Home Artists Posts Import Register

Content

スキー教室が終わり、

またいつもの日常が戻って来たー。


しかし、スキー教室の際に

足をくじいた菜々美を助けた翔太(綾)は、

その場面を目撃した隣のクラスの男子二人に、

”この二人は付き合っている”と、茶化される羽目にー…。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㉒~スキー教室~

クリスマス当日ー。 入れ替わった状態のまま、”綾”に告白した翔太ー。 その返事はー ”「わたし」から告白されるんじゃなくて、「他の誰か」から  告白されたいー” と、いうものだったー。 その言葉を聞いて、改めて元に戻れるその日まで頑張ることを誓う翔太ー。 そして、3学期を迎え、最初の行事である”スキー教室”の...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


遠藤 翔太(えんどう しょうた)

C組生徒。大人しく、奥手な性格の持ち主。綾と入れ替わってしまう。


星村 綾(ほしむら あや)

C組生徒。可愛らしい雰囲気に、明るい性格の持ち主。翔太と入れ替わってしまう。


神田 哲真(かんだ てつま)

C組生徒。翔太の中学時代からの友人。女子は苦手。


伊藤 菜々美(いとう ななみ)

C組生徒。翔太が小さい頃よく一緒に遊んでいた子。


倉守 詩音(くらもり しおん)

C組生徒。中性的な雰囲気の女子。美術部に所属。


★脇役も含めた人物紹介はこちら↓★

<人物紹介>僕とわたしの不思議な青春~登場人物図鑑~

長編入れ替わりモノ 「僕とわたしの不思議な青春」の 登場人物図鑑デス! 連載前に予告として掲載した、 主人公たちのクラス名簿の内容に加え、登場する教員や その他の人物もご紹介しています~! ※ネタバレは控えめ(漫画や小説の最初の方のページに書かれている  人物紹介ぐらいの内容…)デス~!  最初にクラス名...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「この二人は、付き合ってるんだぜー」

隣のクラス…B組の男子生徒、末永 拓斗と、

二階堂 倫太郎の二人が、

翔太(綾)と菜々美を指差しながら笑うー。


スキー教室の際に、足をくじいて動くのがつらい状況になっていた

伊藤 菜々美を、翔太(綾)が宿舎まで運んでいく場面を

偶然目撃した二人ー。


”翔太”とも、菜々美とも個人的な付き合いは皆無であるものの、

”男子が女子と仲良さそうにしている”のが気に入らなかったのだろうかー。


揶揄うようにして、教室中に聞こえるように

そんな言葉を口にしたのだー。


「ーーーー」

菜々美は、翔太(綾)の机の側で騒いでいる二人の声を聴きながらも、

”相手にする気がない”という様子で授業の準備を進めているー。


”二階堂くんと末永くんー…あんまりいい評判は聞かないけどー…”

翔太(綾)は心の中でそう思いながら、

「ー伊藤さんが、怪我をしてたから助けただけだよ!」と、

反論するー。


しかし、二人はニヤニヤしながら、

「いやいやいや、隠すんじゃねぇよー」

「イチャイチャしやがって~」

と、揶揄うような言葉を続けるー。


「ーーほ、ホントにそういうのじゃないから」

迷惑そうな表情をしながら、翔太(綾)がそんな言葉を口にするー。


”綾”にそんな顔をされたら、この二人ももしかしたら黙るのかもしれないー。

が、相手が気弱な雰囲気の”翔太”であるからか、揶揄う態度を

やめようとはしないー。


「ーーだったら、証明してくれよ~」

「ほらほら、”伊藤さんなんか好きじゃない”ってこの場で言えよ~」


拓斗と倫太郎の二人がそんな言葉を口にするー。


近くにいる哲真が「やめろよ」と声をかけているが、

二人は、哲真のことも相手にする様子はないー。


”ほ、星村さんー”

そんな様子をー、

窓側の座席の綾(翔太)が、困惑した様子で廊下側のほうを見つめるー。


”ーーと、とにかくあの二人を追い払わないとー”

綾(翔太)はそう思いながら、隣のクラスの二人に揶揄われている

翔太(綾)の方に向かって歩き出したー。


がー、

その時だったー。


綾(翔太)が助けに入る前にー、別の生徒が翔太(綾)に絡んでいる

二人に声をかけたー。


「ーーー付き合ってたら、何か問題でもあるの?」


「ー!」

倫太郎と拓斗の二人が、割って入った女子生徒のほうを見つめるー。


翔太(綾)に助け舟を出したのは、

”付き合ってる”と揶揄われているもう一人の当事者ー、

伊藤 菜々美だったー。


「ーーえ…」

菜々美に睨みつけられて、倫太郎が少したじろぐー。


「ーー…わたしと、遠藤くんが付き合ってたら何か問題でもあるの?


