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社会科見学は終わりー、

翔太(綾)は、同じ美術部の生徒・倉守 詩音の力になろうと、

詩音の親との話し合いに同席し、詩音の家庭の問題を解決させることに

成功したー。


いやー、やっとスタートラインに立てたー、というところだろうかー。

それでも、”友達”の力になれたことを翔太(綾)は

心の中で喜ぶー。


そしてー、

季節は次第に夏の色を見せ始めていくー。


そんな中、

綾(翔太)は、カードゲーム部に新たに入部した生徒・松岡 啓二から、

”自分がチヤホヤされるためだけに

 カードゲームを穢さないでほしいなぁ”

などと、言われてしまうー。


ムッとした綾(翔太)は、生意気な新人部員・啓二との

対決に臨むもー…?


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㉘~自由~

時は進んでいくー。 2年目の春も、元に戻れないまま 去年と同じように日々を送る二人ー。 そんな中、翔太(綾)は、去年から同じ美術部で活動している クラスメイト・倉守詩音の母親と初めて顔を合わせたー。 以前、詩音から聞いていたように、彼女の母親は、 詩音のことを、詩音の兄にあたる”和也”と呼び、 男として振...

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★主な登場人物★


遠藤 翔太(えんどう しょうた)

C組生徒。大人しく、奥手な性格の持ち主。綾と入れ替わってしまう。


星村 綾(ほしむら あや)

C組生徒。可愛らしい雰囲気に、明るい性格の持ち主。翔太と入れ替わってしまう。


神田 哲真(かんだ てつま)

C組生徒。翔太の中学時代からの友人。女子は苦手。


足立 幸也(あだち ゆきや)

C組生徒。カードゲーム部所属。イケメンの男子生徒


松岡 啓二(まつおか けいじ)

1-D生徒。今年からカードゲーム部に入部した新入部員。


★脇役も含めた人物紹介はこちら↓★

<人物紹介>僕とわたしの不思議な青春~登場人物図鑑~

長編入れ替わりモノ 「僕とわたしの不思議な青春」の 登場人物図鑑デス! 連載前に予告として掲載した、 主人公たちのクラス名簿の内容に加え、登場する教員や その他の人物もご紹介しています~! ※ネタバレは控えめ(漫画や小説の最初の方のページに書かれている  人物紹介ぐらいの内容…)デス~!  最初にクラス名...

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「ーーーそ、そんなー」

綾(翔太)は表情を歪めるー。


生意気な新人部員・松岡 啓二の実力は”本物”だったー。


だが、”いつもなら”勝てたかもしれないー。

カードゲームには”運”の要素もある。

こんなこと言っても負け惜しみにしかならないが、

今日は”壊滅的に”引きが悪すぎたー。


バトルを観戦していた親友の哲真も

「おいおいーこりゃ、運悪すぎだろー」などと、

途中にそんな風に呟いていたー。


「ー俺の勝ちですね 星村先輩ー」

不敵な笑みを浮かべる啓二ー。


「ーーー…ぐっ…」

綾(翔太)は、思わず、少年のような悔しさを前面に

押し出してしまいながら、啓二の方を見つめるー。


「ーーなんですか?その顔はー?

 所詮、”カードゲーム部の姫”なんてこんなもんですよー。


 大体先輩ー、先輩の同級生から聞きましたよ?

 高校入るまで、カードゲームもやったことなかったそうじゃないですか。


 それなのに、カードゲーム部に入るなんてー」


啓二がニヤッといじわるそうな笑みを浮かべるー


「男子に囲まれてチヤホヤされたいって魂胆がー

 丸見えなんですよー」


啓二のその言葉に、

「おい!こら!そういう言い方は良くないぞ!」と、部長の石島恭一が口を挟むー。


「ーーー俺は真剣に大会の優勝を目指したいんですよー

 だからー”姫”は邪魔です」

啓二はそう言うと、部室の出口に向かいながら

綾(翔太)に言葉を口にするー


”みんな優しいから口にしないだけでー

 部員の皆さん、星村先輩のことを邪魔だと思ってますよ?

