Home Artists Posts Import Register

Content

「ーーったく、お前、絶対、加奈(かな)目的だよな~」

藤嶋 浩司(ふじしま こうじ)が、

そんな言葉を口にすると、浩司の家に遊びに来ていた親友、

達川 雅人(たつかわ まさと)が、顔を赤らめながら

「え、え!?そ、そんなことないし!」と、その言葉を否定したー。


浩司と雅人は、同じ高校に通っている”親友”ー。

中学時代に同じ学校になったことで知り合い、

高校も偶然同じ学校であったことから、

こうして、今でも”仲良し”の状態が続いているー。


雅人はよく、”浩司”の家に遊びに来るー。

しかし、その目的はーーー…


「ーーいやぁ、ははー…別に加奈ちゃんに会いに来てるわけじゃなくてぇ…」

雅人が苦笑いしながら、そんな言葉を口にするー。


”ホント、分かりやすいやつだなー”

浩司は、心の中でそんなことを思いながら、雅人のほうを見つめるー。


そうー、雅人が浩司の家に”よく遊びに来る”理由はー、

浩司の妹・加奈に会うためー。


1歳年下の別の高校に通っている加奈は、

とても可愛らしく、愛嬌のある性格の持ち主ー。


雅人は、浩司の家に初めて遊びに来た際に、

加奈と出会ってから、ずっと加奈のことが気になっていてー

”加奈目的で”、浩司の家に頻繁に遊びに来ていたー。


「ーーーふ~ん…じゃあ、今度から外で遊ぼうぜ?」

少し意地悪っぽい表情を浮かべながら、浩司がそんな言葉を口にすると、

雅人はギクッとした様子で、

「い、い、いやぁ…そ、それはー…」と、言葉を口にするー。


そんな会話をしていたその時だったー。


「ーーーあ!達川さん!こんにちは!」

自分の部屋から出て来て、冷蔵庫に飲み物を取りに来た加奈が、

雅人の姿を見て、優しく微笑みながら、

挨拶の言葉を口にするー。


「ーーーか、加奈ちゃん!お、お邪魔してますー」

雅人が、照れくさそうに顔を赤らめながらそんな言葉を

口にすると、

加奈は「ゆっくりしていって下さいね~」と、

優しい口調で、そんな言葉を口にしながら、

冷蔵庫から飲み物を取り出すー。


そして、思い出したかのように、

「あ!そういえば、お兄ちゃんの学校で今度、文化祭ありましたよね?」と、

雅人のほうを見ながら言うー。


「えっ…?あ、うんー。来月のはじめにー」

照れくさそうに雅人がそう言葉を口にするー。


来月の最初の週の土曜日に、浩司・雅人の通う高校の

文化祭が行われるのだー。


「ーわたしも遊びに行っていいですか?」

目をキラキラさせながら、そう言い放つ加奈ー。


「ーーえ、え、も、も、もちろん!

 よ、良ければ僕が案内するよ!」


雅人は顔を真っ赤にしながらそう言うと、

加奈は「わぁ~ありがとうございます!」と、笑いながら

「あ、じゃあごゆっくり!」と、そのまま部屋のある

2階への階段を駆け上がって行ったー。


「ーーーー」

加奈が立ち去ったあとも、一人でニヤニヤしている雅人。


そんな雅人を横目で見つめながら浩司は

「ーーへへへー。絶対、加奈目当てだな」と、

断定するような口調で言いながら、

「っていうか、なんで加奈の前では”僕”なんだよ?

 お前、いっつも一人称”俺”だろ?」と、ツッコミを入れると、

雅人は顔を真っ赤にしながら「か、か、揶揄うなよっ!」と、

そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


兄の浩司と、妹の加奈は、

喧嘩することもなく、基本的には仲良しだー。


ベタベタするほど仲良しー、ということでもないが、

無難な距離感で仲良くやっているー。


「ーーーねぇねぇ、お兄ちゃんのクラスって文化祭、何やるの?」


夜ー。

加奈がふと、そんな言葉を口にしたー。


父親が、少し前の海外出張で買ってきたおみやげを口に運びながら、

雑談を続ける二人ー。


「ん~~?俺のクラス~?

 ありきたりだけど、焼きそばー」


笑いながら浩司がそう言うと、

加奈は「じゃあ、食べに行く~!」と、嬉しそうに返事をするー


「ははははー…

 あんまり、雅人のこと揶揄うなよ?」


浩司がそんな言葉を口にすると、

「ー揶揄うって? え?どういうことー?」と、

不思議そうに加奈が首を傾げるー。


加奈は、人を誘惑したりするようなタイプではないー。

兄の親友である雅人に対しても、明るく振る舞っているのは

あくまでも”自然体”で、揶揄ったり、そういうつもりは

本人には全くないー。


「ーーーはははは、アイツ、彼女とかいないからさ~」

そんな言葉を口にすると、加奈はようやくその意味に気付いたのか

「も、もう!そんなんじゃないってば!

