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翌日に結婚式を控えた婚約者から突然告げられた別れー。


”昨日まで”当日を楽しみにしていたはずなのに、

突然豹変した婚約者・麻紀を前に

龍星は、驚くと同時に”またか”と、そうも感じていたー。


彼は、これまでの人生で”なぜか”親しくなった女性が豹変し、

疎遠になるー、ということを繰り返していたー。


…それがー、”父”によるものだと、彼はまだ知らないー…


★前回はこちら↓★

<憑依>お前に幸せになる資格はない①~転落~

結婚式前日ー。 「ーーーえ?」 彼は、絶望の表情を浮かべていたー。 それもそのはずー 彼、高沼 龍星(たかぬま りゅうせい)は 翌日に結婚式を控えた今日、婚約者である青島 麻紀(あおしま まき)に 突然別れを告げられていたのだー。 「ーーーだ~か~ら、わたしたち、別れよ?」 麻紀の言葉に、龍星は「え?い...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


麻紀の家の前にやって来た龍星と親友の幸人。


幸人は、麻紀の幼馴染でもあり、

龍星から、”麻紀に別れを告げられた”という話を聞いて、

”麻紀はそんな奴じゃないし、もう一度会って話をしてみよう”と、提案、

龍星も渋々と麻紀の家の前にやってきていたー。


お互いに仕事の都合や、賃貸の契約の都合上から、

正式な同居は、結婚後と決めていたために、まだ、麻紀が済んでいるのは

龍星とは別の場所で、今日、こうしてその場所に

やってきているー。


「ーーや、やっぱいいよー…

 俺、昔からこういうことばっかりだしー、今更ー」

龍星が困惑の表情を浮かべながらそんなことを口にするも、

幸人は「そんなこと言うなよー」と、苦笑いしながら

麻紀の家のインターホンを鳴らすー


”はいー”

中から、麻紀の声が聞こえてくるー。


特にいつもと変わらないー。

龍星や幸人からすれば、それこそ”散々、聞きなれた声”だー。


「麻紀ー、俺だー 重藤(しげふじ)だけどー」

幸人が自分の苗字を名乗ると、

”あ、幸人ー。どうしたの?”と、言葉を口にするー。


「ーーちょっと、近くを寄ったからー

 ほら、色々あったみたいだし、話でもって思ってー」


幸人が適当にそんな理由をつけると

麻紀は”ちょっと待っててね”とだけ応答し、

そのまま玄関の方にやってくる音が聞こえたー。


”「ーよりいい男に乗り換えるー。それがわたしなのー」”


婚約を破棄された先日ー、

麻紀から言われた言葉を思い出すー。


てっきり、その”よりいい男”とやらが部屋の中にいるのかとも思ったが

幼馴染とは言え、”別の男”が来たのに平気で玄関の扉を開けるところを見ると、

どうやら一人らしいー


玄関の扉が開くー。


そこには”いつもの麻紀”の姿ー。

特別、服装が派手になったりだとか、そういう変化はないー。


「ーーー!」

麻紀は、すぐに幼馴染である幸人の背後にいた龍星に気付くと、

いかにも”不満”という表情を浮かべながら

「なんでそいつがいるのー」と、敵意を剥き出しにしたー。


「おいおい、そんなこと言うなよー」

幸人が困惑しながらそう言うと、

「ー少し、話できないか?」と、言葉を口にするー


「ーーーーーー」

麻紀は幸人のほうを見つめると、

続けて、龍星に視線を合わせるー。


”睨みつける”かのような視線をー。


何でこんなに怒っているのかー。

龍星には全く心当たりがないー。


「ーーー…ま、麻紀ー…」

龍星がようやく言葉を振り絞ると、

麻紀は不満そうな表情のまま、

「気安くわたしを呼ばないで」と、キツイ口調で言葉を吐き出し、

そのまま家の中へと入っていくー。


玄関の扉はそのまま、ということは

どうたら幸人と龍星の話を聞いてくれるつもりはあるようだー。


中に入りー、

テーブルの置かれている場所に座ると、

麻紀は、ジュースを入れたコップを2つだけ持ってきて

自分と、幸人の前に置いたー。


別にジュースが欲しかったわけではないが、

龍星は悲しそうに麻紀のほうを見つめてしまうー。


「ーなに?」

麻紀が攻撃的に返事をするー。

つい、この間まで優しかった麻紀とは、まるで程遠いー。

そんな豹変ぶりに、龍星は言葉を失ってしまうー。


「ーーーおいおいー何でそんなに怒ってるんだよー」

麻紀の幼馴染・幸人がそう言葉を口にしながら

コップを龍星の方に寄せて「俺はいい」と、龍星に小声で呟くー


「チッ」

麻紀はそんな様子を見ながら舌打ちをすると、

幸人が本題を切り出したー


「ーなぁ、高沼と結婚するのー、

 あんなに楽しみにしてたのに、急にどうしたんだよ?」

幸人がそう言うと、

麻紀はいつものような口調で「それはー…嫌いになったからー」と、

言葉を口にするー。


”龍星”以外と話をしている時は、”いつも通り”の穏やかな口調で

喋る麻紀ー。


「ーー嫌いになったって、どうして?

