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毎日毎日”身体”を乗り換える男ー。

彼に皮にされた人間は、その日から、次の日の夜まで、

その身体を勝手に使われ続けるー…。


友達から友達へー。

そして姉から妹へー。


移動を繰り返す男は、今日もまた欲望を楽しもうとしていたー…


☆前回はこちら↓☆

<皮>ツギノカワ②~悪意の連鎖~

バイト先の先輩の様子がおかしいー。 そんな風に思っていた和美は、その日の夜に ”バイト先の先輩”の中に潜んでいた男に皮にされて乗っ取られてしまうー。 そして、その翌日ー。 今度はその和美の友達、優香が”和美の様子がおかしい”と 違和感を覚えるー。 優香は、そんな和美の様子を心配していたものの、 和美と同じよ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


♪~~~~


ご機嫌そうに鼻歌を歌いながら男は、帰宅したー。

自分が住んでいるマンションの一室の前にたどり着くと、

鞄から鍵を取り出し、そのまま扉を開けるー。


その手には、ケーキの入った箱が握られているー。


今日は娘・里緒菜(りおな)の誕生日ー。

現在、毎日毎日、娘の成長を噛みしめながら

過ごしたこの1年を振り返る、そんな日だー。


”相馬(そうま)”と書かれた表札のある部屋に入っていく男ー。


「ーーーただいま」

男が、里緒菜と、中で待っているはずの妻・小夜(さよ)に

向かって、そう言葉を口にするー。


思えば”昔”は色々と悪いこともしたー。

だが、彼自身も歳を取り、丸くなったー。


10歳年下の”絶対に守り抜きたい”そんな女性と出会い、

こうして結婚、家庭を持ったー。


ここに至るまでには色々あったー。

しかし、今はもう昔の自分ではないー。


今は、ただーーー


「ーーー…クククク…お帰りなさいー」

ニヤリと笑みを浮かべながら、妻の小夜が振り返るー。


「ーーー…さ、小夜?」

男は、小夜の異様な雰囲気に驚きながら、表情を曇らせるー。


すると、小夜は笑みを浮かべながら、

自分の後頭部のあたりを触ったー。


「ーーーーーー!」

男は、小夜の異様な仕草に目を見開くー。


次の瞬間、小夜は後頭部のあたりをペリッとめくるようにしてー、

”自分自身を”脱いだー。


「ーーお、お…お前はー…?」

震える夫ー。

手に握られていたケーキの箱が、音を立てて床に落下するー。


”妻の小夜から人が出て来たー”


そんな、驚きの光景が男の眼前に広がっていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


意識を取り戻した優香は、表情を歪めるー


「わ…わたし……」

優香は、頭を押さえるー。


ついさっきまで、男に”皮”にされて乗っ取られていた優香ー。

しかし、その男が優香の妹である愛花に”移動”したことで

優香は解放されたー。


がー、優香には皮にされていた間の記憶がなくー、

その前後の記憶がないー。


”あはっ…♡ あはははっ♡ ハハハハハハハ!”


隣の部屋から、妹・愛花の笑い声が聞こえて来るー。


「ーー愛花ってば、こんな時間なのにー…

 漫画でも読んでるのかなー…」


そんなことを思いながら、優香がフラフラと立ち上がると、

机の上には、不自然な形でスマホが置かれていたー。


「ーーー!」

スマホを見つめた優香は、表情を思わずさらに歪めるー。


”スマホに表示されている日付”が、

優香の思っている日付より、1日後だったからだー。


それもそのはずー

昨日の夜から、今日の夜ー、さっきまで乗っ取られていた優香から

すれば、1日飛んでいるように感じるのも無理はないー。


”あれ…わたし…

 確か、変な感じだった和美ちゃんが謝りにきてー、

 それで一緒にコンビニに行ってー…”


そこまでは思い出すも、優香はそれ以上思い出すことが出来ず、

頭痛を感じながら首を横に振るー。


実際にはそのあと、親友である”和美”の中にいた男によって

身体を乗っ取られていたもののー…

その、記憶はないー。


「ーー!」

戸惑いの中、優香はふと、机に置かれたメモに気付き、それを確認するー。


”記憶がない間、自分が何をしてたのか、教えてあげる”

と、そう書かれたメモを見て、

優香はスマホに動画が保存されていることに気付いたー。


その、内容はーーー

”自分の部屋で、自分の身体の快感に溺れ、喘ぎ狂うわたし”の姿だったー


「な、な、何コレー…!?」

優香は思わず、何かの間違いだと、もう一度動画を見直すー。


自分でこんなことをした覚えはないー。

今はそうー、フェイクとかも出回っているし、

その類のものではないか、と、そう思ったのだー。


だがーー

優香が部屋で一人”お楽しみ”をする映像のあとに、

ニヤニヤしながら、”優香”が自撮りでカメラに語り掛ける映像も

保存されていたー


”やっほ~!”正気に戻ったわたし”ー”

動画の中の優香が挑発的に笑うー。


「ーーえ…」

青ざめる優香ー


”昨日、友達のー…和美、だったっけ?