 達川さんにも失礼でしょ!」と、顔を赤らめながら言葉を

口にするー。


”雅人は、本気で加奈のこと気になってそうだけどなぁ”

そんなことを思いながらも、浩司は

「ーさて、俺はそろそろ部屋に戻るかな」と、

そんな言葉を口にしながら、自分の部屋へと戻っていくー。



この日までは、普通の1日ー…


だがー、その翌日ー

”それ”は起きたー。


「ーーー!?!?!?!?!?」

目を覚ました浩司は、部屋を見回しながら

困惑していたー


「ーーお…俺、どうして加奈の部屋で寝てるんだ!?」


朝、目を覚ましたら、そこは、妹の加奈の部屋だったー。


「ーい、妹の部屋で勝手に寝るお兄ちゃんとか、変態だろ」

”ヤバい”と思いつつ、浩司がそんな言葉を口にして、

部屋の外に慌てて出ようとしたその時ー、

ふと、鏡のほうを見て、悲鳴を上げたー


「ーひっ!?!?!?か、加奈ー!?」

鏡に映る加奈を見て、浩司はそう声を上げるとー


「え、えっと、こ、これはーその、違うんだー

 昨日、自分の部屋で寝たと思ったら、加奈の部屋でー」

と、自分の状況を必死に説明しながら「ご、ごめんー」と、

頭を下げるー。


がー、”加奈”も頭を一緒に下げたことで、

「へ?」と、表情を歪めたー。


鏡の中の加奈も一緒に表情を歪めるー


「ーーーえ」

違和感を感じながら、鏡に近付き、

今度は”べーっ”と、舌を出してみると、

鏡の中の加奈も同じように、舌を出して来たー


「えっ… えっ?

 っていうか、そういえば、さっきから、

 なんか俺、加奈ボイスじゃね?」


浩司は、寝ぼけていたのか、

ようやく”自分の声がおかしい”ということに気付くと、

そのまま鏡のほうを見つめて、

「えぇぇぇぇっ!?!?!?!?」と、声を上げたー。


浩司はー、

妹の加奈の身体になってしまっていたのだー。


「ーーちょ!?じゃあ、俺の身体はー!?」

加奈になってしまった浩司は、そんな風に叫びながら、

自分の部屋に駆け込むと、

そこには”浩司になった加奈”が、同じように戸惑いの表情を

浮かべていたー。


「ーーーえっ…?…も、もしかして、加奈ー?」

加奈(浩司)が”自分”を指差しながら、困惑の表情を浮かべると、

浩司(加奈)は「うーー…うんー…こ、これ、どうなってるの?」と、

不安そうに言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二人で、色々と話をして、現状を把握した二人ー。


原因は分からないが、とにかく兄・浩司と、妹・加奈の身体が

入れ替わってしまったようだったー。


「ーーこ、これからどうしようー…」

浩司(加奈)が、戸惑いの表情を浮かべると、

加奈(浩司)は「ーー明日になれば、元に戻ってたりするんじゃー?」と、

そんな言葉を口にするー


「ーあ、明日ー…?

 で、でもー…お、お兄ちゃん、今日は友達と映画を見に行く約束をしててー」


浩司(加奈)が、そんな言葉を口にするー。


確かに、加奈は以前から、土曜日の今日、友達と映画を見に行くとか言って、

楽しみにしていたのを覚えているー。


「ーーーお…お兄ちゃんの身体で行ってもいい?

 変なことは絶対しないから!」

浩司(加奈)のそんな言葉に、

加奈(浩司)は戸惑いながらも

「ーーい、いいけどー…友達にどうやって説明するんだよー?」と、

そんな言葉を口にするー


それを聞いた浩司(加奈)は

「う~ん…そこは勢いで!友達との合言葉もあるし、大丈夫!」と、

自信満々に言い放つー。


「ーーーま、まぁ…そういうことなら、別にいいけどー…

 あ、映画館で間違えて女子トイレとか入らないでくれよ?

 俺が社会的に死ぬ」


加奈(浩司)がそう言うと、浩司(加奈)は

「お兄ちゃん!ありがとうっっ!」と、

嬉しそうに言葉を口にして、早速出かける準備を始めるー。


「でもー、本当に俺の身体で大丈夫なのか?

 友達、信じてくれるのかよー?」


加奈(浩司)は、戸惑いの表情を浮かべながら

そんな言葉を口にするー。


がー、浩司(加奈)は、

「大丈夫!」と、再度、自信たっぷりに言うと、

「ーお兄ちゃんの身体の方が、たぶん、体力あるし!