 こいつ、思い当たることがないって、困ってるからさー

 教えてやってくれよ」


幸人が諭すような口調で、そう麻紀に言い放つと、

麻紀は少し考えてから、「分からないー分からないけど、嫌いなの」と、

幸人のほうを見つめたー


「ーお…俺、何かしたかー…?」

龍星が困惑しながら麻紀のほうを見るー。


すると、麻紀はまた”豹変”したー


「うるさい!あんたは黙ってて!」

そう言いながら、持っていたコップの中身を、

龍星に向かって投げつけたー。


「ーーー…!」

オレンジジュースが直撃して、困惑の表情を浮かべる龍星ー。


「お、おい、麻紀ー!なんでこんなー!」

幼馴染の幸人も、麻紀の豹変ぶりに戸惑うー。


「ーいいから、嫌いなものは嫌いなの!」

麻紀はそれだけ言うと「話はおしまい!」と、立ち上がりながら

「幸人には、迷惑かけてごめんねー。

 でも、わたしはそいつが嫌いなの!」と、

声を荒げながら、龍星のほうを指さしたー


「わ、わかったー…ごめんー本当にごめんなー」

龍星は慌てた様子で、オレンジジュースを拭きながら

そう言い放つー。


しかし、幼馴染の幸人は納得がいかない様子で、

「何でこんな酷いことするんだよ!」と、麻紀に向かって言い放つー


「ーゆ、幸人ー」

幸人とは争うつもりがない様子の麻紀は、困惑した表情を浮かべるー。


「ーーー……」

幸人はそんな麻紀の様子を見て、少し考えたあとに、

「高沼」と、龍星のほうを見つめるー。


「ー麻紀とは俺がしっかり話してみるー。

 お前がいると、なんかちゃんと話が出来ないみたいだからー」

と、幸人はそんな言葉を口にするー


結婚式目前で婚約破棄をされて少し疑心暗鬼になりかけていた龍星は

一瞬ー、”幸人が麻紀を奪ったのではないだろうか”と

疑う気持ちが芽生えてしまったものの、すぐに自分の中で

”いや、幸人はそんなやつじゃないー”と、その考えを打ち消すと

「わかったー」と、頷いたー


「ーあとで必ず連絡するー」

そう言い放つ幸人に対して、龍星は「悪いな」とだけ言い残して

そのまま麻紀の家から立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー」

家で幸人からの連絡を待っていると”約束通り”幸人から

連絡が入ったー


”高沼ー、今、大丈夫か?”

そう聞いてくる幸人に対して、龍星は「あぁ」と返事をすると、

幸人は”麻紀との話し合い”の結果を伝え始めたー。


龍星が帰ったあとは、終始”いつも通りの麻紀”だったことー、

龍星の話を出しさえしなければ特に怒りを露わにするようなこともなかったことー

龍星の話題を出すと、途端に不愉快そうになるものの、

その理由を聞いても、”まるで本人も分からないような”そんな素振りをすることー、

それを伝えて来たー。


”なんか、変なんだよなぁ…

 お前が絡まないと普通なんだけどー、お前が絡むと急に態度が変わってさー”


そう呟く幸人ー。


「ーーーーーはは…でも、”よくある”んだよー」

そう言いながら、龍星は”今まで”親しくなった女性たちと

疎遠になった時の出来事を簡単に幸人に説明するー。


すると、幸人は困惑しながら「今の話、マジか?」と、

確認の言葉を口にするー。


「ーーーーう、嘘なんてついたって仕方ないだろ?」

龍星がそんな言葉を口にすると、幸人は苦笑いしながら

「ま、まぁ、確かにー」と、頷くと、

「ーでも、そりゃ、”偶然”にしちゃおかしくないかー?

