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平穏な日常を過ごす男子大学生の龍平とその彼女・亜香音。


これからもその平穏な大学生活は続くー…ハズだったー。


しかし、ある日、亜香音が

”ナイトメア”を名乗る犯罪者に憑依されてしまいー、

憑依された亜香音は”犯罪”に手を染め始めるー。


”平穏”は崩さりー、”悪夢”が始まるー。


Nightmare desire episode.2-


★前回はこちら↓★

<憑依>ナイトメア・デザイア①~悪夢の始まり~

「まさかー、”女”だったとはなー」 サングラスを掛けた男が笑みを浮かべると、 反対側に足を組みながら座っていた髪の長い女が 笑みを浮かべるー 「ー”女”じゃいけませんか?」 とー。 冷たい視線を向けながらー。 そんな女を見て、相手の男がゾクッとすると、 「いいやー、むしろ新鮮だよー  ”ナイトメア”の異名を持つ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


主な登場人物


森本 龍平(もりもと りゅうへい)

大学生。彼女の亜香音と楽しい学生生活を送っていた。


狭霧 亜香音(さぎり あかね)

大学生。龍平の彼女。ある日を境に不穏な行動が目立つように。


小野寺 瑠香(おのでら るか)

大学生。龍平の幼馴染。小悪魔的な性格の持ち主。


根岸 和夫(ねぎし かずお)

大学生。瑠香の彼氏。ひたすら瑠香に振り回されている。


”ナイトメア”

裏社会で暗躍する謎の人物。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー」


亜香音が憑依された翌朝ー


女子大生が絶対に寄りつかないような、

怪しげな建物の地下にやってきた亜香音は、立ち止まるー


「それが”次の身体”かー?」

”憑依された亜香音”の背後から現れたスーツ姿の

一見すると優しそうな風貌の男が言うとー、

「ーーククーお前も来ていたのか

 今泉(いまいずみ)ー」と、呟きながら

亜香音が振り返ったー。


「ーーどうだ?可愛いだろ?」

亜香音が自信に満ち溢れた表情で、自分の身体を得意気に

触りながら言うと、

今泉と呼ばれた男が少し苦笑いしながら言い放ったー


「しかし、その子も犯罪とは無縁な子だろうにー

 これから、色々な悪事に使われていくと考えるとー

 可哀そうだねぇ」


軽口を叩く今泉ー。


「ーへっー、可哀想なんて思ってないくせに」

亜香音が笑いながら言うー。


「ーこれからこの女は裏社会で暗躍する”ナイトメア”に

 なるんだぜー?」


亜香音が黒い手袋をはめながらそう呟くと、

今泉は「はははー好きだねぇーお前もー」と、

笑いながら首を横に振ったー。


「ーーで?お前がここにいるってことはー

 ”何か”金になる案件を持ってきたんだろ?」

亜香音がそう言うと、

今泉は笑みを浮かべたー


「さすが城戸(きど)ーー

 察しがいいね」


スーツ姿の男・今泉は

亜香音に憑依した”ナイトメア”を名乗る男のことをそう呼ぶと、

ニヤリと笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」


大学にやってきた龍平は少し戸惑いの表情を

浮かべながら、構内を歩いていたー。


「ーーーーー」

龍平が暗い表情をしている理由は、ひとつー。


昨日から、彼女の亜香音と連絡がつかないのだー。


確かー、昨日は亜香音はバイトのシフトが入っていて

”バイト頑張って”などという会話をして別れたー。


だが、それ以降、連絡が途絶えているー。

既読はつくのだが、反応がないー。


そしてーー

どうやら、今日、亜香音は大学にも来ていないようなのだー。


「ーーー…亜香音ー」

何かあったのだろうかー。

そんな風に思いながら、廊下を歩いているとーーー


突然、目の前に人影が現れて

「ばぁっ!!!!!!!」と、その人影が叫んだー


「ーーっっっ!!!」

思わずビクッとして、龍平が表情を歪めると、

目の前に、キラキラ輝いたオーラを出しているようなー…

そんな感じの女子生徒の姿が見えたー。


幼馴染の小野寺 瑠香ー。


小さい頃からの知り合いでーーー

龍平が”小さい頃からよく頭を悩ませている”存在ー


「ーも~~~リアクションうす~~~い!」

瑠香がそう言い放つと、

「ーこんなに可愛い子が飛び出してきたんだから、

 なんかリアクションしてくれないと」

と、いつもの調子で、訳の分からないことを言い出したー


「ーーお、お前なぁー……も、もう大学生なんだぞ?」

龍平が呆れ顔で言うと、瑠香は

「そんなこと分かってますぅ~」と、頬を膨らませながら

不貞腐れたような表情を浮かべたー


「ーーで…なんだよー…

 まさかただ俺を驚かせてみたかった、なんて言わないよなー?」

再び廊下を歩きだしながら龍平が呆れ顔で言うと、

「ー龍平ってば、地球が真っ二つになっちゃいました!みたいな顔

 してるから、どうしたのかなぁ~って」

と、瑠香が少しだけ心配そうに呟くー。


「ーん?

