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「---手術は無事に成功いたしましたー」


2048年9月ー

歴史は動いたー

新王大学総合病院の院長・香川は、

記者たちに囲まれて、

”入れ替わり手術”の成功を高らかに宣言していたー。


会見の席には

技術協力を行った未来創造製薬連盟の会長・久保塚の

姿もあるー。


執刀を行ったDr吉原とDrリチャードが

手術後の経過を説明している。


患者二人とも、術後も順調に

回復しているー、と。


患者の名前は個人情報保護の観点から

明かされなかったが

その場にいた記者たちは

”入れ替わり”という前人未到の領域に

ついに人類が足を踏み入れたことに驚いていたー。


・・・・・・・・・・・・・


「ーーーおはようございます」

入院中の雄介(詩織)がにっこりと笑うー。


通常の患者とは別の場所で

特別待遇で2人は入院を続けている。


入れ替わり手術から2週間ー

ふたりは、すでに歩けるほどに回復しているー。

この時代の手術は、遥かに進んでいたー。


あとは、経過観察を行い、

データの収集と、本人たちの健康が

確認されたのち、二人は退院となるー。


「--おはよう」

詩織(雄介)が笑う。


「ふふ、可愛い笑顔~

 って、自分の身体に対して

 可愛いって変ですね」


笑いながら雄介(詩織)が

詩織(雄介)の病室に入ってくる。


「どうですか?わたしの身体…

 なれましたか?


雄介(詩織)が言うー


「う~ん、やっぱまだ違和感があるかな~…

 胸とか、なんかすごく気になるし」

詩織(雄介)は胸を触りながら言う。


「って、あ、ごめん!」

詩織(雄介)は慌てて胸から手を離したー。

エッチなやつだと思われてしまう。


その様子に雄介(詩織)はクスクスと笑った。


「いいですよ~別に。

 だって、もう、市川さんの身体なんですし、

 ずっと胸を触らずに生きて行くわけには

 行かないじゃないですか~?

 ほら、今のうちに慣れておかないと!」


雄介(詩織)が言う。


「ーーそ、そう言われても」

詩織(雄介)は顔を赤らめた。


元・身体の持ち主の目の前で

胸を触る、というのはなんだか

とってもいけないことをしているようなー

そんな、背徳感に襲われるー。


確かに、自分たちは同意の上で入れ替わったんだし、

詩織の言うとおり、これからは

自分は女性として生きて行くのだから

胸ぐらい触れないといけないのだがー。


「--あと、髪も気になるなぁ~」

詩織(雄介)は呟きながら

自分の綺麗な黒髪を触る。


最初は興奮してドキドキしたが

慣れてくるとなんとなくジャマな気がする。

病院内のシャワーで洗い流したが

結構大変だったー。


「ーーじゃ、ショートヘア―に

 するのもいいかもですよ?」


雄介(詩織)が微笑むー


「ショ、、ショート!?」

ドキッとしてしまう詩織(雄介)-

女の子の髪型を勝手に変えてしまうー

なんだか、とてもドキドキするー


「ふふ…」

笑う雄介(詩織)-。


ふと見ると、雄介(詩織)のアソコが

大きくなっていたー


「ーーーあ」

詩織(雄介)の視線に気が付いた

雄介(詩織)が苦笑いする。


「ーーあ、あはは…

 なんか、ここ、、すぐ大きくなっちゃうんですよね」

雄介(詩織)が苦笑いしながら言うー。


「ーー男の人は、上手くコントロールできるのかもですけど

 なんか、こう、、すぐ大きくなっちゃうと言うか、

 どうしたらいいかよく分からなくて…」

雄介(詩織)が苦笑いするー


「--ま、、まぁ…お、お互い少しずつ

 慣れて行くしかないな」

詩織(雄介)が照れくさそうに笑うと

雄介(詩織)も「そうですね」と優しく微笑んだー。


・・・・・・・・・・・


慣れない身体ー。


トイレに行くにも一苦労だー


手術から3週間ほどが

経過しようとした、ある日。


詩織(雄介)は夢を見たー


小学生時代の夢ー

ただし、”雄介”のものではなく

”詩織”の小学生時代だー。


入れ替わり手術は、

”脳をまるごと”交換する手術。

よって、相手の記憶を得ることはできず、

詩織の身体になった雄介は、

詩織の記憶を引き出したりだとか、

そういうことはできない。


だがー

何故か、詩織の小さい頃の夢を見た。

小学生時代の夢ー

中学生時代の夢ー

女の子としての、日常ー


「---」

ふと、詩織(雄介)は目を覚ます。


「---わたしは…しおり…?」

ふと、そんな言葉が自然と口に出たー


窓の外をぼーっと見つめるー


わたしはーーしおり…?


