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穏やかな日常が今日も過ぎて行くー。

森田家(もりたけ)にとって、いつもの日常。


「あ、お父さん、今日休みなんだ?」

森田家の長女・亜優美(あゆみ)が階段から降りてきて言う。


今日は平日。

高校の制服に身を包み、清楚な雰囲気が漂っている。


「あぁ、今日は久々にな」

父親・竜二は笑った。


亜優美の父親・竜二は

とある企業の社長をやっている。

彼が大学時代に立ち上げた会社は

立派に成長し、現在ではかなりの規模の

会社になっていた。


そこに至るまでには、数々の苦難があったし、

”裏”では、強引な手段も多少は使った。

会社を発展させるためには、手段を選んではいられないのだ。

もちろん、それらは全て、家族のため。


「そっか、いつも大変だもんね」

亜優美が笑う。

優しい微笑みー。

父・竜二いとっての”癒し”


竜二は娘の亜優美を溺愛していた。

真面目で明るく、学校での人気も高く、

生徒会活動をしたり、バイトをしたり、

忙しそうな亜優美を、竜二は

心から誇りに思っていたし、

大切な娘だった。


竜二から見ても、娘の亜優美は

とても可愛い。

愛嬌のある容姿で整った黒髪。

容姿に中身に、全てにおいて

自慢の娘だった。


竜二は、亜優美の方を見ながら

「亜優美も最近大変みたいじゃないか」

と呟く。


けれどー

亜優美はそんな苦労を顔に一切出さずに


「うんーーでも、毎日楽しいよ。」


と、答えたー


平和な日常ー

父の竜二にとって、かけがえのない笑顔。

娘の亜優美がいるからこそ、

竜二は頑張ることが出来る。


昔はー

”結婚なんて”だとか

”子供がいるとお金が”だとか

そんなことも言っていたし、

金が全てだと思っていた。


だがー

竜二は、娘が生まれてから変わった。

その、いとおしい存在のために

全てを賭けようと、そう思えた。


「--じゃあ、行ってきます」

亜優美が可愛らしく手を振る。

竜二も手を振りかえす。


いつか、亜優美も誰かと結婚するかもしれないし

そうでなくてもここからは巣だっていくと思う。

それでもー

今、この瞬間の幸せを竜二は

しっかりと噛みしめていた


ーだが、、この”幸せ”は予期しない形で

奪われることになる。。

最愛の”娘”が、

最悪の”敵”になるー


そのことを、彼は、まだ知らない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


学校の岐路ー

亜優美と、友人2人が一緒に下校していた。


「へー、亜優美も頑張るねぇ」

親友の美月が、亜優美に言う


「うん、今のうちに頑張っておかないと、

 来年大学受験だし」

亜優美が笑う。


「ふん…またいい子ぶっちゃって」

思ったことを何でも口にしてしまう

天然な友人・由恵(ゆえ)が呟く。


「そんなつもりじゃないよ~!」

亜優美が苦笑いする。


由恵は、何でも口にしてしまうため

勘違いされやすいコではあるものの、

悪い子ではない。


「ふふふふ」

美月が二人の会話を見ながら笑う。


何て事のない、いつもの会話だった。


「じゃあ、私 今日バスだから!」

そう言う、友人たちに笑顔で手を振り、亜優美は

親友と別れた。


一人道を歩く亜優美。


その時だったーー。

背後から黒塗りの車が近づいてきた。


そして、亜優美の前で停車すると、

車内から飛び出してきた男があっという間に

亜優美を拉致してしまった。


何かのニオイを嗅がされて

意識を失ってしまう亜優美。


そしてーーー

彼女は謎の廃墟に連れて行かれた。


「う…」

亜優美が目を覚ます。

するとー

自分の身体が、鎖のようなもので

拘束されていた。


「え…?」

亜優美が困った表情を浮かべる。


「……目を覚ましたかい?」

近くにいた白髪交じりの男が呟く。


「…な、、何をするんですか!」

亜優美が恐怖を顔に浮かべて叫ぶ。


「フフ…何もしやしないよ」

男は粘っこい笑みを浮かべた。


「実はね…君のお父さんに俺は恨みがあるんだ。

 その復讐をしようと思ってね。

 で、君に手伝ってもらおうと思って…」


男が怪しい笑みを浮かべる。

夕日が反射して、余計に不気味に見える。


「お父さんに…?

