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”身体貸し”と呼ばれる、”皮”にされた人間を

レンタルすることができるサービスで、”美香”という子の皮を借りた慎平。


その後、返却期限の1ヵ月が近付いたころには、慎平は

”皮”を返し、元の人生に戻ることに恐怖を感じー、

”美香”の皮を着たまま、”希海”と名前を変え、

容姿も変え、住所も変えて、”身体貸し”から借りた皮を

返却せずに逃亡したー。


がー、身体貸しの男・若林に見つかってしまい、

危機的状況を迎える慎平。


それでも慎平は上手くその場を切り抜け、逆に身体貸しの男・若林を

指名手配に陥れることに成功したー…。


けれどー…?


★前回はこちら↓★

<皮>そろそろ返してもらいましょうか①~身体貸し~

”名前”も変えたー ”容姿”も変えたー。 引っ越しもしたー。 なのに、何故ー? 部屋の扉をノックする音が聞こえるー。 ”吉岡(よしおか)さんー?いるんでしょう?分かってますよー?” 外から、男の声が聞こえるー。 しかしー、 男がノックしている部屋の表札には”吉岡”などという名前は 記載されていないー。 ”清水(しみ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーご迷惑をおかけしてすみませんー

 ”元カレ”から嫌がらせを受けていてー」

苦笑いする”希海”ー。


身体貸しの男・若林から逃亡した慎平は、

”美香”の皮を着たまま、引き続き”希海”を名乗り、

生活を続けていたー。


先日から、”家に変な男が乗り込んで来た”と、いう理由で

勤務先のメイドカフェの先輩・梨沙の家に匿ってもらっている希海ー。


”元カレの嫌がらせ”という設定で適当に話を作り、

今も、梨沙の家に匿われているー。


梨沙は、誰にでも優しく、親切なメイドカフェの先輩ー。

希海のこともとても可愛がってくれていて、

バイト先でも世話になっているー


”ーーへへへへ…梨沙ちゃんはホント、可愛いよなぁー”

思わず、笑みを浮かべてしまう希海ー。


歪んだ口元を誤魔化すようにして手で隠すと、

梨沙の方にイヤらしい視線を送るー


「ーーえへへへへ…女同士だと警戒もされねぇしー

 最高だよなー…」


そう小声で呟きながら、晩御飯の片づけをしている梨沙の

スカートの中を、床の拭き掃除をしているフリをして見つめるー


「ーんひひひっ」

思わず変な笑い声をあげてしまう希海ー


「ーちょ、ちょっと!?希海ちゃんー!?」

梨沙が、スカートの中を覗かれていることに気付き、

顔を赤らめると、希海は「ーえへへ…ついー」と、

照れくさそうに笑ったー。


「も~~!希海ちゃんって、意外とHだよね!」

笑いながら、梨沙が希海のことをぺしぺしと軽く叩くー。


希海も笑いながら

「えへへへへ~」と、イタズラっぽく笑うー。


「可愛いのに、中身はおじさんみたいなんだから~」

冗談を口にする梨沙ー。


「ーーー(へへーまぁ、間違っちゃいないけどなー)」

後頭部のあたりを触りながら、希海の中に潜む慎平が

そう呟くー。


中身は”男”ー

当然、メイドカフェの先輩に過ぎない梨沙は

そのようなことは、夢にも思っていないだろうー。


”しかし、女って便利だよなぁ…

 僕の身体で同じ事したら100%通報だろうし、なー へへ”


そんなことを思いながら、

テレビを見つめるー。


”若林容疑者”は、まだ捕まっていないようだー。


身体貸しの取り立て屋のあの男が、

早く捕まってくれればより安心できるのだがー、

やつも、しぶとく逃げ回っているー。


けれどー、それでもー


「ーー…1回手に入れたこの美貌ー…絶対に返さねぇー」

”希海”は、そう呟くと不気味な笑みを浮かべながら、

自分の綺麗な手を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーじゃあ、留守番はお願いね」

バイト先の先輩・梨沙がメイドカフェに出かけて行くー。


今日は梨沙がシフトで、”希海”は休みー。

そのため、希海が留守番を任されたー


「ーーうへへへへ…」

梨沙が留守にしているのをいいことに、

梨沙の服や、下着のニオイを嗅いで、下品な笑みを浮かべる希海ー


「くっへへへへへー」

思わず涎を垂らしてしまいながら、希海はしばらく

欲望の時間を過ごすと、

やがて、スマホを手に”物件”を探し始めたー。


「ーー…まぁ、ずっとここにいたい気持ちはあるけどー

 先輩、いい人だし迷惑をかけるわけにはいかないからなー」


希海は、そんな風に呟くー。


”女”として過ごしていると、

”女”として出会った人たちにも、当然情のような感情は湧くー。


梨沙のことも、単なる駒ではなく、

ちゃんと先輩として尊敬はしているし、

ずっとここに居候して、迷惑をかけるつもりもないー。


慎平は”希海”になることで、

慎平が慎平であった頃よりも、そういうことを考える”余裕”が

出来ていたー。


”もしかしたら、僕は最初から女で生まれた方が相性も良かったのかも

 しれないなー”

