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小さい頃ー

よく遊んだ友達がいたー。


名前は確か、フジムラ ヒロミー

漢字は、忘れたー。

まだ小学生の低学年の頃の話だったから、

そもそもみんな、ひらがなか、カタカナで名前を書いていたー。


ヒロミは、悪戯好きの少年で、

小さい頃、よく公園で泥だらけになって一緒に遊んでー

家に帰って親から怒られたりもしたー。


だがー、悪戯好きでやんちゃな一面もありながら、

友達思いの性格で、クラスでも友達は多くー、慕われていたー。


彼も、そんな友達の一人だったー。


「ーー今、どうしてるんだろうなー?」

大学生になることを期に、一人暮らしを始めようと、

自宅で自分の私物を整理している最中に見つけたー

小学生低学年の頃の思い出ー。


確かー、ヒロミは3年生になるころには転校してそれっきりだー。


毎日のように遊んでいた彼は、

ヒロミが転校してしまうと聞いて、落ち込み

「行くなよ!」などと何度もヒロミに言って、困らせてしまったことを

覚えているー。


「ーーーま、きっとヒロくんのことだし、元気にやってるんだろうな」


そう、確か”ヒロくん”と呼んでいたー。


そんな風にー…

昔のことを少し思い出しながら実家で持って行く荷物と

実家に置いていく荷物を分別していくー。


だが、彼はまさかー

その”ヒロくん”と大学で再会することになるとは、

夢にも思っていなかったー


しかもーーーー

予想外の形でー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一人暮らしを開始しー、

大学生活を数日前からスタートさせた

男子大学生の春山 修二(はるやま しゅうじ)は、

今日も大学の正門をくぐり、その中を歩いていたー


”さすがにまだ、知らないやつばかりだなー”


実家のある県から少し離れた場所の大学に入学した修二は、

周囲を見渡しながらそう呟くー。


まぁー地元の大学に来たわけじゃないし、

”知らないやつ”ばっかりなのは無理もないー。

少しずつ、気の合うやつを見つけて行けばー


などと、そんな風に思いながら大学を歩くー


”まずは、色々と慣れないとなー”


大学もそうー。

一人暮らしを始めたこともそうー。

慣れない土地に来たこともそうー。


焦る必要はないー。

だが、少しずつゆっくりと”慣れていく”必要があるのは事実だったー


「ーーあ、いたいたー!」


背後から声が聞こえるー。


可愛らしい女子の声ー。


だが、修二は”まさか自分が呼ばれている”とは思わず、

そのまま考え事をしながら歩き続けるー。


「お~い!ーーーって無視かよ!」


少し男っぽい口調の女子の声が響き渡る中ー、

周囲を少しキョロキョロする修二ー。


可愛い子に呼ばれて”無視をしているやつ”が

誰なのか、そんなことを確認しようとしたのだー。


だがー、背後から修二を呼んだその子はー


「ーー違う違う違う!お前だよ!」

と、言葉を口にするー


「えっ…お、俺ー?」

戸惑いながら修二が、その子のほうを見て自分を指さすー。


修二を呼んでいた謎の女子大生はー、

とても可愛らしく、おしゃれな子だったー。


”えっ…?誰!?”


思わず困惑の表情を浮かべる修二ー。


高校時代も”それなりに仲の良い女子”はいたが、

こんな知り合いは居ないし、

いきなり”お前”なんて呼ばれるほどのー親しい子はいないはずだー。


「ーーえっ…???えっ…???」

修二が戸惑っていると、

そのおしゃれな子は「も~!無視はないだろ~?」と、笑うー。


「ーーえっ??えっ…???????」

頭の上にたくさん”?”を並べる修二ー。


修二はたまらず

「あ、あのー…す、すみませんー

 えっと…知り合い…でしたか?」

と、苦笑いしながら呟いたー


「ーははっ!言うと思ったぜ」

男口調の女子がそう言うと、

「ー久しぶりーー”シュウくん”って言えば分かるかなぁ?」

と、ニヤニヤしながら言葉を続けたー


「し、シュウー…!?えっ…?


