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魔王城での激闘の際に

入れ替わってしまった勇者・ラッセルと女魔王・ヴェネッサ…。


互いに”敵の真っただ中”で、相手のフリをしつつ生活する中ー、

”敵”であったはずの存在にも、それぞれ色々な思いや、生活、

温かみがあることを知っていくー。


そして、入れ替わった状態のまま話し合いに望む二人。


”綺麗事に乗ってあげてもいいわー”

ラッセル(ヴェネッサ)のその言葉で、

人と魔物、和解の道が見え始めたその時ー、

2人に”2つの悪意”が迫りつつあったー…


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>勇者と魔王の屈辱的な日々④~想い~

勇者の滞在する村に、単身向かってしまった 魔王ヴェネッサを慕うガロンを助けるため、 ヴェネッサと入れ替わったラッセルは、 ”元の仲間”たちがいるであろう村に向かうー。 そこで、入れ替わった自分や、かつての仲間たちと対峙する ヴェネッサ(ラッセル)ー。 しかし、ヴェネッサとラッセルの二人は互いに相手の命を ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー!」

ラッセル(ヴェネッサ)が気配に気づくー。


「人間の気配ー」


その言葉に、ヴェネッサ(ラッセル)が険しい表情を浮かべると、

王宮騎士団の兵士たちが姿を現したー。


その奥からー、王宮騎士団のひとつを束ねる騎士団長・アシュトンが

姿を現すー


「これはこれは勇者殿ー。

 まさか”魔王”と内通していたとは、驚いたなー」

アシュトンは笑みを浮かべるー。


「ーーー…!ち、違う!これはー!」

ラッセル(ヴェネッサ)がラッセルのフリをしながらそう叫ぶと、

ヴェネッサ(ラッセル)も、

「勇者は、わたしと内通なんかしてないわー」と、

魔王のフリをして言葉を口にするー。


しかしー、アシュトンは笑ったー。


「ーーククク それはちと無理がありますなー。

 武器屋から、売りモノの盾をお金も払わず、外に出て居るのに

 ”わたしは盾を盗むつもりはない!”と、

 叫ぶ盗人と同じであるぞ?」


アシュトンは、笑みを浮かべながらそう言うと、

「ちょうどいい機会だ。姫様も”勇者”などよりも

 我々騎士団を頼るべきだと目を覚まされるだろうー。

 魔王も、勇者殿も、まとめて蹴散らせ!」と、配下の騎士たちに

指示を出すー。


騎士に取り囲まれる二人ー。


「ーーぐっ…!」

勇者の剣を手にするラッセル(ヴェネッサ)ー


しかし”勇者の剣”は、中身が魔王のラッセルを拒絶しー、

剣が跳ね飛ばされてしまうー。


「ーー…勇者ラッセル…!防御壁の魔法を使うのよ!」

ラッセル(ヴェネッサ)が小声で呟くー。


がーー…


「ぼ、ぼ、防御壁ってなんだよ!

