって、前のわたし、こんな可愛いのを恥ずかしがって

 着なかったんだよー?

 バカすぎでしょ」

加恋は心底軽蔑するような笑みを浮かべながら、

「ーほら、こんなに可愛いのにー。

 さっきだって、男子がわたしのほう見てたよ?」

と、自信満々な表情で、自分の可愛さを自慢し始める加恋ー


「ーーね…ねぇ…大丈夫?」

泰恵は困惑しながら、加恋の方を見つめるー。


「ー大丈夫に決まってるじゃんー。

 なりたいわたしになれたんだし!

 あんな根暗でつまんない女にはもう戻りたくないしー」


加恋は、そう言い放つと

「ーあ、そうだー泰恵ちゃんー

 昔のわたしのことは、もう言わないでねー?

 昔のわたしを思い出すと、なんかすっごくイライラするから」と、

そんな言葉を口にするー


「ーー…か、加恋ー…」

呆然とする泰恵ー。


加恋は嬉しそうに笑いながら、

「あ~、もっと早くこうすればよかった!」と、嬉しそうに呟きながら

立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあのさー

 加恋…」


昼休みー

彼氏の奈津雄と昼食を食べていると、

奈津雄は申し訳なさそうに加恋の方を見つめるー。


「ー最近、何だか無理してるみたいだけどー…

 俺のために、そんな気を使わなくていいからなー?」


奈津雄の言葉に、加恋は少し不思議そうに首を傾げるー


「あぁ、いや、加恋の友達から聞いたんだけどさー…

 その…そういう格好したり、妙におしゃれを頑張ったりしてるのー…

 俺のためなんだろー?」


奈津雄が心底申し訳なさそうに言葉を口にするー。


加恋の様子がおかしいことを見かねた友人の泰恵が、

加恋の彼氏である奈津雄に相談したのだー。


しかし、そんな奈津雄の言葉に、

加恋は「ーーふふーわたし、可愛くなったでしょ?」と、

笑みを浮かべながら言うー。


がー、奈津雄は少しだけ表情を曇らせながら

「も、もちろん今の加恋も可愛いよー

 でも…そのー…俺はーーー……

 ”いつもの加恋”が好きで告白したんだしー…

 そんな、無理しなくていいよー」

と、そう言葉を口にしたー。


奈津雄が、奥手で大人しい加恋に惹かれー、

告白するにまで至ったのには理由があったー。


奈津雄はこれまでに何人か彼女がいたことがあるものの、

どの彼女も、奈津雄を振り回したり、

浮気をしたりで、散々な目に遭って来たー。


そんな状況が続き、女子に嫌気が差してしまった奈津雄にとってー、

大人しくて穏やかな加恋こそー、

一緒にいて落ち着く存在だったし、心から”好き”と言えたー。


が、最近の加恋はーーー…


「ーーあはは!でも、”今のわたし”の方が好きでしょ?」

加恋が笑いながら言うー。


「ーーー…」

奈津雄は表情を曇らせるー


「ーうーー…ま、まぁ…今の加恋も可愛いけどさー」

奈津雄は少し戸惑いながらそう言うと、

加恋は不満そうに「ーなに?”バカなわたし”の方が好きだったの?」と、

そう言葉を口にするー


「ば…バカって…?」

その言葉に困惑する奈津雄ー。


「ーーーえ?この間までのわたしー

 バカだったでしょ?

 奈津雄みたいな素敵な彼氏がいるのに、

 恥ずかしがったり、遠慮したりばかりいてー。


 でも、今のわたしは違うー。

 ちゃんと、奈津雄と釣り合う彼女になったもん」


加恋のそんな言葉に、奈津雄はさらに戸惑いの表情を浮かべるー。


「ーーい…いやいやいや、加恋ー

 自分のこと、そんな風に言っちゃだめだよー。

 

 俺、この間までの加恋のことも、

 好きだったからねー?」


奈津雄が釘を刺すようにそう言葉を口にするー。


なんだか、居心地が悪いー。

”落ち着かない”感じがするー。


そんなことを思いながら、加恋の方を見つめるー。


正直、奈津雄からすれば

”この間までの加恋”の方が好きだったし、

一緒にいて安心できたー。


確かに、加恋がいつも”嫌われたりしないかな?”と

不安がっていたこともちゃんと理解しているー。

奈津雄も、それなりに”そんなことは絶対にない”と、

加恋に伝え続けて来たー…、つもりだったー…。


が、今の加恋はなんだかおかしな方向に向かっているー。


「ーーーえへへー奈津雄は優しいねー

 でも、遠慮しなくていいよ?