などと、最近はそんなことも思うようになったー。


「ーーーーーしっかしー、

 なかなかいい場所もねぇんだよなぁ…

 ”希海”ってのは偽名だし、”美香”って名前を使えば

 身体貸しのやつらに見つかるだろうしー…

 かと言って、僕の名義でも借りたくねぇしなぁ…」


希海は、うんざりしながらため息を吐き出すと、

「でも、とにかく先輩のために早めにここは出ないとなー」

と、そう呟きながらパソコンの方に視線を送ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー。


「これで、よし、とー」

希海は、満足そうに笑みを浮かべるー。


いつも世話になっている梨沙のために、

梨沙の家の掃除や、家事などを済ませ、

さらには疲れて帰って来るであろう梨沙のために、

晩御飯も用意しておいたー。


そうこうしているうちに、梨沙が帰宅するー。


「ーあ、先輩!おかえりなさい~!」


”普通の女子”のフリをして、メイドカフェの先輩との共同生活は、

楽しいー。

自分も”こんな自分”になりたったのかもしれないー

そんな、ちょっとした幸せな日々ー


「ーー…借りたもんは、返さなくちゃー」

帰宅した梨沙は、バッグをその場に落とすと、

そう呟きながら笑みを浮かべたー


「ーーえ…せ、先輩ー…?」

希海が震えながら言うと、

「随分と、”この女”に懐いてたみたいだけどー…

 吉岡さんー 君のせいでー…」

と、梨沙は邪悪な笑みを浮かべたー


「何の関係もないわたしが、”皮”にされちゃいましたぁ~♡

 あはっ!あっははははははぁ♡」

梨沙は大笑いしながら、自分の後頭部のあたりに手をやると、

そのまま”顔”の部分を脱いだー。


「ーーひっ!?」

希海が怯えた表情を浮かべるー。


皮にされた”梨沙”の胸のあたりから上だけが脱げた状態で、

身体貸しの男・若林が顔を出すー。


「ーーへへへへへー

 可哀想にー。

 このメイドの先輩はー、

 君のせいで、こうして俺に皮にされちゃいましたよ?」


若林が、そう言いながら、

ペラペラになった梨沙の頭を撫でるー


「ー吉岡さんー。借りたものは返すー。

 で、ないと”この女”のようにもっともっと、

 無関係の人が巻き込まれることになるー」


若林はそこまで言うと、”梨沙”の皮を再び全部着てから

笑みを浮かべるー


「俺が指名手配されたからって、

 安心しちゃいけないなぁ?