 だって、遊び半分の女子なんて、いても邪魔なだけじゃないですかー”


「ーーーー!」

その言葉に、表情を歪める綾(翔太)ー


「ーおい!しー、ほ、星村さんは今はたまたま運が悪かっただけでー!」

哲真が、そうフォローに入ろうとするー。


がー


「ー神田くん!いいよ!」

綾(翔太)がそう声を上げると、

悔しそうに顔を引きつらせながら、

「ーーわたしの負けは負けだからー」と、

珍しく、綾の身体で感情を露わにしながらそう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー」

”女”であることで遊び半分に見られたー。


綾(翔太)は、そのことがとても悔しかったー


確かに、カードゲームは”遊び”だ。

でも、啓二の言うように”遊び半分”で部活に来たんじゃないー。

”真剣に楽しく遊ぶ”

そんなことを、大事にしてきたつもりだー


それを、”男子にチヤホヤされるために入部した姫”なんて

言われてしまうとー、とても悔しいー


「ーーーーーー~~~~…」

悔しそうな表情を浮かべながら綾(翔太)が窓の外を見つめるとー

「ーーーな~んて顔してんの!」

と、背後から声が聞こえたー。


綾(翔太)がビクッとして振り返ると、

そこには綾の親友・山井 穂乃果の姿があったー。


穂乃果は、哲真に続き、翔太たちの入れ替わりを知る”二人目”の人間ー


「ーーこらこら!綾の顔でそんなすごい顔しちゃだめでしょ!」

穂乃果は叱るようにそう言うと、

ため息をついてから「ーー何があったの?」と、言葉を口にするー。


綾(翔太)は悔しそうに部活での出来事を言うと、

「あ~~~~ ん~~~~~…

 まぁ、その子にはそう見えるのかもね…」と、

穂乃果はそう言葉を口にしたー。


「ー綾が、カードゲームやってなかったのは事実だしー、

 二人のこと知らない人から見れば

 ”未経験”だったのに、高校に入って急に入部したようには

 見えるだろうからー」


穂乃果がそこまで言うと、

綾(翔太)は「僕ー…迷惑になってるのかなー?」と、

不安そうに言葉を口にするー。


カードゲーム部の部長で、先輩の石島恭一や、

他の部員たちも仲良くはしてくれるー。


しかし、元々奥手な性格の翔太は、

”本当はみんな、僕のこと迷惑だと思ってるんじゃないか”と

そんな風に思ってしまっていたー。


「ーーー…それに、足立くんも、僕を避けてるみたいだしー」


同じクラスで、哲真と共にカードゲーム部に所属する

イケメンの男子・足立 幸也ー。


いつも同じ部室にいる割に、あまり会話が弾まないし、

どことなく避けられているような感じは前からあったー。


今日、啓二に”みんな迷惑してる”と言われて

”実はずっと、足立くんも僕のこと迷惑に思ってたんじゃー”と、

不安になってしまったのだー。


「ーーー…そんなことないでしょ」

穂乃果は、綾(翔太)のほうを見つめながらそう呟くー。


「ーそもそも、足立はいつも女子の前ではそっけないよー?」

穂乃果の言葉に、綾(翔太)は、”そういえばそうだったようなー”と、

つぶやきながら頷くー。


「ーとにかく、少し元気出しなよー。

 綾の顔までネガティブになっちゃうし、

 気にしすぎはダメ」


穂乃果の言葉に、綾(翔太)は少しだけ照れくさそうに笑うとー、

「うんー、ありがとう」と、そんな言葉を口にしながら、

少しだけ寂しそうに微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーー僕、このまま部活続けていいのかなー?」

