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弟の浩平の婚約者・千里ー。


そんな千里の”裏の顔”に偶然遭遇した兄の翔太は、

”他人の空似”だとは思いつつも、浩平とは内緒で、

弟の婚約者・千里に会いに行くー。


そこで、実際に見た光景について、千里に確認する翔太ー。


あっさりと否定し、翔太も”やっぱり他人の空似だ”と

安心しかけながら、”現場の写真”を見せた瞬間ー

千里は、豹変したー。


”で、俺に何が言いたいんだー?”


弟の婚約者は、”ヤバいやつ”だったー。

それが”決定的”となった今、翔太の取る行動はー…?


★前回はこちら↓★

<皮>弟の婚約者がヤバいやつ②~本性~

弟・浩平の婚約者である千里と、初めて対面した兄の翔太ー。 千里に対する第1印象は”最高”だったー。 しかしー その1週間後ー、翔太は偶然 ”弟の婚約者・千里”とそっくりな女性とすれ違うー。 しかも、その女性は電話をしながら”婚約者を騙そうとしている”という 趣旨の会話をしていたー。 気になった翔太は”千里によく...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーククク…決定的な現場を見られてたなら、仕方ねぇ」

千里は、別人のような態度に豹変すると、

豹変直後に注文したビールが運ばれてきたのを見て、

それを美味しそうに飲み始めたー。


「ースイーツを美味しそうに食べる可愛い婚約者を

 演じるのはおわりだー。」


それだけ言うと、ビールのジョッキを机の上に置いて

不気味な笑みを浮かべるー。


翔太は呆然としながらも、ようやく口を開くー


「な…な…何が目的なんだ…!

 こ、浩平はー…浩平をどうするつもりだ!」


翔太が言い放つと、千里は「へへへ」と、笑いながら

「ー”結婚ごっこ”だよー」と、呟くー。


「ーーー結婚して、幸せな気分を味合わせて、

 そこから地獄の底に突き落としてー

 最後に金を奪い取るー


 クククー…楽しい”遊び”だろ?」


千里はそれだけ言うと、続けて運ばれてきたラーメンを

がつがつと食べ始めたー。


「ーーふ…ふざけるな…!こ、浩平はー

 浩平は本気で、千里さんのことを!」


悔しそうに翔太が言うと、

千里は「男ってーバカだもんな」と、クスッと笑うー


「こういう美人の”身体”を着てればー

 簡単に騙すことができるー」


千里の言葉に、翔太は震えながら

「ち…千里さんー…い、いやー…お前は何者なんだ?」と

言葉を振り絞るー。


「ーーーー”身体”は正真正銘、”穂村 千里”のものだぜ?」

千里がニヤニヤしながら手を見つめつつー、そう呟くー。


「ーーか、身体はー…ど、どういうー…?」

翔太は、あまりの現実に、先ほどから震えが止まらないー


恐怖ー、怒りー、戸惑いー

色々な感情が混じり合いー、身体の震えが止まらないー


「見た通りだよー

 ”こいつ”を脱いでる俺の写真ー

 撮ったんだろ?」


千里が、翔太のスマホを指さしながら言うー。


「ー俺は男だー

 身体は女だけどな? へへへへへっ」


千里がニヤニヤしながらそう言うと、

ラーメンを食べながら美味しそうにビールを飲むー。


あまりの事実に呆然として、言葉も失ってしまう翔太ー。

そんな翔太のことなどお構いなしにラーメンを口に運ぶ千里ー。


「ーーー………ーーー」

翔太は表情を曇らせながら、

「ーー…俺が今、喋っているのはー

 千里さんじゃないってことかー?」と、確認するー


「ーーへへー

 まぁ…喋ってるのは”身体”のほうだからー

 どう言えばいいんだろうな?」


千里はそれだけ言うと、ラーメンのスープを飲み始めるー。


「ーーー…」

翔太は、あまりの出来事に状況をハッキリと理解できないままー

頭をフル回転させて、ようやく言葉の続きを口にしたー。


「ーー……ち、千里さんを解放しろー!」

とー。


方法は分からないし、

仕組みも分からないー。

だが、恐らく弟の婚約者である”千里”は

”なにか”に乗っ取られているのだと、翔太はそう判断したー。


今、目の前で会話をしている相手は

千里であって、千里でないのだとー。


「ーーー……解放?へへー…

 まぁー…そういう解釈であってはいるけどよー

 それでいいのか?」


千里がそう言うと、

翔太は「ー浩平は、千里さんと結婚が決まって

本当に喜んでたんだー…そんな幸せを壊すなんてー…」

と、悔しそうに言うー。


だが、千里は首を横に振って

馬鹿にしたような笑みを浮かべるー。


「ーいやいやいや、何勘違いしてんだよー。

 こいつが乗っ取られてるって理解したならー

 分かりそうなもんだけどな?」


千里の言葉に、翔太は「どういう意味だー…?」と

暗い表情で千里を見つめるー。


「ーどういう意味も、何もー…

 この女を開放したらー

 こいつ、お前の弟のことなんかー

 ”知らない”ぜ?」


千里の言葉に、翔太は「な…何を言ってる…?」と

困惑の表情を浮かべるー。


何らかの手段で、あの日見た男が

”千里を着ぐるみのように着て乗っ取っているー”