 映画館行っても疲れないかもだし!」と、

そんな言葉を口にしたー


「ま…まぁ…ーーそれなら別にいいけどー…

 あ、さっきも言ったけど、外で女子トイレ、

 間違えて入らないでくれよー?」


加奈(浩司)が繰り返し、そんな心配事を口にすると、

浩司(加奈)は「大丈夫大丈夫~!」と、そう言葉を口にしたー。


色々な意味で心配な加奈(浩司)は、

浩司(加奈)に、何時ごろ帰る予定なのかを確認するー。


聞けば、友達との合流後にお昼を食べて、

そのあと映画が15:00からで2時間、

映画を見終えた後に少しのんびりして帰って来るとのことで、

19時ぐらいになる、とのことだったー。


心配する加奈(浩司)を他所に、出かける準備を進める

浩司(加奈)ー。


”背が急に伸びると、世界の見え方が違うね!”とか、

”わたしがお兄ちゃんの声で喋るとか、不思議な気分!”とか、

”ジュースの味が、わたしと違う~!”とか、

色々ドタバタしながら、浩司(加奈)は、ようやく出かける準備を

終えると、そのまま友達と合流するために

映画館へと向かったー


「おいおいおいー…ホントに大丈夫なのかよー」

そんなことを思いながら、加奈(浩司)は、改めて一人になって、

自分の身体を見つめるー。


不覚にも、ドキッとしてしまう加奈(浩司)


「ーい、いやいやいやー

 妹にドキドキするとか、ナシだろー」


そう思いながらも、加奈(浩司)は

”とりあえず部屋で大人しくしていよう”と、

自分の部屋に入り、ひと息つこうとするー。


がー…

その時だったー。


「ん?」


スマホが鳴ったことに気付き、

その音がした方向を見ると、

そこには、”浩司”のスマホが置かれていたー


「ーーあぁ…俺のスマホかー」

加奈(浩司)は”っていうか、加奈の声、可愛いなー”と

思いながら、スマホを見つめると、

そこには、親友の”雅人”の名前が表示されていたー


「ーーーー!」

雅人の名前を見て

”加奈”になった浩司は、ちょっとした”悪だくみ”を思いついてしまうー。


”待てよー…?

 加奈の身体で、雅人を揶揄ったらー…”


そんなことを思いながら、加奈の身体に不釣り合いな

ニヤッとした笑みを浮かべてしまう加奈(浩司)ー


「ーー…へへー ちょっと揶揄ってやろっと」

加奈(浩司)はそう呟くと、スマホを手に、

親友の雅人からの電話に出たー。


”あ、もしもし?浩司かー?俺だけどー

 あのさー、ちょっとー文化祭のことでー”


そんな言葉を口にする雅人ー。


加奈(浩司)は少しドキドキしながら笑みを浮かべるとー、


「あーー…あ、あの!妹の加奈ですー」

と、そんな言葉を口にしたー。


妹の身体で、”妹の加奈”と名乗るー。

それだけで、とても心臓がバクバクして

ドキドキしてしまうー


”えっ!?うえっ!?か、加奈ちゃん!?”

浩司に電話したはずなのに、妹の加奈が出たことに

心底驚いた様子の雅人ー。


「ーあははは、そんなに驚かないでくださいよ~」

加奈(浩司)は、ニヤニヤしながらそう言い放つと、

「実はお兄ちゃん、スマホ忘れて出かけて行っちゃって~」と、

そんな言葉を口にしたー。


”加奈に、”お兄ちゃん”って言わせるの、なんかゾクゾクするなー”

加奈(浩司)はそんなことを思いながら、

ニヤッと笑うと、

「ーあの~……そういえば、達川さん、今日、暇ですかー?」と、

笑いをこらえながら言葉を口にするー


”えっ!?!? えっ!? ぼ、僕ー!?

 あ、あぁ、うんー ひ、暇だけどー、どうして?”

雅人が、明らかに動揺した声で、そう言葉を口にしているのを聞いて

”さっきまで「俺」って言ってたじゃないか”と、内心で笑うと、

「ーわたしも暇なのでー、良ければ一緒にお出かけしませんかー?」と、

言葉を口にするー。


”急にどこにお出かけするんだよ”と、

自分でも内心ツッコミを入れながら、

雅人の返事を待っていると、

”ぼ、ぼ、僕はいいけどー、浩司ー…いや、お兄ちゃん、怒らないかな?”と、

心配そうに言葉を口にしたー


「ーあはははは!大丈夫ですよぉ~♡」

加奈(浩司)はニコニコしながらそう言い放つと、

雅人は”じ、じゃあー、お、お、お出かけします!”と、何故か

年下の加奈に敬語でそう言い放ったー。


1時間後に待ち合わせの約束をするー。


1時間後でも、時間はまだ12時ー。

浩司になった加奈が帰宅するのは”19時頃”のため、

十分に雅人を揶揄う時間はあるー。


「えへへへへー…

 面白いなぁ、雅人はー


 ーーへへー…雅人が好きそうなおしゃれをして

 アイツを揶揄ってやろっとー」


すっかり楽しくなってきた加奈(浩司)は、

”雅人の好きな髪型はツインテールだったよなー”

などと思いながら、加奈を

”雅人が喜んじゃいそうな雰囲気”に大変身させる準備を

始めるのだったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


平和的な(?)入れ替わりモノデス~!

入れ替わりのドキドキをたっぷり楽しめる作品…!と、いうことで

思いついた作品ですネ~☆!


時々、”あえて今後の予定に載せていない作品”も

出て来るので、それらも含めて楽しんで下さいネ~!

(※全て事前に公表されているより、たまにサプライズ(?)が

 あった方が楽しいと思うので…☆笑)


続きはまた次回デス~!!

Files

Comments

No comments found for this post.