 俺、魔法の心得はなくてー!」


ヴェネッサ(ラッセル)が、そう言い返すと、

ラッセル(ヴェネッサ)は「ゆ、勇者の癖に!役立たずね!」と、

そう不満そうに呟くー。


ヴェネッサ(ラッセル)は

「そ、そっちこそ、魔王の癖に剣も扱えないなんて!」と、

そうツッコミを入れると、ラッセル(ヴェネッサ)は悔しそうにしながら、

「とにかく、この場を切り抜けるわよ!」と、

小声で呟いたー。


魔法を放とうとするラッセル(ヴェネッサ)ー


”ダーク・ミスト”と言う、闇の霧を発生させる魔法で時間を稼ごうとするー


しかしー



しゅぽっ…


情けない黒い煙がほんの少し出ただけで、

ラッセル(ヴェネッサ)は闇の魔法を使うことができないー。


「ーーあぁ!もう!勇者の魔力、少なすぎ!」

小声でそう呟きながら、ラッセル(ヴェネッサ)は、

”消費魔力の少ないダーク・バブルならいけるかもー”と、

その呪文のようなものを唱えるー。


ぽんっ…


可愛らしい紫色のシャボン玉が出現して、

ふわふわと浮かぶー。


「ーーーーー」

ラッセル(ヴェネッサ)とヴェネッサ(ラッセル)が

苦笑いしながら互いに顔を見合わせると、

騎士の一人が、容赦なく二人に襲い掛かったー。


「ーーーくそっ…なら!」

ヴェネッサ(ラッセル)が、先ほどラッセル(ヴェネッサ)の手から

吹き飛んだ勇者の剣を拾い、立ち向かおうとするー。


「ーーーよし…!勇者の剣が反応してるー!」

ヴェネッサ(ラッセル)は反応を示した勇者の剣に笑みを浮かべながら

剣を振るうー。


がー、すぐにはぁはぁと息が上がり始めて、

やがて、身体がぽきっと音を立てるー


「ーーま、魔王様なら運動ぐらいしろよ!」

ヴェネッサ(ラッセル)が苦笑いしながらそう叫ぶと、

「ーわたしは、魔力で肉体を強化するからいいのよ!」と、

言葉を返してくるラッセル(ヴェネッサ)ー


「おやおや、二人とも大したことはないなー。

 無駄なことにあまり時間はかけたくないー。

 もう、終わりにしようー」


アシュトンがそう呟き、

包囲した二人にトドメを刺すように騎士たちに命じたその時だったー


「うおおおおおおおおおおお!!!」

男の声が聞こえるー。


次の瞬間、斧を手にした勇者の仲間・グレンが騎士団の元に

突進してきたー


「ーごめんなさい!」

巫女・ローズの声も響き渡るー。


”光のリング”のようなものが出現して、騎士たちの自由が奪われるー


「ーー…!」

ヴェネッサ(ラッセル)が驚いていると、

騎士たちを気絶させたグレンが近付いてくるー。


「ーお前が村から一人で出てくのが見えてー

 そのあと、アシュトンの野郎も、後をついてくのが見えたから

 心配で後を追って来たんだー」


グレンのそんな言葉に、

ラッセル(ヴェネッサ)は、表情を曇らせるー。


グレンとローズが、”どうして魔王と一緒に…?”と言わんばかりに

ヴェネッサ(ラッセル)のほうを見つめると、

ローズの光のリングに拘束されたアシュトンが叫んだー


「勇者殿は魔王と内通していた!これが動かぬ証拠だ!」

とー。


「ーあんたは黙ってろって」

グレンがそう言うと、

「ーーラッセルー…理由があるんだろ?聞かせてくれ」

と、そう言葉を口にしたー。


「ーーーー」

ラッセル(ヴェネッサ)とヴェネッサ(ラッセル)は

互いを見つめると、意を決したようにうなずいてー、

”入れ替わり”のこと、そして、

人類と魔物の”和解”の道があるのではないか、ということを

説明したー。


「ーーー……う、嘘だろー…

 じゃあーー…魔王がラッセルで、ラッセルが魔王なのかー?」


説明を一通り聞いたグレンが戸惑うー。

巫女・ローズも驚いた様子だー。


「ーーーま…まぁ…」

ヴェネッサ(ラッセル)が恥ずかしそうに言うと、

重い話で、重くなった場を和ませようとしたのか、

グレンは「へへへー胸が小さい魔王で残念だったなぁ~」と、

ヴェネッサ(ラッセル)を揶揄い始めるー


「せっかく妖艶な魔王様って感じなのにー

 ん~ここだけが足りなーー ぐぼぉっ!?!?」


ヴェネッサ(ラッセル)を揶揄っていたグレンが

背後から殴られて、「いってぇ~~~!」と、叫ぶと、

背後には、笑いながら怒っているラッセル(ヴェネッサ)の姿があったー


「ーーーあんたー、この前もバカにしてくれたわよねー?」

ラッセル(ヴェネッサ)の言葉に、

グレンは苦笑いしながら、ラッセル(ヴェネッサ)から離れるー。


「ま、まぁ、小さいのがいいってやつもいるからなー!