 ”こいつら付き合ってるんだぜ”とか騒いで、

 なんか意味あるの?」


菜々美の怒りの満ちた口調に、拓斗も驚いた様子で、

視線を逸らすー。


「ーい、伊藤さんー」

翔太(綾)が、言葉を掛けるも、菜々美はそれを無視して

さらに拓斗と倫太郎の二人組に対して言葉を続けたー。


「わたしと、遠藤くんはたまたま一緒にいただけ。

 あんたたちは、”一緒にいただけで”付き合ってることにしちゃうわけ?」


菜々美の言葉に、拓斗と倫太郎は顔を見合わせながら

「だ、だってー、そ、そう見えるだろー!?」と、

倫太郎の方が反論すると、

菜々美は、二人を指差して、ハッキリとした口調で言い放ったー


「わたしと遠藤くんが一緒にいただけで付き合ってることになるんだったら、

 いつも群がってるあんたたちこそ、付き合ってるんじゃないの?」


”翔太と付き合ってる”扱いされて、揶揄われた菜々美は

逆に”倫太郎と拓斗を付き合ってる扱い”して、反撃したー。


一緒にいただけで付き合ってる扱いされるならー、

こっちだって、してやるー

そう、思いながらー。


「ーー…~~~」

倫太郎と拓斗が、互いの顔を見つめながら青ざめるー。


「ーへ~お前ら付き合ってんのか。仲良くしろよ」

お調子者の栗原 誠一が揶揄うようにしてそう言うと、

「ーそりゃすげぇや!今は男同士も珍しくないもんな!」

と、綾の隣の座席の男子、須藤 渉も助け舟を出してくれたー。


思わぬ反撃を受け、揶揄われる立場になった拓斗と倫太郎の二人は

恥ずかしそうに顔を赤らめながら、

そのまま教室から立ち去っていくー。


「ーーーあ、ありがとうー」

翔太(綾)は、絡まれているところに助け舟を出してくれた

クラスメイトたちにお礼の言葉を口にすると、

助けに入ろうとしていた綾(翔太)も、安堵の表情を浮かべるー。


”そういえば、伊藤さんー、小さい頃も

 揶揄われてた僕を助けてくれたりしたなぁ…”


そんなことを思い出す綾(翔太)ー。


何で揶揄われていたか忘れてしまったけれどー、

当時のクラスメイトに揶揄われていた時に、

”伊藤さん”は、”そういうのやめなよ!”と、強気な態度で

守ってくれたー。

それも、何回かそういうことがあった気がするー。


普段や穏やかで優しくー、面倒見が良かった

”お姉ちゃん”的な存在ー。


それなのにー、

今はー。


綾(翔太)は、”付き合ってるって言うのはたとえ話だからー”と、

周囲に言っている”今の菜々美”の姿を見ながら、

少しだけ寂しそうに表情を曇らせたー。


”なにが”

伊藤さんの心を曇らせてしまったのだろうかー。

高校で再会して、間もなく1年ー。

それは、まだ分からないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


後日ー。


綾(翔太)が帰宅して、いつものように”綾”として家で

過ごしていると、

「ーあ、お姉ちゃん!今年は”どうする”~?」と、

綾の妹・美桜がそんな言葉を口にしながら、部屋に入って来たー。


「ー今年…? どうするって?」

綾(翔太)がきょとんとした表情を浮かべていると、

美桜は「ふっふっふ~お姉ちゃんってば、とぼけちゃって」と、

笑いながら言葉を口にすると、

「ーほら!来週のバレンタイン!」と、心底楽しそうに言葉を口にしたー


ばー…ばー、、、ばー、ばれんたいん!?


綾(翔太)は、そう思いながらすぐにー、

「ー”本命”なんて貰ったことないしーあはは…」と、

自虐的な言葉を口にするー


「ーーえ…?え??貰う?お姉ちゃんー本命チョコ欲しいの?」

と、”入れ替わっている”ことを知らない美桜が頭に「?」を

浮かべながら言うと、

「あ、ううんーなんでもないー」と、すぐに綾(翔太)は、

自分の発言ミスに気付いて言葉を訂正したー。


「ーー…わ、わたしは~…」

綾(翔太)は、そこまで考えながら

”そ、そっかー今年は僕、女子なんだーーーー”と、

考えて、そこで思考停止してしまうー。


”ど…どうすればーーーいいのかな?”