 あぁ~…それはー…

 昨日から、亜香音と連絡がつかなくてさー

 今日、大学にも来てないみたいだしー

 なんか知ってる?」


龍平がそう言うと、瑠香は「え~そうなんだぁ~」と、

少し大げさに驚いて見せてからー

「あ~~~!それで寂しいんだね~?」と、

揶揄う様にして笑うー。


小悪魔のようなそんな笑みを浮かべている瑠香を見てー、

「ー悪いかよ?」と、龍平も少し不貞腐れたような表情を

浮かべるー


「別に~!

 あ、でもどうしても寂しくなった時はー

 この瑠香さんにいつでも言って来なさい!


 亜香音ちゃんの代わりに瑠香さんがデートしてあげるから!」


堂々と言い放つ瑠香ー。


「ーーなんだよ瑠香さんってー

 ってか、お前ー…彼氏いるだろー?」


龍平が呆れ顔で言うと、

瑠香は「大丈夫大丈夫ー根岸くんは何でも許してくれるから!」と、

笑いながら言い放つー


「あのなぁ~…根岸は確かに優しいけどさー…

 さすがに可愛そうすぎるだろー…


 ちょっとは大事にしてやれよ?」


まるでお兄ちゃんのように、少し注意するような口調で言うと、

瑠香は「はぁ~い…お兄ちゃん!」と、言葉を口にしたー


「誰がお兄ちゃんだ!まったくー」

そう言いながらも、少し元気が出た気がする龍平ー。


幼馴染の瑠香は、昔からとんでもないことを発言して、

人を揶揄うような一面もあるがー

”本気で浮気をする”タイプでないのは理解しているー。


仮に、龍平が「じゃあデートしよう」などと返せば、

たちまち混乱して、あたふたし始めるー

そんな子だー。


”ーーは~…幼馴染ながらいまだによく分かんない子だよなー”

