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梅雨の季節も進む中、

美桜がいじめを受けている現場を偶然目撃してしまった

翔太(綾)ー。


なんとか、美桜を助ける方法はないかとあれこれ考えるものの、

翔太と綾の入れ替わりは続いている上に、

そもそも通っている学校が違うために、ずっと様子を見守ることもできず、

有効的な手段が浮かばないまま、時間だけが過ぎていくー。


が、そんなある日、クラスメイトの敷島郡司が、

思わぬ助っ人を連れてきてー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㉚~目撃~

1学期も進み、梅雨の季節へと突入したー。 翔太(綾)は、クラスメイトで美術部の仲間でもある 倉守詩音の問題をー、 綾(翔太)は、カードゲーム部の新入部員からの偏見から生じた トラブルをそれぞれ解決しながら、 日常を過ごしていくー。 しかし、梅雨空の中、また”あるトラブル”に 2人は直面しようとしていたー…。 ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


遠藤 翔太(えんどう しょうた)

C組生徒。大人しく、奥手な性格の持ち主。綾と入れ替わってしまう。


星村 綾(ほしむら あや)

C組生徒。可愛らしい雰囲気に、明るい性格の持ち主。翔太と入れ替わってしまう。


神田 哲真(かんだ てつま)

C組生徒。翔太の中学時代からの友人。女子は苦手。


星村 美桜(ほしむら みお)

綾の妹。今年から高校生になり、高校に通っている。


敷島 郡司(しきしま ぐんじ)

C組生徒。いつも含みのある言動が多い、人間観察が趣味の生徒。


霧崎 理子(きりさき りこ)

C組生徒。男子相手でもお構いなしにスキンシップをするフレンドリーな性格。


★脇役も含めた人物紹介はこちら↓★

<人物紹介>僕とわたしの不思議な青春~登場人物図鑑~

長編入れ替わりモノ 「僕とわたしの不思議な青春」の 登場人物図鑑デス! 連載前に予告として掲載した、 主人公たちのクラス名簿の内容に加え、登場する教員や その他の人物もご紹介しています~! ※ネタバレは控えめ(漫画や小説の最初の方のページに書かれている  人物紹介ぐらいの内容…)デス~!  最初にクラス名...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「まぁまぁ、あたしに任せておいてー」

クラスメイトの霧崎 理子が、得意気な様子でそう言いながら

翔太(綾)の肩を平気でぱんぱんと叩くー。


理子は、兄一人、弟二人の男兄弟に囲まれて育ったことで、

男勝りな性格かつ、このあたりの距離感が

良くも悪くも、バグっているー。


”ーー遠藤くんだったら、戸惑いそうー”

翔太(綾)は苦笑いするー。


綾にとっては、身体は違っても理子は同性の子だから

そんなにドキドキしたりはしないけれど、

女子に慣れていない男子だったら、理子特有のこの距離感には

戸惑うと思うー。


そんなことを思っていると、理子は

「あ、それで本題なんだけどー」と、翔太(綾)のすぐ近くで

そう言葉を口にすると、

「ーあたしの弟の淳伍が、星村さんの妹の美桜ちゃんと

 同じクラスだからー、淳伍にお願いして、

 ササッといじめは解決させてあげるからー」と、理子は

そんな言葉を続けるー。


「ーーーーでも、そういえばー、

 その弟さんは大丈夫なのかいー?

 弟さんにも、クラスでの立場とか、あるんじゃないかー?」


理子を紹介した郡司が、そう口を挟むと、

「あはは!敷島は心配性だなぁ~!」と、パンパンと郡司の肩を

叩きながら、理子は「大丈夫大丈夫ー。安心して。」と、

再び自信満々に言葉を発するー。


理子によれば、理子の弟の一人、淳伍は

イケメンで、クラスでも中心的な人物ー。

淳伍が、綾の妹・美桜をいじめている女子たちに

一声かければ、一発でいじめ問題は解決する、と、

そう豪語しているー。


「ーーそう上手くいくのかなぁ」

郡司が、やれやれ、という様子で笑うと、

「ーーあたしを信用できないっていうの~?」と、

理子が、郡司を掴んでそのまま羽交い絞めのような

状態にしているー


「ぐぇぇぇ…待って待って!悪かった!

