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王宮に仕えるメイド・シェリーは、隣国から送り込まれたスパイだった…!

ステラという本名を明かし、自分の正体を明かした彼女に

身体を入れ替えられてしまい、投獄されてしまった騎士団長・アーサー。


アーサーの身体を手に入れたステラは、

そのままアーサーの身体で、フライ王国を内側から

破壊していこうと目論むー。


しかし、親友であるロビンは”わずかな違い”から、

入れ替わりのことを見抜き、一人、親友を救おうと奔走するー。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>あなたがスパイでわたしが騎士団長②~幽閉~

フライ王国の騎士団長・アーサー。 そんな彼は、小さい頃からの友人であり、現在は大臣を務めている ロビンから、”内通者”の探し出すことを依頼されていたー。 そしてー、アーサーは”スパイ”にたどり着く。 そのスパイは、1年ほど前に山賊の襲撃により故郷である村を 焼き払われ、山賊討伐にやってきたアーサーに偶然救...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーそれは、誠でございますかー?」

アーサーが率いる騎士団に所属している

副団長のセレドニオが驚いた様子で言葉を口にするー。


アーサーより少し年上の、髭が特徴的な騎士で、

先日は、ステラ(アーサー)の尋問も行っていた人物だー。


「ーーえぇ。アーサーとあのスパイの女は

 ”身体が入れ替わっている”可能性がありますー」

アーサーの親友であり、今は大臣のロビンがそう言うと

セレドニオは「ふむぅ…」と、考え込むー。


牢屋で尋問した際のことを思い出すセレドニオ。


「ーー確かにー…アーサー様のことをよく調べているとは

 思いましたがー…」

ステラ(アーサー)は、”アーサーの個人情報”をそれなりに答えていたー。


が、セレドニオは”答えられない部分もあった”ステラ(アーサー)を見て、

”スパイがアーサー様のことを事前に調べていただけだ”と判断、

そう女王に報告したようだー。


「ーーあいつは、職務以外のことはいい加減でしてねー。

 むしろ、完璧に答えられる方が、おかしいー。

 それに、セレドニオ殿も側でアーサーを支えている身ー。

 たとえ、敵のスパイであってもその身を気に掛けるー…

 アーサーとは、そういう男だということはご存じでしょう?」


ロビンがそう言うと、

セレドニオは「ふむぅ…言われてみれば、確かにー」と、

言葉を口にするー


セレドニオは生真面目な男だー。

それ故に、”アーサーになったステラ”が完璧に過去のことを答えていて、

ステラになったアーサーが、中途半端にしか答えられなかった、となれば

”入れ替わりは嘘”と断定するのも分かる。


一方で、彼はアーサーの騎士団に既に数年所属しており、

副団長として彼を支えているー。

彼のことは、ロビン同様によく知っているはずだしー、

”最近のアーサー”のことは、何ならロビンよりよく知っているはずだー。

それに、セレドニオは生真面目な性格ー。

アーサーの処刑を阻止するには、まずは味方につけておきたい存在だったー。


「ーーー分かりましたー。信じましょうー。

 して、私はどうすれば?」

セレドニオのそんな言葉に、ロビンは「ありがとうございます」と、

頭を下げると、

「ーー私は”執行”の日をできる限り遅らせるように働きかけますー。

 セレドニオ殿には、”できる限り”兵士たちの間に、

 アーサーとあの女が”入れ替わった”という情報を流してもらいたいー」

と、ロビンはそう言い放つー。


「ーなるほどー。少しでも”疑いの目”を、増やしていこうということですな」

セレドニオの言葉に、ロビンは頷くと、そのまま立ち上がったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーご苦労様です」