 べ、別に悪いって言ってるわけじゃないんだー

 ただ、まぁーなんか小さいなぁってー」


グレンが揶揄うようにして言うと、

背後にいた巫女のローズがにこにこしながら、「グレンさんー」と、

そう言葉を口にしたー。


「えっ!?」

ローズの持つ錫杖に紫の光が見えるー。


ローズが持つ数少ない攻撃系の魔法”毒の光”の色だー。


「ーーえっ!?えっ!?えっ!?」

グレンが戸惑っていると、

ローズは笑うー


「ーグレンさんにとっておきの回復魔法かけてあげようかな~って」


にこにこしながら、怒っているように見えるローズー


「か、回復!? そ、その色、毒魔法だよな!?えっ!?」

グレンは慌てた様子で後ずさるー


そしてー…

「ー!」

グレンは、ローズの巫女服の胸のあたりを見て

「やべっ!ローズも貧にーーーー」と、

叫ぶと同時に、ラッセル(ヴェネッサ)にもう一度殴られて

その場にノックアウトしてしまったー。


「ーーあ、あははー」

ヴェネッサ(ラッセル)は、そんな光景に思わず笑うー。


やがてー、しばらく落ち着くと、

「ーー確かに、”和解”できりゃいいけど、そう上手くいくもんなのか?」

と、グレンが言葉を口にするー。


「ーーもちろん、そう簡単にはいかないとは思うー。

 でも、このまま永遠に魔物と戦いを繰り広げるよりはー、

 絶対にいいと思うんだー。

 

 このままだと、何百年、何千年先も人間と魔物は

 争い続けてるかもしれないしー」


ヴェネッサ(ラッセル)がそう言うと、

「ーーそれは確かに同感ねー」と、ラッセル(ヴェネッサ)は

言葉を口にするー。


「ーー”人間”として暮らしてみて、分かったわー。

 わたしたちとはまるで違うけれどー、

 ーー虫けらの集まりなんかじゃなかった、ってー」


ラッセル(ヴェネッサ)がそう言葉を口にするー


「ーはは、魔王にそう言われるとなんか気味が悪いなー」

少しだけ笑うグレンー。


「ーあんたはわたしのこと”小さい”って何度も言ったし

 虫けらよ」


不機嫌そうに呟くラッセル(ヴェネッサ)ー


その時だったー


「ーー!!!」


突然、大量の”魔蝙蝠”が、ラッセルたちを包囲するー


「ーー!?!?!?なんだこりゃ!?」

グレンが驚くー


「蝙蝠の魔物です!」

巫女のローズがそう叫ぶと、

グレンはラッセル(ヴェネッサ)の方を睨んだー


「まさかテメェ!やっぱり俺たちを罠にー!」

グレンの言葉に、口を閉ざしていた騎士団長・アシュトンが

「だから魔物との和解など不可能だと言っただろう!」と、叫ぶー。


がー、ヴェネッサ(ラッセル)は険しい表情を浮かべながら、

「ーーーー信じて、いいんだなー?」と、

ラッセル(ヴェネッサ)を真っすぐ見つめたー。


「ーーーーーーー」

ラッセル(ヴェネッサ)は頷くー


「”魔物”も一枚岩じゃないのー。

 そこの”騎士団長”様のような奴がいるってことよー」


その言葉に、アシュトンはムッとした様子を見せるー。


ヴェネッサ(ラッセル)は、グレンとローズに

「まずはこの場を切り抜けよう!」と、叫ぶー


”ひひひひひー…

 人間どもと和解など、寝言はおやめなさいー”


魔物たちの実力者・闇魔導士アデンの声が響き渡るー。


大量の魔蝙蝠の攻撃は続きー、

グレンも、ローズも次第に疲弊していくー。


ラッセルとヴェネッサも必死に抵抗するもー、

入れ替わったままでは本領発揮ができないー。


次第に追い詰められていく4人ー。


”ーーーヒヒヒー

 ヴェネッサ様ー

 あなたを亡き者にして、この私が、”魔王”の座を受け継がせて

 頂きますよー”


