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彼女は、絶望していたー。

クリスマスイブの夜ー。


仕事に疲れ果てて帰路についていた

20代中盤のOL・桂里奈(かりな)は、

ため息をつく。


周囲にはカップルー

子連れの親子ー。


桂里奈は思わず舌打ちをする。

カップルは別にどうだっていい。

桂里奈には結婚願望もないし、

好きにすればいいと思っている。


けれどー

”子供”は許せなかった。


桂里奈は超がつくほどの子供嫌いだ。

親子連れの子供の声を

聞くだけでもイライラが止まらない。


そうなってしまった理由はわからないー


自分が両親から虐待を受けて

育ったせいかもしれないー。


サンタクロースからのクリスマスプレゼントを

楽しみにしている子供や、

クリスマス当日にクリスマスプレゼントを

もらって喜んでいる子供を見るだけで

正直、反吐が出る。


それほどまでにー

子供が大嫌いだった。


「---」

街中には幸せそうな子供たちの姿が

次々と目に入る。


「---最悪っ!」

桂里奈はそう叫ぶと走り出した。


早く家に帰りたいー

こんなところで、クリスマスムードを

味わっていたくないー


桂里奈は走るー。

子供たちにこれ以上腹を立てないように…


「---」

あの曲がり角を曲がれば家だー。


そんな風に思いながら曲がり角を曲がったー

その時のことだった。


ちょうど曲がり角から出てきた人影と

桂里奈は正面衝突してしまった。


「ふぎゃっ!?」

「ぐおっ!?」

吹き飛ばされる二人。


「いったたたたた…

 ご、ごめんなさい…」

桂里奈はそうつぶやきながら

立ち上がるー


”あれ…?”

なんだか、身体の感覚が変だー。


それにー

今、自分の口から出た声が

男の声だったようなー


「…って、きゃあああああっ!?」

桂里奈が驚いて悲鳴を上げるー。


桂里奈の目の前には、

もう一人、桂里奈がー

つまり、自分がいたのだった。


「うわあああああああっ!?!?」

目の前にいる桂里奈も悲鳴を上げた。


そしてー

同時に叫んだ。


「わたし」

「わし」


「…がいる!」



とー。


二人は、正面衝突した衝撃で

入れ替わってしまったのだったー


・・・・・・・・・・・・


「----本物のサンタさん?」

サンタ(桂里奈)が聞くと、

桂里奈(サンタ)はうなずいた。


「そうじゃ…人間たちには見えないはずだし

 君たちが言う”透明人間”の状態で

 いつもは行動してるんじゃが…

 今はついうっかり透明になるのを

 忘れていたんじゃ」



桂里奈(サンタ)が

桂里奈の声でそう言ったー。


自分の身体で”じゃ”とかなんとか

言われると結構不気味だー。


「--なんだか、うっかりさんですね」

サンタ(桂里奈)が言うと、

桂里奈(サンタ)は苦笑いしたー


「さて…どうしたものかのぉ…

 もとに戻るための方法は…」

桂里奈(サンタ)が考え込むような

しぐさを見せる。


「-----…」

サンタ(桂里奈)は

”サンタクロースって本当にいたんだ”と思いつつも

”あること”を思いついたー。


桂里奈は子供が嫌いだー


無邪気にサンタクロースを信じて、

サンタさん来てくれるかな、みたいなことを言う

子供は本当に虫唾が走るほど嫌いだー。


そしてー

サンタさんからのクリスマスプレゼントに

喜んでいるような子供は、もっと、嫌いだー


あの笑顔をー

”壊したい”