綾(翔太)が、そう言葉を口にするー。


昼休みー

哲真と、翔太(綾)の二人を前に

そんな言葉を口にすると、

哲真が「いやいやいや、続けて言いに決まってんだろ」と

そう言葉を吐き出すー。


「ーー急に、どうしたのー?」

翔太(綾)が、不安そうに言うと、

綾(翔太)は、改めて昨日のことを説明したー


「”女のくせにー”みたいなこと言われるの初めてだったからー…」

綾(翔太)がそう言うと、

翔太(綾)は「まぁ…そういう子もいるよねー」と、苦笑いするー。


どうやら綾にはそういうことを言われた経験もあるようだー。


「ーー…はは、あんま気にすんなってー。

 昨日負けたのは、負け惜しみとかじゃなくてマジでマグレなんだし、

 アイツだって、お前と一緒にやってりゃ、だんだんお前が本気だって

 ことにも気づくさー」


哲真がそう言うと、

綾(翔太)は「でも、足立くんも僕を避けてるー」と、そう言葉を口にするー。


今までずっと密かに感じていた不安ー


その言葉に、哲真は「いやーアイツは…なぁー…」と、

少し気まずそうに呟くと、

「ーーそんなことないと思うケドなー」と、そう言葉を続けるー。


がー、

綾(翔太)は、不安そうな表情のままー。


昨日の啓二の言葉で、元々人目を気にする大人しいタイプの翔太は、

すっかり”他の部員たちの目”が気になってしまったようだったー。


「ーカードゲームやる女子なんて、今の時代たくさんいるだろ?

 気にすんなって!」

哲真がそう言うと、翔太(綾)も「そうよ!気にする必要なんてないよ!」と、

言葉を掛けるー。


「ーーそ、それならいいけどー」

綾(翔太)が戸惑いながらそう言葉を口にすると、

翔太(綾)は、心配そうに「あまり気にすることないからねー?」と、

そう言葉を口にしたー。


一足先に、立ち去っていく綾(翔太)ー


その場に残った哲真と翔太(綾)は、少し心配そうに

お互いに顔を見合わせるー


「ーーまぁ…あいつにとっちゃ”女だからどうこう”とか

 言われるの初めてだっただろうし、ショックだったのかもなー」

哲真がそう言うと、

翔太(綾)は心配そうにしながら、

「ー好きなことをするのに、女も男も関係ないのにねー」と、

少し寂しそうに言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それからも、カードゲーム部に足を運んでいた綾(翔太)ー


しかし、ある日ー…


クラスメイトのイケメン・足立 幸也と二人きりになり、

少し気まずい空気が漂っていたー。


哲真は今日は、用事があって部活に出れずー、

他の学年はまだ授業が終わっておらず、部室に来ていないー。

そんな状況ー。


”イケメン”の幸也は気まずそうに

自分のカードを見つめていて、綾(翔太)と話そうとはしないー。


幸也は前から、綾(翔太)のことを避けるような感じがあってー、

”哲真”とは仲良くしているものの、綾(翔太)と打ち解ける様子は

あまりないー。

3人で行動する場面はあっても、あくまでも”哲真を通じて”

繋がっているだけ、そんな感じだー


「ーーあ…あのー…」

綾(翔太)が口を開くー。


カードを見ていた幸也は「えっ?」と、少し余所余所しく返事をすると、

「ーー…あ、足立くんはー…

 わ、わたしみたいな子がこの部活にいると、邪魔ー?」と、

心配そうに綾(翔太)が尋ねるー。


「ーあ、い、いやー…べ、別にーそんなことはー」

幸也は目を逸らしながらそう言葉を口にすると、

「ーそうだー。ちょっとトイレにー」と、そのまま部室を

余所余所しく立ち去ってしまうー。


「ーーー…」

一人、部室に残された綾(翔太)は寂しそうに笑うー。


「ーやっぱー…”女子”がいると邪魔なのかなー」

自虐的に笑う綾(翔太)ー


「それもそっかー…僕だって星村さんに声を掛けられて

 最初はドキッとしてたんだし…」


そう呟きながら、もしも”僕”が入れ替わらずに

カードゲーム部に入部していて、

そこに綾のような可愛い子が入部してきていたらー

やっぱりドキドキしただろうし、気を使ったかもしれないー。


「ーーー……ー」

自分の手を寂しそうに見つめる綾(翔太)ー


「ーーーーー」

”上手く行くこともあれば、行かないこともあるなぁ…”


そう、思いながら綾(翔太)は悲しそうに今一度、微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー

3年生の部長・石島恭一の元を訪れ、

退部届を渡す綾(翔太)ー


「ーえ…えぇっ!?