地下牢の見張り番の兵士がそう挨拶をすると、

ロビンは「これより尋問を行うー」と、

ステラ(アーサー)のいる牢屋に入っていくー。


「ーー」

そして、奥に進むと、

やつれた様子のステラ(アーサー)の姿を確認して、

ロビンは少しだけ笑みを浮かべたー。


「ーーーーやっぱ、女の身体で揉むと気持ちいいのか?」

ロビンは、緊張をほぐすために冗談を口にすると、

「…こんな状況じゃなきゃな」

と、汚れたメイド服姿のまま、ステラ(アーサー)は言葉を口にしたー


「ーはは、まぁ、そりゃそうか」

ロビンは、地下牢の外側にあるイスを動かして、牢屋の側に持ってくると、

そのまま近況を報告したー。


「ー女王に”処刑”の日程をずらすようにお願いしておいたー

 具体的な日付はまだ分からないし、知らせてないが、

 多少は時間稼ぎになるだろうー。


 それと、お前のところの副団長にも話を通しておいたー。

 今、副団長にも力を貸してもらっているー。」


ロビンのそんな言葉に、ステラ(アーサー)は

「すまないなー」と、そう言葉を口にすると、

ロビンは「ー俺こそ、すまんな。すぐに助け出してやれずに」と、

そんな言葉を口にするー。


そして、イスから立ち上がると、ロビンは

少しだけ笑いながら

「絶対にあきらめるなよー」と、力強く言葉を口にするー。


「ーーーあぁ」

ステラ(アーサー)は、壁に寄りかかって座ったまま、

弱弱しくそう呟くー。


「ーー”俺の身体を好きにしてもいい”

 って、この前言ったよなー?


 約束、守れよ?」


ロビンがそんな冗談を口にすると、

ステラ(アーサー)は「ふっ」と、笑ってから

「メイド姿でも、中身は俺だぜ?」と、冗談めいた言葉を返してくるー。


そんな様子を見て、ロビンは

「やっぱ、アーサー、お前だ」と、改めて中身が

アーサーであることを確信すると、そのまま地下牢の外へと

出て行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーおい、聞いたか?

 アーサー様と女スパイが入れ替わってるって噂ー?」


「ー嘘だろ?そんなことあるはずがねぇ」

「あぁ、俺もそう思うー」


「でも、最近のアーサー様、なんかちょっと違う気がするんだよなー…

 こうー…言葉では言い表せないようなー…」


アーサー(ステラ)が王宮の廊下を歩いていると、

そんな言葉が聞こえて来たー。


「ステラさんー」

背後から、アーサー(ステラ)の”中の人の名前”で呼ぶ声が聞こえたー。


”ーーーえっ!?”

ステラは一瞬、心に動揺が生まれるー。


がーー

振り返ってすぐに、”アーサー”としてのキリッとした

表情を浮かべるー


「なんだー。チャーリーか。

 どうして裏切者の名前で俺を呼ぶ?」

アーサー(ステラ)がそう言うと、

チャーリーは笑ったー。


「ーー…へへっ…今、”ステラ”呼ばれて振り返りませんでした?


 団長とあの女スパイが入れ替わったとかー、

 兵たちが最近はあんなことばっかり噂しててー

 笑っちゃうっすよね」


アーサーの部隊に少し前に配属された新人騎士・チャーリー。

”練習をよくサボっていた”ため、

アーサーがスパイ探しをしている際、メイドのシェリーと共に

アーサーの中で”容疑者”として候補に挙げられていた三人の一人だー。


そのチャーリーが揶揄うようにして、

アーサーのことを”ステラ”と呼んだのだー。


「ーーーーー戯言だ。

 女スパイの悪あがきに耳を貸す必要などない。

 俺は、俺だー」


アーサー(ステラ)が言うと、

チャーリーは「そうっすよねぇ」と、言いながら笑うー。


がー、”ステラ”と呼ばれて振り返ってしまったことに、

アーサー(ステラ)は少しだけ表情を曇らせていたー


”ーー誰か、入れ替わりのことを疑っている人間が

 いるようねー”


アーサー(ステラ)は、そんなことを頭の中で考えると、

大きくため息をついてから歩き出したー。


「ーーー騎士団長は、わたしよー」

そう呟きながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ロビンと騎士団副団長・セレドニオの計画は上手く進んでいたー。