 お前が親しくなると本性を現わして暴力振るっちゃう系の男なら

 仕方ねぇけど、そうじゃないだろ?」と、言葉を続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”お前に、幸せになる資格なんてないー”

父・勝男はそう呟きながら、家族写真を見つめたー。


妻と、息子の龍星が写る写真ー。

龍星は、まだ赤ん坊だー。


そしてー

”この頃”から全ては始まったー。


龍星に死んでほしい、とまでは思わないー。

龍星が”息子”であるのは事実だし、父親として、

我が子を大切に思う気持ちはあるー。


しかしー…

同時に”絶対にお前に幸せになる資格はない”と、

そうも思っているー。


何故なら龍星はー

”俺から幸せを奪った”のだからー。


だから、龍星と親しくなった女性に次々と憑依しー、

その幸せを打ち壊して来たー。

もちろん、単に憑依するだけでは、憑依していた身体が

正気に戻ってしまえば、また、龍星と親しくなったり、

自分の行動に疑問を感じながらも、龍星と復縁したりしてしまうー。


それを防ぐために、”染める”ー

憑依している間に、強い意志で、乗っ取った身体に思想を

刻み付けて、正気に戻ったあとも、龍星と仲直りしないように

仕向けているー。


今回のー、婚約者・麻紀もそうー。

麻紀には”龍星に対する強い不満や憎しみ”を植え付けー、

さらには”龍星以外の男に飢えるように”ーー

つまり、男好きになるように刻み付けておいたー


近いうちに麻紀は、新しい男を作るだろうー。


「ーーーん?」

ふと、勝男は表情を歪めるー


”また、親しい女が出来たようですー”

そんな声が聞こえて来るー。


「ーーー分かった。お前は引き続き動向を探れー

 息子から目を離すなー」

勝男がそう言うと、”了解”という女の声が聞こえて来たー。


彼女はーーー

息子の龍星とは”無関係”の女子大生・香織(かおり)ー。


勝男は、”憑依”で、無関係の子を”自らの忠実なしもべ”に染め上げて

こうして”息子”を見張らせているー。


ただー、”ずっと同じ人間”を使っていると、龍星も

”あの子、よく見かけるようなー”と気付く可能性もあるため、

数か月に一度、”別の人間”に切り替えているー。


香織も、”用済み”になったら、勝男が連絡を取るのをやめて

そのまま解放するつもりだー。



「ーーーーーー」

そんな香織が、勝男との連絡を終えると、

サングラスをかけたまま、”遊園地”で女性と楽しそうに話をしている

龍星のほうを見つめるー。


「ーーーーーーーー」

龍星の父・勝男のために、その動向を探る香織ー。


「ーーーーーははは、今日も楽しかったよー」

散々、遊園地で1日を楽しんだ龍星が、相手の女にそう言うと、

龍星と一緒に”仲良く遊園地”を回っていた女性・尚美(なおみ)が、

「わたしも!」と、嬉しそうに微笑んだー。


「ーーーー…」

龍星は、そんな会話を終えると、少し周囲をキョロキョロと見回してから、

「ーーあの、なんだか付き合っちゃってもらってすみませんー」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーいいのいいのー。

 弟の頼みだし、それにー、わたしも”そういうの”興味あるしー」


尚美は、そう言いながら笑ったー。


今日ー、龍星と”遊園地デート”…のフリ、に付き合ってくれたのは

親友・幸人の姉、尚美ー


尚美は、弟の幸人が大好きな独身女性ー。

”都市伝説”的なものに興味があり、

幸人から”俺の親友が、女性と親しくなると必ず相手が豹変するんだけどー”

と、話を持ち掛けて、協力してくれることになったのだー。


その”協力”というのがー

”しばらくの間、彼女のフリをすること”ー。


”龍星と親しくなる子が豹変するのはー

 誰かが何らかの圧力をかけているのではないか”と、

そう考えた幸人の提案だったー。


当然、龍星は当初、拒んだものの、尚美本人も乗り気だったために

渋々とそれをお願いすることになったー。


尚美は”絶対にわたしが急に、高沼くんのこと嫌ったりはしないからー

もしも、わたしの態度が急に変わったら、”何かあった”ってことだからねー”

などと言っていたー。


今のところー、”尚美”に変化はないー。

龍星と尚美ー、”偽りのデート”を楽しむ中、

親友の幸人は、少し離れた場所からその様子を観察するー。


”誰かが高沼と、親しくなった子の仲を引き裂いてるならー…

 姉さんと高沼が親しくしているフリをしてりゃ、必ず何か

 仕掛けて来るはずだー”


そう思いながら、幸人は今日も何も起きなかったことを確認して

ため息をついたー。



がーーー

そんな龍星たちを監視していた”香織”は少しだけ笑みを浮かべながら、

龍星の父親・勝男に連絡を入れたー


「ー新しい彼女で間違いないと思いますー」

とー。


”懲りないやつだなー。よし、今夜、その相手に憑依するー

 写真を送れー”


龍星の父・勝男は、再び”息子”と親しくなった女性との

間柄を、引き裂こうとしていたー…



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


息子と親しくなった女性を憑依で変えてしまうー…

恐ろしいですネ~!


果たして父のしわざだと気付けるのでしょうか~?


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました~!

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