 星村さんー 

 いきなりどうしてー」

部長の恭一は戸惑うー。


がー、綾(翔太)は

「ご迷惑をおかけしましたー」とぺこりと頭を下げると、

そのまま寂しそうに立ち去っていくー。


「ーーー…ーあ、星村さんー」

教室に戻る途中ー

転校生の渡海 和之とすれ違う綾(翔太)ー


「ーーどうかした?暗い顔してるけどー…?

 僕で良ければ、相談に乗るよー?」

小さい頃ー、”綾”にいじめから救ってもらったという

渡海 和之は、相変わらず綾に執着を示しているー。


「ーー…う、うんー。大丈夫。大した事じゃないの」

綾(翔太)は咄嗟に誤魔化すと、

和之は、綾(翔太)の手を握りながら

「何かあったら、僕に相談するんだよー?」と、

優しく微笑むー


”ぞわっ”ー。

去年の文化祭の時、ガラの悪い男たちに教われた時と

”同じような”感触を覚えるー。


「ーーーーーう、うんーーあ、ありがとうー」

振り払うように、足早に立ち去る綾(翔太)ー


一人残された和之は、

綾(翔太)の手を握った自分の手のニオイを嬉しそうに嗅ぐと、

「ー星村さんが悲しんでるー…助けないとー」と、

一人笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日の放課後ー。


”綾”が退部届を提出したと聞いて、

哲真が驚くー。


部長の恭一も、3年生の部員・法月将輝や、

同学年の別のクラスの部員・芳賀友瀬も驚いた表情を

浮かべているー。


「ーーーーははー、

 やっぱ”姫扱い”される目的だったんだー」

新入部員の啓二が馬鹿にしたようにして笑うとー、

哲真がキッと、啓二を睨みつけるー。


少し委縮する啓二ー。


すると、クラスメイトの部員・幸也が言葉を口にしたー


「ーお、俺のせいかもー」

とー。


「ーーえ?」

哲真が首を傾げるー。


「ー俺…昨日、星村さんから”わたし、邪魔じゃないよね?”って

 言われた時にーーちゃんと答えてあげなくてー」

幸也がそう言うと、

哲真は「おいおいー…足立ー…そりゃタイミングが悪いぜー」と、

少し呆れ顔で言葉を口にするー。


「ー”お前のこと”、俺は知ってるけどー、星村さんはー」

哲真がそう言うと、幸也は少し戸惑いながら、

「ーーだよなー。ただの感じ悪いやつだよなー」と、

そう言葉を口にするとー、少し考えてから

拳を握りしめて、そのまま「俺、星村さんを探してくる」と、

静かに立ち上がったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


綾(翔太)は、部活に出ずに

クラスメイトの笹野翔子、野坂優菜の二人と一緒に

ハンバーガー屋で雑談してから帰ろうと、

校舎の外に向かっていたー。


がー、その時だったー


「あ、いたいた!星村さんー」

イケメン男子の幸也が、顔を赤らめながら近づいてくるー


「ーーえ…?あ、足立くんー」

戸惑う綾(翔太)ー


「す、少し、話できるかー?」

幸也がそう言うと、綾(翔太)は、翔子と優菜の方を見つめるー。


「ーウチらは、先に行ってるから大丈夫ー。気にしないで」

翔子がそう言うと、

優菜も穏やかに笑うー。


2人には先にハンバーガー店に向かってもらい、

幸也の方を向くと、

幸也は「ーーそ、そのー…部活ー。俺のせいだよなー?」と、

心配そうに言葉を口にしたー。


窓に打ち付ける雨の音が響き渡るー。

季節はもう”梅雨”ー。

最近は、雨の日が多いー。


「ーーー……ううんー…そんなことないよー

 それに、わたし…やっぱり松岡くんの言う通りー、

 邪魔になってるのは事実かもしれなーーー


「ーーそ、そんなこと言うなよ!」

幸也は、珍しく少し声を荒げた様子で言うと、

綾(翔太)のほうを見つめたー


「ー俺、星村さんのことは、嫌いじゃないー。

 大事なカード仲間だとそう思ってるー。」

幸也のその言葉に、綾(翔太)は意外そうな表情を浮かべるー。


「ーー星村さん、強くて勝負してても楽しいしー、

 いないとー…寂しいだろ?」

幸也が困惑したような表情を浮かべながらそこまで言うと、

「ーー…星村さんは、カードゲーム部に必要だー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーーーー…でもー」

綾(翔太)が、不安そうに呟くー。


幸也は”俺の態度、悪かったよなー。ごめん”と、

謝罪の言葉を口にするとー、

綾(翔太)のほうを見て、意を決したように言葉を続けたー


「ーー俺さー…”女子”苦手なんだー…」

幸也が少し申し訳なさそうに言うー。


「ーーえ…」

綾(翔太)は、幸也の方を見るー。


確かに、そんな雰囲気はあったし、

クラスの女子も、”イケメンなのに彼女いないみたい”などと

噂をしていたー。


が、改めて本人の口から聞かされると、少し驚くー。


「ーーーー俺、5歳年上の姉さんがいるんだけどー

 その姉さんがとにかくすごくてさー。

 平気で彼氏連れ込んで俺のいる前で、色々なことしたり、

 俺がいても平気でリビングで…そのー、普通は

 見せたくないようなことしたり、

 友達がいる前で急に抱き着いてきたり…さ、

 

