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聡美と入れ替わったマルムの手により、

”ルーメンの怪人”に暴力を振るう大輔の動画が拡散してしまったー。


ルーメンの怪人は”人間に擬態”している故に、普通の人間からすれば

”大輔が人に暴力を振るっているようにしか”見えないー。


そんな動画により、大学内で追い込まれていく大輔ー。


一方、マルムになってしまった聡美は、大輔になんとか入れ替わりの

ことを伝えようとするも、

”怪人の姿”では、なかなか大輔に近付くこともできないまま、

大輔は、聡美(マルム)の手によって、徐々に破滅へと向かって行くー。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>彼女の中身は悪の組織の怪人③~遭遇~

人類の緩やかな滅亡を目的に暗躍する悪の組織・ルーメンー。 だが、ルーメンに対してだけ”異様な力を発揮”する 大学生・大輔に、ルーメンの怪人たちは手を焼いていたー。 そんな中、ルーメンの三大幹部の一人・マルムが、 大輔の彼女である聡美に目を付けるー。 聡美の自分の身体を入れ替えて、”聡美として”大輔の日常を...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大輔の状況は、日に日に悪化していたー。


”大輔がおじいさんを蹴り飛ばしている動画”はー

拡散され、大学内では知らない人間はいないぐらいに大問題になっていたー。


それでもー

大輔は、多くを語らず、淡々と大学生活を続けているー


「ーー(意外と、しぶてぇな)」

聡美(マルム)は物陰から、腕組みしながら大輔の様子を見つめるー。


「ーーま…当然、動画だけでお前の心を破壊できるとは

 思ってねぇー」

聡美(マルム)はそう呟くと、笑みを浮かべながら

そのまま立ち去っていくー


”岩城大輔の精神を粉々に打ち砕きー、

 絶望のどん底に突き落としてから、ルーメンの本拠地へと連れ去るー”


大将軍・ソルの望むように”生け捕り”にするためには

正攻法では不可能だー。


何故だかは分からないがー、

大輔は”ルーメンの怪人”に圧倒的力を発揮するー。


それこそ、”ちょっとしたパンチ”や”キック”でも、一撃で

ルーメンの怪人は粉砕されてしまうー。


仮に幹部の一人であるマルムが勝負を挑んでもそれは同じだろうし、

残り二人の幹部ー、雷神・トニトルスや、女幹部・ロサが

直接対決しても、同じだろうー。


だからこそー。

まずは”心”を破壊しなくてはならないー。


「ーーーねぇ…」

聡美(マルム)は、邪悪な笑みを浮かべながら

大学内にいたチャラそうな男に声を掛けたー


「ーー…あ?」

チャラそうな大学生・淳也(じゅんや)が表情を歪めながら

振り返ると、

聡美(マルム)は悪女のように微笑みながらー

「わたしと遊ばない?」と、囁くようにして呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー!」

大輔が大学から自分の住んでいるアパートに帰宅すると、

物陰から、ルーメンの怪人が姿を現したー


その怪人はー

三大幹部・マルムの身体と入れ替えられてしまった聡美だったー。


「ーーー……!」

大輔は周囲を見回しながら、身構えるー。


しかし、マルム(聡美)は、必死に声を振り絞ったー


「ー大輔…信じて…!お願い…わたしなの!」

とー。


恐ろしい風貌ー

恐ろしい声ー


大輔は「ーーどういうことだ?」と、言い放つとー、

再び周囲を見渡すー。


ルーメンの怪人は、人間界では基本的に”人間に擬態”しているー。


だが、大輔には”擬態”と”本体”が、交互に重なって見えるような形で

見えていて、ルーメンの怪人の擬態を見破ることができるー。


しかしー、この怪人は”怪人”にしか見えないー。


それはつまりー

この怪人が人間の姿に擬態していないことを意味するー


「ーーー」

大輔は、マルム(聡美)の姿を周囲に見られては

パニックが起きると考えー、

マルム(聡美)に対しー、家の中に入るように言い放ったー。


大輔はルーメンの怪人に圧倒的力を発揮するー。

仮にー、この怪人が暴れ出しても”すぐに倒せる”という判断だろうかー。


「ーーうん…」

マルム(聡美)はそう呟くと、そのまま家の中へと入って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーーーーーーー」

聡美(マルム)はルーメンの本拠地で

妖艶なドレスを身にまといながら、

笑みを浮かべていたー


「ーークククーお前の家には俺の部下を放ってあるー」


聡美(マルム)が、まるで別人のような

悪意に満ちた表情を浮かべるー。


マルム配下の怪人”カメレオン・カメラ”が、

既に大輔の家に潜んでいて、

大輔が家の中にいる間の状況を監視しているー。


カメレオン・カメラの能力は、

姿を消す”ステルス”能力と、”その目と耳で見た・聞いたもの”を、

別の場所にあるモニターに送り出す能力だー。


「ーーーーーー”俺”の身体になったこの女が、

 奴に接触したかー」


聡美(マルム)は睨みつけるような表情で、

モニターの映像を見つめるー。


だがー

会話内容を聞く限り、大輔はマルム(聡美)の言葉を

全く信じていない様子だー


”ーーーーそんな手に乗ると思うか!?”