魔蝙蝠を通して言葉を発する闇魔導士のアデンー。


蝙蝠が、騎士団長のアシュトンを狙うー。


「ーーーーーーぐっ…!」

拘束されたままのアシュトンが表情を歪めるー。


がーーー


「ーー!?!?」

衝撃音と共に、ヴェネッサ(ラッセル)が、

アシュトンを狙う魔蝙蝠を吹き飛ばしたー


「ーーーーーー…勇者殿ー…」

てっきり助けてなど貰えないと思っていた

アシュトンが表情を歪めるー。


ヴェネッサ(ラッセル)は、複雑そうな表情を浮かべながらも、

「ー目の前で殺されそうな人がいて、見殺しにできるほどー

 俺は、冷徹にはなれないー」と、それだけ言葉を口にするー。


「ーーーー…」

アシュトンは、少しだけ表情を曇らせながら、感謝の意を口にするー。


そのまま、魔蝙蝠との戦いを続ける4人ー


が、一向に減ることのない魔蝙蝠の大群を前に、

4人は既に疲弊していたー。


途中から、ローズの光のリングを解き、アシュトンの力も

借りたものの、それでも体力的に限界を迎えてしまうー。


「ーーはぁ…はぁ…このままじゃ、やられるー」

ヴェネッサ(ラッセル)が、表情を歪めるー。


「ーー勇者の剣さえ使えれば、こんな蝙蝠ー」

ヴェネッサ(ラッセル)がそう呟くー。


「ーーわたしの魔力が使えれば、こんなやつらー…」

ラッセル(ヴェネッサ)がそう呟くー。


追いつめられて、背中合わせになる二人ー。


がー、その時だったー。

2人の身体が密着したと同時に、

”ラッセルになったヴェネッサ”が持っている勇者の剣が

突然、光を放ち始め、本来の力を取り戻したー


「ーー!?!?!?」

驚く二人ー。


いやー、それだけではないー

ラッセルの身体に、あるはずのない”魔力”が満ちて来るのを

ラッセル(ヴェネッサ)は、感じたー


2人の身体が”接触”したことにより、

勇者の力と、魔王の力が、二人の身体に行き渡ったー。


「ーーー…!」

ラッセル(ヴェネッサ)と、ヴェネッサ(ラッセル)が

ほぼ同時にあることを思いつくー。


「ーーー……この状態ならー…”勇者の剣”が使えるかもー?」


”ラッセル”の身体では、中身が”魔王”であるため、勇者の剣が使えないー。

”ヴェネッサ”の身体では、身体が”魔王”であるため、勇者の剣が使えないー。


しかしー、二人が接触した状態ならー…

勇者の”身体”も”中身”も揃っていてー、繋がっているー


「ーーーー…くっ…こんなの最初で最後よ!」

屈辱的な表情を浮かべながらラッセル(ヴェネッサ)が言うー。


「ーー俺だってーこれは流石に、何度もやりたくないよ!」

ヴェネッサ(ラッセル)がそう言い放つー。


2人は、”お互いの身体と中身”の力を繋げるために、

手を繋いだ状態のまま、勇者の剣とー、

魔王の魔力を最大限引き出すー。


「ーーくっーー」

「ーーーーー…っ」


やむを得ず”手を繋ぎながら”高く飛び上がった二人はー、

勇者の剣から強い光をー、

ヴェネッサの手から、強い闇の魔力をーー

そのまま最大級のエネルギーに変えてーーーー


魔蝙蝠の群れを一掃したーーー


「ーーーす、すげぇー…」

「ーーー綺麗…」


光に包まれる森ー。

グレンとローズが、その光を見つめながら

そう口にするとー、

魔蝙蝠は、二人の攻撃により”全滅”したーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーバ…バカなー」