 とにかくいろんな意味で壊れてる姉さんでー、

 そんな姉さんと暮らしているうちに、

 異性のことが苦手になっちゃって、さー。


 なんていうかなー…

 どう接していいか、あまり良く分からないんだー。」


幸也は、困惑しながらそう胸のうちを明かしたー。


「ーだからー…別に俺は星村さんのことが嫌いでも、

 部活から出てってほしいと思ってるわけでもない」


幸也は少し目を逸らしがちにそう言うと、

「ー俺の振る舞いが勘違いさせたなら、申し訳ないー」と、

そう言葉を付け加えたー。


「ーー足立くんー」

綾(翔太)は、そんな幸也の説得に少し驚いた様子を浮かべてから、

優しく微笑んだー


「ー…ありがとうー。でも、安心したー」

綾(翔太)はそう言うと、

「今日は笹野さんたちと約束しちゃったから、このまま帰るけどー、

 ーーー…また、頑張ってみるー」

と、そんな言葉を口にしたー。


「ーはは、よかったー」

幸也は安堵した様子でそう言うと、

「ーこれからも余所余所しく見えることもあるかもしれないけどー、

 あまり、気にしなくて大丈夫だからー」

と、そう言いながら照れくさそうに笑ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


綾(翔太)はカードゲーム部に復帰したー。


部長の石島恭一は、受け取った退部届を顧問の先生には回さず、

そのまま持っていたため、”見なかったことにしておくよ”と、

そのままそれを破り捨てて、綾(翔太)の復帰を歓迎してくれたー。


そしてーー


「ーーつ…強いー」

後輩の啓二は、綾(翔太)に、敗れ去り、悔しそうな表情を

浮かべながら、綾(翔太)のほうを見つめたー。


この前勝てたのは、本当に”まぐれ”だったのだー。


何度戦っても、勝てないー。


「ーーーだから言ったろ?星村さんは強いってー」

翔太の親友・哲真が言うと、啓二は悔しそうにしながらも

綾(翔太)のほうを見つめたー


「ーー松岡くんにとっては、不快かもしれないけどー、

 わたしも、本当にカードが好きでここにいるしー、

 別に姫扱いされるつもりでここにいるわけじゃないー。」


綾(翔太)がそう言うと、

啓二は悔しそうにしながらも、少しだけ笑うー。


「ーーー…参りましたー完敗ですー」

そう言葉を口にすると、啓二は、

「ー色々失礼なことを言って、申し訳ありませんでしたー」と、

謝罪の言葉を口にしたー。


どうやら啓二も、”綾”のことを認めてくれたようだー。


「ーー…ううんー。これからも、よろしくねー」

綾(翔太)は、嬉しそうにそう言葉を口にすると、

啓二も安堵した様子で「こちらこそー」と、そう呟いたー。


「ーーーー…それにしても、星村先輩、強いんですねー…

 ”師匠”って呼んでもいいですかー?」

啓二が言うー。


「ーえぇっ!?」

綾(翔太)が、”師匠!?”と、そう叫ぶとー、

「じゃあ、”姉御”はー!?」

と、啓二が笑いながら言うー。


そんな様子を見ていた哲真と幸也は、安堵の表情を浮かべながら

