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彼女の瑠理香と幸せなひと時を過ごす中ー、

突如として出現した謎の大怪獣ー。


何とか彼女を守ろうと、大怪獣の出現した海岸沿いから

離れようとする拓己ー。


しかし、謎の赤い光に包まれー

大怪獣と瑠理香の身体が入れ替わってしまったー…


そうとは気付かず、突然暴れ出した彼女を、何とか病院に

運び込むことに成功したものの…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>大怪獣のイレカワリ①~出現~

「ーーこういう時間がずっと続けばいいのに~」 休日ー 海に遊びに来ていた大学生カップルー。 その彼女の、明村 瑠理香(あきむら るりか)が そんな言葉を口にするー。 「ーーはははー」 同じ大学に通う彼氏、宮原 拓己(みやはら たくみ)は、 瑠理香のほうを見ながら、穏やかに笑いー、 自分も海のほうを見つめ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


瑠理香になった大怪獣が、再び目を覚ますー


「ーーーーぅ…」

瑠理香(大怪獣)が目を細めながら

周囲を見渡すー。


不思議そうに、病室内の色々なものを見渡していく瑠理香(大怪獣)ー


やがて、その視線は、

病室の中の鏡の方へと向けられー、

瑠理香(大怪獣)は、首を傾げるー。


「ーーにん げんー?」

言葉を発する瑠理香(大怪獣)ー。


”瑠理香の身体”になったことで、

瑠理香の脳から、人間としての知識を、

少しずつ、少しずつ学び始めていた大怪獣は、

瑠理香の身体で、初めてそんな言葉を口にしたー。


「ーにん げんーーー

 これーーー わたし?」


瑠理香(大怪獣)は、自分を指差しながら、そう呟くと

首を横に傾けながら、不思議そうな表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(こ、これー…どうなってるのー?)


大怪獣になってしまった瑠理香は、

海岸沿いで立ち尽くしたまま、引き続き困惑していたー


(わたしが…怪獣にー?)

”大怪獣”になってしまった瑠理香ー。


しかし、これ以上移動すれば、

民家などもあるために、街を破壊することになってしまうー。

だからと言って、海の方に戻っていくのも不安だー。


”大怪獣”の身体なら、簡単に泳ぐこともできるのかもしれないが、

そんなこと”経験”もしたことがないしー、

どうなるか分からない以上、それを試す勇気はなかったー


(戦闘機がー2機…でも、攻撃はしてこないー…)

大怪獣(瑠理香)は戸惑いながら、

海岸沿いで、”怪獣の動き”を見張るかのような

戦闘機のほうを見つめるー。


”大怪獣”の存在を事前に察知していた行政が

万が一に備え、秘密裏に結成していた組織”ガーディアン”の

戦闘機だー。


(あ、あの…!)

大怪獣(瑠理香)は、何とかガーディアンの戦闘機に

今のこの状況を伝えようとするー。


しかしー、言葉を発しても

怪獣の口から放たれるのは巨大な咆哮のみで、

それ以上のものは発することができないー


(ど…どうしようー…このままじゃ、意思疎通もできないー…)

大怪獣(瑠理香)は困惑しながら、表情を歪めるー。


(わたしが怪獣になってるってことはー

 さっき拓己と一緒にいたわたしはー…)

大怪獣(瑠理香)は、先ほど見た光景を思い出しながら

そんな言葉を口にするー。


そういえばー”拓己と一緒にいた瑠理香”は暴れているような

そんな感じの行動を取っているように見えたー


(もしかしてー…わたしと怪獣が入れ替わってー…?)

そんな可能性にたどり着いた大怪獣(瑠理香)は、

何とかこの状況を打開しようと、”そうだ”と、あることを

思いつくー。


(言葉を話すことができなくてもー、

 異変を伝えることはできるかもー!)