 あの子の様子がおかしかったことまでは、覚えてるかな?”


動画の中の優香の言葉に、優香は「そ、それは覚えてるけどー」と、

小声で呟くー。


”和美”を皮にしていた男に、”次の皮はお前だ”と、自分まで

乗っ取られてしまったことは流石に覚えていないけれど、

和美の様子がおかしかったことは、覚えているー。


”ーーーその理由が、今のわたしー”

動画の中の優香が、自分を指差して邪悪な笑みを浮かべるー。


「ーーーー…!」

優香は青ざめるー。


”身に覚えのない言動をする自分からのメッセージ”に

気味の悪さを感じながらも、優香はその動画を更に見つめるー。


”ーーーふふふふふ…

 この動画はフェイクなんかじゃないよー

 正真正銘の”わたし”ー


 まぁーーーそうー、”わたし”の身体が勝手に使われている状態、

 と、でも言えばいいのかな?


 あはっ♡… あはははははは”


映像の中の優香は、普段の優香と違う笑い方をするとー、

カメラに向かって、囁くようにして言葉を続けたー


”ーー今、”わたし”が正気を取り戻してるってことはー

 どういうことか、分かるかなー?”


煽るような口調ー

煽るような笑みー。


その言葉と同時に、隣の部屋から妹・愛花の狂った笑い声が聞こえて来るー。


「ーーーーまさかー!」

優香は、スマホに保存された

”乗っ取られたわたしからのメッセージ”を最後まで見ることなく、

隣のー、愛花の部屋に向かって走ると、ノックしてから

その扉を開いたー。


愛花は乱れた格好で笑みを浮かべながら、

鏡に映る自分を見つめていたー。


蟹股で胸を揉みながら、鏡を見つめる愛花ー。


愛花が、こんなことするはずがないー。


「ーーうひひひひ…♡

 あ~、お姉ちゃんー、いたんだぁ?」


愛花がニヤニヤしながら言うー。


身体を嬉しそうに震わせながら笑みを浮かべる愛花ー。


そんな愛花を見て、震えながら優香は自分の口から

言葉を振り絞るー


「あ…あなたは…だ、誰…?」

とー。


そんな言葉に、愛花はクスクスと笑いながら、

「妹のこと、忘れちゃったの?お姉ちゃんー」と、

馬鹿にしたような口調で言うー。


なおも胸を揉みながら、気持ちよさそうに笑みを浮かべる

愛花を見て、「愛花は…愛花はそんなことしないから!」と、

叫ぶと、愛花は「わたしの本当の姿ー知らないだけでしょ?」と、

ニヤリと笑うー。


「ーーーーそ、そんなことー」

優香は、”自分の記憶が丸一日”飛んでいることよりも、

何よりも、今の愛花の状況を心配していたー。


「ーーーー…くくくくー、まぁ、いいかー」

愛花は、胸を揉むのをやめると、ドサッと、ベッドに

だらしなく座りながら笑みを浮かべたー。


「ーーースマホの動画、見ただろ?」

愛花の言葉に、優香は頷くー。


「ーー今の”わたし”は、”さっきまで”のお姉ちゃんー

 そしてー、昨日の夜までの和美ちゃんー」

愛花がニヤリと笑いながら、そう呟くと、

優香は震えるー。


昨日は、和美の様子がおかしかったー。

そして、昨日の夜から、今日の夜までの”自分”の記憶がないー。

さらに、今は妹の愛花の様子がおかしいー。


「ーーー…ぜ、全部…あなたのせいなの?」

優香が困惑しながら言うと、

愛花はニヤッとしながら、自分を抱きしめて笑うー。


「ー今は、この身体が俺のものー

 んふふふふふふ…

 ”お着替え”はやめられないなぁ…♡」


顔を真っ赤にしながら、嬉しそうに自分を抱きしめている愛花を見て、

優香は「や、やめなさい!愛花!」と、叫ぶもー、

愛花にその言葉など伝わるはずもないー。


”お着替えー”

