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数百年規模で人類を緩やかに絶滅させようと目論む

悪の組織・ルーメン。


そのルーメンの怪人の”擬態”を唯一見破ることができ、

しかも、ルーメンに対してだけ圧倒的な力を発揮する

男子大学生・大輔ー。


彼は、自らの意思とは関係なく、ルーメンの怪人に時折狙われては

その都度、撃退していたー。


だが、ルーメンも黙ってはいなかったー。

三大幹部の一人・マルムが大輔の彼女、聡美に目をつけ、

自らの能力で聡美と自分の身体を入れ替えて、聡美の身体を奪ってしまうー。


聡美の身体になったマルムは

”彼氏”である大輔を破滅させようと暗躍し始めるのだったー


★前回はこちら★↓

<入れ替わり>彼女の中身は悪の組織の怪人①~邪悪な笑み~

「や…やめてー…!」 夜の街ー。 人通りの少ない道を、一人の女性が逃げ惑っていたー 背後から彼女を追うのはー 不審者ーーー…ではなくー ”悪の怪人”だったー。 人間離れしたその姿を見れば、 彼女に限らず、誰だって逃げ出すだろうー。 「ーーククク…三大幹部の一人であるこの俺、マルム様から  逃げられるとでも思った...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー聡美ーお待たせ!」


大学の昼休みー

待ち合わせていた聡美と合流した大輔は、

いつものように穏やかな笑みを浮かべながら

聡美と共に、廊下を歩き始めたー


「ーーククククー」

だが、その聡美は、大輔に見えないように

邪悪な笑みを浮かべているー


そうー

聡美は、悪の組織・ルーメンの幹部、マルムと

昨夜、身体を入れ替えられてしまっているー


楽しそうに食堂で雑談する聡美(マルム)と大輔ー。


「ーーーー」

大輔が聡美(マルム)のほうを微笑ましそうに観察しているー。


そして、口を開くー。


「ーお?今日は妙に食べるなぁ」

聡美(マルム)が食堂のカツ丼を食べているのを見て、

”いつもはあまり食べないのに”と笑う大輔ー。


「ーーん? あぁー

 ふふ…今日はとっても気分がいいのー」


聡美(マルム)はそう呟きながら、心の中で笑みを浮かべるー


”ーー何せ、俺たちの邪魔をする”正義のヒーロー”のツラを

 この目で拝むことができたんだからー”


聡美(マルム)はペロリと唇を舐めると、

「ー”正義のヒーロー”の彼女になれて嬉しいよー」と、

上目遣いで、大輔のほうを見つめるー


”この女の身体を使って、お前を破滅させてー

 心身ともに弱り切ったお前をー

 我がルーメンのアジトに連行するー”


大将軍・ソルの望みは

”大輔を生きたまま捕獲すること”ー


始末すること自体はたやすいがー、

確かにソルの言う通りー、

”大輔のように”ルーメンの擬態を見破ったり、

ルーメンの怪人に対して、異常な力を発揮する人間が

今後、増えないとも限らないー


大輔を生け捕りにし、

”大輔の秘密”を探る必要があるのだー。


「ーーーははは 何か今日はいつも以上にご機嫌だなぁ」


雑談を続けていると、大輔がそんな風に言葉を口にするー


「ーーーーふふふふ

 だって今わたし、ゾクゾクしてるんだもんー」


これからーー

”お前の彼女”として、お前を破滅に追い込むんだー


ゾクゾクするに決まってるー


聡美(マルム)は、聡美の身体が、

”これから彼氏に悪夢を見せる”ことに喜びを感じー

ゾクゾクしているのを感じながら

邪悪な笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聡美と身体を入れ替えて、

”大輔の彼女”として大輔に接近した初日を終えー、

幹部のマルムは聡美の身体のまま

異次元との境目に存在するルーメンのアジトへと

やってきていたー。


紫色の毒々しいドレスに、

いつもより濃いメイクの聡美は、

聡美を知る人間が見たら、まるで別人に見えるだろうー。


高いヒールの音を立てながら入ってきた

聡美(マルム)を見て、


「ーーーーーおやおやー

 随分可愛くなっちゃって、ねぇ」と、

三大幹部の一人で、妖艶な女幹部のロサがそう呟くー。


「ーーそれにしても今日はー

 ”彼女”として楽しんでいたようだねぇ…?


 まさかとは思うけどあんたー、

 あの男のこと、好きになったりしていないだろうね?」


ロサの言葉に、

聡美(マルム)は、ロサを鼻で笑うと、

「ーあんな餓鬼を誰がー」と、聡美の声で呟くー。


「ーー”裏切り者”には死をー。

 お前も知っておろうー?」

もう一人の三大幹部・トニトルスがそう言葉を口にすると、

聡美(マルム)は「裏切らねぇよ」と笑うー。


「ーーーまぁ良いー。

 しかし、大口を叩いた割に、

 今日はただ”大学生ライフ”を送っているだけに見えたが、

 それはどう釈明するつもりだ?