 というか、当たっちゃいけないもんが当たってる!」

郡司が顔を赤らめながらそう言うと、

翔太(綾)は苦笑いしながらー、

”なんか、力で押さえつけるみたいでいやだけどー…”とは

迷いながらも、”美桜を助けるため”に、

理子にそれをお願いすることにしたー。


「ーオッケー!任せておいて!」

理子が嬉しそうに笑うー。


翔太(綾)は、そんな理子に対して

「あ、でも霧崎さんー、弟くんが嫌がってたら、いいからね…?」

と、そう言葉を口にすると、

「大丈夫大丈夫!」と、理子は笑ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーあぁ、星村さんー?

 確かにクラスにいるねー。」


理子の弟・淳伍は、早速帰宅した理子から、

”クラスに星村 美桜って子いる?”と、確認したー。


「ーーその子さ、あたしのクラスの子の妹でさ、

 なんか最近女子からいじめられてるみたいなんだって」

理子が、まるで視線を気にしていないかのようなラフな格好で、

ソファーでくつろぎながら言葉を口にすると、

「ーーーあ~~~~…確かに最近、そういう感じはあるかもなぁ」と、

淳伍はそう言葉を口にしたー。


「ーで、お願いなんだけどー

 あんたイケメンじゃん?」


「ーーーうん」

淳伍は”イケメン”と言われて否定せずに頷くー。


「ーーーで、あんた、女子にモテてるじゃんー?」


「ーーうん」


淳伍はまたもや頷くー。


「ーだからさ、あんたが

 ”星村さんをいじめるのはやめろ!”って言えば

 一発でいじめは解決すると思うんだよねぇ」


理子はそう言いながら、淳伍の肩に手を回すと、

淳伍は「ーーえ…え、イヤだよー 俺がいじめの

ターゲットにされたらヤダし…」と、遠慮気味に言葉を口にするー。


そんな弟の言葉に、理子は微笑みながら、

「ーーーやれ」

と、高圧的にそう言い放ったー


「ーーはいー。やります」

”お姉ちゃん”である理子には逆らえない淳伍は、

”やれ”と言われて即答すると、

「あ~…もう、姉さんには敵わないなぁ」と、そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


綾(翔太)が、帰宅すると妹の美桜が

いつものように元気よく「お姉ちゃんお帰り~!」と、

綾(翔太)を出迎えてくれたー。


「ーーただいまー」

綾(翔太)は、微笑みながら美桜の方を見つめるー。


美桜は、今年になって高校生になったばかりの頃は

学校のことをよく話していたー。

しかし、最近ではほとんど学校のことを口にしないー。


綾(翔太)にとって”心”は血のつながりのない他人同士ではあるー。

しかし、1年以上も姉妹として暮らし、

”翔太”からしても美桜はもう妹のような存在だったー。


それに、翔太には兄弟がいないために、

余計に美桜が可愛くー、そして守ってあげたいと思えるような、

そんな感覚を覚えていたー。


「ーーー美桜ーーー

 わたし”たち”は、いつでも美桜の味方だからねー」


綾(翔太)が、思わずそう言葉を口にするー。


”綾”は、当然美桜の”お姉ちゃん”だー。

でも、今は”僕”も、美桜のお姉ちゃんのように、

そう思い始めているー。


この先ー、もしー…もしも”元に戻った”としても、

美桜の味方でいてあげたいー。

そんな風に綾(翔太)は思うー。


”お姉ちゃんが二人”

今や、そんな状態ー。

つい、”たち”という言葉が出てしまったー


「たちー?」

不思議そうにする美桜ー


「え?あ、あぁ、ほら、お母さんとお父さんも!ってこと」

綾(翔太)がそう言うと、美桜は「ありがとうお姉ちゃん!」と

笑いながら、今日も”無理に元気に振る舞いながら”、家での

1日を過ごしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー…美桜…久しぶりー」


”翔太”が”久しぶり”に見かけた美桜に声をかけるー


「ーーーー…え…?

