<入れ替わり>世界初の入れ替わり手術②~新しい身体~ (Pixiv Fanbox)
Content
「---手術は無事に成功いたしましたー」
2048年9月ー
歴史は動いたー
新王大学総合病院の院長・香川は、
記者たちに囲まれて、
”入れ替わり手術”の成功を高らかに宣言していたー。
会見の席には
技術協力を行った未来創造製薬連盟の会長・久保塚の
姿もあるー。
執刀を行ったDr吉原とDrリチャードが
手術後の経過を説明している。
患者二人とも、術後も順調に
回復しているー、と。
患者の名前は個人情報保護の観点から
明かされなかったが
その場にいた記者たちは
”入れ替わり”という前人未到の領域に
ついに人類が足を踏み入れたことに驚いていたー。
・・・・・・・・・・・・・
「ーーーおはようございます」
入院中の雄介(詩織)がにっこりと笑うー。
通常の患者とは別の場所で
特別待遇で2人は入院を続けている。
入れ替わり手術から2週間ー
ふたりは、すでに歩けるほどに回復しているー。
この時代の手術は、遥かに進んでいたー。
あとは、経過観察を行い、
データの収集と、本人たちの健康が
確認されたのち、二人は退院となるー。
「--おはよう」
詩織(雄介)が笑う。
「ふふ、可愛い笑顔~
って、自分の身体に対して
可愛いって変ですね」
笑いながら雄介(詩織)が
詩織(雄介)の病室に入ってくる。
「どうですか?わたしの身体…
なれましたか?
雄介(詩織)が言うー
「う~ん、やっぱまだ違和感があるかな~…
胸とか、なんかすごく気になるし」
詩織(雄介)は胸を触りながら言う。
「って、あ、ごめん!」
詩織(雄介)は慌てて胸から手を離したー。
エッチなやつだと思われてしまう。
その様子に雄介(詩織)はクスクスと笑った。
「いいですよ~別に。
だって、もう、市川さんの身体なんですし、
ずっと胸を触らずに生きて行くわけには
行かないじゃないですか~?
ほら、今のうちに慣れておかないと!」
雄介(詩織)が言う。
「ーーそ、そう言われても」
詩織(雄介)は顔を赤らめた。
元・身体の持ち主の目の前で
胸を触る、というのはなんだか
とってもいけないことをしているようなー
そんな、背徳感に襲われるー。
確かに、自分たちは同意の上で入れ替わったんだし、
詩織の言うとおり、これからは
自分は女性として生きて行くのだから
胸ぐらい触れないといけないのだがー。
「--あと、髪も気になるなぁ~」
詩織(雄介)は呟きながら
自分の綺麗な黒髪を触る。
最初は興奮してドキドキしたが
慣れてくるとなんとなくジャマな気がする。
病院内のシャワーで洗い流したが
結構大変だったー。
「ーーじゃ、ショートヘア―に
するのもいいかもですよ?」
雄介(詩織)が微笑むー
「ショ、、ショート!?」
ドキッとしてしまう詩織(雄介)-
女の子の髪型を勝手に変えてしまうー
なんだか、とてもドキドキするー
「ふふ…」
笑う雄介(詩織)-。
ふと見ると、雄介(詩織)のアソコが
大きくなっていたー
「ーーーあ」
詩織(雄介)の視線に気が付いた
雄介(詩織)が苦笑いする。
「ーーあ、あはは…
なんか、ここ、、すぐ大きくなっちゃうんですよね」
雄介(詩織)が苦笑いしながら言うー。
「ーー男の人は、上手くコントロールできるのかもですけど
なんか、こう、、すぐ大きくなっちゃうと言うか、
どうしたらいいかよく分からなくて…」
雄介(詩織)が苦笑いするー
「--ま、、まぁ…お、お互い少しずつ
慣れて行くしかないな」
詩織(雄介)が照れくさそうに笑うと
雄介(詩織)も「そうですね」と優しく微笑んだー。
・・・・・・・・・・・
慣れない身体ー。
トイレに行くにも一苦労だー
手術から3週間ほどが
経過しようとした、ある日。
詩織(雄介)は夢を見たー
小学生時代の夢ー
ただし、”雄介”のものではなく
”詩織”の小学生時代だー。
入れ替わり手術は、
”脳をまるごと”交換する手術。
よって、相手の記憶を得ることはできず、
詩織の身体になった雄介は、
詩織の記憶を引き出したりだとか、
そういうことはできない。
だがー
何故か、詩織の小さい頃の夢を見た。
小学生時代の夢ー
中学生時代の夢ー
女の子としての、日常ー
「---」
ふと、詩織(雄介)は目を覚ます。
「---わたしは…しおり…?」
ふと、そんな言葉が自然と口に出たー
窓の外をぼーっと見つめるー
わたしはーーしおり…?
