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ある日の朝、突然女体化してしまった男子大学生の正樹ー。


最初は”すぐに元に戻れるだろう”などと考えていた正樹は、暇つぶしとして

軽い気持ちで”寧音”と名乗り、ネット上で親友の義弥に話しかけて、

”偶然知り合った女”を装い、

いつも楽しんでいたオンラインゲームを楽しんだー。


しかしー、正樹の予想以上に”元に戻れない”状態は続きー、

義弥との関係も、正樹の想定外の方向に進んで行ってしまうー。


☆前回はこちら↓☆

<女体化>女になって親友を揶揄ってみた②~不安~

ある日、突然女体化してしまった男子大学生の正樹。 女体化した状態では家から出ることもできず、 大学を休み、様子を見ることにした正樹は、 暇つぶしに、と、親友の義弥に”知らない女”としてネット上で 声を掛けて、共にオンラインゲームを楽しんだー。 どうせ、すぐに男に戻れるだろうしー、と考えていた 正樹にとっ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あぁ~…くそっー」

髪を掻きむしりながら、女体化した正樹はため息をつくー


女体化してから既に1週間以上が経過したー。

しかし、何日経過しても、

男の身体に戻ることはなくー

目が覚める度に、アソコを触って”ない”ことを確認し、

胸を触って”ある”ことを確認しては、絶望するのだー


”今日もまた、女として1日を過ごすのかー”


とー。


「ーーくそっー…途中から性別が変わるとか冗談じゃないぞー」

正樹はうんざりした様子でそう呟くー


女体化したこの身体はこの身体でドキドキする部分はあるし、

男の身体では味わうことのできない色々なことを

体験することもできるー。


けれどー

戻れないとなると困るー。


”ーー今日も大学が終わったらどうですか?”