 あ…お姉ちゃんのクラスのー…」

美桜の言葉に、”翔太”は寂しそうな表情を浮かべるー。


「ーーーーー…え、えっとー……最近、元気…かな?」

翔太がそう言葉をかけると、

美桜は少し表情を歪めるー


「ーあ…はい………」


沈黙する二人ー。


「ーーー美桜が大学受験成功したかどうかー…

 …あ、ごめんー 美桜ちゃんが大学受験成功したかどうかー

 気になってー」


翔太がそう言うと、

美桜は不思議そうな表情を浮かべながら

「ーーえ、えっとー…ごめんなさいー。わたし、早く行かないとー」と、

余所余所しく、駅の方に向かって行くー。


「ーーーー…」


”そっかー

 僕はもう”他人”に戻ったんだよなー”


雪景色の中ー、寂しそうにそう微笑む翔太ー。


”三年間”の不思議な体験はー、

”夢”だったのだろうかー。


あの時作った思い出の数々はーーー…

”幻”となって消えるのだろうかー


「ーーーー…」

翔太は、悲しそうに空を見上げながらーーーー


ーーー気付いた時には

”部屋の天井”を見上げていたー。



「ーーーはぁ…」

綾(翔太)はため息をつきながら起き上がるー。


”また”元に戻った時の夢だー。


綾(翔太)は、入れ替わった当初から、そういう夢を時々見ていたー。

”翔太と綾”が無事に元に戻る、そんな夢だー。


がー、今年に入ってー…

入れ替わりから1年を迎えて、もう一度あの時と同じように

階段から転落した時ぐらいからだろうかー。


”露骨に夢の内容に変化”が現れたー。


去年までは”元に戻れてやったぁ!”と、

そんな感じの夢が中心だったー。


しかし、ここ最近ー”元に戻る夢”を見るときは、いつも

翔太は寂しそうにしているー。


喜んでいる、というよりは

悲しんでいる夢ー…。


「ーーーー…」

元に戻っても、”これまでの思い出”は消えないはずー。

そう思いながらも、夢の中の”元に戻った翔太”は、

いつも、元に戻ったことで、辛い思いをしているー。


「ーーー…そんな風になるはずなんてないー」

綾(翔太)は、自分にそう言い聞かせながら

静かに立ち上がるー。


「ふぅー」

夢の内容を忘れようと、綾(翔太)が息を吐き出すと、

そのまま、学校に向かう準備を始めたー。


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「ーーーあんた、今日も相変わらずうざい顔してるよねぇ~!」


綾の妹・美桜の通う学校では

いつものように、美桜をいじめている三人組が姿を現し、

美桜に”いじめ”を行っていたー。


「ーーーー…」

その様子を、翔太たちのクラスメイト・霧崎理子の弟の一人である

淳伍が見つめるー。


”姉さんの頼みだし、確かにあいつら鬱陶しいしー…やるか”