そう思いながら龍平は、瑠香と別れて次の授業の場所に向かうー。


「ーーーーー」

そんな龍平を物陰から見つめる男がいたー。


巨体のーー

髪型に寝ぐせがついたままのその男はー

龍平たちの同学年の大学生ー、大久保 太史(おおくぼ ふとし)ー


彼はーーーーー

”亜香音に一方的に好意を抱く危険人物”だー。


「ーーぐふふふふふふー

 亜香音ちゃんー

 どうやら僕のお願いー聞いてくれたみたいだなぁー」


太史は汚らしい笑みを浮かべるー


太史は最近ー、どこから聞いたのか、

亜香音に対してしつこくLINEを送ったりー

”ストーカーまがいの行為”もしていてー

その行動は次第にエスカレートしているー。


亜香音は、”龍平に心配をかけないように”と、

まだ龍平には相談していなかったもののー、

亜香音自身、太史の存在には不安を感じていたー。


先日もー


「ーあんな奴やめて、僕と付き合ってくれよ!」

などと、亜香音に直接言い放ちー、

亜香音から「ごめんー。大久保くんとは付き合えないのー」

と、はっきり断られているー。


だがー

それでも諦めきれない太史は、昨夜ー

”僕の一生のお願いだ!あんな彼氏のこと、これからは無視して

 僕と一緒に幸せになろう!”などというメッセージを

亜香音に送りつけていたー。


返事はなかったー


がーーーー


龍平が”昨日から亜香音と連絡を取ることができていない”と

言っているのを聞いてー、太史は確信したー


「やっぱあんなやつよりー、亜香音ちゃんは僕を選んでくれたんだー!」

とー。


ニヤニヤとしながら、乾燥した唇から出た血をペロリと舐める太史ー。


「ー亜香音ちゃんはー僕のものだー」


だがーー

”龍平が亜香音と連絡を取れないー”のは、

当然、太史が送ったメッセージが理由などではないー。


太史は知らないー。

亜香音が昨夜、憑依されてしまったことをー。


いいやー、

彼氏の龍平も、そのことを知らないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーふん」


大学にも行かず、”ナイトメア”として暗躍する亜香音は、

スマホを見て、面倒臭そうにそう呟いたー。


彼氏の龍平や、友達からの亜香音を心配するメッセージー


「ーーふふふふー

 わたしはこれからー”悪女”になるのー

 わる~~~~い 女に、ねー」


クスクスと笑うと、亜香音は「なんてな」と、

呟きながら、

「ー武器が欲しいのは、アンタかー?」と、

サングラスとマスクで素顔を隠しながら

”取引相手”の前に姿を現しー、

マスクの下で笑みを浮かべたー


”俺は死ぬまでにこの世を楽しみ尽くしたいー

 人生、一度きりー

 他人の幸せをぶち壊そうが関係ねぇー

 

 この女がどうなろうと知ったことはないー

 大事なのはー

 俺が今、この瞬間ー、綺麗なものを闇に染めて

 ゾクゾクしながらー

 ビジネスを楽しむことができてるってことだー


 ククー

 この女の身体も、さっきからゾクゾクうずいて

 興奮してやがるぜー”



人生、一度きりー

楽しんだものがちーーー


それがー

”ナイトメア”こと、城戸 悠斗(きど はると)の

信条ーーー


彼を”ルール”で縛ることなど、できないー。

誰にもー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”結局、亜香音とは連絡がつかないままかー”


大学での1日が終わりー

帰り際になっても、結局亜香音が姿を現さずー、

連絡もつかなかったことに不安を覚える龍平ー。


”亜香音のバイト先のファミレスのー

 矢澤(やざわ)くんにでも聞いてみるかー”


亜香音を慕う後輩バイトでー、

以前、休日に亜香音と共にそのファミレスを訪れた際に

意気投合し、時々連絡を取ったりしている顔見知りだー。


たしかー、

前に彼から聞いた通りのシフトならー、

毎週水曜日ー、つまりは昨日、ファミレスにその”矢澤君”もいたはずだー。


亜香音に何か異変がなかったか聞いてみようー。


そう思いながら大学の正門付近にやってくると、

亜香音の親友の琴美の姿が目に入ったー


成績優秀で容姿も可愛いのにー

超ネガティブな子だー。


「あ!冬月さん!」

龍平が、琴美に声を掛けると、

琴美は振り返って「あ、こんにちはー」と

ペコリと頭を下げたー


「ちょうどよかったー

 今日、亜香音、大学に来てなかったみたいだけどー

 何か聞いてるかなーって思って」


龍平がそう言うと、

琴美は露骨に不安そうな表情を浮かべるー。


「ーーー…え……森本くんもー

 何も知らないの…?」


琴美の言葉に、龍平は「あ…あぁ…昨日から連絡が取れなくて」と、

不安そうに返事をしたー


”琴美の反応”は、

琴美も亜香音から何も聞かされておらず、しかも恐らく

連絡も取れていない、ということがすぐに分かる反応だったー


「ーーじ、実はわたしもー…」

琴美が不安そうにLINEの会話画面を表示して、龍平にそれを示すー。


龍平は「そ…そっかー」と、だけ頷くと、

言葉を失ってしばらく考え込むー


「あ、あのー…」

そんな沈黙を破るようにして、琴美が言葉を口にするー


「ーじ、実は最近ー……亜香音ちゃんー……

 面倒臭そうな子に付きまとわれててー…」


琴美がそう言うと、

「え?」と、龍平が言うー


「ーあ、え、えっとー…つ、付きまといってほどじゃないのかも

 しれないけどー

 琴美ちゃんに何度もメッセージを送ってきたりー

 あ、あと、この前、告白されて断ったって言ってたかなー…」


琴美が不安そうにそう呟くー。


彼氏の龍平にはまだ話していなかったが、

亜香音は親友の琴美には何回か、相談したことがあったー。


その話を琴美が龍平に伝えたのだー


「か、関係ないよねー……きっと」

琴美が気まずそうにそう言うと、

龍平は考え込むー


「ーーそ、その面倒臭そうな子って言うのはー?」

龍平が確認すると、琴美はー

「えーえ~っと、何か…気持ち悪い人ー」と、

返事を返してきたー


琴美は超ネガティブなのだが、時々毒舌というかー、辛辣な子でもあるー。


「ーき、気持ち悪いってー…」

苦笑いする龍平ー

”それじゃ分からないなぁー”と、だけ言うと

琴美は「名前…忘れちゃってーご、ごめんなさい!」とだけ

頭を下げたー。


ひとまずお礼を言って、琴美と別れる龍平ー


琴美は誰かに付きまといをされていたのだろうかー。

そんな風に思いながら”とりあえず琴美のバイト先の矢澤くんに聞いてみよう”と、

大学の外に向かって歩き出したー


”へへへへー”