ロビンが王宮内で”根回し”をして、

”ステラ”の処刑実行までの時間を引き延ばしつつ、

アーサー(ステラ)がボロを出すのを待つー。


そして、セレドニオもアーサー(ステラ)を見張りつつ、

兵士たちに”アーサー様と女スパイは入れ替わっている”という情報を

上手く流し続け、王宮内を”疑心暗鬼の状況”に陥らせたー。


女王ヴィオラも近日中に調査に乗り出す模様で、

二人の作戦は順調に功を奏していると言えたー。


だがーーー


翌日ー。


女王ヴィオラの”尋問”の際にそれは起きたー。


王宮のホールにやってくる女王ヴィオラ。

あくまでも”話を聞く”という名目で、アーサー(ステラ)を呼び出し、

その場で女王ヴィオラが直接”質問”するー。


その周囲には騎士団の面々や大臣、その他王宮関係者の重鎮たちが、

並んでいるー。


その場で、”それ”は起きたー。


「アーサー、あなたも知っての通り、今、この王宮内では

 あなたと、ドラゴン帝国のスパイが”入れ替わっている”という

 噂が流れていますー」


女王ヴィオラは玉座の前に立ち、

ハッキリとした口調でそう言葉を口にするー。


まだ若いが、その雰囲気からは”女王”としての確かな威厳も感じるー。


「ーーー…」

ロビンとセレドニオがその成り行きを見守るー。


その場にいる大臣や騎士たちがざわめくー。


「ーアーサー…。あなたの言い分を、今一度聞きましょう」

女王ヴィオラがそう問うと、アーサー(ステラ)は少しだけ笑ったー


「ーー女王様ー。

 それはつまり、この私をお疑いということですかー?」

とー。


「ーーーー解釈は、あなたに委ねます」

ヴィオラは、ハッキリとは答えないー。


「ー…く、ふふふー…

 いや、失礼しましたー。

 女王様も、ここにいる大臣の皆様方もー、

 それに、騎士一同もー…

 残念でなりませんー。

 まさか、私がそんな風に疑われるとはー」


アーサー(ステラ)が、声を張り上げて

動揺ひとつ見せず、そんな言葉を口にするー。


”ーーーー…もう、終わりだなー”

ロビンは、そんな風に思いながら目を閉じるー。


”アーサー”は、あんな態度はしないだろうー。

余計に疑われるだけだー。

これで風向きが変わればー、アーサー(ステラ)も拘束ー、

処断は止まり、後はゆっくりと尋問でもして、

本当のことを吐かせればいいー。


王宮ホール内がどよめいているー。

女王ヴィオラも、表情を歪めながら、アーサー(ステラ)を見つめるー


”ーーーーーーーー…”

そんな様子を見つめていた人物の一人が、表情を歪めたその時だったー。


「ーーー笑止!

 入れ替わりなど、あるはずがないー!

 女王様も、大臣の皆さんも、騎士一同も、

 あのようなスパイの女にたぶらかされるとはーーー」


アーサー(ステラ)は大声でそう叫ぶと、

剣を手にしたー。


「ー貴様!やはり!」

大臣の一人が、入れ替わりは本当であると確信してそう叫ぶー。


騎士団の副団長・セレドニオたちも剣を抜き、

アーサー(ステラ)のほうを見つめるー。


がーーー


「ーー我が剣、我が命、我が身ー

 全てこのフライ王国のためにありー」

アーサー(ステラ)はそう叫ぶとー、

剣で自分の左腕を思いっきり突き刺したー


「ーー!?!?!?!?!?」

その場にいた、誰もがどよめくー。


そして、アーサー(ステラ)は血を流しながら叫んだー。


「ーー私は、今までもこれからも王国のー、

 そして女王様のために働きますー。

 これが、私の覚悟ですー。」


アーサー(ステラ)はそう言うと、

激痛であるはずの血まみれの左腕をかがけて

「我が疑い、これにて晴らしていただきたいー」と、

大声で、そして堂々と叫んだー


「ーーーっっ」

ロビンは表情を歪めるー。


アーサー(ステラ)から

強い気迫と覚悟が、その場にいた全員に伝わったー。

あまりにも、強い気迫ー


”まずいー…”