 わたしだって、この前までのわたし、馬鹿みたいだって思うしー

 今はこうして、変われたんだからねー」


加恋は得意気な表情でそう言い放つー。


「ーー…バカなんて言わないよー。

 好きじゃなきゃ、告白したりしないし、付き合ったりしないー」

奈津雄が悲しそうにそう言うと、

加恋は「も~…今のわたしの方が好きって言ってよ」と、

少し不愉快そうに表情を曇らせたー。


「ーも、もちろん今の加恋も好きだよー

 ーーけど!今までの加恋のことを嫌いだなんて、

 そんな風には言えないー」


奈津雄は、困惑しながらそう言葉を吐き出すー。


「ーーー…ーーー」

加恋は露骨に不機嫌になると、

奈津雄は「ごめんなー…俺のせいで無理させちゃってるんだよなー?」と、

悲しそうな表情を浮かべながら、加恋の方を見つめるー。


そんな”奈津雄の悲しそうな表情”に、加恋も思う所があったのか、

「ーーあ…ううんーわたしこそごめんー」と、

不機嫌そうな態度を振り払うようにして笑うと、

「ーーとにかくー、わたし、奈津雄のために頑張るからー!」と、

そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した加恋は、”さらに”

真紀から教わった”洗脳術”を、自分に対して施していくー


鏡を見つめながら

「お前はかわいいー」

「お前はかわいいー」

「お前は誰よりもかわいいー」と、

そう言葉を口にするー。


そしてー、今日、奈津雄との会話で

少なからずショックを受けてしまった加恋は

「こんな弱いわたしじゃだめー」と、一人で呟くと、

鏡に映る自分を見つめながら、さらに言葉を口にするー


「ーお前は、誰の言葉も気にしないー」

「ーお前は、強い心の持ち主ー」


そう言葉を口にするたびに、加恋の目は赤く光りー、

加恋がピクッと震えるー。


「ーーそうよー…わたしは、誰よりもー可愛いのよー…」

ニヤリと笑みを浮かべる加恋ー。


ただー、

自分を変えたかったー。

少しでも、強い自分になりたい、と、そう思ったー。


けれど、今やその想いはゆがみー、

本来の加恋の想いとは、違う方向に進んでしまっていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


「ーえへへー…ホントに~?やったぁ~」

加恋が、大学内で男子と一緒に歩いているー。


ここのところ、”急におしゃれになった加恋”に

興味を示す男子は、それなりにいたー。

元々加恋は、”かわいい”部類だったー。


しかし、奥手な性格や、自分に自信のない感じから、

それがあまり目立たない存在だったー。


けれどー、今の加恋は違うー。

男受けしそうな格好で、大学内を歩きー、

明るく積極的になった加恋に惹かれる男子は

急激に増えていたー


「ーー今の野々宮さんの方が、前の野々宮さんより

 何倍も、いいや100倍いいよ!」


同じ大学に通う男子・功(いさお)が、

顔を赤らめながらそう呟くー。


「ーーふふふ そうだよね~!

 前のわたし、馬鹿みたいだったし!」

加恋が得意気な表情で言うと、

「ー功くんみたいなイケメンとも、こうして仲良くできてるし!