琴美に”気持ち悪い”と言われてしまった太史は、

物陰からそんな様子を見つめていたー


「ーーー亜香音ちゃんは、僕のお願いを聞いてくれたのさー 

 へへへへー」


思い込みの激しい太史は

龍平が亜香音と連絡を取れなくなった理由をー

”昨日、自分が亜香音に送ったメッセージ”だと思い込みながらー

ニヤリと笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「そ、そっかー…うん、わざわざありがとう」


龍平はそう言うと、

亜香音のバイト先の後輩・矢澤との電話を終えて

スマホを机に置いたー。


「は~~~~~~…」

深くため息をつく龍平ー。


「亜香音の家に行ってみるかー…」

連絡がつかないのであれば、直接亜香音の家に行くしかないー。


まさかーーー

家の中で倒れているー、なんてことはないとは思うが、

人間、若くても突然死する人もいるー。


大学を休み、連絡もない、という状況は

最悪の事態を連想させるー。


そう思いながら、龍平は亜香音の家へと向かったー。


♪~~~~


亜香音の家のインターホンを鳴らすー。

亜香音は確か、一人暮らしだー。

一人暮らしで、音信不通になっているという状況は、

あまりよろしくないー。


「ーーーーー」

部屋の明かりもついていないー。


龍平の不安はさらに高まっていくー。


だがーーーー


”はいー”

いつもより”不愛想”な亜香音の声が中から聞こえて来たー。


「ーー!?」

てっきり留守だと思ってた龍平は、表情を歪めるー。


「ーーあ、亜香音ー?亜香音なのかー?」

龍平がそう言うと、

”ん?ーーーあぁーーーそうだよ”

と、亜香音が少し声のトーンを変えて返事をしたー。


「ーーな、何だよ…

 よかったぁ…

 急に大学に来なくて連絡もつかないから、心配してー」


龍平が心底安心した様子でそう呟くと、

亜香音は”ふふー…ごめんね 体調悪くて寝込んでたの”と、

だけ返事をしたー。


「ーーー大丈夫なのか?何か買ってこようか?

 薬とか、食べ物とか?」


龍平が心配そうに確認すると、

亜香音は”ううんー大丈夫”とだけ答えるー。


”憑依した身体”は使い捨てだー。

その子の人生をなぞる必要はないー。

大学をやめることになろうとーーー

”城戸 悠斗”には関係のないことなのだからー。


”ーーもう寝ようとしてたところだから、いいかな?”

亜香音が少し面倒臭そうに呟くー


「ん?あ、あぁ…わかったー

 じゃあ、お大事にー

 何かあったらいつでも連絡してー」


”うん、ありがとうー”


会話を終える龍平ー。


ひとまずー、

亜香音が健在なことは分かったー


深くため息をつく龍平ー。


龍平は、少しだけ心配そうに亜香音の家を見つめるとー

”まぁ……他に誰かいる気配もないしー”と、

そのままその場から立ち去って行ったー。


・・・・・


・・・・・・・・・・


30分後ー


「ーーーー」

玄関の扉が開くー。


サングラスで顔を隠しー、

いつもとは違う髪型で家から出て来た亜香音は

周囲の様子を少し伺うと、

そのままポケットに手を突っ込んだまま歩き出したー



「ーーーうへへへへ…」

そんな様子をーーー

”付きまとい”の太史が少し離れた場所から見つめていたー


「ー亜香音ちゃんってーこんな夜に外出する子だったんだなぁ…

 へへーますますゾクゾクしちゃうぜー」


何も知らない太史は、そのまま”憑依された亜香音”が

どこに行くのかー、好奇心と下心を抱いて、

そのまま亜香音の尾行を始めたー


「ーーーーー」

道を歩いていた亜香音が、曲がり角の鏡で、

太史に尾行されていることを確認するー


「ーーーーーーー」

亜香音は邪悪な笑みを浮かべるとー

”女の一人歩きってのも大変だなー”と、

心の中で呟きながら、そのまま太史を無視して

夜の闇へと姿を消したー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


①から少し間が空きましたが、長編第2話でした~!★

(※大晦日に必ず書く作品がある都合上、先週は曜日をずらしていました~!)


今週から、また毎週金曜日に長編を更新していくので、

楽しみにしていてくださいネ~!


今日もありがとうございました~!

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