淳伍は心の中でそう呟くと、

「ーなぁなぁ、ちょっとお願いがあるんだけどさー」と、

クラスの友人の男子に向かって”あるお願い”をすると、

その男子と共に、さりげなく、美桜がいじめられている廊下を

歩きながら、”いじめっ子三人組”に聞こえるように

”雑談”をしたー。


「なぁなぁ霧崎ー、お前、どんな女子が好きなんだ?」

友人の男子が、淳伍に頼まれた通りそう言葉を口にすると、

淳伍は友人との打ち合わせ通り、言葉を口にしたー。


「ん~~…やっぱ”嫌な性格”の子は付き合いたくないよなぁ~」

淳伍がそう言うと、

美桜をいじめていた三人組の女子は、振り返りはしなかったものの、

その手を止めたー。


「ー例えば、”他の子をいじめる子”とかー」

淳伍が”わざと”聞こえるようにそう言うと、

淳伍の友人は「はははー、確かになぁ~」と、わざとらしく笑うー。


そして、そのまま淳伍と友人は”普通に歩いているふり”を

しながら立ち去っていくー


「ーーーーー…」

美桜をいじめていた三人組の一人が、青ざめるー。


「ーーーー…だ、大丈夫ー…?」

いじめっ子のリーダー格がそう呟くと、

その女子は、泣きそうになりながら「ご、ごめんー…」と、

その場から立ち去ろうとするー。


美桜をいじめている三人組の中に、淳伍のことを好きな子がいるのだー。

そして、残りの二人も”イケメン”で友達も多い淳伍に嫌われたくないー。


「ーーー……」

美桜が、怯えた表情のまま三人を見つめると、

そのまま三人組は気まずそうに退散したー。


もちろんー、”この1回”で、いじめが終わることはなかったー。


しかし、淳伍が、姉・理子の言う通りに、美桜のいじめを止めるため、

その後も直接指摘したり、美桜に声を掛けたり、色々なことを

繰り返した結果ー、

美桜のいじめは、7月に入ったころにはパッタリと止まっていたー


「ーーー…き、霧崎くんー…ありがとうー」

綾の妹・美桜がそうお礼を口にすると、

淳伍は「あ、いやいやー…”姉さん”に頼まれただけだからー気にしないで」と、

笑うー。


淳伍は、美桜のいじめに加担したことは全くなかったし、

美桜のことも悪くは思っておらずー、

こうして力になれたこと自体は、純粋に淳伍も喜んでいたー。


「ーーーお姉さんにー?」

美桜が不思議そうに首を傾げると、

「あ~俺の姉さん、星村さんのお姉ちゃんと同じクラスみたいでさー、

 頼まれたんだよー。助けてあげて欲しいってー」

と、淳伍は照れくさそうに言葉を口にしたー。


美桜は、そんな言葉に驚きながらも、

”また、お姉ちゃんに助けられちゃったー”と、

少しだけ申し訳なさそうにー、

けれども嬉しそうに、静かに微笑むのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーお姉ちゃんーありがとうー」


その日の夜、美桜からお礼を言われた

綾(翔太)は、「え?何のこと?」と、首を傾げるー。


霧崎理子と”相談”したのは翔太(綾)のほうだが、

当然、既にその話は聞いているために、

”いじめ問題”が解決に向かっているのだと、綾(翔太)は悟るー。


「ーーううんー。

 でも、とにかくいつもありがとうー…

 やっぱりお姉ちゃん、大好きっ!」


美桜はそう言うと、元気よく、嬉しそうに

綾(翔太)に抱き着くのだったー


「あははー、美桜ってばー」

綾(翔太)はそう言いながらー、

”姉”として自分が信頼されている嬉しさと、

”星村さん”から、姉としての立場を奪っているという申し訳なさー、

そして、目の前にいる美桜を騙している申し訳なさー、

色々な感情が絡み合いながら、心の中で”ごめん”と、

静かにそう呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー霧崎さんのおかげで、美桜、いじめられなくなったみたいー