大輔がそう言い放つー


”ほんとなの!わたしが聡美なの!”

マルム(聡美)が叫ぶー。


「ーーーー」

聡美(マルム)は会話の内容次第では、

手を打とうと考えていたがー

大輔は想像以上に愚かだったー。


「ーークククー…

 まぁ、人間どもに”身体の入れ替わり”なんてことが

 現実に起きると、想像できるはずもないかー」


聡美(マルム)はそう言い放つと、

ニヤリと笑みを浮かべながら

「計画は、順調だー」と、静かに囁いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーわたしが聡美なんだってば!

 お願い、信じてよ!!!」


マルム(聡美)が泣きながら言うー。


だがー

大輔は、マルム(聡美)の腕を引っ張ると、

そのまま床に叩きつけたー。


「ーーー消えろ。二度と聡美の名を騙るなー。

 俺は聡美を絶対に守るー何があってもー」


大輔が倒れ込んだマルム(聡美)に対して

そう言い放つと、マルム(聡美)は泣きながら

家から飛び出していくー


そんな様子をー

大輔の部屋の中に潜み、聡美(マルム)に映像と音声を送っている怪人・

”カメレオン・カメラ”は、不気味な笑みを浮かべたー。



「ーーくくくっ…あはははははははっ!傑作だ!」

ルーメンの本拠地では、その映像を見ていた

聡美(マルム)が手を叩きながら嬉しそうに笑うー。


「ーー…徹底的に追い詰めてやるぞー

 岩城大輔」


聡美(マルム)はそう呟くと、ペロリと唇を舐めて

大輔の映像を睨むようにして見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーはぁ…♡ はぁ…♡ はぁ…♡

 人間のメスの身体ってマジで気持ちイイなー」


聡美(マルム)は、大学内の問題児・淳也と

行為を終えて、嬉しそうに笑みを浮かべながら

そう呟いたー。


「え?」

淳也がそんな聡美(マルム)の言葉に首を傾げるー


「あぁ…いや、なんでもないよー」

聡美(マルム)はそう呟くと、笑みを浮かべるー


”カノジョ”とやらがー

他の男とヤリまくってるなんて知ったらー

さぞ、ショックだろうなー?


大輔は日に日に、険しい表情を浮かべ、

大学で孤立しているー。

例の、聡美(マルム)が配下の怪人を使って撮影した

暴力動画で、相当参っているようだー。


だが、聡美(マルム)は”大輔への精神攻撃”を止めないー。


やがてー

聡美が大輔以外の男とヤッているー、という噂が

大学内に流れ始めるー


しかも、相手は大学内の問題児・淳也ー。


その噂が流れると、大輔は、聡美(マルム)を

避けるような行動を取り始めたー。


「ーークククー…」

聡美(マルム)は、日に日に追い詰められていく大輔を

見つめながら悦に浸るー。


”じっくり、じっくりとーー

 地獄に落としてやるー”


そしてー

弱り切ったそのタイミングでー

大輔をルーメンの本拠地に連れ去りー、

大将軍ソルの望み通りー

生け捕りにするー。


それが、マルムの狙いー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー随分と、時間がかかってるじゃないかー」


巫女服のような服を身にまとう妖艶な女幹部・ロサが

聡美(マルム)に声を掛けるー。


「ーークククー

 心配するなよー

 ”もうじき”奴は壊れるー」


聡美(マルム)がそう言うと、

ロサは「ふぅん…」と、あざ笑うようにして笑みを浮かべるー。


「ーーあんた、その身体が気に入ったんじゃないのかい?」

ロサが揶揄う様にして言うと、聡美(マルム)は「まさか」と

笑いながら、否定するー


「貧弱な小娘の身体など、用が済んだらそれまでだー

 岩城大輔をここに連れて来たら、すぐに俺の身体も回収してー


 そうだなー…

 この身体はー…奴の前で切り刻んでやるか」


聡美(マルム)が邪悪な笑みを浮かべながらそう言うと、

ロサは「悪趣味だねぇ」と、首を横に振りながら立ち去っていくー。


聡美(マルム)はそのまま大将軍・ソルの部屋を訪ねると

現在の状況と、まもなく計画が成功することを伝えるー。


大将軍・ソルは満足そうに頷くと、

「ー分かっておるとは思うがー」と、

聡美(マルム)を見つめながら言葉を口にするー。


かつてー

人間界で諜報活動をしていたルーメンの怪人が

”人間たちの世界”に情を抱き、裏切ったことがあるー。


大将軍ソルは、そのことを聡美(マルム)にも忠告するー


「ークククー

 大将軍ー俺を誰だと思っているー?

