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スポーツ万能で明るい性格の男子生徒・雄太ー。

幼いころから病弱で、体育の授業もいつも見学…奥手な女子生徒・優奈。


ある日、雄太が他の男子生徒との会話の中で

”優奈”のことを”別に可哀想じゃない”と言っていたのを聞いて

”嫌われている”と誤解した優奈は、図書室にやってきた雄太を

避けるような行動を取るー。


そんな優奈を雄太が追いかけた際に、二人は

階段から転落して入れ替わってしまったー。


戸惑いの中、入れ替わり生活を始めた二人の運命は…?


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>憧れのきみをいつも見ていた①~戸惑い~

「パス!!パス!!」 広々とした校庭に元気な男子生徒の声が響き渡るー。 体育の授業ー 校庭を半分づつ使い、男女それぞれが体育の授業を行っているー。 そんな様子を校庭の端の方で見つめていた女子生徒は 男子の方の体育を見つめながら、小声で「がんばれ」と呟くー。 どうやら彼女は、ちょうどボールを蹴りながらゴ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


少し朝早くやってきた二人ー。

お互いの身だしなみをチェックして、

お互いに色々とツッコミを入れるー


「ご、ごめんー女子の朝の準備とか全然わからなくてー

 髪型もいつもと違うけど…」

朝ー、優奈(雄太)は”いつもの優奈”のように

ポニーテールで学校に来ようと思ったものの、

上手く出来ずに諦めて、やむを得ずそのまま学校にやってきていたー。


「ーーーわ、わたしも…全然わからなかったからー…

 いつもと違うかもー」

雄太(優奈)も不安そうにそう呟くー。


授業が始まるまでの間、二人で昨日の情報交換を行うー。


まだ、朝の学活が始まる時間まで時間もあるため、

周囲から見られないように、この時間は使われていない

生徒会室で話をする二人ー。


お互いの家族はー

何とか誤魔化すことが出来たー。


優奈(雄太)は母親から”なんか今日はいつもより明るい顔してるね?”と

言われたりー、

雄太(優奈)は、弟から”今日、元気なくね?”なんて言われたものの、

二人ともなんとかやり過ごすことが出来たー。


”トイレとお風呂”

これは、二人にとっての最大の課題とも言えたー。

だが、話し合った結果”漏らすわけにはいかない”

”お風呂に入らず明日学校に行くわけにはいかない”という結論に達して

”必要以上見ないこと”を互いに約束ー

その通りに済ませたー。


正直なところ、優奈になった雄太も、雄太になった優奈も

少なからずドキドキしていたものの、お互いに相手のことを

考えて、理性で変な考えを吹き飛ばしたー。


着替えも同じくー、緊張しながら着替えを済ませー

二人は何とかそれを乗り越えたー



「ーーそれにしても…スカートってなんだかこうー

 落ち着かないよなー…

 ほら、俺、よく校庭で遊んでるじゃん?

 この格好のままじゃー…流石に難しいよなー…」


”どうすれば周囲から見えない”のかー

そういうところも、優奈(雄太)には分からないー。


女子は座るときにも、スカートを上手くいじっているように見えるがー

雄太にはそれも分からないー


「あ、そ、そうだー

 教室で座るときとかさ、何かこうー

 気を付けることはあるかな?」

優奈(雄太)が不安そうに聞くと、「あ、うんーえっとー」と、

雄太(優奈)が戸惑いながら説明をするー。


「結局、寝ても元には戻らなかったなぁ」

優奈(雄太)がボヤくー。


”ひょっとしたら”

朝、起きたら急に元に戻っていた、なんてことも期待したのだが、

結局、朝、起きても胸は膨らんだままだったし、

髪も伸びたままだったー


「ーーうん…そうだねー」

雄太(優奈)も申し訳なさそうに頷くー


「ーまぁ…でも、戻らなかった以上は、

 しばらくこのまま生活していくしかないよなー」

そう言いながら、優奈(雄太)が立ち上がると、

”今日1日”を乗り越えるための作戦会議と称して

色々と話し合いを続けるー。


「そうそうー、坂森さん、あんまり騒がしいの苦手だと思うしー、

 いきなり色々話しかけられても、大変だと思うから、

 今日は”風邪気味で声が出にくい”ってことにして、

 上手くやり過ごすのはどうかな?」


優奈(雄太)が、自信ありげにそんな言葉を口にすると、

雄太(優奈)はそんな表情を見つめながらー

”わたしも…そんな顔できるんだー”と、少しだけ新鮮な気持ちに

なりながら「あー…そ、そうだねーありがとうー」と、頷くー。


雄太は普段から、休み時間中もよく友達と話をしているー。

男女問わず、だー。

確かに”たくさん話す雄太”のフリをして1日中、上手く会話を

合わせるのはとても大変だと思うし、ボロが出てしまう可能性は高いー。


優奈(雄太)からの提案は、雄太(優奈)にとっても

とてもありがたいものだったー。


そろそろ朝の学活の時間ー。

時計を確認しながら優奈(雄太)は

「あーー…そ、そ、そういえば…さ」

と、急に顔を真っ赤にしながら言うー。


「ーー?」

雄太(優奈)が首をかしげながら、そんな優奈(雄太)のほうを見つめると、

優奈(雄太)は申し訳なさそうにー

「ーーあ…あの…な、なんていうかなーその…」

と、さらに顔を赤面させるー


「ーえ… だ、大丈夫ー…?