 本当にありがとうー」


後日ー、

綾(翔太)と、翔太(綾)が理子にお礼を言うと、

理子は「あはは!全然全然ー。あたしは弟を使っただけだし」と、

いつものように笑うー。


「ーー敷島くんもー。霧崎さんに話を持ち掛けてくれてありがとう」

綾(翔太)が言うと、郡司は少し照れ臭そうに

「いや、別にいいさー大したことはしてないからさ」と、

それだけ言葉を口にしたー。


「ーーーところでさー」

話が終わると、理子は翔太(綾)と綾(翔太)を見つめながら笑うー。


「ーやっぱ二人さー、付き合ってるでしょ?」

理子の言葉に、綾(翔太)と翔太(綾)は戸惑いながら

顔を見合わせるー。


「え… えええ… いや、そ、そ、そんなことないよー!」

綾(翔太)が顔を赤らめながら言うと、

翔太(綾)も、「わ…ぼ、僕はー別にー」と、そう言葉を口にするー。


その様子を見ていた郡司は

「ははー、やっぱ霧崎さんにもそう見えるのかー。

 僕は去年からそう思ってたけどね」と、笑いながら言葉を口にするー。


「だ、だから違うんだって!今はまだー」

綾(翔太)がそう言うと、理子は二人の肩を叩きながら

「照れなくてもいいじゃ~ん!あはははっ!」と面白そうに

言葉を口にしたー。


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1学期の期末テストも終わり、

夏休みまであとわずかー。


期末テストも終わったことで、

あまり授業もやることがないのか、自習だったり、

先生の雑談が増えたり、そんな日が続くー。


国語の井上先生のように、期末テスト後も普通に

本格的な授業を行う先生もいれば、

担任でもあり、社会科の若松先生や、英語の生涯独身おじさん・小日向先生

あたりは、雑談がかなり増えているー。


「ーー先生は夏休み、何をするんですか?」

お調子者の男子生徒・栗原誠一がそう言葉を口にすると、

理科の教師・松原先生は笑いながら、

「わたしは~」と、言葉を口にするー。


入学当時から理科の担当の教師・松原郁恵は、

美人な雰囲気だけど、研究に没頭しているかのような、

そんな風貌の先生ー。

”わたしは科学と結婚している”と、豪語していて、

今年もその姿勢を貫いているー


「ーわたしは実験とか、生き物の観察とかかなぁー…」

松原先生がそう言うと、

誠一は「さすが松原先生はブレない!」と、そんな言葉を口にするー。


「ーみんなは、夏休み何するの?」

1学期にやる予定の範囲が終わったからか、松原先生は

そんな言葉を口にするー。


「ーー俺は~…まぁ、色々とー」

お調子者の誠一は、少し気まずそうに笑うー。


「ーー俺は闇の波動をさらに強めますよ!」

中二病の米沢海斗がそう叫ぶー。


「寧々は~彼氏とデート~!」

自分のことを可愛いと思い込んでいる寧々は、そんな言葉を口にするー。


「ーわたしは、お父様と豪華客船で旅をする予定ですわー」

転校生の世間知らずなお嬢様・神宮寺 真莉愛がそう言葉を口にするー。


そんな会話を聞きながら、

綾(翔太)は”今年も入れ替わったままの夏休みかぁ…”と、

そんなことを口にしながら、

離れた座席の翔太(綾)のほうを見つめるー。


”去年は遊園地”に遊びに行ったりしたー。

今年は、去年よりも”この生活”に慣れたし、

もう少し夏休みを堪能できそうな気がするー。


今年の夏休みも、結局入れ替わったままー。

来年はー…”高校生活最後の夏休み”はどうなるのだろうかー。


そんなことを考えつつ、綾(翔太)は、

目前に迫った夏休みのことを、色々と考え始めるのだったー。


㉜へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★2-Cの日常★


「ーーーあ、笹野さんー」

翔太たちと同じクラスの笹野 翔子に声をかけるA組の男子生徒ー


「ーー?あ~山下くん」

翔子が振り返ると、

”同じ学校出身”のA組の男子生徒・山下 浩紀の姿があったー。


以前、綾(翔太)たちとハンバーガー店に足を運んだ際に、

翔子が話題に出していた男子だー。


浩紀は大の昆虫好きで、普通の人が大嫌いな昆虫も平気で

飼育している…そんな男子生徒だー


「ーーウチになんか用?」

翔子が立ち止まってそう言うと、浩紀は笑いながら

「いや、元気かなって思って」と、雑談を始めるー。


しばらく雑談をしていると、お互いに夏休みの話題になり、

浩紀は苦笑いしながら

「この前彼女に振られちゃってさ~」と、

そう言葉を口にしたー。


去年は確かクラスメイトの寧々も付き合ってたみたいだし、

結構色々な子と付き合っては振られているようだー。


「ーー俺、もう3人に振られてるんだけど、

 何か理由でもあるのかなぁ…」

愚痴っぽく呟く浩紀ー。


そんな浩紀に対して呆れ顔の翔子ー


「まぁ…たまたま運がなかったってことかなー

 あ!そんなことよりさ、笹野さん!

 俺のカナちゃん見てよ!」

スマホを取り出すと、”害虫”と世間一般では言われている

虫を飼育している写真を見せて来るー。


「ーーうぇっ!」

翔子が不意打ちを喰らって表情を歪めると、

「彼女にもそういうことしてるんやろ!?絶対それが原因!」と、

そう叫ぶー。


「ーえ~?何でだよ~!

 カブトムシとかクワガタとほぼ同じじゃんー!

 あ、そうだ!この前、新しいジーくんの子供が生まれてー」


「ーーオェッ!

 もうウチに話しかけないで!」


翔子は悲鳴に似た声を上げると、足早に立ち去っていくー。


一人残された浩紀は、害虫の写真を見つめながら、

「可愛いのになぁ」と、一人そう呟くと

「もういいかー。虫と結婚するか」と、一人、達観したような表情を浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


2年目も次回から夏休みに突入デス~!


夏休みが終わると、物語中の3年間の

大体半分ぐらいの位置になりますネ~!


まだまだ3年間(作中の時間で!)の入れ替わり物語を

楽しんでくださいネ~!☆!


★関連話★

(※こんな話あったの、いつだっけ?という場合の参考にして下さいネ~)

虫好きのA組の生徒の登場話⇒第9話

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