あれー?
「---!」
詩織(雄介)はふと我に返った。
「ーーって、、なんだか変な夢だったな」
詩織(雄介)が呟くー。
まぁ、これから詩織として
生きて行かなくてはならないのだけれどー。
退院したら
「わたしは詩織」は間違えではないだろう。
そんなことを思いながら
トイレに行きたくなった詩織は
病室から外に出るー。
まだ夜中だー。
「ふ~…トイレなぁ…」
詩織(雄介)が男っぽい歩き方で
病院の廊下を歩きながら呟く。
「あぁ~…
退院したら、エッチなことも
ちょっとだけ楽しんじゃうか~」
そんなことを考えながら歩く詩織(雄介)-。
さすがに病院の中では
詩織の身体でエッチすることはできないー
存分に楽しむなら退院してからだー。
トイレに辿り着いた詩織(雄介)は
ため息をつくー
トイレが、面倒なのだー。
女性としてのトイレにまだ慣れておらず
何度も服を汚したし、
身体を汚したこともあるー
しかも、女性としてトイレに入ることに
ちょっと興奮してしまってダメなのだー。
”あぁ…服を汚したくねぇな…
夜中で面倒臭いし”
そんな風に思いながら
詩織(雄介)はトイレの個室に入るー
「-----」
そして、トイレから出るー。
手を洗いながら、
詩織(雄介)は”羽村さんの手、綺麗だなぁ”などと
呟くー。
そして、鏡を見るー
”わたし、綺麗だなぁ…”
最初から可愛いと思っていたけれど
改めて自分の身体になったと思うと、
やっぱりちょっと興奮するー。
いや、超興奮するー。
退院したら何をしようか考えるー。
入れ替わり手術の被験体になったことで
莫大なお金が手に入るから、
しばらくは生活に困らないー
女子大生ライフを満喫するのもいいー
だがー
まずは髪を切ってショートヘア―にするのと、
服を揃えないといけないー
雄介(詩織)に、どんな服があるか確認したところ
詩織は女の子らしい服装ばかりしか
持っていないらしいー。
「ちょっとスカートも恥ずかしいし、
落ち着かないしな…」
外ではともかく、家ではズボンだとか
ラフな格好をしたいー
詩織(雄介)はそんな風に思いながらトイレを出たー
「----!?」
ふと、詩織(雄介)は立ち止まる。
「あれ…わたし…?」
そういえば、今、何の問題もなく
半分無意識のうちにトイレを済ませていたー
いつも、あんなに苦戦していたのにー
違和感を感じる詩織(雄介)。
だが、すぐに邪魔な髪の毛を
どかしながら呟いた。
「ま、3週間も経ったんだし、
だんだん慣れてきたってことかな…」
そう呟くと、詩織(雄介)は
自分の病室に向かって歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「--今日の調子は、どうかな…?」
イケメン風の外国人ドクター、
Drリチャードが、独特な発音で、
雄介(詩織)に対して聞くー。
入れ替わり手術を行ったドクターの一人で、
今回の入れ替わり手術のプロジェクトに
Dr吉原と共に参加している人物だ。
雄介(詩織)が微笑むー。
「少しずつ、慣れてきた感じですー」
雄介(詩織)が穏やかな笑みを浮かべるー
中身が詩織になってからの雄介は
”好青年”という感じだー。
「--ただ、ちょっと…」
雄介(詩織)が言うと、
Drリチャードが「ちょっと…?」と首を
かしげたー。
「風邪をひいちゃったみたいで…」
雄介(詩織)が微笑むー。
「--風邪。
そうか…少し見てみようか」
Drリチャードが優しく微笑むー。
確かに、最近は少し冷える日もあったー
風邪を引くのも無理はないー
ただー
まだ入れ替わり手術の経過観察中だったし