 か、顔がケチャップみたいになってるよー?」

心配そうな雄太(優奈)ー


優奈(雄太)は「だ、だ、大丈夫ー…なのかな?」と、

苦笑いしながら、「実はそのー」と、恥ずかしそうに言葉を続けたー。


「ーーし、下着…って、言うのかなー…

 じ、実はー…家を出る直前まで忘れててー

 急に思い出してー…場所もつけ方も分からなくてー


 そ…そのー」


優奈(雄太)は、ものすごく小声で”な…なにもつけずにー”と、

顔を真っ赤にして俯いたー。


「ーーえっ…えぇ…!?!?

 あ…で、でもーそ、そうだよねー…」

と、雄太(優奈)も顔を赤らめながら、優奈(雄太)のほうを見つめるー。


「ーなんか…その、ごめんー

 4時間目の体育の授業ー…着替えるとき、どうしようかー…」


困惑しながら優奈(雄太)が申し訳なさそうにしていると、

雄太(優奈)は、「あ、それなら大丈夫ー」と笑ったー。


「ーわたし、体育は出られないからー

 ほらーー、いつも見学だしー」


笑いながらー

当たり前のように言う雄太(優奈)ー


その表情はー

寂しそうにー、けれどももう、”とっくに諦めた”というようなー

そんな、色々な感情が混ざったものだったー


「ーーあ…!そ、そっかー

 そ、そんなつもりじゃー…ご、ごめんー」

優奈(雄太)は、”自分が体育に出る”ということが当たり前すぎたため、

ついうっかりしてしまったー。


すぐに平謝りするとー、

「ーー気にしないでー」と、雄太(優奈)は少しだけ笑うと、

「そんなことよりー、田辺くんに見学させることになっちゃって、

 ごめんねー」と、申し訳なさそうに言葉を口にしながらー


「ーーでもー」と、雄太の身体を動かしながら、笑うー


「ーこうして体育に出れるなんてー

 なんだか、夢みたいー」


とー

子供のように、無垢な笑みを浮かべる雄太(優奈)ー


そんな姿を見て、優奈(雄太)は、

”どういう意味で”そう感じたのかは自分でも分からなかったけれどー、

なんだか少しだけー

ドキッとしたー。


”ってー、自分にドキッとするなんてー俺もヤバいなぁー”

内心で、そんなことを思いながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”お互いのフリ”をする学校生活が始まったー


「ーお~!おはよ~!」

雄太の親友・康介(こうすけ)が何も知らずに

雄太(優奈)に話しかけるー


「お~~ お~~~ おはよぅ~」

不自然な棒読みでそう答える雄太(優奈)ー


”や、やべぇー

 早速坂森さんー緊張してるー

 

 そ、そりゃそうかー

 普段、あんま男子とは喋ってないしー


 俺と仲良い組み合わせも違うしー”


そうこうしているうちに、

今度はクラスで成績2位の優等生ー

現生徒会書記の月影 美琴(つきかげ みこと)に声を掛けられて、

雄太(優奈)が戸惑いの笑みを浮かべるー


”あぁ~…月影さんとも、坂森さん、普段あまり

 話してないしなー”


美琴はしっかり者のお姉さんタイプでーー

眼鏡がトレードマークの、いかにも生徒会に似合いそうな感じの子だー。


よく声を掛けられるためー、雄太も美琴とは

それなりに喋る間柄だー。


「ーそれで、この前の話だけど~」

美琴が笑いながら、雄太(優奈)に話しかけるー


雄太(優奈)が頭の上に「?」「?」を浮かべているのがー

「?」が見えなくても分かるー。


優奈(雄太)が内心でそんなことを思うと、

すかさずフォローに入ったー


「あー、あのー…おr…あ、えっと田辺くんー

 今日、風邪気味みたいでーあまり声が出ないみたいよー」


優奈(雄太)が言うと、

雄太(優奈)が”ホッとした”ような表情を見せるー。


親友の康介が「へ~そうなのか、お前が風邪なんて珍しい~」と

笑うー


生徒会の美琴が「ーーあ、そうなんだねー…大丈夫?」と

心配そうに呟くー。


だが、”声があまり出ない”ということにしておいたことでー

なんとかその場をやり過ごしー、

”できるだけ周囲と会話しなくていい状況”を作り出したー。


”ありがとう”

雄太(優奈)は小声でそう言いながらもー

どこかで、入れ替わる前に聞いたあの言葉ー


「ーいや、だってー別に全然可哀想じゃないしさー」


がー、脳裏で再生され続けたー


”ーーーー…”


迷惑ー。

そう、思われているのだろうかー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


体育の授業が始まるー


”すごいー!”