魔王城の上層階で、刺客として放った魔蝙蝠の全滅を知った

闇魔導士アデンは表情を歪めるー


「ーーぐっ…かくなる上は私に同調する魔物を全て集めーー」

部屋から出ようとするアデンー。


しかしー、

そこに魔王軍幹部のズールとガロンが姿を現したー。


「…魔王様の命を狙うとは、重大な反逆だぞー?」

執事風のズールがそう口にするー。


「ーお姉さまのジャマをするなんて、許せない」

人間の少女・ガロンがそう言葉を口にするー。


「ーーーき、貴様ら!神聖なる私の部屋に無断で立ち入るなど無礼だぞ!

 後先短い老いぼれのジジイと人間のクソガキが!」


闇魔導士アデンが表情を歪めながらそう叫ぶと、

「ーーー”反逆者”の部屋に入るのに無礼も何もあるまい」と、

ズールがアデンに迫るー。


「ーー…くっ…待て…

 わ、私がいなくなればーー魔王軍はー!」

闇魔導士アデンがそう言葉を口にすると、

ズールは静かに言葉を口にしたー。


「ーー我々と”人”が戦う時代はもう終わりだー。」

その言葉と共に、ズールとガロンは闇魔導士アデンに対し、

強烈な攻撃を叩きこんだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーまさか、じいさんとこんな可愛い子だったとはなぁ…」


数日後ー

魔王城を訪れたグレンは、そう言葉を口にするー。


「ーーーーーふん」

ガロンは、つーんとした様子でグレンから目を逸らすと、

「はははー、今まではただのやべぇ敵としか思ってなかったけど、

 こうして素顔を見ると、かわいいもんだな」と、

グレンは言葉を口にしたー


「ーーさっきから、大声でうるさい」

ガロンが不愉快そうに目を逸らすー。


巫女のローズは、幹部のズールと会話しながら、

「この魔法、腰にもいいんですよー?」などと笑っているー。


「いやー、しかし私は魔族故、光属性の魔法では

 逆にダメージを受ける可能性がー」

ズールが申し訳なさそうに言うと、

ローズは「闇の回復魔法も皆さんのために練習しようと思ってます!」と

笑いながら言葉を口にするー。


そんな二人を見つめながら、

ヴェネッサ(ラッセル)は、ラッセル(ヴェネッサ)に対して

「これからどうするんだー?」と言葉を口にするー。


”人間と魔物の和解”

その道のりは、果てしなく険しいー。


だがー、戦い続けるよりも、”ゴール”は見えているー。

仮に魔王ヴェネッサを倒しても、また第2の魔王、第3の魔王が現れ、

戦いは永遠に続くー。


そんな未来よりかは、ずっと”光”に近いー

そんな気がするー。


もちろん、魔物の中にも悪さをする者もいれば

人間の中にも悪さをする者はいるー。

闇魔導士アデンのような魔物もいるし、

騎士団長アシュトンのような人間もいるー。

しかし、それでも


少しずつ、少しずつ、前に進んでいけばいいー。


「ーーーまずは”女王様”に挨拶しないといけないわね」

ラッセル(ヴェネッサ)がそう言葉を口にするー。


ヴェネッサ(ラッセル)がその言葉に静かに頷くー。


”ヴェネッサ”は、”魔王”ー魔物の長にあたる存在であるものの、

”ラッセル”は”勇者”ー。人間たちのトップではないー。


もしも本気で和解に向かうのであれば”女王”にも理解して貰う

必要があるー。


「ーしかし…二人だけで王国に向かうとはー…

 危険ではありませんか?」

ズールが口を挟むと、

「ー危険だからこそ、価値があるのよ」と、

ラッセル(ヴェネッサ)がそう言葉を口にするー。


”命懸け”で、”敵”だった相手の本拠地に一人で向かうー。

それでこそ、和解しようという意思が本気だと示すことができるー、

とラッセル(ヴェネッサ)が言葉を口にするー。


「ーーー……」

ガロンが心配そうにラッセル(ヴェネッサ)のほうを見つめると、

ラッセル(ヴェネッサ)は「大丈夫ー…必ず帰って来るからー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーしっかしー、”普通の服”を着てると全然怖い感じしないなぁ」