些細な変化も見逃すわけにはいかないー。
Drリチャードが雄介(詩織)の喉を確認し、
聴診器を使うー
雄介(詩織)は診察を受けながら
”やっぱ胸がないって違和感だなぁ…
なんか、大事なパーツを失ったような
そんな感じ”と
心の中で苦笑いしたー
「そうだね…風邪だね」
Drリチャードが呟く。
喉が少し赤くなっていて
微熱が出ているー。
風邪だろうー。
「--薬を用意するように言っておくから
安心して」
Drリチャードがそう言って微笑むと
雄介(詩織)も笑みを浮かべたー。
退院まであと2週間ー
そしたら、まずは母のことだー。
母の病気を治すために、
入れ替わり手術で得たお金を使い、
手続きを始めなくてはいけないー
女手一人で育ててくれた
母への、恩返しー。
「こほっ」
雄介(詩織)が咳をするー。
”咳の風邪、わたし、治るの遅いからやだなぁ”と
思いながら激しく咳き込む雄介(詩織)-
「あ、でも、市川さんの身体だから、
すぐに治ったりして!」
そんな風に微笑む雄介(詩織)-
再び雄介(詩織)が咳き込むー。
口を、手で塞ぐー
「---!?」
雄介(詩織)は表情を歪めたー
口を塞いだ手のひらにはー
血が付着していたー
・・・・・・・・・・・・・・
「経過は、どうかねー?」
病院長の香川が、
Dr吉原とDrリチャードに確認する。
Dr吉原の担当している詩織(雄介)も
Drリチャードが担当している雄介(詩織)も
目立った変化は見られないー
手術から3週間ー。
既に2人は安定したと言ってもいいだろうー。
「---羽村詩織さんは順調に回復しています。
まぁ、女性の身体になったことに戸惑っては
いるようですが、だんだんと慣れるでしょう。」
Dr吉原が報告するー
「市川雄介くんも問題ありませんネ
風邪を引いたようだったので
風邪薬だけ処方してありまス」
Drリチャードが言う。
「--そうか。
あと2週間、引き続きお願いするよ」
院長の香川がそう言うと、
満足そうに香川は微笑んだー
・・・・・・・・・・・・・・・
夢を見るー
女子高生の自分ー
楽しかった修学旅行。
友達の博美と
はしゃいだ夜ー。
楽しかったなぁー
博美、今、どうしているかなぁ~
詩織(雄介)は夢の中で思うー
”博美って誰だ?”
一瞬思うー
だがー
すぐにその想いはかき消されたー
そしてー
母親の顔を浮かぶー
”早く、お母さんを助けなくちゃ”
自分は、何のために入れ替わり手術を受けたのかー
そうだー
そんなことは決まっている。
決まっているじゃないー
全ては、お母さんのためよー
・・・
詩織(雄介)が目を覚ますー
何か、ブツブツ呟いている詩織(雄介)
「おれは…雄介…」
「おれは…ゆうすけ…」
虚ろな目で病室から見える
夜空を見上げる。
そしてー
続けて呟く。
「わたしは…しおり…」
「わたしは…詩織…!」
最初は穏やかに呟いていた詩織(雄介)-
だが、次第に表情が鬼のような形相になっていくー
そして、近くの机を激しく叩き始めた。
「わたしはー詩織っ…!」
「わたしは、、詩織…!」
「あいつは…偽物…詩織は、、わたしよ!」
怒りの形相で、詩織(雄介)は
夜の病室で一人、机を叩き続けたー
③へ続く
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コメント
いつもお読み下さってありがとうございます~☆
皆様のご支援にも感謝の気持ちでいっぱいデス!
「入れ替わり手術」-
成功したように見えますが
果たして…?
ドキドキですネ…(笑)
続きは、水曜日を予定しています~☆
少しでも皆様にお楽しみ頂ければ
嬉しいデス!