ロビンは”まさか、女がここまでやるとはー”と、険しい表情を浮かべるー。


「ーーー分かりましたー」

女王ヴィオラは、そんな”アーサーの覚悟”を見て、

表情を緩めると、

「あなたの覚悟と忠誠ー。しかと見届けました。」と、

そんな言葉を口にしてしまうー。


「ーただちに、彼の治療を」

他の大臣にそう指示をするヴィオラ。


「ーー…お、お待ちをー!」

ロビンがその場で女王ヴィオラに進言しようとするも、

「ロビンー。控えなさい」と、言われてしまいー、

”これ以上この場で騒ぐのは”自分までスパイだと疑われかねないと

冷静に判断し、そのまま引き下がったー。


「ーーくそっー……」

ロビンは舌打ちをしながら、

”これでアイツの処刑はむしろ早まるかもしれないー”と、

想定外の反撃に、動揺の表情を浮かべたー。


しかもーー

その日の夜ー


「ーすまぬが、あそこまでされては、

 アーサー様を疑う余地はもうないー」

騎士団副団長のセレドニオも、すっかりアーサー(ステラ)を

信じてしまったのか、この件から手を引いてしまったー。


「ーー…くそっー…

 まぁ…小さい頃からアイツを知る俺以外には、

 分からないかー…」


ロビンはそれだけ呟くと、”次の手を早く打たなければ”と、

慌てた様子で自室に向かって走り出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー報告は以上です。陛下」

男が、そう言葉を放つー。


「ーーご苦労さまです。」

報告を聞いて、満足そうに笑みを浮かべると、

報告をしていた方の男が再び口を開くー。


「しかし、さすがは陛下ーーー

 本人も”ダブル”とは、知らないでしょうなー」


男はそう言うと、”次の指示”を受けて、

笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


地下牢ー。


”執行は、明後日ー。今のうちに思い残すことがあれば、

 済ませておけー”


そう宣告されたステラ(アーサー)は、

表情を歪めていたー。


「ーーーくそっ…!くそっ…!くそっ…!

 俺は…俺は、こんなところでは、死ねないー」


ステラ(アーサー)が髪をぐしゃぐしゃにしながら

壁に頭を押し付けるー。


そこにー、ロビンがやってくるー。


「すまん。アーサー」

ロビンの悲しそうな表情を見て、振り返ったステラ(アーサー)は、

「ー俺、裏切者のメイドとして死ぬのかー?」と、

涙目で言葉を口にしたー。


ロビンは神妙な面持ちでしばらく口を閉ざすー。


がー、少しすると、ロビンは口を開いたー。


「ーーいいやー…まだ手はあるー。」

ロビンはそう言うと、ステラ(アーサー)のほうを見つめるー。


「ーーー!」

ステラ(アーサー)は、その方法を聞くと驚いた様子で

ロビンのほうを見つめるー。


「ーー成功するかどうかは分からないー。

 でも…やれるだけやってみるさー

 だからー、諦めるな」


ロビンはそう言いながら、髪がボサボサになったステラ(アーサー)を見て

「ーそんなんじゃ、せっかく可愛いのに台無しだぞ?」と、

冗談を口にするー。


「ーー可愛くなりたくて可愛くなったんじゃねぇよー」

ステラ(アーサー)はそう言いながら笑うと、

「ーー鉄格子がなけりゃ、キスでもしてやるところなんだけどな」と、

冗談を返したー。


「ーはは、じゃあ、牢屋からお前を助け出せるように頑張らないとな」

ロビンはそう言うと、そのまま立ち上がったー。


”ドラゴン帝国側に”入れ替わりのアイテム”があるに違いないー。

 それを入手することができればー…

 そしてーー…”


こうなってしまった以上ー。

”入れ替わり”が実際に存在することを証明するしかないー。


ロビンは、ステラ(アーサー)の処刑が行われる

明後日までに、それを手に入れることを決意して、

地下牢を後にするのだったー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


物語は終盤へ…★!

果たして身体と名誉を取り戻して、

死罪を免れることはできるのでしょうか~?★


ぜひ楽しんでくださいネ~!

今日もありがとうございました~~!

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Comments

飛龍

これはいけるか……と思ったら、ステラのドラゴン王国への忠誠心と覚悟でひっくり返されちゃったねぇ。これは予想外で面白い展開。果たしてアーサーを助けられるのか……? 次回が楽しみです!

無名

ありがとうございます~!☆ あのまま上手くは…いきませんでした~笑☆ 次回を書くのが私も楽しみデス~!!