グレンがそう言うと、

ヴェネッサ(ラッセル)は「ー流石に王宮に行くのに魔王スタイルの

格好じゃまずいだろ?」と、笑うー。


”町娘”のような服装の”ヴェネッサ”はとても新鮮だー。


まだまだ、やることは山積みー。

まずは、王国の女王に入れ替わりのこと、そして入れ替わったことで

お互いに知ったことを説明し、和解の道を提案するー。


2人が元に戻る方法も探さないといけないし、

人類と魔物が和解の道を探り始めても、反対する人間も魔物も

必ず出て来るー。


ゴールは遠いー。

けれど、終わりのない戦乱とは違うー。

いつかは、きっと終わりが来るー。

人間と魔物が手を取り合える日が来る。


魔王と勇者が分かり合えたようにー。



数日後ー。

王宮に到着した二人は、

”女王の間”へと向かうー。


「ーー…”魔王”も緊張するんだなー?」

ヴェネッサ(ラッセル)が笑うと、

緊張した様子のラッセル(ヴェネッサ)が「それは…緊張ぐらいするわ」と

少し恥ずかしそうに答えるー


この先に女王が待っているー。

女王は”和解の道”を理解してくれるだろうかー。


「ーーー」

”きっと大丈夫”ー


ヴェネッサ(ラッセル)は、そう思いながら

”平和”のための一歩を踏み出すべく、

女王の間へと、足を踏み入れるのだったー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終回でした~~~!☆!


今回の作品は、漆黒プラン向けの特典(※不定期 内容は毎月変わります)

で頂いた”こんな作品を読みたい”から生まれた作品でした~!


飛龍様から頂いた案で、元々の内容は、


”男勇者と女魔王が人類と魔族の存亡を賭けて1対1で対決

2人の攻撃が衝突し大爆発が起きて2人とも瀕死状態に

2人ともそれぞれ仲間に回収されて手当を受ける

目覚めたら2人の体が入れ替わってしまっていた

話そうにも周囲は敵だらけなのでとりあえずお互いのフリをしていく事に

敵の事情を知ったり敵が仲間として優しく接してくれる事で絆されていき…”


という内容ですネ~!


 ※内容・名前、公開OKのため公開してます~!

  勝手に公開することはないので安心してくださいネ~


ここから、作り出したのが今回のお話デス!


この先を描くこともできるのですが、

勇者と魔王が入れ替わって、敵との絆が芽生えていくところを

描く作品だったので、物語はここまでデス~!


魔物と人間の和解にはまだまだ長い時間がかかりそうですが、

ひとまず、前に進んでいくことはできそう…な、気がします~!


ここまでお読み下さりありがとうございました~~!☆!

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Comments

飛龍

完読しました~! 仲間の事から段々と人と魔族が分かり合えるんじゃないかという雰囲気を出していって、最後には和解できたのが良かった! お互いの力を上手く使えない問題をどうするのかなと思ってたら、まさかの2人がくっついてひとつになるって解決法が予想外すぎていいねw 入れ替わりは元に戻ってないし、話的にも長年の遺恨があるからこれですぐに和平とはいかないだろうけど、それでも2人で前を向いて歩み出すのがすごい良い終わり方で好きです! 書いてくれてありがとう!

無名

ありがとうございます~~!☆ まだまだ先を膨らませられそうな気もしますケド、 それをやると長編になってしまうので、頂いた部分を中心に絞って描きました~★! 私も最後まで楽しく書けたので(なので最終回がいつもより長めになってます~笑)感謝デス~! ありがとうございました~~!

lqbz5

Hope to see the continuing story in the future!

無名

ありがとうございます~!もしかしたら、いつか続編が出たりする…かもしれないですネ~! (今のところはまだ未定ですが、もしかしたら…!)