そんな”希望”を抱くと、大怪獣(瑠理香)は、

”人間らしいポーズ”を大怪獣の身体でしてみせながら、

戦闘機に乗っている人たちに、なんとかその異変を伝えることができればー、

と、必死に身体を動かすのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


世間は”大怪獣出現”のニュースで大騒ぎになっていたー。


”こうなること”を恐れて、大怪獣の存在を隠して来た政府ー。

しかし、いざ、上陸してしまったことで、もう隠しきることは

不可能であると判断し、こうして公表に踏み切っていたー。


「あの怪獣は、他の生物の”血”をエサとしているようです」

官房長官の言葉に、東谷総理大臣は表情を歪めるー。


「ーーー生物の、血をー」


呆然とする東谷総理大臣ー。

その”生物の血”の中には、恐らくは”人間の血”も含まれるー。


もしもあの大怪獣が、本格的に暴れ出したら

恐ろしいことになるー。


「ーしかし、昨日から海岸沿いでずっと停止しているようだが?」

東谷総理大臣がそう確認すると、

「そのようですー。現地で”ガーディアン”が警戒を続けています」と、

言葉を口にするー。


「ーー大泉(おおいずみ)に状況の確認をー」

東谷総理大臣がそう言うと、官房長官は「はっ」と、頭を下げるー。


”大泉”とは、

ガーディアンの”総司令官”を務める男で、

大怪獣がもしも上陸した際の”対策”の最高責任者だー。


「ーーーーー…」

東谷総理大臣は、官房長官が部屋から立ち去って行ったのを確認すると、

窓の外を見つめながら

「よりによって、わが国に上陸するとはー」と、

表情を歪めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「明村さんは、次第に回復しつつありますー」

担当医の風間がそう言い放つと、

拓己と、瑠理香の母親が「本当ですか!?」と、言葉を口にしたー。


「えぇ。ハッキリ言葉を話せるようになってきていますしー

 少しずつ、ちゃんとした行動がとれるようになってきています」


担当医の風間のそんな言葉に、

拓己が「よかったー」と、呟くー。


「ーーーすみませんー…俺が一緒にいたのに、こんなことになってしまってー」

拓己は、病院に駆け付けた瑠理香の母親にそう言い放つと、

瑠理香の母は首を横に振りながら、

「あなたのせいじゃないでしょ。宮原くんはいつも、瑠理香のこと

 大切にしてくれてるのは分かってるし、気にしないで」と、

言葉を口にするー


拓己は少し安心した様子で、頷くと、

「ちょっと瑠理香を見てきますー」と、そのまま風間先生の診察室の

外に向かって歩き出すー。


”瑠理香ー”

大怪獣から逃げた時の、あの赤い光ー。

あれを浴びてから、瑠理香の様子はおかしくなったー。


そのことに強い不安を感じながら、拓己は瑠理香(大怪獣)のいる

病室へとやってくるー。


するとー、瑠理香はおばあちゃんのように背骨が曲がったような、

奇妙な体制で、窓の外を見つめていたー。


「ーる…瑠理香?」

拓己が不安そうに声を掛けると、

瑠理香(大怪獣)は、振り返るー。


「ーーあ、人間ー…」

瑠理香(大怪獣)のそんな言葉に、拓己は強い不安を覚えるー。


「ーーーー…あ、え~~~~~~~」

瑠理香(大怪獣)は、おばあちゃんのように立っていた姿勢を直すと、

すぐに拓己のほうを見つめながら

「ーーーたくみ! そう、拓己!」と、言葉を口にしたー。


「ーー瑠理香ー…だ、大丈夫か?」

拓己は、”まだ”瑠理香が普通ではない、と感じながらも

そう声を掛けると、

「だ 大丈夫 だいぶ 良くなってきた からー」

と、そんな言葉を瑠理香(大怪獣)は口にしたー。


昨日とは違い、ちゃんと意思疎通はできるようにはなっているー。

その点だけでも、確かに大分回復したのかもしれないー。


しかし、その瞳は不自然にキョロキョロしていて、

時折、”よく分からない”動きをすることもあって、

拓己の不安はますますと膨らんでいくー。


「ーー昨日は驚いたよー

 急に襲ってきたからー」

拓己が戸惑いの中、そんな言葉を口にすると、

瑠理香(大怪獣)は「に、人間がー……前に いたからー」と、

言いかけてから、

「ーな、何が なんだか 分からなくなっちゃって」

と、そう言い直したー


「ーーーーー……」

そんな瑠理香(大怪獣)の様子に、拓己は不安そうに口を閉ざすー。


確かに”昨日”より、状況はよくなっている気がするー。

昨日は奇声を上げながら暴れるだけだったし、

とても意思疎通ができるような感じではなかったー。


だが、今日はとりあえずこうして意思疎通ができるようになっているー。


担当医の風間が言う通り、

一時的なショックによるもので、だんだんと回復している、

ということなのだろうかー。


もちろん、それならそれでいいし、

それが一番だー。


けれどー…

拓己は”得体の知れない違和感”を感じてしまうー。


「ーーーーー」

瑠理香(大怪獣)が自分の指を見つめながら

静かに微笑むとー

”生物の血をエサとしている大怪獣”は、”美味しそう”と、

内心で言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(だ、ダメー…全然、反応がないー)