と、いうところまでは何となく理解できたー


しかし、あまりにも現実離れしすぎていて、

翔太はこの場で冷静な”雰囲気”を装うのが精いっぱいだったー。


「こいつは、お前の弟と出会う前からー

 俺の”お洋服”ってことだよー」


クスッと笑いながら千里が言うー。


「ー確かに”着た”人間を元に戻すことはできるー」


そう言いながら、残りのラーメンのスープを飲み干すと、

千里はさらに邪悪な笑みを浮かべながら続けるー


「けどなー…皮にされていた間の記憶はこいつにはねぇー

 つまりー

 俺がこの女を元に戻せばー

 この女はーククク、そうだなー…

 あれは確かこいつが高校2年の時の冬休みだったかなー…?


 その時の記憶までしか残ってない状態で、正気に戻るー」


千里がビールのジョッキを手に、

恐ろしいぐらいに、悪い笑みを浮かべてみせるー。


「ーー…う……嘘だろ…お、お前はいったいー…?」

翔太は震えるー。


千里は社会人2年目だー。

今、目の前にいる千里が”本当のこと”を言っているのだとすればー、

千里を”着ている”男は既に”5年以上”も、

千里を支配していることにーー?


「ーーそう驚くなよー

 ”他人を着てるやつ”、案外、探せばそこら中にいるぜ?

 

 まぁ、社会が混乱するから警察とか、国のお偉いさんも

 絶対認めねぇけどな?」


千里はそれだけ言うと、

テーブルの脇に置かれているスイーツを見て

「ーあ、そうだーこれ、ホントは俺、苦手だからさー

 食っていいぞ」と、”千里の食べかけのスイーツ”を、

翔太の座っている方に動かすと、

「ーこんな美人の食いかけなら、嬉しいだろ?」と

笑いながらテーブルを立つー


「ーじゃあお兄さんー…

 これからも、よろしくお願いします♡」


悪意に満ちた笑みを浮かべながらそう言い放つ千里はー

「ごちそうさまです♡」と、甘えたような声を出して

そのまま立ち去ろうとするー


「ーーふ…ふ、ふざけるな!こ、浩平を騙してどうするつもりだー!

 そんなこと、絶対にー」


翔太がそう言いかけると、

千里は振り返って、キスしてしまいそうなぐらいに顔を近づけるとー

「ー”結婚”っていう最高の幸せから、どん底に突き落とすー

 その様子を見て、楽しむー…

 それ以外に特に目的はねぇ」

と、ニヤニヤしながら言うー。


「ー最初は女子高生ごっこー、次は女子大生ごっこー、

 そして今は結婚ごっこー。

 その時、その時、面白れぇことをするー


 それが俺の目的だー

 それ以上でも、それ以下でもねぇー。


 結婚ごっこが終わったらー

 そうだなー…

 さすがにババアになってくるこの”皮”を着続ける趣味はねぇからー

 お前の弟から十分に金をふんだくったらー

 こいつは、脱ぐかなー?」


千里がニヤッとしながら、

目では、翔太のことを睨みつけているー


まるで、脅すかのようにー


「ーー言っとくがー、何をしても無駄だー

 こんな話、誰も信じやしないー。

 俺は、お前の弟と結婚するー


 騒ぎたけりゃ、騒げばいいさー。

 俺は全力で、お前を”迷惑なお兄さん”として

 扱ってやるー」


千里はそこまで言うと、今度こそ立ち去ろうとするー。


翔太は悔しそうにテーブルに手をついて

「何が目的なんだよー…くそっ!」と呟くー


「ー言ったろ?ただ、楽しみたいー

 それだけだー

 他に目的なんてないー


 漫画みたいな、実はー…とか、長い長い

 回想フェイズにでも入ると思ったか?


 理由なんかねぇよー

 女の身体で人を騙して反応を見て楽しんでるー。

 それだけだー」


千里は、そう囁くと、あとはもう何も聞かない、と言わんばかりに

そのまま立ち去って行ったー


「ーーー悪魔め…」

翔太は、浩平を”あんなやつ”と結婚させることは絶対にできない、

と、強い決意を固めて、ファミレスで会計を済ませるのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー千里さんは、危険なんだー」

翔太が、事情を説明するー


”いやいやいやいや、兄貴ー、いきなり何を言い出すんだよー”

弟の浩平の反応は、翔太の予想通りだったー。


「ー…分かってるー。俺だって、お前の立場なら

 そう言うと思うー。

 でも、でもなー…嘘じゃないんだー

 俺だって、浩平が幸せになることを望んでたー。でも…!」


”ーーー…千里が着ぐるみみたいに着られていて、

 中に男が入ってるってー、無理がありすぎるだろ?

 大体、俺は千里と大学時代から一緒にいたんだぞー?

 兄貴に何が分かるんだよ?”