親友の義弥は、そんな正樹の悩みも知らずー

”寧音さん”に対して嬉しそうに今日もメッセージを送って来るー。


「ーー…チッ」

舌打ちしながら髪を掻きむしる正樹ー


「ー何が寧音さん寧音さんだー」

不機嫌そうに呟くー


テレビに反射した自分の顔は

驚くべきほど怒っていてー

”可愛い”が台無しになってしまうようなー、

そんな表情だったー。


「ーーーふん」

”寧音”という偽名を名乗ったのは自分だー。


すぐに元に戻れるだろうと考えてー

”元に戻れるまでの暇つぶし”として義弥を

揶揄うために、ネット上で偶然出会った女性を装って

一緒にゲームをやっていたもののー、

流石にもう飽きて来たし、

”何も知らずに”浮かれている義弥に、だんだん腹立たしさも

覚えてきたー


「あぁ~~~くそっ!」

正樹が怒りの形相で呟くー


”女の子が怒る”と、こんな感じなのだろうかー、と

思いながらも、”義弥は何も悪くない”ことを分かっているだけに、

余計に怒りのやり場がなく、苛立ちがさらに膨らんでしまうー。


「ー大学、ホントどうすりゃいいんだよー」

”体調不良が長引いている”ということにしているが、

流石にこれ以上休みが長引くのは、決して望ましい状況ではないー。


買い物は人目につかないように家を出入りしているものの、

近所の住人に既に目撃されているかもしれないー。


もちろん”正樹の彼女です”という嘘をつけば

その場は誤魔化せるだろうー。


しかし、正樹がいつまでも男に戻れなければ

”男子大学生が住んでいるはずの家に、

 いつも謎の女が出入りしていて、借りた本人である

 男子大学生は行方不明”という評判が近所に

立ち始めるだろうー。


「ーくそっ!お前とゲームやってる暇なんてないんだよ!」

正樹はイライラしながら、スマホの画面を睨むようにしてそう叫ぶと、

スマホで”急に女になってしまった” ”男に戻る方法”などという

ワードを入力し、必死に男に戻る方法を調べ始めたー


「ーあぁ…くそっ!」

ラフなシャツ姿で、不満そうにスマホを放り投げた正樹は

「ーーあぁぁぁぁ~~~男に戻れよくそっ!」と、

自分の身体に苛立ちをぶつけるー。


だがー、そんなことを叫んでも、特に身体に変化はないー。


「あぁくそーイライラするー

 …いったん落ち着け、俺ー」


正樹は何度も何度も深呼吸するとー

鬼のような形相の”可愛い子”がテレビに反射しているのに気づきー、

「ーこんな怖い顔してるか…?俺ー」と、

ため息をついたー。


やがてーそのまま時間だけを無駄に浪費してしまい、

その日も日没を迎えて、夜になったー。


数日前にネットで購入した外出用の服を身に着けると、

「なんで俺がスカートなんか履いてるんだよー」と、

ため息を再びつきながら、

そのまま外に向かって歩き出したー。


このまま部屋にずっといたら、イライラして発狂してしまうー。


少し、コンビニにでも行って、外の空気を吸ってこようー。

そんな風に思ったのだー


「ーーー…こんばんはー」

アパートの階段で、同じアパートに住む住人とすれ違うー。


幸い、挨拶だけで済んだが、

”誰、あの子?”と相手からは思われているはずだー。


”早く男に戻らないとなー…

 最悪、俺の名義の部屋に別の子が住んでる扱いされて

 追い出されるかもしれないしー”


コンビニに向かって歩いていく正樹ー。


「ーーー…そういや、女の一人歩きって危ないんだったか?」

そんな風に思いながら、決して人通りの多くはない、薄暗い道を

振り返るー。


「ーーーーー…」

そういえば、”今の俺”は我ながらかわいいー。

そんなことを思いながら、正樹は表情を歪めるー。


「ーー…おいおいー心まで乙女みたいになるなよなー」

自分で自分にツッコミを入れながらも

少し怖いような気がしてしまい、早足でコンビニやってくると

偶然ー…同じ大学に通う鎌田(かまた)という男子生徒を見つけて、

「お!こんなところで会うなんてー」と、背後から

つい声を掛けてしまったー


「ーーーえ?」

鎌田が振り返るー。


「ーーーあ」

正樹も、”口から女の声が出た”ことで、

”しまったああああ!”と心の中で叫ぶー。


鎌田からすれば

”いきなり知らない女に馴れ馴れしく話しかけられた”という

奇妙な状況ー。


きのこのお菓子と、コーラとサンドイッチを手にしていた

鎌田は「え…?あ…はいー?…えっと……誰でしたっけ?」と

戸惑った様子で言い放つー


「ーーえ…あ、、、あ…え…ご、ごめんなさい~~~

 う、後ろ姿が友達に似ていたものでつい~~!

 あは…あはははははははっ」


正樹は誤魔化すようにして笑うと、

慌てて同級生の鎌田から離れていくー。


鎌田の視線は明らかに”なんだこいつ”と言いたげな雰囲気だー。


そうー

”女体化した今の正樹”は、事情を知らない人間から見れば

それが正樹本人だとは夢にも思わないだろうし、

仮に事情を説明したとしても、それを信じてもらえるかどうかすら怪しいー


「ーはぁぁ…疲れたー」

コンビニから帰宅した正樹は、

色々な意味で疲れ果てて、ドサッ、とソファーにだらしなく座り込むー。


スカートを履いたままだらしない格好をしていると、

妙に違和感ー…いや、”いけないことをしている”ような

気がしてきてしまい、恥ずかしそうに表情を曇らせるー。


”俺ー…何か寧音さんを怒らせるようなことをしちゃったなら

 謝りますー”


「ーーあ」

コンビニから帰宅して、昼間に不機嫌そうに放り投げたっきり

忘れていたスマホを見つめると、

親友の義孝からのメッセージがいくつか届いていたー


ツイッターと、少し前に交換したLINEにそれぞれ

”寧音から無視された”と感じたのか

謝罪メッセージが送られてきているー


その内容はー

ネガティブすぎる内容だったー


「ーあ~~あ~~~あ~~…」

正樹は、そんな風に呟くと、

「ーーまぁ…義孝のやつ、恋愛経験もないし、無理もないかー」と、

必要以上に困らせてしまったことを少し可哀そうに思いながら、

すぐに返事を出すー。


”ごめんなさい!ずっと忙しくてスマホを見ることができませんでした!”

とー。


午前中は、義孝に苛立っていたものの、

よくよく冷静になって考えれば、そもそも自分から

揶揄ったんだし、こんな風に謝罪メッセージまで遅らせてしまっていることに

申し訳なさを感じ、慌てて返事をしたー。


”え、あ…お、俺、つい、何か俺が悪いことしてしまったとばっかりー…!