あれー?


「---!」

詩織(雄介)はふと我に返った。


「ーーって、、なんだか変な夢だったな」

詩織(雄介)が呟くー。


まぁ、これから詩織として

生きて行かなくてはならないのだけれどー。


退院したら

「わたしは詩織」は間違えではないだろう。


そんなことを思いながら

トイレに行きたくなった詩織は

病室から外に出るー。


まだ夜中だー。


「ふ~…トイレなぁ…」

詩織(雄介)が男っぽい歩き方で

病院の廊下を歩きながら呟く。


「あぁ~…

 退院したら、エッチなことも

 ちょっとだけ楽しんじゃうか~」


そんなことを考えながら歩く詩織(雄介)-。


さすがに病院の中では

詩織の身体でエッチすることはできないー

存分に楽しむなら退院してからだー。


トイレに辿り着いた詩織(雄介)は

ため息をつくー


トイレが、面倒なのだー。


女性としてのトイレにまだ慣れておらず

何度も服を汚したし、

身体を汚したこともあるー

しかも、女性としてトイレに入ることに

ちょっと興奮してしまってダメなのだー。


”あぁ…服を汚したくねぇな…

 夜中で面倒臭いし”


そんな風に思いながら

詩織(雄介)はトイレの個室に入るー


「-----」


そして、トイレから出るー。


手を洗いながら、

詩織(雄介)は”羽村さんの手、綺麗だなぁ”などと

呟くー。


そして、鏡を見るー


”わたし、綺麗だなぁ…”