うんざりした様子の浩平ー。


翔太は、困惑しながらも、浩平に”千里が脱がれている瞬間の写真”を

送るー。


”ーー……”

浩平が沈黙するー。


”こんなものまで作って、俺の結婚を邪魔したいのかよ”

浩平が悲しそうにそう呟くー


”兄貴なら、祝福してくれると思ってたのにー

 どうしてこういうことするんだよ…”


悲しそうな浩平ー。


翔太は「ち、違うんだ浩平!聞いてくれ!」と、叫ぶも、

浩平はそのまま電話を切ってしまったー。


すぐに浩平に対してメッセージを送る翔太ー。


”千里は危険だ”ーと。

何度も何度もそれを訴えるー。


”俺が意味もなく、浩平の結婚を邪魔するわけないだろ!

 頼む!信じてくれ!

と、何度も、何度もー。


だが、浩平から返事はなく、

翔太は母親の啓子にもそのことを話すー


”ーー人の中から、人がー?”

母・啓子は翔太から写真を見せられると、

完全に合成写真か何かだと思っているのか、

全く驚く様子もなく笑い出したー。


「ーち、違うって母さん!本当なんだ!」

翔太が言うと、

母・啓子は”はいはい~”と言いながら、

そのままキッチンの方に向かってしまうー。


「く…くそっ!」

翔太は、焦りを覚えるー。


「ーー言っとくがー、何をしても無駄だー

 こんな話、誰も信じやしないー。

 俺は、お前の弟と結婚するー


 騒ぎたけりゃ、騒げばいいさー。

 俺は全力で、お前を”迷惑なお兄さん”として

 扱ってやるー」


翔太は、千里に言われた言葉を思い出すー。


あの時の音声を、録音していればー…と、後悔するー。


まさか、千里があそこまで豹変するとは

思ってもいなかったし、

あまりに衝撃的すぎて、そんなことも頭から飛んでしまっていたー


「ーー…ダメなんだ浩平ー…くそっ!」

翔太は、父の徹也にも同様のことを相談したものの、

やはり、父にも信じてもらうことが出来ずー、

”弟の結婚に嫉妬して、邪魔をしている”というような

イメージが次第に家族の中でつき始めてしまうー。


それでも、翔太は止まるわけにはいかなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー無駄だよ」

千里は、スマホを見つめながら、そう呟き、笑うー。


千里を支配した男にとって

”これも”遊びの一つー


”必死こいて弟の結婚を阻止しようとしてー

 そして、孤立していく兄”を見てあざ笑っているのだー


「ーー千里」


そんな時だったー

婚約者の浩平ー…翔太の弟が千里を呼び出すー。


「ー実はさー」

浩平に呼ばれて、椅子に座って向き合った千里に対し、

浩平は口を開くー。


「ー兄貴が、こんなこと言ってるんだー」

浩平はメッセージのやり取りを千里に見せて、

浩平から貰った写真ー

”千里が脱がれている写真”を見せ付けたー。


「ーーーー何それ?」

千里は優しい笑みを浮かべながら呟くー


兄・翔太にこの写真を見せられた時とは違い、

その正体を認めるような言葉は口にしなかったー。

翔太の時は”わざと”あっさりと認めたのだー


その方がー”弟のために必死こく兄”と

”婚約者であるわたし”を信じる弟ー、そんな二人の

見苦しい争いを見ることができると思ったからー


「ーーーーーー」


浩平は、千里を信じているー。

だが、兄の翔太があまりにも騒ぐからかー

ほんの少しだけ、不安を感じていたー


「ーわたし、お兄さんに嫌われちゃったのかな?」

不安そうに呟く千里ー


「い、いや、そんなことないと思うよー

 でも、ほら、兄貴、独身だからー

 ちょっと、俺に嫉妬してるとかー

 そういうやつだと思うー」


浩平はそれだけ言うと、

「ーごめんなー急に変な話して」と、

千里の悲しそうな表情に気付き、慌ててそれ以上聞くのをやめるー


「ううんー大丈夫ー

 お兄さんともうまくやっていけたらいいなって思ってるしー

 わたし、どんなことがあっても浩平と一緒にいたいからー」


千里の言葉に、浩平は嬉しそうに微笑みながら

「絶対に千里のことは幸せにするからー」と、

決意の言葉を口にしたー


”あぁー…幸せだよー

 お前のーその一途な思いー

 ほんと…笑っちまうしー楽しいよー

 最高だー”


千里は心の中でそんなことを思いながらもー


表では「うん!」と、可愛らしく、嬉しそうに微笑んだー。


”ヤバい婚約者”と

弟・浩平の結婚式が着実と近づく中ー

兄の翔太は、何とかしてー

例え、自分が嫌われてでも、千里と浩平の仲を引き裂こうと、


”もう一度、話がしたい”

とー、

そんなメッセージを千里に送りつけたー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回の予定デス~!

弟が”危険人物”と結婚してしまうのを阻止できるのでしょうか~?


ハッピーエンドか、バッドエンドか、

どっちに転ぶかはまだ言えませんが、

楽しみにしていてください~★!


今日もありがとうございました~!

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