”やっぱり、すごいーー”


”田辺くんの身体ーー、すごい!”


サッカーの授業をしながら、

感動の表情を浮かべる雄太(優奈)ー


”こんなにー、こんなに身体が動くなんて”


「ーーそっちに行ったよ!」

はりきって、チームにも声をかける雄太(優奈)ー


けれどーーー


試合終了後にー

チームメイトの一人が言ったー。


「なんか今日の雄太ー、いつもより

 積極的じゃなかったなぁ~

 いつもは一人で自分だけで攻めていくのにー」


「ーやっぱ、風邪ひいてるからかなぁ」


そんなことをチームメイトが口にしたー


”やっぱり、身体が動くだけじゃ、田辺くんにはなれないー”

そんなことを思い知りながらもー

心の底から体育の授業を楽しみー

いつの間にか普段話さないクラスメイトとも

自然に笑いながら、雄太(優奈)は会話を交わしていたー


”ーーホントに楽しそうだなー”

優奈(雄太)はそう思いながら

立っていると、

校庭がすぐ見える部分にある保健室の校庭側の扉が開き、

保健室の大橋先生が出て来たー


「ーー寒いでしょ?中に入ってもいいのよ?」

とー。


「ーーえ…? あ…そのー」

優奈(雄太)が少し戸惑うと、大橋先生は

「ーーーーなんて言っても、坂森さんが外で見学するって言うのは

 分かってるんだけどー」と、微笑んだー。


「ーでも、本当に無理しちゃだめだからね?」

大橋先生はそう言うと、

優奈(雄太)は「あ、はいー」と、戸惑いながら頭を下げたー。


確かに、優奈のような体質で体育に出られない子は無理に見学せずとも

保健室で休んだりしている選択肢もあるのかもしれないしー

大橋先生の言葉からすれば、いつも優奈を保健室に誘っているけど

優奈が断っているー、ということだろうかー。


「ーーー…そんなにー体育、出たかったのかなー」

優奈(雄太)はそう呟くと、

再び楽しそうにサッカーをしている雄太(優奈)のほうを見つめたー


”今度は俺がこっちで見る側かー”


身体を動かしたいな、と思いつつー

入れ替わってから”想像以上に身体が重く、調子も良くない”ことを

イヤというほど理解していた優奈(雄太)はー

”いつも”こう”でー…いつもあんなに頑張ってるのかー”と、

心の中で呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


今日は昼休みの図書当番だった優奈(雄太)は、

雄太(優奈)にサポートして貰いつつ、

色々図書当番の仕事をこなしていくー


「こんな感じかな」

雄太(優奈)が言うと、優奈(雄太)は「これなら何とかやっていけそうだな」と

満足そうに笑うー。


図書室の中で体育の授業の時のことを

他の生徒に聞かれないように小声で話す二人ー。


そんな二人の元に、生徒会の月影 美琴がやって来るー。


「ーーあ、田辺くんー!風邪は良くなったの?」

笑いながら心配そうに声をかけて来る美琴ー。


「ーーえ…あ!」

雄太(優奈)が少しドキッとしながら、

優奈(雄太)のほうをチラッとみるとー、

「ーい、今は少しだけいいみたい」と、

誤魔化す言葉を口にしたー。


「ーうんうんー!それならよかったー!

 田辺くんが元気ないと、わたしも心配だしー!」


美琴はそう言いながら、図書室から一つ、本を借りるための

手続きを優奈(雄太)にお願いしたー


優奈(雄太)が”慣れない手つき”で、

貸出の手続きをしている間ー


美琴はー優奈(雄太)を睨むようにして見つめていたー


本の貸し出しの手続きが終わり、美琴はお礼の言葉を口にすると、

雄太(優奈)のほうを見つめて、

「田辺くん!またね!」と、微笑みながら

そのまま図書室の外に出て行ったー


「~~~~~~~…」

雄太(優奈)は、美琴が”わたしの身体”を睨んでいたことに

気付いていたためー、とても不安そうな表情を浮かべるー


「ん?や、やり方何か間違ってたかな?」

優奈(雄太)が不安そうに言うと、

雄太(優奈)は「う、ううんー大丈夫ー。完璧!」と、

笑いながら返すと、図書室の出入り口のほうを見つめたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


図書室の外に出た美琴は、

たった今、借りた本をミシミシと握りしめながら

表情を歪めたー


「なにあの女ーーー

 ”わたしの”田辺くんの周りをチョロチョロしてーーー」


そう、呟きながらー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


運動神経抜群☆!の身体に入れ替わったら

どう感じるのか、

私も体感してみたいですネ~笑


今日もありがとうございました~!

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Comments

飛龍

お互いの日常を体験するパート、良いねぇ~ そして三角関係?の予感…!? 次回が楽しみです~!

無名

ありがとうございます~!★ 結末までしっかり考えてあるので、 ちゃんと描き切れるように頑張ります~!★!