 私が手伝う?

 お断りします!」


亜優美は恐怖におびえながらも毅然として

断った。


「こ、、こんなことして…

 は、、犯罪ですよ!」

亜優美が叫ぶ。


どうにか、助けを求めないとー。

拘束された身体をどうにかしてー…

せめてー

せめて、スマホを…


「乾杯しようか」


男が呟いた。


手に、グラスを持っている。

グラスの中には緑色の液体。


「な…何なの…」

亜優美が泣きだしそうになりながら男を見る


「これはねーー

 飲むと”霊体化”できる特製のドリンクだ。

 たとえば俺が飲むと、俺は霊体になることができる」


男は得意げに言う。


「……な…何を言って…?」

亜優美が困惑した表情と

恐怖の表情を浮かべる。


目の前の男の目は

正気ではないー

いったいこの人は、誰なのか。


「霊体になるとねぇ…

 人の体に乗り移ることもできるんだよ…

 そう、憑依って言うのかな。」


そして、男は亜優美を見た。


「君の体ー

 もらうよ。

 君自身が、人質になって父親を

 苦しめるんだよ…

 ククク」


気色の悪い笑い声をあげ、男は緑色の液体を

飲み干した。

その瞬間、男が意識を失う


「ヒッ…や、、やめて!お願い!やめて!」

亜優美が恐怖からパニックを起こした


だがー

鎖に繋がれている自分の身体は

動かないー


そしてーー


「やめて…おねが・・・ひっ!」


変な声を上げると、亜優美がもがき苦しみ始めた


「やめて!やめて!お願い!出てって!

 やめて!やめてぇぇえええええええぇ 

 ぇ・・ぇえ えへ…えへへへ…ウフフ…」


悲鳴が途中から、笑みへと変わる。


「……私は……」

声を確かめるようにして出す


「私は森田亜優美……

 お父さん…

 これから亜優美がお父さんに復讐するね♪」


そう言うと、亜優美は邪悪な笑みを浮かべた。

そして一人、気味の悪い笑い声で笑い出した。


「--くくくく…

 あぁぁ…これからお父さんに復讐できると

 思うと、ゾクゾクしちゃう…♡」

亜優美はそう呟くと

「おい!」と叫んだ。


物陰から、ニット帽の男が出てくる。


「憑依成功だ…

 さ、この鎖を外せ」


亜優美が高圧的にそう呟くと、

ニット帽の男は笑みを浮かべた…。



夜19時。


「あれ?亜優美、今日バイト無いって言ってなかったっけ?」

竜二が言うと、妻も「うーんそうね…」と答えた。


オカシイ。


高校はとうに終わっているハズ。


竜二の中に不安がよぎる。


その時だった。

電話が鳴った。


竜二は慌てて電話を取った。


「もしもしー?森田さん?」

加工音声のような声が響いてきた。

どういうことだ?

と竜二は首をかしげる。


「もしもし?誰だ?」

苛立ちを隠さず返事をする竜二。


電話の相手がクスクスと笑った。


そしてー

衝撃の言葉を告げたー


「--娘さんを預かりました。

 交渉しましょう。

 今から1時間後、南地区の河川敷、

 100万円用意して一人で来て下さい」


電話の相手は淡々とそう告げた。

ーーー誘拐。。


竜二は頭が真っ白になった。


「わ、、分かった。

 行く。行くから。娘に手を出すな」


動揺しながらも、それを悟られないように

必死に返事をした竜二。


竜二が

そう言うと、相手は

”警察に言えば亜優美を殺す”