 俺は、いくらでもこうして姿を返すことができるしー…

 それにー…」


梨沙の姿で、そう言い放つ若林ー


そんな若林に対して、希海は表情を歪めながら言葉を続けるー。


「ーーわ、わ、わ、わたし、な、何も知りません!」

とー。


「ーーいやいや、とぼけても無駄ですよ」

梨沙はそう言うと、謎の装置を手にしたー。


「”ー貸した皮”には発信機がついてますからねー

 どんなに容姿を変えても、隠れても、

 こうして、君のところにたどり着けるー」


梨沙がそう言うと、

希海は「し、し、知らないものは知りません!」と、

なおもとぼけたー。


「ーーーだからぁ」

梨沙は笑みを浮かべるー。


今朝までの梨沙とは、まるで違う笑みー。

もう、梨沙が梨沙ではないことをイヤでも思い知らされるー。

優しくて親切なメイドカフェの先輩を、

こんな風に巻き込んでしまったこと罪悪感を覚える希海ー。


「ーー”ここ”に発信機が入ってるんだよー

 嘘ついても、無駄なんだよ」

脅すような口調で、希海の右腕をつつきながら、

言葉を口にする梨沙ー。


梨沙の優しい感じの声も、言い方やトーンによっては

”ここまで恐ろしい声”になるのだと、逆に恐怖すら覚えるー。


「ーー逃げられやしねぇよー。

 借りたもんは、とにかく返すんだよ」


攻撃的な口調で、希海を睨みながら言う梨沙ー。


そう言うと、梨沙は希海の後頭部を乱暴に掴んだー。


慎平が着ている希海ー、いや、本来の名前は”美香”の皮を

無理矢理脱がせようとするー。


「や、やめろっ…!」

希海の声で叫ぶー。

が、ベリッと嫌な感触がして、”頭の部分”だけが脱げて、

慎平の顔が外に飛び出て来るー。


「ーく、くそっ!嫌だ…!嫌だ!」

慎平は”久しぶりに自分の声を聞いた”と、そう思いながら、

なんとか”皮”をまた着ようとするー


「ーーいい加減に…脱げよ!」

梨沙が怒りを露わにするー。


しかしー、慎平はふと、あることを思うー。


”そういえばー、身体貸しのやつ…今、女の身体ってことはー…”


そう思いながら、自ら”腕”の部分を希海の皮の中から

出すと、そのまま梨沙を力任せに突き飛ばすー


「ぐあっ!?」

思わぬ反撃を受けて、壁に叩きつけられながら

梨沙は怒りの形相を浮かべるー。


「ーーー」

すぐに”皮”をまた着こんで、

頭の部分までしっかりと着れていることを確認しながら、

梨沙の家を飛び出す希海…。


「ーテメェ!」

梨沙が希海の腕を掴むー。

希海は、梨沙の腕を振り払うと、

そのまま振り返ることなく、全力で疾走したー



「ーーはぁ…はぁ…

 くそっ!あの野郎ー」

梨沙は怒りを露わにしながら

「ーー男に比べると力がないってのは女の欠点だなー」と、

悔しそうに自分の手を見つめるー。


がーーー

それでも、梨沙は、いやー、身体貸しの男・若林は笑うー。


「ーーー…俺から逃げられると思うなよー。

 お前の居場所は、どこにいても分かるのだからー」


その言葉と共に、梨沙は笑みを浮かべながら

そのまま姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はぁ…はぁ…はぁ…

 僕はー僕は、絶対に元の惨めな性格になんて

 戻りたくないー」


自分は”女”として、この皮を使って

新たな人生を生きるんだー。


そんな強い執念を胸に、またもや身体貸しの男・若林から

逃げ延びた慎平ー。


「ー絶対に返すものかー…」

自分の身体をー、いや、自分が着ている皮を

抱きしめるような仕草をしながら

そんな言葉を口にすると、

近くの廃墟地帯に逃げ込んだ”希海”は表情を歪めるー


”希海”という偽名もバレたー。

この名前ももう使うことはできないー


美香の皮を着たあとに名乗っていた偽名ー

”希海”は、”初恋”の相手の名前だー

自分がその名前を名乗れているという現実に

興奮していたしー、

毎晩毎晩、”わたしは希海…”と、呟いては

この上ない快感を覚えていたー。


だが、それももう終わりー。


また、別の名前を考えなくてはならないー


「ーそれよりもー」

”希海”は、表情を歪めながら

自分の右腕を見つめるー


さっきの、若林に乗っ取られた梨沙の言葉ー


”「ーー”ここ”に発信機が入ってるんだよー

 嘘ついても、無駄なんだよ」”


その時、やつは右腕をつついていたー。


「ーーー……だったらー」

”希海”は険しい表情のまま、ある行動に出たー。


それはー…


「ーーぐっ… ぅ… ぅぅぅぅぅぅ」

近場の店で手に入れたナイフを使い、

自分の”腕”を突然指す希海ー。


「ーー何が発信機だー…

 僕は、僕はどんな手を使ってでも、

 この皮を返さないー…!返してたまるものかー」


そう呟きながら、希海は

常軌を逸した執念で、血を流しながら

”皮”の腕の中に埋め込まれていた発信機を取り除いたー


「へへ…これだー…へへへへへー

 これで、もうアイツは僕のことを追跡できないー」


ニヤニヤと笑みを浮かべる希海ー。


発信機をそのまま踏みつぶして、

腕から血を流しながら希海は笑うー


「これで、この身体は今度こそ僕のものだー!

 はははっ!ははははははっ!」


勝ったー…!

希海を着ている慎平はそう確信したー


”僕の勝ちだー”

とー。


そのまま、希海は止血を終えると

夜の闇へと姿を消すー。


もう、誰にも追跡できないー

今度こそ、新しい人生を手に入れるんだー。


そう、思いながらー…。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


果たして、身体貸しから逃げることは

できるのでしょうか~?★

その結末をぜひ見届けて下さいネ~!


…皆様は、借りたものはちゃんと返しましょうネ~笑


今日もありがとうございました~~!

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