毎日毎日、”次の皮”に着替えて、欲望の限りを尽くすこの男に

着られてしまった人間は、どんなに意思が強かろうと、

抗うことはできないのだー…。


「ーーーくくくく…無駄だよー無駄」

愛花はそう言うと、

「今の”わたし”はお姉ちゃんの言うことなんか、聞かないもんー」と、

悪意に満ちた笑みを浮かべながら、優香を見つめたー。


「ーーーーあ…愛花を返して…!」

優香が涙目でそう言い放つー。


しかしー、優香の涙を見た愛花はニヤニヤしながら

顔を近づけるとー、

頬にこぼれた涙をペロリと舐めて、笑みを浮かべたー


「お姉ちゃんの涙…おいしい♡ くふふふ…」

愛花のそんな言葉に、優香はゾワッ…と、悪寒を感じながら

愛花のほうを見つめるー


「いいねぇ…その顔ー…

 わたし、興奮しちゃう♡」

愛花はそこまで言うと、チラッと時計を見つめるー。


散々、優香のことを揶揄ってやったが、もう終わりだー。

そろそろ、”お出かけ”をする時間だー。


今日は存分に”夜遊び”でも楽しもうと、男は考えていたー。

そのついでに、さっき”皮”にする直前に人の指に噛みついて来た

この”愛花”にお仕置きもしてやらなければならないー。

もう、優香と遊んでいる時間はないー


「ーーーーーさて、と、俺は出かけるとするかなー」

愛花はそう言いながら立ち上がると、優香は「で、出かけるー…?」と、

呆然とした表情を浮かべるー。


「ーーあ、愛花の身体でー…ど、どこに行くつもりなの!?」

時間はもう夜だー。

姉の優香が心配するのは当然だー。


がー、愛花はニヤニヤしながら振り返ると、

突然ー”自分の頬”を触りながら、

それをあり得ないぐらいに”引っ張り”始めたー。


皮にされている愛花は”異常に伸び”てー、

恐ろしい光景を晒すー。


「ひっ…!?」

優香が怯えた表情で、愛花を見つめるー。


さらに愛花は、自分の後頭部のあたりに手を触れると、

そのまま”頭”を脱ぎ始めたー…。


突然、妹の顔が”割れる”ような光景に驚きの表情を浮かべる優香ー。

ペロリと、愛花の顔がめくれて、その中から”男”が、出て来るー。


「ーーククククー ”人を皮にする力”ー

 素晴らしいだろうー?」


愛花の皮の”顔”の部分だけ脱いだ男が笑うー。


あまりの恐ろしい光景に、優香はその場で気を失って

倒れ込むー。


「ーークク」

”優香”を気絶させるためにあえて、”愛花”の皮の頭の部分だけ脱いだ男は

笑いながら、愛花を再び着ると、

「じゃあねーお姉ちゃん」と、クスッと笑いながら、

そのままその場を後にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


優香は、両親と共に”帰宅しない愛花”の行方を追っていたー。


”愛花”は、昨日の夜に家を出たっきり、帰って来ていないのだー。


愛花のことを話しても、両親にはなかなか信じてもらえずー、

また、スマホに残されていた”乗っ取られていた時のわたしからの

メッセージ”動画は削除されていたー。


両親は警察に捜索願も提出ー。

必死に、愛花の行方を追っていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日の夜ー。


”ギャル”のような姿に大変貌を遂げた愛花は

ゲラゲラ笑いながら、ふらふらと夜の街の裏路地を

歩いていたー。


昨夜、優香を着ていた男に乗っ取られた愛花は

家を出たあとに、”まるで別人のように”男の意のままに

ギャル化させられてしまいー、

そのまま一晩中遊び回りー、今日も夜まで

狂ったように遊び回っていたー。


しかも、その途中に、ゲームセンターで知り合った

いかにもヤバそうな金髪の男に勝手に告白して

”彼女”になってしまったー。

これが、”噛みつかれた”仕返しだー。


「ーへへへへ…やべぇ…遊びすぎたな」

ふらふらして裏路地のごみ置き場に倒れ込む愛花ー。


へらへら笑いながら、そのまま寝落ちしそうな様子の愛花を、

通りがかりのOLが見つけて、表情を歪めるー。


「あの…大丈夫ですか?」

OLが声を掛けると、愛花は「ん~~」と、

スカートの中も見えてしまうようなだらしない格好のまま、

笑みを浮かべたー


「”次の皮”はお前だー」

とー。


愛花の中から男が飛び出し、心配して声をかけてくれたOLを皮にするー


そしてーー

OLを乗っ取った男は、そのまま笑みを浮かべながら

愛花を”人間”に戻して、放置した状態で立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


警察にも捜索願を出して、捜索を続けていた優香たちー。


やがてー、愛花は発見されたー。

ゴミ置き場で意識を失っている状態で発見された愛花ー。


そんな連絡を受けて駆け付けた姉の優香が見たのはー、

”ギャルのような風貌”に変わっていてー、

酷く怯えている妹・愛花の姿だったー。


④へ続く


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コメント


次回が最終回デス~!

今回のお話の冒頭部分も、ちゃんと意味があるので、

それも含めて楽しみにしていて下さいネ~!☆


今日もお読み下さりありがとうございました~~!

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