”他の誰に言っても亜優美を殺す”と宣言した。


電話を切った竜二は、慌ててお金をかき集め、

指定された場所へと向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


可愛らしいスマホを放り投げる電話相手ー。


「くくく…あははははははははっ♡」

イスに座りながら笑っているのは

竜二の娘の亜優美だった。


今の電話は乗っ取られた亜優美自身がしたものー。


「んふふふふふ~

 おと~さん…

 …父娘の絆…滅茶苦茶にしてあげる…」

亜優美はそう呟くと、歩き出した…


・・・・・・・・・・・・・・・


指定された場所に辿り着くと、車が止まっていた。

この河川敷には人通りがほとんどない。


「……」

竜二が中心に立ち、あたりを見回すと、

車の中から人が出てきた。


女子高生だーー。


あれはー

「---亜優美!」

娘の亜優美だった。


亜優美はいつものような笑みを浮かべながら

こちらに歩いてきている。


竜二は慌てて駆け寄った


「亜優美!良かった!」

娘を抱きしめる。

怖かっただろう、と思いながら。

こんな思いを娘にさせてしまうなんて…


「お父さん~?気が早いよ」

亜優美の声。

低く、不気味なトーンだった。


「えー?」

竜二が手を離して亜優美の顔を見ると、

亜優美は、いつも見せないような、

含みのある笑みを浮かべていた。


「ど、、どうした亜優美…

 こんなところにいたら…」

竜二が戸惑いながら言うと、

亜優美はケラケラと笑う。

亜優美らしからぬ、汚らしい笑み。


「ウフフ…お父さん、私、まだ人質なんだよ?

 わかってる?」

亜優美はさぞ面白そうに言う。


「……人質…、、な、何かされたのか?」


周囲を見回す。

銃を持った奴が亜優美を狙ったりでもしているのだろうか?


だが、亜優美は手を出して言った。


「さぁーーー金を出しなさい」

亜優美が命令口調で淡々と竜二に言う


「・・・な、、何言ってんだよ!亜優美…

 ほら、もう大丈夫だから。

 脅されてるんだろ?大丈夫だから」


竜二が言うと、

亜優美は舌打ちをした


「かーね。

 出すの?ださねぇの?」

亜優美の乱暴な口調。


「ど…どうしたんだ…あ、、亜優美…?」

震えながら言う竜二。


「プっ…あっ、あははははは!

 おっかしい~~。

 お父さん~何震えてるのぉ~?

 プっ…ウフフ」


亜優美がバカにしたように笑う。


「……な、、、ど、、どうしたんだ?」


竜二が唖然としていると亜優美がポケットから

緑色の液体を取り出した


「おとうさ~ん、これなんだか分かる?」


亜優美が挑発的に言う。

娘は、反抗期も無く、常に優しかった。

そんな亜優美の、挑発的な態度を見るのは初めてだった


「い、、いや…なんだそれは?」


「これね~

 飲むと幽体離脱して、人に乗り移ることができる

 お薬なの!

 凄いでしょ!」


亜優美が楽しそうに大げさな身振りを加えて言う。

その薬を見ながらうっとりとした表情を

浮かべて、顔を赤らめている。


竜二は失笑する


「そんなもの、、あるわけないだろ…亜優美?」


一瞬、竜二は娘が狂言でもしているのかと

考えるー。

誘拐など本当はなくー…


「へ~?」

亜優美がバカにしたようにして笑う。


そして、いきなりその場で胸を

乱暴に揉み始めた


「うふふふふふふ~

 わたし、こんなことするぅ~?

 ねぇ、お父さん?どうなるの? 

 ねぇぇぇぇ~?」

胸を狂ったように触りながら言う亜優美


「ま、、まさか…そんな」

竜二は唖然とする。


本当に憑依されてー?


「亜優美ね~

 人質として、体奪われちゃったの~!

 体も心も、、みんなみんな、

 思い通りにされちゃってるの!」

亜優美が満面の笑みで言った。


一気に竜二の血の気が引いた。


夜の冷たい空気が、竜二の背中に当たる。


そんなことがーー

娘がーー


「お、、、おい冗談よせよ…」

現実を受け入れられず言うと、

亜優美が再び自分の胸を触り出した。


「うっ…はぁん♪ あっ…感じる…

 亜優美…気持ちイイ♪」


亜優美がうっとりとした表情で

軽い喘ぎ声をあげる。


「や…やめろ!」

俺が叫ぶと、

亜優美がバカにしたような笑みを浮かべて俺を見た。


「さっきから言ってるよね?

 わたし、普段こんなことしないよね??

 これでわかってくれた?私が体奪われちゃったってこと!」


竜二は現実を受け入れるしかなかった。

たまらず竜二は叫ぶ。


「か・・・金なら払う!