綾(翔太)はそんなことを思いながら、美桜に適当に返事をして

誤魔化すと、すぐに翔太(綾)に連絡を取ったー


”あー!そっか、バレンタインー!

 遠藤くんの身体だと、あんまりバレンタインの話題が出ないから

 忘れてたー!”


翔太(綾)は電話の向こうでそんな言葉を口にすると、

”わたしはいつも、美桜と美味しそうなチョコを買いに行って、

 友達に配ったりしてたよ~”と、そんなことを教えてくれたー


「へ~…なんか女子って大変なんだなぁ~」

綾(翔太)は感心した様子でそう言うと、

「じゃあ、美桜ちゃんと選べばいいのかな?」と、言葉を口にするー。


翔太(綾)から、”今までこんな感じでやってた”と教えてもらうと、

綾(翔太)は、「分かった…じゃあ、そんな感じでやるよー」と、

少し緊張した様子で言葉を口にしながら、頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


バレンタインデー当日。


妹の美桜と共に選んだチョコとーー…

”小包”に入ったチョコを手に、学校にやってきた綾(翔太)は

顔を赤らめていたー。


先日ー…翔太(綾)に言われた通り、妹の美桜とチョコ選びに出かけた

綾(翔太)は、美桜に”半分強引に”本命チョコまで買わされてしまったのだー。


”ーーはい、お姉ちゃん!これ!遠藤さんにあげる本命チョコ!”

とー。


”えっ!?えぇっ!?”

