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不良生徒の新庄 豊(しんじょう ゆたか)には

好きな女子生徒がいた。


同じクラスの金井 里香(かない りか)という生徒だー。

図書委員会として毎日まじめに学業に励んでいて

豊とは正反対の生徒。


豊は、

お世辞にも素行の良い生徒とは言えない。

髪も染めているし、先生からの評価も低いー

これまでに停学騒動を引き起こしたこともある。


だが、そんな豊が最近は

とある授業の実習で里香とよく組むことになり、

その中で里香と親しく話す機会が多くなってきた。


豊は、次第に里香に惹かれて行くー。

もちろん、里香はそんなつもりではない。


ただ、単に優しく、

誰にでも分け隔てなく接している。

それだけのことだ。


里香にとって、豊の普段の態度はどうあれ

わざわざ避けたり敵視したりする理由はない。

ただ、普通に話していただけー。

それだけのこと。


だが、豊は”勘違い”したー。

里香のことが好きになってしまったのだー。


里香には彼氏がいない。

そのことを知った豊は、ある日の

昼休みに里香を呼び出した。


「新庄くん、お話しって?」

真面目そうで”清楚”というイメージがぴったりの里香は

いつものような優しい笑みを浮かべながらやってきた。


「いや…その…」

豊は戸惑う。

いざ、里香の笑顔を見つめてしまうと、

照れくさくなる。


ガラにもなく、豊は顔を赤らめた。


「どうしたの?新庄君がそんな言いにくそうにするなんて」

そう言って里香は笑った。


まさか、自分が告白されるなんて

夢にも思っていない里香は、

豊の話の続きを待った。


豊は唾を飲み込む。

心臓が高鳴る。


こんなに緊張したのは、

初めてと言ってもいい。


そしてー

勇気を振り絞って、豊は叫んだ。


「お、、おれ、、金井さんのコトが好きだ!

 良ければ、付き合ってくれ」


ひと思いに言いきると、豊は頭を下げる。


豊は”自分のことをかっこいい”と

どこかで思っている。

悪さをする自分がかっこいい、とそう思っているのだ。


だがー

里香の表情から笑顔が消える。


「…あ、、…ご、、ごめんなさい それはちょっと」

里香の言葉ー。


豊は混乱するー


”え…?俺が振られるの?”


里香は続ける。


「…私、、、付き合うとか、、そういうの

 ちょっと怖くて…ごめんなさい」


「--え…いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!」

豊は混乱して、思わず里香の手を

掴もうとした。


「やめて!」

里香が声を荒げたー


”拒絶されたー”

豊の心の中で何かが砕け散って行くー


里香は「ごめんなさい」と呟いて

そのまま足早に立ち去って行ってしまった。


…てっきり、OKを貰えるとタカをくくっていた

まさか、、断られるなんて。


「よぉ新庄。」

豊の悪友の辻原が、ニヤニヤしながら近づいてきた。


「失恋かよ ぷーっ!だっせー!」

金髪で、豊と並ぶ問題児の辻本が笑う。


豊は怒りに唇をかみしめる。

里香に拒絶されただけではなく、

悪友の辻本に振られる場面まで

見られてしまった


「うるせぇ!」

豊はそう言って、そのままその場から立ち去る。


しかしー

その夜ー


辻本が、豊の失恋を面白おかしく

LINEでばらし始めた。

豊は、笑いものにされてしまう。

クラスにまで広まり、

里香に振られた、ということで

笑いものになってしまった豊は、

怒りに震えるー


憎悪が膨れ上がるー。

その憎悪は、自分を振った里香にも

向き始めるー。


そんなある日、

豊は幽体離脱をし、人に憑依できる薬、というものを

ネットで発見した。


”憑依薬”


とあるネットで、愛染亮(あいぜんりょう)という男が

出品していたのだー。


「---……マジかよ?」

豊は呟く。


だがーその、憑依薬を販売している

愛染亮という男の評価は、高かった。


これは、ホンモノかもしれないー。


”俺をこんな目に合わせた金井さんを乗っ取ってやる!”


豊は、そんな風に思いながら、

憑依薬を注文するのだった。


ーーーー


薬が届いた。

それは、月曜日の夜の事だった。


あの日から里香は、豊をどことなく避けている。

相変わらず、愛想よく笑ってはいるものの、

豊には分かっていた。

俺は、避けられている、と。


「俺を馬鹿にしやがって!!!」


豊は怒りに震える。


手元には注文した憑依薬。

もしもー、

もしも、この薬が偽物だったら?


そんな風に思いながら

豊は憑依薬を飲み干すー。


すると、不思議な感覚に豊は襲われたー

説明書き通り、幽体離脱が起きたのだ。


豊は「すげぇ!」と笑みを浮かべると

白目を剥いて倒れたままの自分の身体を

見つめて、そのまま自宅から飛び出した。


・・・・・・・・・・・・


「うん、おやすみ」

里香は、弟と別れて、自分の部屋に向かう。


「今日も疲れたなぁ~」

里香が一人呟きながら自分の部屋に入って行く。


既にー

その部屋には豊の霊体が侵入していた。


女の子らしい可愛い部屋だ。


里香が部屋に入ってきて

自分の机に向かう。

勉強でも、するのだろうか。


「・・・・・・お前のせいで、

 俺は恥をかいた!

 ・・・復讐してやる!」


豊はそう叫ぶー。

霊体だから、里香にはその声が届かない。


そして、豊は

里香の身体に一直線に飛び込んだ。


「うっ・・・!!」

里香が、うめき声をあげて

持っていたペンを落とす。


「な・・・…なに……何かが」

里香の声が聞こえるー


豊は、”お前の身体は俺のものだ”と叫ぶー


拒絶されたならー

俺が里香になってしまえばいい。

俺を受け入れないなら、

全てを奪ってやるー。


そう心の中で叫ぶ豊ー


次の瞬間ー

何かがはじけ飛んだー


「--------------うっ…」

足元がひんやりとする。

変な感覚。


「えっ!?」

慌てて下を見ると

そこには、可愛らしいスカートと

綺麗な脚が見えていたー


「え…マジで?」

里香の口が、そう声を出す。

言葉に似あわぬ可愛い声。


里香は部屋の鏡を見つめた。


すると、そこには笑みを浮かべたーーー

いや、いつもとは違う雰囲気の笑みを浮かべた

里香が立っていたのだった。


②へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


私のサイトで、ずいぶん前に書いた作品の

リメイク版デス!

当時は、まだ1日あたり1000~2000文字ぐらいの

作品が多くて、今より短いですネ

(最近は3000~5000文字ぐらいデス)


リメイクで多少長くなってはいますが、

まだまだ最近の1話あたりより短いので、

今回のリメイクは、どのプラン

(普段は300円のゾクゾクプラン以上対象ですが、

 これは100円のお恵みプランでも見れるようにしています)

見れるようにしました!


毎週火曜日に載せていきたいと思いますので

よろしくお願いします~☆



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