 今すぐ娘を解放してくれ!」


竜二が叫んで、封筒を差し出すと、

亜優美が乱暴に封筒を取り上げた


「ウフフ…ありがと♪おとうさん。」

亜優美がお金を乱暴な手つきで数える


そして・・・


「はーい!100万円!

 亜優美とお話しする権利お買い上げありがとうございます~!」


亜優美がバカにしたようにして言う。


「なん…だと?」

竜二が亜優美の方を見ると、

娘はなおも、愉快そうに続けた。


「この100万円は、亜優美と会うためのお金!

 私を助けたいなら、これから言う要求を

 ちゃ~んと、やってもらわなきゃ!」


亜優美がスキップしながら言う。

完全に竜二を馬鹿にしている。


竜二は拳を握りしめた。


「まず、第1ステージ♪!

 私の靴の裏をお舐め、お父さん!

 な~んちゃって!あはははは!」


高飛車な雰囲気で亜優美が俺の前に足を差し出した。


「き…貴様…」

竜二は亜優美を睨んだ。


中のヤツに向けて、最大限の殺気を放つ。


娘を睨む父。

しかし、亜優美も負けじと父を睨んだ。

まるで女王様のようにー。

そして、亜優美は言った。


「いいの?おとうさん?

 亜優美、知らない男の人に滅茶苦茶にされちゃうよ?

 今の私は操り人形だから、

 喜んで男の人に体も売っちゃうよ♪」」


その笑みには迷いはない。


「や…やめてくれ…頼む」

竜二は土下座した。

地面に必死に頭をこすりつける。


だが、亜優美は言う


「舐めれるの?舐めれないの?

 亜優美を助けたくないの~?」


亜優美が竜二の顔を覗き込む。


だが、プライドが邪魔して、

竜二は靴を舐めることができなかった。


どうしても…

できなかった。


すると亜優美が低い声を出して行った


「はぁ…つまんないの…

 お父さん、私を助けたくないんだね」


亜優美はそう言い、愛想なく、車の方に向かう。


「あ、、、亜優美!待ってくれ!」

竜二が叫ぶと亜優美が振り返る


「もう5分経っちゃった! 

 ウフフ…亜優美ね~5分100万円なの!


 また明日ね、

 お父さん!」


そう言うと亜優美は笑いながらつけわえた。


「あ、明日もまた電話するから。

 亜優美とお話ししたければ100万円。

 持ってきてね?

 あとね~

 私も、待たされれば待たされるほど楽しくなってきちゃうから。」


何?

竜二は意味が分からず、亜優美に聞き返す。


すると亜優美は答えた。


「ホラ、私、こんなに可愛いし、

 もっと派手な格好とか?色々おしゃれとか?

 してみたい格好とか色々あるの!


 お父さんが私を焦らせば焦らすほど、

 亜優美、変えられていっちゃうの!

 

 私のしたくないこととか、

 い~っぱいさせられちゃうの!


 だからおとうさん!

 早く亜優美を助けてね♡」


亜優美は可愛らしくウインクすると、

馬鹿にしたように笑いながらそのまま車に乗り込む。


竜二は必死にその車に駆け寄った。


「待ってくれ!おい!」


後部車両の窓から顔を出して笑う亜優美。


「今夜はお前の娘でオナニーしまくってやるよ!

 ふひひひ、

 じゃあねお父さん~♡」


亜優美は指を突き立てて

挑発的なポーズをするー


「おい!」

竜二が叫ぶー


運転席をふと見ると、そこにはニット帽の男がいたー


「おいこら!」


走り去っていく車ー


車がー

遠くにー

手の届かないところに行ってしまうー。


「あ、、、、あ、、、」

竜二は膝をつくー。

そして、放心状態でその場にすわりつづけたー


②へ続く


・・・・・・・・・・・・


コメント


私がTSFを書き始めたころに書いた作品のひとつ

「ムスメの身代金」をリメイクすることにしました!

ベースは当時のまま、文章を今の私風に書き直しているのと

台詞の追加と変更、シーンの追加、

新しい展開の追加をしていますー☆!

新しい登場人物もちょっとだけ!


原作を知らなくても楽しめますので

お楽しみ下さい~☆!


続きは、そう遠くないうちに~!


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