綾(翔太)は当然、必死に否定したもののー、

結局、綾(翔太)として、翔太(綾)に本命チョコを渡す羽目に

なってしまったのだー。


朝早くー、

翔太(綾)を呼び出した綾(翔太)は、

恥ずかしそうにそれを手渡すー。


「ーど、ど、どうして、僕が僕に本命チョコを渡してるのかー、

 僕もよく分からないんだけどー」

綾(翔太)が恥ずかしそうにそんな言葉を口にすると、

翔太(綾)は「あははー美桜に言われたんだね~」と、

笑いながら、”本命チョコ”を受け取ったー


「ーーでも、ありがとうー」

翔太(綾)のそんな言葉に、綾(翔太)は、

「ど、どういたしまして…」と、少し寂しそうに返事をするー。


一瞬ー、”翔太になった綾”からも本命チョコが貰えたりしてー、

などと期待したものの、結局本命チョコは”0”のままでー、

”ちぇっ”と、内心で少しだけ拗ねながら教室に戻るー。


がーー


「ーあ!綾!はい!今年は自信作!」

綾の親友・穂乃果がそう言いながら、笑顔でチョコを手渡してくるー。


「ー今年は、綾に負けないんだから!」

少し嫉妬じみた口調で言う穂乃果ー。


どうやら、毎年”友チョコ”とでも言えばいいのだろうかー。

そういうものを、交換しているようだー。


「ー…あ、ありがとうー」

綾(翔太)は思わず顔を赤らめてしまうー。


”女子から”こんな風にチョコを貰う経験が、あまり翔太にはないー。

”今は自分も女子”だから、別に特別な意味のあるチョコでは

ないと思うけれど、こうして穂乃果からチョコを貰えるのは

嬉しいことだったー。


「あ!綾ちゃん!ウチもー!はい!」

前の座席の笹野 翔子が、笑いながらチョコを手渡してくるー。

ちょっと崩れているものの、手作りのチョコのようだー。


「スキー教室の時は、ありがとうー」

後ろの座席の野坂 優菜も、そんな言葉を口にしながら、

少し高そうなチョコを渡してくれるー。


「ーーはい、遠藤さんにも~!」

報道部の小柄な女子生徒・岡崎香奈枝が、可愛らしい

キャラクターのチョコを手渡してくるー。


「ーこれ…よかったらー」

合唱コンクールの際にピアノを披露していた

自分に自信のない女子生徒・湯川 梓もチョコを手渡してくるー。


「ー細かいことは気にしないで!はいっ!」

誰にでもスキンシップの激しい霧崎 理子は、

全員に奇妙な形のチョコを手渡しているー。


それを受け取った栗原 誠一は「うぉぉ!絶対これ毒だ!」などと

叫びながら笑っているー。


そんな光景を見ながらー

綾(翔太)は、”想像以上に貰えたチョコ”を見つめながら

”女子のバレンタインってー、楽しいかもー”と、

思わず笑みを浮かべたー。


「ーーあはは…」

翔太(綾)は、すっかり浮かれた様子の綾(翔太)を自分の座席から

見つめながら、苦笑いしていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


翔太(綾)は、クラスメイトであり、

同じ美術部の中性的な雰囲気の女子生徒・倉守 詩音から

チョコを手渡されたー。


「はいーー。君には美術部で世話になってるからねー」

詩音が少し照れくさそうにそう言うと、

翔太(綾)は「ありがとうー」と、優しく微笑むー。


”男子として”チョコを貰ったのは、今日が初めての経験だー。

午前中に、全員にチョコを配ってる霧崎理子や、

綾(翔太)からチョコを貰ったりしたがー、

やっぱり”男子として受け取る”というのは不思議な気分だったー。


「ーボクがチョコを渡すのは、やっぱり変かな?」

詩音がそんな言葉を口にするー


「え、そんなことないよー」

翔太(綾)は、”別の理由”で複雑な表情を浮かべていたのだが

入れ替わりを知らない詩音からすれば

”男として振る舞ってるボクが渡すなんて、やはり変かなー?”と、

そんな風に感じてしまったようだー。


「ーーはは、ならよかったー。

 まぁ、深い意味はないし友達として受け取って貰えれば」

詩音が笑いながら言うー。


「うん、ありがとうー」

そう言葉を口にすると、翔太(綾)は、詩音のほうを見て

微笑み返したー。


”ーそうだー…わたしも渡さなくちゃー”


そんなことを思いながら、放課後を迎えた翔太(綾)は、

綾(翔太)に声をかけるー。


そしてー、周囲の人目につかない場所に移動すると、

「はい、これ!」と、笑いながら、手作りのチョコを

綾(翔太)に手渡したー


「えっ… えっ… えっ…いいの!?」

綾(翔太)が顔を赤らめながらも、嬉しそうに叫ぶー。


「ーーふふー、何もないと思ってガッカリしてたでしょー?

 でもほら、朝は時間がもうなかったからー」


翔太(綾)が少しだけイタズラっぽく笑うと、

「あ、ありがとう!本当にありがとうー!」と、

拝むような形で嬉しそうにそう言葉を繰り返したー。


「ー喜んでもらえてよかったー。

 でも、遠藤くんの身体でチョコ作るの、大変だったんだからねー?

 遠藤くんのお母さんとお父さんにバレないようにしながら

 作ったしー」


翔太(綾)のそんな言葉に、

綾(翔太)は苦笑いしながらー、

「あ、そっかー。”僕”が急にチョコを手作りしてたら、絶対

 父さんも母さんもびっくりするもんなぁ…」と、言葉を口にするー。


「ーでも、昨日ちょうど二人とも留守だったから、そのチャンスにー」

翔太(綾)が笑うー。


綾(翔太)も、笑いながら「本当にありがとう」と、嬉しそうに

チョコを受け取るー。


そして、同時にこう思ったー。


クリスマスのあの日ー

勇気を振り絞って告白した時ー、

翔太(綾)は、こう言ったー。


”ーーー”自分”から告白されるのは、ちょっとー…”


とー。


その気持ちが、今なら分かるような気がしたー。


”僕も、”僕から”チョコを貰うんじゃなくてー…できればー”

綾(翔太)は、そんなことを思いながら、

”いつの日か”ー、”綾”からチョコを貰うことを夢見るー。


「ーーいつか、”わたし”が、遠藤くんにチョコを渡せるといいねー」

翔太(綾)が微笑むー。


綾(翔太)は「うんー」と、頷きながら

その日が来ることを願って、静かに微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


綾(翔太)と別れて、今度こそー、と下校を始める

翔太(綾)ー


しかしーー


「ー遠藤くんー…ちょっといい?」


「ーーわっ…!?」


廊下の影から、伊藤 菜々美が姿を現して

少し驚いたような表情を浮かべる翔太(綾)ー


すぐに「あ、う、うんー。いいけど、どうしたの?」と、

そう言葉を口にすると、菜々美はカバンから、

チョコを取り出して、それを翔太(綾)に手渡したー。

美味しそうなホワイトチョコレートだー。


「ーーあっ…!あ、ありがとうー」

翔太(綾)が、少し驚きながらも、それを受け取るー。


”今は、昔の伊藤さんとは”別人みたい”って遠藤くんは

 言ってるけどー…

 でも、遠藤くんと伊藤さんは、小さい頃よく遊んでたんだもんねー”