サンタになってしまった桂里奈はそう思った。


そしてー


「わたしが、プレゼントを配りましょうか?」

サンタ(桂里奈)はそうつぶやいたー。


クリスマスイブの夜ー。

確かに時間的な猶予はない。

桂里奈になったサンタクロースはがに股で

歩きながら近寄ってきて、そしてつぶやいた。


「じゃあ…君に任せよう…」

桂里奈(サンタ)が言うー


桂里奈(サンタ)は

サンタクロースとしての仕事を説明した。


やり方を聞いたサンタ(桂里奈)は

”プレゼントの出し方”や

”家への侵入方法”などを初めて聞いて

”サンタさんって大変なのね…”と

心の中でつぶやいたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


サンタクロースと別れた

サンタ(桂里奈)は笑う。


「うふふふふ~

 わたしがサンタさんって、なんかいい感じ~!」


空飛ぶソリに乗りながら笑う

サンタ(桂里奈)。

まさか本当にサンタがいて、

本当にこんな風にサンタクロースに

なることができるなんて…


「これが男の人の身体の感覚なのかな…?

 あ、でも、サンタクロースだから

 ちょっと違うのかな…?」

いろいろなことを考えながら

サンタクロースになった桂里奈は、

最初の子供の家にたどり着いた。


「わお!すごい!」

透明人間状態で家に入ることができたー。


これが、サンタクロースの力。

思わず自分でぱちぱちと拍手をしてしまうー。


そしてー

寝ている子供を前にして笑みを浮かべたー。


”ゲームが欲しいです”


子供の枕元にはそう書かれたメモが

置かれていたー。


サンタの力によって

この子の望む物が、すでに用意されているー。


だがー

サンタになった桂里奈はそれを

子供の枕元には置かなかったー


そしてー


”げーむ”とひらがなで書いたメモを

入れた袋を、子供の枕元に置いた。


「わたしは子供たちに悪夢を届ける…!」

サンタ(桂里奈)は笑ったー


あははははは!と笑うと、

次の家に向かうー


サンタ(桂里奈)は子供にお願いされたものとは

別のものを枕元に置いていくー。


ある子供には食べかけのお菓子ー

ある子供にはおもちゃの空箱ー

ある子供には唾ー。

ある子供には”あーげない”と書いた手紙ー


子供たちが絶望する様子を見るのが

楽しみだー


「こらっ!」

背後からかわいらしい声がした。


「---!?」

振り返ると、

そこにはサンタコスに着替えた

桂里奈(サンタ)の姿があった。


「ちょっと!わたしの身体でそんな恰好しないで!」

サンタ(桂里奈)が叫ぶと、

「いや、ちょっと手伝ってあげようと思って来たんじゃ」

と、サンタコス姿の桂里奈(サンタ)が言う。


「--…それに…

 何てことをしてるんじゃ!」

桂里奈(サンタ)がかわいらしい声で叫ぶ。


「--子供たちの夢を叶えるのが

 我々サンタクロースの仕事じゃ!

 君は、自分が何をしたかわかっているのか?」

桂里奈(サンタ)が怒った様子で言う。


「うるさいなぁ…だいたい子供は生意気なのよ!」

サンタ(桂里奈)はイライラした様子で言うー。


「---…今すぐ引き返して

 ちゃんとしたプレゼントを置いてくるんじゃ!」

桂里奈(サンタ)が言う。


「わしも一緒に手伝ってやるー…だから…!」

桂里奈(サンタ)の言葉に

サンタ(桂里奈)は笑った。


「…今は、わたしがサンタよ」

にやりと笑うとサンタ(桂里奈)はそのまま

ソリに乗って、空を飛び始めた。


「--どうしようと、わたしの勝手でしょ!」

そう叫んで飛び去って行こうとするサンタ(桂里奈)


「待つんじゃ!このままだと君は…!」

桂里奈(サンタ)が叫ぶ。


その時だったー


「お!かわいいじゃん!サンタさん発見~!」

背後から金髪のチャラそうな男がやってくる。


「--な、なんじゃお前は?」

桂里奈(サンタ)がそう言うと、

金髪男は笑ったー


「--なんだその喋り方!?