 中学と高校では違うあだ名だったー。

 シュウくん、と呼んでいたのはーーー…」


昔、よく遊んだ”ヒロくん”こと、

フジムラ ヒロミのことを思い出すー。


いや、いやいやいやいやー

修二はすぐに首を横に振ったー。


”ヒロくん”は男だー。

目の前にいるのが、ヒロくんなわけがー


「ーーヒロミだよー。久しぶりー。

 まさか同じ大学になるなんて、運命感じちゃうね?」


ニヤッとしながら手を差し伸べて来るその女子はー

紛れもなくー

小さい頃、毎日のように一緒に遊んだ悪友ー

”フジムラ ヒロミ”だったのだー


「ーーえっ…!?えっ!?!?!?」

顔を真っ赤にして、

顔ー、髪ー、胸ー、手ー、色々な場所を見つめるー


「ーな~にじろじろ見てんだよ!エッチ!」

ヒロミがそう叫ぶと、修二は「いや!ち、ちがっ…えっ…?えぇっ!?」と

困惑の声を上げたー。


「ーーお、お、お、男の子じゃなかったのか!?」

修二が叫ぶと、ヒロミはニヤニヤしながら

「触ってみる?」と、自分の胸を指さすー


「はっ!?い、いやー」

顔を真っ赤にする修二ー


「ははー シュウくんは相変わらず面白いやー」

ヒロミはそう言うと、

「ここ、ちゃんと”ついてない”よ?」と、

ニヤニヤしながらスカートの端を触って見せるー


「わ、わかっ… ぇぇ…って、てか、触れてる!?」


ヒロミの胸が触れてることに気付き、顔を真っ赤にして叫ぶと、

ヒロミは「そんな顔すんなって」と、

子供のように悪戯っぽく笑ったー


何もかも違ってー面影がないー

一瞬、そんな風に思ってたけれどー

”あの”イタズラっぽい笑い方は、小さい頃のままだったー


「う、嘘ー…!お、女の子だったのかよ!?」


昔のことを思い出しながら叫ぶ修二ー。


確かにー

アニメやらラノベやらで、

”昔遊んでいた男の子が実は女の子だった”みたいなやつは

見たことがあるー


それにしてもー


「えぇっ…???マ、マジかーーー」

修二が呆然としていると、ヒロミはドヤ顔で

「可愛いだろ?一目惚れしちゃった?」と、ニヤニヤしながら言うー。


「ーーーーそー


返事をしようとした修二ー。

だがー、その直後別の方向から「ヒロミ~!」と、別の女子が

ヒロミを呼んだためー、

「ーわりぃ、もう行かないと」と、ヒロミが申し訳なさそうに

言葉を口にするー


「今行く~~~!」

ヒロミが、女子の方に向かって手を振ると、

「ーまた帰りにでも話そうな!じゃ!」と、そのまま

早足で立ち去って行ったー。


「ーーーーお、おぅ…」

もう、ヒロミが遠ざかっているのに小声でそう返事をするとー、

修二は呆然としたまま、ヒロミの後ろ姿を見つめたー


「あ、あいつー…女の子だったのかー…」


とー。


その日のうちにー、

本当に”ヒロくんなのか”を調べるために、

大学に在籍している人間の名簿を確認するとー


確かに”藤村 浩美(ふじむら ひろみ)”という

名前が見つかったー


小学校低学年の時だったため、

漢字表記は知らないがー、

ずっと”藤村 浩美”だったのかもしれないー


ドキドキしなたら1日を終えるとー、

「ーーよ!さっきは悪かったな」と、浩美が駆け寄ってきたー。


「あ、あぁ…いやー」

困惑しながらも修二がそう言うと、

「久しぶりに会ったってのに、何だかぎこちないなぁ~

 小さい頃、あんなに遊んだ仲なのに」と、浩美が笑うー。


「そ、それは、そうだけどー」

相手がこんなに可愛い女子だったなんてー、知らなかったー。


ドキドキが止まらない中ー、

浩美はさらに「ヒロくんいかないで~!、なんて泣いてたのに」と

揶揄うようにして笑うー。


「い、いや、ま、待ってくれ!」

困惑した修二が思わず叫ぶと、

浩美が「ん?」と、髪を触りながら笑うー。


「ーお、お前さー…お、女の子だったなんて俺、思わなくてー

 そ、その失礼だと思うケドー


 な、なんて言うかー…

 ず、ずっと俺、ヒロくんのこと、男だと思ってたー」


ハッキリとそう言葉を告げるー


「ーお、男だと思ってた子がー

 大学で再会したらこんな…そ、その…可愛くなってたなんてー

 誰だって、戸惑うだろー?」


顔を赤くしながら、修二がようやく言葉を振り絞るとー、

すぐにハッとしてー


「あ、いやっ!お、女の子だったから嫌いになるとか

 そういうことじゃなくてー

 俺も、昔みたいにヒロくんとー…


 あ、いやー…ヒロ、ヒロさん??いや、ヒロちゃんー?