 いいことばっかり!」と、

自分が可愛くなったことに、喜びを感じる加恋ー


「はははー…だったら、俺たち付き合っちゃう?」

功がニヤニヤしながら言うー。


功は、”彼氏の奈津雄”よりもイケメンー…

少なくとも、加恋にはそう見えたー


「え~?わたし、彼氏いるんだけど~?」

加恋が笑いながら言うと、

功は「でも、その彼氏ー、今の野々宮さんの魅力に気付かないんだろ?」と、

そう言葉を口にすると、

加恋は頬を膨らませながら「そうなの」と、不機嫌そうに呟くー。


「ーーははは、じゃあ~もしも別れたら考えておいて」

功が冗談っぽく言葉を口にするー。


功は”軽い性格の男子”だが、本気で加恋を奪うつもりはなかったー。

あくまでも”冗談半分”の遊びだー。


がーーー…

加恋は、奈津雄に対して”不快な感情”を次第に抱き始めていたー


後日ー


「ーーーあれー… 

 ねぇねぇ、スマホに何で”バカなわたし”の写真、ついてるのー?」

不満そうにそう呟く加恋ー。


「ーーえ?」

奈津雄は戸惑うー。

スマホのカバーの中に、”加恋”との小さな写真を大事そうに

しまってある奈津雄ー。


それを見た加恋が不満そうにそう言葉を口にしたのだー。


「ーーこんな根暗みたいなわたしより、今のわたしの方がいいでしょ?」

加恋はそう言うと、勝手に奈津雄のスマホカバーのポケットから

”以前の加恋”と一緒に写っている写真を、取り上げると

その場でそれを破り捨てたー


「な、な、何をするんだよ?!」

奈津雄が戸惑うー


すると、加恋は微笑みながら言葉を口にしたー


「ーふふー、そんなに驚かないでよー

 魅力的なわたしが、一緒に新しい写真、撮ってあげるからー」


ますます派手になった加恋のそんな言葉に、

奈津雄は「ーーい、いいよー…」と、戸惑いながら言葉を口にすると、

加恋はムッとした様子で、

「ーわたしが写真、一緒に撮ってあげるって言ってるんだよ?」と、

高圧的な態度を見せ始めるー。


「ーー…か、加恋ー…」

奈津雄は戸惑いをもはや隠すこともできなかったー。


「ーー大体、こんなに可愛くなったわたしが

 まだ奈津雄と”付き合ってあげてる”んだからー、

 感謝してほしいぐらいなんだけど」


加恋の言葉に、奈津雄は「ど…どういうことだよ…?」と、

戸惑うー。


「ーわたし、可愛くなったから

 他の子にもアプローチされてるの!

 ふふー すごいでしょ?


 でもね、わたしには奈津雄がいるから、

 ちゃ~んと、他の男は振ってるの!偉いでしょ?」


奈津雄は、そんな加恋を前に、

「ーー…あ、あのさー…加恋ー」と、気まずそうに言葉を口にすると、

ひと思いにそのまま続けたー


「ー俺、最近の加恋、何だか嫌だなー…

 どうしちゃったんだよー?」


とー。


「ーーーは?」

加恋の表情から笑顔が消えるー。


奈津雄は、以前の”自然な加恋”が好きだったこと、

最近の加恋は正直”性格が悪い”と思っていること、

加恋の友達の泰恵や真紀も戸惑っていることー、

そんなことを伝えるー。


その上で「無理はしなくていいんだー。本当にー」と、

元の加恋に戻って欲しいとお願いしたー


がーーー


”「ーお前は、誰の言葉も気にしないー」

「ーお前は、強い心の持ち主ー」”


そうー、自分自身を洗脳してしまっていた加恋は、

もはや他人の言葉を聞き入れない”頑固”な性格に

変わってしまっていたー。


まったく奈津雄の言葉を気にすることも、ショックを受けることもなく

”強い心”でそれをはねのける加恋ー


「ーーーせっかく”付き合ってあげてた”のにー

 …調子に乗らないで。すっごく不愉快ー」

加恋は険しい表情でそう言い放つと、

そのまま昼食も放棄して立ち去ってしまうー


「か、加恋ー…」

あまりにも変わってしまった加恋を前に、

奈津雄は困惑しながら、只々、戸惑いの表情を浮かべることしかできなかったー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回の予定デス~!☆


すっかり感じの悪い子になってしまった加恋ちゃん…!

どうなってしまうのか、ぜひ見届けて下さいネ~!


明日は「勇者と魔王の屈辱的な日々」の最終回デス~!

(単純に順番通りに書いていくとそっちが先だったのですが、

 昨日も入れ替わりだったので、同ジャンルが連続しないように

 この順番にしています~!

 たまに、どうにもならない時もあって連続することもありますが、

 なるべく避けられるときは避けるようにしています~!)


今日もありがとうございました~~!

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