「ー俺たちもバトルするかー」と、笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


「ーーーひっ!?!?!?」

壁ドンされたカードゲーム部の新人部員・松岡 啓二が悲鳴を上げるー。


その視線の先にはーー

翔太や綾のクラスの転校生の一人ー、渡海 和之の姿があったー。


「ーー星村さんを落ち込ませていたのは、君だったんだなー」

和之は言うー。


”綾(翔太)”の元気がないことに気付いた和之は、

”自分で調べて”、カードゲーム部でトラブルが起きたことを突き止めたー。

そして、その原因である啓二を突き止めー、

こうして啓二に会いに来ていたのだー。


「星村さんを悲しませたら、”死刑”だからなー?

 覚えておけよー?」

鬼のような形相でそう呟く和之ー


「ーは、はひっ…」

啓二は怯えた表情でそれだけ言うと、

和之はその場から立ち去っていくー。


「ー星村さんのことは、僕が絶対に守るからねー」


歪んだ笑みー…

狂気すら感じさせる様子の和之は、そのまま静かに

廊下の奥のほうへと、姿を消したー…。


㉚へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★2-Cの日常★


「ー丸岡、最近明るくなったよな~!」

学校行事好きのお調子者男子・栗原誠一がそう言うと、

「え…そ、そうかなぁ…?」と、

去年退学した柳沢祐樹にいじめられていた丸岡富雄が

照れくさそうに言葉を口にするー。


「ーーへへ そうそう!

 ほら、湯川さんと付き合いだしてからは、

 表情も明るくなったし!」

誠一がそう言うと、富雄は「あははー…」と、苦笑いするー。


「去年まで丸岡、”僕なんてウジ虫だし~”とか言ってたのが

 嘘みたいだぜ」


誠一がそう言うと、富雄はさらに苦笑いするー。


「ーーいやぁ、でも、俺もさ、お前がいじめられてる時、

 心配してたんだよー

 でも、相手はあの柳沢だし、俺にはちょっと何もできなくてー


 あ!俺はビビってたわけじゃないからな

 ビビってたわけじゃー」


誠一が、そんな言葉を口にすると、富雄は気まずそうな表情を浮かべるー


それもそのはずー


「ーおい、栗原ーうるさいぞ。静かにしろー」


今は”授業中”だったからだー。


”授業がつまらない”と話題の国語の先生ー、

井上先生がそう呟くと、

誠一は「いっ…そういえば、授業中だったー」と、

焦ったような様子で口を閉ざすのだったー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今年最初の長編ですネ~!

物語は2年目の夏に突入デス~!☆


次回はいよいよ第30話★!

本当の高校生活みたいにあっという間に時が

流れていく気持ちデス~笑


次回も楽しみにしていて下さい~!

今日もありがとうございました~!

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