 ーちゃんと計画は順調に進んでいるのであろうな?」


「ーー俺を誰だと思ってるんだ?」と、

聡美(マルム)が腕を組みながら、トニトルスのほうを見つめるー。


「ーふん…

 その姿で言われても迫力も何もないなー


 やはり、儂が自ら赴き、やつを力づくで連れて来るのが

 一番早いのではないか?」


トニトルスがそう呟くと、

「ーククーお前は脳筋か?」と、聡美(マルム)が笑うー


「ー何だと!小娘!」

トニトルスが、頭にバチバチと電流を走らせながら呟くー。


雷神のような見た目に、鬼のような形相ー。

見るからに威圧感も、実力もありそうなトニトルスを前に、

聡美(マルム)はクスッと笑うー。


「ーー身体が小娘だからって調子に乗るんじゃねぇぞ?

 俺は、あんたみたいな年寄りよりも、

 強ぇぇんだからよー」


聡美(マルム)の言葉に、トニトルスは一歩も引かずに、

恐ろしい形相で聡美(マルム)を睨みつけるー。


聡美本人だったら、とっくに悲鳴を上げているだろうー。


「ーー貴様!!!!この儂を侮辱するかー!」


ガッと、聡美(マルム)の首を掴みー

そのまま聡美の身体を宙に持ち上げるトニトルスー。


「ーーーーーーー」

聡美(マルム)は全く怯える様子もなく

冷たい目でートニトルスを見下すー。


聡美が生まれてから一度もしたことがないであろうー

この上ないほどに、冷たい目でー。


「ーーーー…よせー”主”の御前だぞー」

奥に立つ大将軍ソルがそう呟くと、トニトルスは「ふん!」と

怒りの形相で聡美(マルム)を投げ飛ばすー。


壁に叩きつけられた聡美(マルム)はニヤニヤしながら

立ち上がるとー

「ーあんたも知ってるだろうがー」と、よろよろしながら笑みを浮かべるー


「ーあの男は、俺たちルーメンに対して異常なまでの

 力を発揮するー

 人間としては別に強いわけでも何でもねぇのにー

 どういうわけか、俺たちの擬態は見破るし、

 俺たちがアイツに蹴られたりすれば、相当なダメージを受けるー。


 あんたとて同じだートニトルスー。

 ”儂が自ら攻めるー?”

 そのようなことをすれば、あんたも

 この前やられたシャドーキノコと同じ運命をたどるだけだー」


聡美(マルム)はそう言い放つと、腕組みをしながら

トニトルスのほうを見つめて微笑みー、

そのまま大将軍ソルの”奥”にある、ルーメンのシンボルマークの前で

膝を折ったー


「ー主よー。

 あの者をここに捕らえる計画ー

 順調に進んでおりますー。


 必ずや、あの岩城大輔と言う人間を、ここに連れてまいりますのでー

 今、しばらくお待ちくださいー」


外から見れば”悪の組織に忠誠を誓っている聡美”にしか見えない

異様な光景ー


そこに、邪悪な声が響き渡るー


”幹部マルムよー。

 そなたの戦果、余は期待しておるぞー”


その言葉に、聡美(マルム)は「ははっー」と、頭を下げて

邪悪な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー!!!!」


一方ー、

入れ替わってから意識を失っていた

マルムになってしまった聡美はー

ようやく、マルムがアジトにしている廃墟地帯で

目を覚ましていたー


「ーへへへっ…お目覚めっすか?」

マルムの配下で、”入れ替わったマルム(聡美)”の見張りを

命じられている怪人・ドールモスキートが

軽い口調でマルム(聡美)に声を掛けるー


「きっ…きゃああああああああああああああああっ!」


突然目の前に現れた蚊と、不気味なマリオネットが混じったかのような

怪人・ドールモスキートを見て悲鳴を上げるマルム(聡美)ー。


しかし、その声が、ドスの効いた低い声だったー


「ーへへへっ…マルム様の声でそんな悲鳴上げられてもー

 可愛くないっすよ」


ドールモスキートはそう言うと、

拘束された状態のマルム(聡美)を見て笑みを浮かべたー


「ってか、俺を見て悲鳴を上げるとかー

 失礼じゃん?


 ほらー、見てみー?