 すみませんー…”


義孝からそんな返事が返ってくるー


すぐに元気を取り戻して、楽しそうにゲームの話題を送って来る

義孝からのメッセージを見つめながら、正樹は微笑むー。


チラッと、電源を切ってあるテレビのほうを見つめると、

そこには、この前と同じように穏やかな笑みを浮かべているー

”女体化した自分”の姿ー


「ーーったくーなんで義孝と話をしている時が一番楽しそうなんだよー」


少し苦笑いしながらも

”まぁ、戻る方法も分からない以上ー、イライラしてても仕方ないか”

と、義孝とゲームをやる約束をしてー、

そのまま今日もゲームを一緒に楽しむのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”女体化”した状態で、元に戻ることができないまま

時だけが流れていくー。


結局、大学への復帰は無理だったー。


アパートは、ダメ元で大家さんに

”彼氏の部屋だったんですけど、彼氏が出て行っちゃってー”

などと適当な説明をしていたところ、

”家賃さえ払ってくれれば君が代わりに住んでもいいよ”と

言ってくれたため、北森 寧音(きたもり ねね)という

偽名を名乗り、そのまま暮らしているー。


偽名ー…というか、女体化した状態の自分には

もはや名前すらないため、本名がそもそもないー…。


まさか、この姿で”森田 正樹”を名乗るわけにも行かないだろうー


「ーーーー」

女体化した正樹は女性らしい服装に着替えて

髪を整えるとため息をつくー。


「ーー大学は続けられなくなっちまったけどー……

 まぁーー…幸い、大家さんが優しいー…ってか

 ほどほどに適当な人でよかったー」


大学問題はどうにもならなかったが、

ひとまず”住む場所”の問題は解決したー。


「ーーバイトだけど仕事も見つかったしー」

そう思いながらバイトに向かう準備をする正樹ー。


女体化したついでにメイドカフェとか…!とも

最初は思ったものの、

どうしても恥ずかしさが勝ってしまってー

仕事中に自分の姿に興奮しすぎて

頭がおかしくなってしまいそうな気がしたので

やめておいたー


結局ー

少し離れた場所の飲食店でまずはバイトをすることにしたー。


ひとまずはー…

生活していくことはできるー


まだ色々問題はあるし、

逆に”慣れたころ”に男に急に戻ったりして

また戸惑うことになるのかもしれないー。


けれどー

今はこの状態で過ごしていくしかないー。


いつしかー…、

親友の義弥とは”彼女がいたことがない親友を揶揄う”目的だったのが

本当に仲良くなっていき、

毎晩、暇な時は、一緒にゲームを楽しんだー。


”自分が男であった時の義弥”とー

”自分が女体化してから話す義弥”では接し方も何もかもが違うがー

それでも、やっぱり本質的にはいいやつだー


「ーーあぁ、くそー

 これ、だんだん俺が女っぽい思考になっていてー

 最後には親友と結ばれるパターンじゃねぇの…?」


ため息をつきながら女体化した正樹がそう呟くー。


うっかり、”女体化した自分”と”義弥”が

恋人同士として付き合い初めてー、

さらには結婚ーなんてイメージを頭の中に浮かべてしまうー


「いやいやいやいやー無理無理無理無理ー」

そう考えつつも、自分が義弥からのLINEの返事を

待っていることに気付きー

「くそっ!俺は身体だけじゃなくて精神的な部分も女体化したのか!?」と

思わず自分にツッコミを入れたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


時は流れー


オンラインゲームを通じて、義弥とさらに親しくなりー


ついに”寧音”として義弥と会うことになりー


”改めてはじめまして”な状況になったー。

義弥からすれば正真正銘初対面なのだろうがー

正樹からすれば男だった頃に散々会っているからー

”久しぶり”という気持ちの方が強いー


お互いによく会うようになり、

正樹が恐れていた通り、恋人同士になりー


そうなるころには、本当に義弥のことが好きになっていてー、


そしてついにー

結婚したー


そこまで数年かかったー


女体化して親友と結婚してーーーー


女体化したばかりの正樹が”嫌な予感”として

感じたことが現実となってしまったー


しかしー

義弥は優しいー


だから幸せな生活を送ることができるーーーー


はずだったー



がーーー


「ーーーこのクソ女!」

義弥が叫ぶー


「ーーーーー……」

義弥に殴られた正樹が、呆然と天井を見上げるー。


”ーーふ…ふ…ふざけんなよこいつー…!

 こんなやつだったなんてー!”


結婚後ー

義弥は豹変したー。


”お前ー……DV夫になるようなやつだったのかー!!!!”


殴られた正樹は、すっかり女らしくなった顔を押さえながら

呆然と義弥のほうを見つめたー。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


だいぶ時が進みましたが

次回が最終回デス~!笑

最終回は③までとは違った雰囲気に…!?


今日もありがとうございました~!☆

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