 面白いなぁ~へへへ…

 サンタさんの恰好して何してんの~?」


チャラい男がニヤニヤしながら

話しかけてくる。


「---い、今はそれどころじゃー」

桂里奈(サンタ)が慌てて振り返るー。


しかしー

すでにサンタの身体になった桂里奈は

飛び去ってしまっていたー


「---!」

チャラい男が桂里奈(サンタ)の肩をつかんだ。


「---一人じゃさみしいだろ?

 一緒に性夜を楽しもうぜ?」


金髪男はにやりと笑みを浮かべるのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・


サンタになった桂里奈は子供たちに

”悪夢”を届けたー。

子供たちのお願いを完全に無視し、

子供たちができる限り絶望するようなー

そんなものを届けたー。


”ゲーム”を欲しがっている子供には

ゲームの外箱だけをプレゼントしたりー


”お菓子”を欲しがっている子供にはー

食べかけのお菓子をプレゼントしたりー


”可愛いぬいぐるみ”を欲しがっている子供にはー

穴だらけにしたぬいぐるみをプレゼントしたー


「うふふ!明日が楽しみ!」

サンタ(桂里奈)は笑うー。


明日、この身体で子供たちの様子を確認したら

元の身体に戻してもらおうー


そんな風に考えながら

サンタ(桂里奈)はくすくすと笑ったー。


しかしー


光が現れたー


そしてー

”掟”を破ったな


という声が聞こえてー

そのままサンタ(桂里奈)は光に吸い込まれたー


サンタ(桂里奈)が気付くと、

そこは、巨大なクリスマスツリーがそびえたつ

謎の空間だった。


「こ、ここはどこ…?」

サンタ(桂里奈)が周囲を見渡すと、

周囲には何百人ものサンタクロースが

立っていた。


桂里奈を睨みながらー


「…!な、、なにこれ…?」

サンタ(桂里奈)が驚くー


「”サンタ界”の掟を破った裏切り者め…

 その罪、万死に値する」


奥から、黒色のサンタクロースが現れてそう告げるー。


「---な、なにを言ってるの…?」

サンタ(桂里奈)はおびえながら呟くー。


すると、黒いサンタは答えた。


「子供たちに夢を届けるのが我々の仕事ー

 掟を破ったものには容赦しない」


そう言うと、周囲のサンタたちが

一斉にサンタ(桂里奈)のほうに

手を向けたー。


光が放たれる。


「えっ…!?ちょ、ちょっと待って!

 わたしはサンタじゃない!

 わたしは入れ替わって…


 きゃああああああああああああああああああっ!?」


激しい光に包まれた

サンタ(桂里奈)はそのままー


・・・・・・・・・・・・・・・


「待つんじゃ!このままだと君は…!」


”掟”について伝えようとした桂里奈(サンタ)は

彼女に掟のことを伝えることができなかったー。


今頃は、サンタ界に呼び戻されて

粛清されているかもしれないー


そんなことを思いながらー


「あっ♡ あっ♡ 

 あっ♡ あぁぁ~ん♡」


サンタコスを身に着けた桂里奈(サンタ)は

喘いでいた。


金髪男にラブホに連れ込まれて

そのままエッチなことをさせられてしまっていたのだ。


人間のこういった行為のことがよくわからない

サンタは、生まれて初めて味わうこの快感に

身を委ねていたー


「あんっ♡ き、、、気持ちいいのぉぉぉぉ♡」


桂里奈(サンタ)は、

大声で喘ぎ、そして、気持ちよさそうに

身体を震わせたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月後ー


桂里奈は仕事を辞めたー。


あのクリスマスの日ー、

性欲に溺れた桂里奈(サンタ)は

仕事を辞めて

夜の街で働き始めた。

自分の身体を売る仕事を始めた。


「うほっ♡ おなごの身体はきもちいいのぉ~♡」


今日も、

桂里奈の甘い声が夜の街に響き渡るのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


クリスマスモノを用意してみました~!


今年はクリスマス当日にしましたが、

本当はイブの日に載せたほうが

いいのかもしれませんネ~


今日もありがとうございました~!

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