 ”あの女”のような愚かな真似はしないぜ」


聡美(マルム)はそれだけ言うと、

大将軍ソルのほうを見つめながらにやりと笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー…はぁ…」

食堂でため息をつく大輔ー


聡美(マルム)は、そんな大輔を、

あざ笑うようにして見つめるー


”あと一歩ー”

精神的に大輔はかなり追い詰められているー


「ーそろそろトドメを刺すかー」

聡美(マルム)は小声でそう呟くとー

その日の夜ー、

帰宅してから”信じられない行動”に出たー


ガン!ガン!ガンー!


自ら自宅の壁に頭を打ち付ける聡美(マルム)ー


顔に打撲を作りながら、「ひひひ…」と笑うと、

今度は、自分の顔面を、自分の手でグーで殴りつけるー


唇から血を流しながらニヤァ…と笑う聡美(大輔)ー


”自分の身体”に暴行を加えながらー

聡美(マルム)は、ケラケラと一人、笑い続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーふ、冬川さんー…その顔ー…」


痛々しい顔面のまま、大学にやってきた聡美(マルム)を見て

大学の生徒たちは困惑の表情を浮かべるー


そしてー

聡美(マルム)は涙目で、

自ら痛めつけた顔を周囲に見せつけながらこう言い放ったー


”大輔に、暴力を振るわれてー”


とー。


瞬く間にその噂は広がりー、

大輔は大学に登校できない状況に追い込まれてしまうー。


”ごめん…大輔ー

 変な噂が広まっちゃってー…

 でも、わたし、みんなの誤解を解くからー”


聡美(マルム)は大輔に電話を掛けて、そんな風に呟くー


「ーーーー…俺のほうこそ、ごめんなー…」

大輔の元気のない返事ー


聡美(マルム)は電話の向こうで邪悪な笑みを浮かべながらー

さらに言葉を続けるー


”わたし…浅田(あさだ)くんに…無理やり…”


大輔に対しては、顔の怪我のことを

素行不良の生徒ー…

聡美(マルム)自身が自ら誘惑して、浮気相手にした浅田 淳也の

せいだと主張する聡美(マルム)ー


”わたし、彼氏がいるって言ったのにー

 わたしが好きなのは、大輔だけだって、言ったのにー”


自分から誘惑したのにも関わらず、

淳也に無理やり襲われて、さらには殴られたと、

泣きながら、大輔に言い放つ聡美(マルム)ー


弱弱しい彼女を演じー、

それに完全に騙された大輔はー

淳也に話をつける、と言って、そのまま電話を切ったー


「ーーーくくく…ホント馬鹿だなぁ、人間はァ!」

電話を切った途端に笑い出す聡美(マルム)ー


「ーー”カノジョ”ってのを利用すれば

 簡単に騙すことができる!

 へへへっ…たまんねぇぜ!


 精神的にやられた人間をカノジョの立場から

 意のままにあやつることなんて、

 滅茶苦茶簡単だぜ!げへへへへっ!」


聡美(マルム)は、可愛い顔面が台無しになるぐらいに

顔を歪めながら笑うと、

大輔の家に潜ませている”カメレオン・カメラ”から報告を受けるー


”出かけていきました”

とー。


そしてー

その日ー、大輔は淳也をボコボコにしたー。


大学からは処分が言い渡されてー

大輔は、すっかり精神的に参ってしまいー、

精神崩壊状態になってしまったー


引き籠る大輔ー。


”壊れたな”

聡美(マルム)は、そう確信すると、

大輔の家に”心配する彼女”を装って

足を踏み入れたー


「ー大輔ー……

 わたしは大輔のこと、信じてるよー」


聡美(マルム)がそう言うと、

大輔は、虚ろな目で「ありがとぅ…」とだけ呟いたー


”クククーこれが正義のヒーローの末路かー

 情けねぇ”


聡美(マルム)はそう思いながら

言葉を囁いたー


「ーー大輔ー ”来てほしい場所”があるのー」


精神崩壊に追い込まれた大輔をー

”カノジョ”の立場で連れ去ることはたやすいー


「ーーー…来てほしい場所ー?」

大輔が虚ろな目のまま呟くと、

聡美(マルム)は「うんー」と囁くー。


来てほしい場所ー

それは次元の狭間に存在する”ルーメン”のアジトー。


”大将軍ソル”の望み通りー

大輔を”生け捕り”にすることに成功した

聡美(マルム)は嬉々として、邪悪な笑みを浮かべたー



⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ついに彼女と入れ替わった悪の怪人の幹部の狙い通りに

なってしまいました…☆

物語の結末は、次回のお楽しみデス~!


今日もありがとうございました~!☆

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