 あぁ、もうー…悪いー 

 頭がバグってるー」


と、言葉を付け加えたー


「はははっ!相変わらずだなぁシュウくんはー」

浩美がそう笑うと、

「ーーいいよいいよー昔のままで。俺は気にしないし」と

笑いながら言うー。


「ーき、気にしないーってー

 っていうか、そんなに可愛くなっても

 喋り方は昔のままなんだなー?」


修二が困惑しながら言うと、

浩美は「ははは、まぁ、それはなー」と、周囲を見渡しながら呟くー


「そうだー

 ここで話すのもなんだしー、

 時間があるなら、大学の側にファミレスあるから、そこで話そうぜ?」


浩美のそんな言葉に、

修二は「あ、あぁ、そ、そうだなー」と、頷いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


ファミレスに移動した二人ー。


「ー2名でお願いします~」

浩美が店員にそう告げるー


傍から見れば彼氏と彼女に見えるかもしれないー

そんな風にドキドキしながらー

”ま、まさかヒロくんがこんなに可愛くなってるなんてー”と、

困惑した表情を浮かべる修二ー


「シュウくん!お~~い!こっち!」

既に座席に案内された浩美が手を振って来るー。


「ーーあ!悪い!」

ぼーっとしていた修二がすぐに、座席に向かうと、

着席して、ひと息つくー。


「ーいやぁ、こうなってから”小食”になっちまったからなぁー」

浩美がメニューを見ながら笑うー。


「ーーえ?」

修二が思わず聞き返すも、浩美はメニューに夢中で、

修二もとりあえずメニューを見て

浩美と共にいくつか料理を注文したー


「ーーずっと、女の子って気づかなくてごめんー

 小さい頃、絶対俺、失礼だっただろー?」


修二がそう言うと、

浩美は思わず笑ったー


「ん?あぁ、いや、いいよー

 だってあの時は男だったしー」


浩美の言葉に、修二は「ん?」と首を傾げるー


小さい頃は”男みたいだったし”という意味だろうかー


そう思ってると、

「ーーまぁほら、こうなったの高校生の時からだからー」

と、浩美はスマホを手に、”高校時代のヒロミ”の写真を

見せて来たー


普通の男の子だー。

これが”今のヒロくん”と言われた方がしっくりくるー


「ーーえ???じゃあー…え?」

修二は混乱するー


目の前にいるのはやっぱり”ヒロくん”ではないのかー?


そんな疑問が沸くー。


「ーーははは、俺はヒロミだよー別人じゃない」

浩美のそんな言葉に、

「ーーあっ… え?もしかして女装ー?」

と、修二が小声で聞くー


「ーははは!そう来ると思ったぜ!

 でも、違うんだなぁ~

 ここ、ついてないしー

 

 あとで、触らせてやろうか?」


浩美のそんな言葉に

飲んでいた水を噴きだす修二ー。


「ーぶっ… や、やめろってー…

 男子には刺激が強すぎるー」


そう呟きながら修二は

「じゃあ、どういうことなんだよー…?」と、

首を傾げると、浩美は少し戸惑いの表情を浮かべながら言ったー


「ー実はー俺、高校で事故に巻き込まれて

 女になっちまったんだー」


とー。


「えぇっ!?」

叫ぶ修二ー。


”久しぶりに再会したヒロくん”は、

”実は女の子だった”のではなくーーー

”高校時代に女体化してしまった”…のだったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


時々見かける「小さい頃に遊んでいた男だと思っていた子が女の子だった~」

みたいな感じのお話を、

女体化モノにしてみました~!★笑


女体化にすると、また違った感じになってきますネ~!


続きもぜひ楽しみにしていてください~!★

今日もありがとうございました~!

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