チョコをくれたことに納得しながら

”ほんの少しだけ”何か複雑な感情も抱いていると、

菜々美は「ーこの前は、巻き込んじゃってごめん」と、だけ言葉を

口にするー。


スキー教室の時のことを、茶化された件を言っているようだー。


「ーー…あ、うんー別にー気にしないで」

翔太(綾)がそう言いながら笑うと、

菜々美は少しだけ表情を歪めるー。


そんな菜々美の反応に気付かず、

翔太(綾)は言葉を続けるー


”綾”は昔の”伊藤 菜々美”を知らないー。

しかし、翔太によれば、昔の菜々美はとても優しかったのだと言うー。


この前、二人組に絡まれた時に助け舟を出してくれたのも

そうだし、今は心を閉ざしているような感じでもー、

やっぱり、翔太の言うことは本当なのだろうー。


そんなことを思いながら、


「ーー伊藤さんー…昔と変わったように見えて、

 やっぱりー、その、優しいよねー」


そう言葉を口にする翔太(綾)ー。


翔太のフリをして、何となく放った一言…。


がーーー

菜々美は表情を曇らせながら、静かに口を開いたー。


「ーー言ったでしょ?

 わたしのことは放っておいてってー


 それにーーー

 それを言うなら、遠藤くんも”変わった”よねー」


菜々美の言葉に、

翔太(綾)は一瞬、ドキッとするー。


「ーーーーー……”白いチョコ”、

 嫌いじゃなかったっけー?」


菜々美のそんな言葉に、翔太(綾)はギクッとするー。


翔太とは色々情報交換をしているが、

流石に細かいところまではお互いに情報交換できていないー。


翔太は”ホワイトチョコ”が嫌いなのだろうかー


「ーーー…え… … え…

 あははー、ホラ、僕も小さい頃とは色々、好みが変わったしー


 そ、それに、チョコを貰えただけでうれしいしー」


翔太(綾)が慌ててそんな風に誤魔化すと、

菜々美は「そー…それならいいけど」と、言葉を口にして、

そのまま立ち去っていくー。


「ーーーーー…」

一人残された翔太(綾)は、表情を歪めるー。


”伊藤さんは、遠藤くんがホワイトチョコが苦手だって

 知ってたのにー、

 なんで、わたしにー…?”


「ーーー…」

翔太(綾)は、”伊藤さんは、最初から反応を試そうとしてー?”と、

静かな不安を感じるのだったー…。


㉔へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★1-Cの日常★


退学になった柳沢祐樹からいじめられていた

丸岡富雄は、クラスメイトの湯川 梓から呼び出されていたー。


梓は、見た目はとても可愛いのに、

自分に自信が全くない、ネガティブな子だー。


合唱コンクールの際には、富雄の言葉で勇気を振り絞って、

ピアノ担当を見事にやり遂げているー。


「ーーー…湯川さん、話ってー…?」

富雄がやってくると、梓は緊張した様子で

「あ…あの…丸岡くん…あのねー」と、そんな言葉を口にするー


「ーーえ…??? え…???

 ぼ、僕…な、何かしちゃった…かな?」

富雄が不安そうな表情を浮かべるー。


お互いにネガティブだからか、話がまともに進まないー


「あ…あ、あの…そうじゃなくてー…」

梓はそれだけ言うと、

「ーーこ、こ、これ、よかったらー」と、

”チョコ”を、富雄に手渡したー


「ーーえ… えっ!?!?

 こ、こ、これってー!?」

富雄が戸惑いながら梓のほうを見ると、

梓は顔を真っ赤にしながら、

「わ、わ、わたしなんかのチョコ食べたくないかもだけどー」

と、そんな言葉を口にするー。


しかし、富雄はそんな梓を見返すと、

とても恥ずかしそうにしながらも、

少しだけ笑みを浮かべたー


「ーーーあ、ありがとうー」

と、素直にそんな言葉を口にしながらー。


「ーーー」

梓はあたふたしながらも、嬉しそうに顔を上げると、

富雄は「ありがとうー…一生大事にする!」と、

ドキドキしながらそう言葉を口にしたー。


バレンタインデー当日の、二人にとっては大きな出来事ー。


”似た者同士”ー相性はぴったりー…なのかもしれないー


「ーーーーあ……

 チョコは…一生大事にすると腐っちゃうからー…

 ちゃんと食べてね…?」


申し訳なさそうに梓がそう言うと、

富雄は「えっ!?あ、う、うんー…!」と、

少し恥ずかしそうに頷くのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回から”春”に…★

1年生編は、次回でラストですネ~!☆


2年生編も、そのまま続けてスタートデス~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!

Files

Comments

No comments found for this post.