最初から可愛いと思っていたけれど

改めて自分の身体になったと思うと、

やっぱりちょっと興奮するー。

いや、超興奮するー。


退院したら何をしようか考えるー。

入れ替わり手術の被験体になったことで

莫大なお金が手に入るから、

しばらくは生活に困らないー

女子大生ライフを満喫するのもいいー


だがー

まずは髪を切ってショートヘア―にするのと、

服を揃えないといけないー


雄介(詩織)に、どんな服があるか確認したところ

詩織は女の子らしい服装ばかりしか

持っていないらしいー。


「ちょっとスカートも恥ずかしいし、

 落ち着かないしな…」


外ではともかく、家ではズボンだとか

ラフな格好をしたいー


詩織(雄介)はそんな風に思いながらトイレを出たー


「----!?」

ふと、詩織(雄介)は立ち止まる。


「あれ…わたし…?」


そういえば、今、何の問題もなく

半分無意識のうちにトイレを済ませていたー

いつも、あんなに苦戦していたのにー


違和感を感じる詩織(雄介)。


だが、すぐに邪魔な髪の毛を

どかしながら呟いた。


「ま、3週間も経ったんだし、

 だんだん慣れてきたってことかな…」


そう呟くと、詩織(雄介)は

自分の病室に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「--今日の調子は、どうかな…?」

イケメン風の外国人ドクター、

Drリチャードが、独特な発音で、

雄介(詩織)に対して聞くー。


入れ替わり手術を行ったドクターの一人で、

今回の入れ替わり手術のプロジェクトに

Dr吉原と共に参加している人物だ。


雄介(詩織)が微笑むー。


「少しずつ、慣れてきた感じですー」


雄介(詩織)が穏やかな笑みを浮かべるー

中身が詩織になってからの雄介は

”好青年”という感じだー。


「--ただ、ちょっと…」

雄介(詩織)が言うと、

Drリチャードが「ちょっと…?」と首を

かしげたー。


「風邪をひいちゃったみたいで…」

雄介(詩織)が微笑むー。


「--風邪。

 そうか…少し見てみようか」

Drリチャードが優しく微笑むー。


確かに、最近は少し冷える日もあったー

風邪を引くのも無理はないー


ただー

まだ入れ替わり手術の経過観察中だったし

些細な変化も見逃すわけにはいかないー。


Drリチャードが雄介(詩織)の喉を確認し、

聴診器を使うー


雄介(詩織)は診察を受けながら

”やっぱ胸がないって違和感だなぁ…

 なんか、大事なパーツを失ったような

 そんな感じ”と

心の中で苦笑いしたー


「そうだね…風邪だね」

Drリチャードが呟く。


喉が少し赤くなっていて

微熱が出ているー。

風邪だろうー。


「--薬を用意するように言っておくから

 安心して」

Drリチャードがそう言って微笑むと

雄介(詩織)も笑みを浮かべたー。


退院まであと2週間ー

そしたら、まずは母のことだー。

母の病気を治すために、

入れ替わり手術で得たお金を使い、

手続きを始めなくてはいけないー


女手一人で育ててくれた

母への、恩返しー。


「こほっ」

雄介(詩織)が咳をするー。


”咳の風邪、わたし、治るの遅いからやだなぁ”と

思いながら激しく咳き込む雄介(詩織)-


「あ、でも、市川さんの身体だから、

 すぐに治ったりして!」

そんな風に微笑む雄介(詩織)-


再び雄介(詩織)が咳き込むー。

口を、手で塞ぐー


「---!?」

雄介(詩織)は表情を歪めたー


口を塞いだ手のひらにはー

血が付着していたー


・・・・・・・・・・・・・・


「経過は、どうかねー?」

病院長の香川が、

Dr吉原とDrリチャードに確認する。


Dr吉原の担当している詩織(雄介)も

Drリチャードが担当している雄介(詩織)も

目立った変化は見られないー


手術から3週間ー。

既に2人は安定したと言ってもいいだろうー。


「---羽村詩織さんは順調に回復しています。

 まぁ、女性の身体になったことに戸惑っては

 いるようですが、だんだんと慣れるでしょう。」

Dr吉原が報告するー


「市川雄介くんも問題ありませんネ

 風邪を引いたようだったので

 風邪薬だけ処方してありまス」

Drリチャードが言う。


「--そうか。

 あと2週間、引き続きお願いするよ」

院長の香川がそう言うと、

満足そうに香川は微笑んだー


・・・・・・・・・・・・・・・


夢を見るー


女子高生の自分ー

楽しかった修学旅行。


友達の博美と

はしゃいだ夜ー。


楽しかったなぁー

博美、今、どうしているかなぁ~


詩織(雄介)は夢の中で思うー


”博美って誰だ?”

一瞬思うー


だがー

すぐにその想いはかき消されたー


そしてー


母親の顔を浮かぶー


”早く、お母さんを助けなくちゃ”


自分は、何のために入れ替わり手術を受けたのかー

そうだー

そんなことは決まっている。

決まっているじゃないー


全ては、お母さんのためよー


・・・


詩織(雄介)が目を覚ますー


何か、ブツブツ呟いている詩織(雄介)


「おれは…雄介…」


「おれは…ゆうすけ…」


虚ろな目で病室から見える

夜空を見上げる。


そしてー

続けて呟く。


「わたしは…しおり…」


「わたしは…詩織…!」


最初は穏やかに呟いていた詩織(雄介)-


だが、次第に表情が鬼のような形相になっていくー

そして、近くの机を激しく叩き始めた。


「わたしはー詩織っ…!」

「わたしは、、詩織…!」

「あいつは…偽物…詩織は、、わたしよ!」


怒りの形相で、詩織(雄介)は

夜の病室で一人、机を叩き続けたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


いつもお読み下さってありがとうございます~☆

皆様のご支援にも感謝の気持ちでいっぱいデス!


「入れ替わり手術」-

成功したように見えますが

果たして…?

ドキドキですネ…(笑)


続きは、水曜日を予定しています~☆

少しでも皆様にお楽しみ頂ければ

嬉しいデス!

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