昨日から、”大怪獣”がしそうにないような動きを

戦闘機のパイロットたちに見せつけているものの、

未だに反応がないー。


やはり”大怪獣が奇妙な動きをしている”と、

単に警戒されているのだろうかー


(ま、まぁ、普通は大怪獣と人間が入れ替わってる、なんて

 思わないよねー…

 それは、分かるんだけどー…)


大怪獣(瑠理香)は、そう思いながらも、

(でも、とにかく誰かに助けを求めなくちゃ)と、

地面のほうを見つめるー。


(ーーーー!)

地面を見つめていた大怪獣(瑠理香)は、あることを思いつくー


(そうだー…文字ー…怪獣の身体でもー

 文字ぐらいなら書けるかもー)


”怪獣”は人間の言葉を理解していないから、

文字を書くことはできないー。

だが、人間の言葉を理解している瑠理香であれば

この身体でも、砂浜に文字を刻むことは

できるかもしれないー。


そう思いつつ、”とても重たい”身体をなんとか動かして、

寝転ぶような体制を取ると、

そのまま砂浜に文字を書こうとし始めるー。


だがー、大怪獣(瑠理香)を見張っていた

”ガーディアン”の戦闘機2機が、突然の大怪獣(瑠理香)の

動きに警戒したのか、

ライトのようなものを当てて来るー。


(う…撃たないで!)

そう訴えかける大怪獣(瑠理香)ー


しかしー、

戦闘機2機は、まるで砂浜に文字を書くことを邪魔するかのように

砂浜に銃撃を行いー、

大怪獣(瑠理香)はやむを得ず、そのまま立ち上がるー


(ーーーーーー…そ、そんなー)


そうこうしているうちに”増援”だろうかー。

ガーディアンの戦車部隊のようなものが到着すると、

そのまま攻撃はしてくることなく、大怪獣(瑠理香)を見つめ始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーそれじゃ、これで失礼しますー」

拓己は、担当医の風間にそう挨拶すると、

そのまま立ち去っていくー。


”瑠理香ー”

瑠理香の様子はやはり、まだおかしかったー


しかし、風間先生の言う通り、

大分回復しているのも事実ー。


”このまま、何事もなく回復してくれればいいけどー”

そんな風に思いながら、拓己は帰宅するー。


とにかく、今は治療が上手く進むことを祈るしかないー。

そう、思いながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー……おいしいー」


夜ー

瑠理香(大怪獣)は、自分の指に噛みついてー

出血した部分から”血”を吸っていたー


「おいしいー… ふふふ… おいしいー…」

瑠理香と入れ替わってしまった大怪獣は、

人間の血に限らず、生物の血をエサとしている怪獣ー。


瑠理香の身体になった大怪獣は、瑠理香自身の血を

吸って、喜んでいるのだー。


「ーーえへへ…美味しいー… えへへへへー」

瑠理香(大怪獣)は、散々自分の血を吸って、

満足そうに笑みを浮かべると、

そのままふらふらと立ち上がって、

歩き出すー。


病室の外に向かってー


「人間の身体ー 使えばー 血ー 飲めるよねー ふふ」

瑠理香(大怪獣)は、そんなことを呟きながら

ゆっくり、ゆっくりと歩いていくー。


そしてー

病院のスタッフが気付いた時には、

既に瑠理香(大怪獣)の姿は病室の中にはなかったー。



「ーーねぇ… わたしと 遊ばないー?」

瑠理香(大怪獣)は、夜の街にいたー。


”人間の女は こうすると、 人間をおびき寄せることができるー”


瑠理香の脳から、そんなことを学んでしまった大怪獣はー、

夜の街で、男を誘惑していたー。


”この人間の血も 美味しそう だな…”

瑠理香(大怪獣)は、ペロリと唇を舐めると、

目の前にいる女が、そんな恐ろしい存在だとは思わずに

誘いに乗った男と共に、夜の闇へと姿を消したー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


大怪獣と人間の入れ替わり…!

どんな結末が待っているのか、

ぜひ見届けて下さいネ~!★


今日もお読み下さりありがとうございました~~!!!

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