 今、あんたの方がよっぽど醜悪で化け物みたいな姿だからー」


元々邪悪な容姿の大幹部マルムー。

そのマルムと入れ替わってしまった聡美はー

目の前にいる”ドールモスキート”よりもはるかに醜悪な姿を

していたー。


鏡のようなものを見せ付けるドールモスキート。


マルム(聡美)は、”今の自分”の姿を見て悲鳴を上げるー。


”ルーメン”の怪人たちは人間界では”人間に擬態”して

行動しており、大輔のような人間を除けば

擬態していれば、誰にも見破られないため

人間界に溶け込むことができるー。


しかしー、

あえて”擬態”を解くこともできるー


擬態を解いた状態で、人間界をウロつけばー

当然、騒ぎになるー。


そう見越してマルムは、聡美と自分の身体を入れ替える前に

あえて擬態を解いていたー


「へへへっ!どう?醜悪っしょ?」

ドールモスキートがケラケラと笑っているとー

「誰が醜悪だってー?」

と、背後から女の低い声がしたー


ギクッとするドールモスキートー。

背後を振り返ると、腕組みをしながら、私服姿に戻っていた

聡美(マルム)の姿があったー


「ーーーい、い、い、いやっ、いやっ!な、何でもないっす!」

ドールモスキートのその言葉に、

「ーーーーーー死にたい?」と、甘い声でわざと囁く聡美(マルム)ー


「ひっ…ひぇっ」

ドールモスキートのそんな反応を見ながら、

聡美(マルム)は拘束されたマルム(聡美)を見つめながら

笑みを浮かべるー


「ーー見ての通りだー

 お前の身体はーこの俺が拝借させてもらったー」


聡美(マルム)が言うと、

拘束された状態のマルム(聡美)がもがきながら叫ぶー


「ーわ…わたしの身体を…か、返して…!」

とー。


「ーーくくく…ははははははははっ!」

悪女のような笑い方をする聡美(マルム)ー


同じ声なのに”中身”でこんなにも笑い方が違うなんてー、と

聡美を知る人が見れば、そう思ってしまうだろうー。


「ーーー俺の身体でそんなセリフを吐かれるとー

 笑ってしまうな」


聡美(マルム)はそれだけ言うと、

「ーいや、失礼ー。

 だが、お前にはどうせ何もできないー」と、

マルム(聡美)をあざ笑ってから言葉を続けたー


「ー岩城大輔ー

 

 お前の身体で、やつを破滅させるー」


聡美(マルム)は彼氏の大輔の名前を呟くと、

マルム(聡美)は「だ、大輔にー…何をするつもりなの!」と、叫ぶー。


「ーー言葉の通りだー」

聡美(マルム)はそれだけ言うと、脇に控えていた

ドールモスキートに引き続きマルム(聡美)を見張るように命じると、

そのまま笑いながら立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その翌日ー


聡美(マルム)は、大学の構内の一角で、

壁に寄りかかりながら、”ルーメン”専用の通信技術で

通信を行っていたー


「ーーーバイオグリズリー…今夜、岩城大輔を襲え」

聡美(マルム)は冷たい目でそう呟くー。


”ぐへへへへー

 マルム様ー

 ついにこの俺の出番ですかー?”


「ーあぁ。ただし”擬態”は忘れるなー

 奴以外の人間に見られると面倒だからなー」

聡美(マルム)は周囲を少し気にしながらそう呟くとー

「全力でやつをぶち殺せー…ぼろ切れのように引き裂いても構わん」と

冷たい口調で呟いたー。


”ーーお任せをー”


配下の怪人・バイオグリズリーに彼氏の大輔を襲撃するよう命じた

聡美(マルム)はクスッと笑うと、そのまま

大学の構内へと戻って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


「ーーうぐおおおおおおおおお!!!」

聡美(マルム)から命じられた怪人・バイオグリズリーが

大輔に襲い掛かっているー


”生物を溶かす獰猛な爪”を持つ

バイオグリズリーの攻撃が、大輔に向かうー。


しかしー

大輔が、バイオグリズリーの動きを抑えるためにー

腕を掴むとー

バイオグリズリーが悲鳴を上げたー。


「ーったく、どういうことか分からねぇけどー」


大輔は、どうしてスポーツ万能でも、

格闘技のプロでも、殺し屋でも何でもない自分だけが

”ルーメン”の怪人にこんなにダメージを与えることが

できるのか分からないままー、

今日も戦いを続けていたー


「襲い掛かってくるならー…!」


大輔が拳を作りー、バイオグリズリーの腹部に叩きこむと

「ぐっふっ!」と、バイオグリズリーが口から液体を吐き出すー。


「ーーーーーーー」

その様子をサングラスをかけた聡美(マルム)が

物陰から見つめていたー


”カメラ”を手にー


「ーーーー…そうだーー殺れー」

聡美(マルム)がにやりと笑うー


カメラの”画面”にはー

”大輔がおじいさんを追い詰めている”ように写っているー


バイオグリズリーの”人間に擬態”した状態の姿でー

ビデオカメラには写っているのだー。



「ーーひっ…ま、参った…降参だ!」

バイオグリズリーが命乞いを始めるー。


だがー

大輔は”怪人”には容赦しなかったー


ルーメンの”擬態”をなぜか見破ってしまうことができる大輔はー

”怪人”にしか見えないその相手ー

バイオグリズリーの顔面を蹴り飛ばすとー

そのままバイオグリズリーは砕け散るようにして消滅しー

最後を遂げたー


「ーーーーーーーー」

ニヤッと笑う聡美(マルム)ー


聡美(マルム)の手に握られたカメラにはー

”大輔がおじいさんをボコボコにした挙句、蹴り飛ばす”

映像が録画されてしまっていたー。


「ーーー”カノジョ”に地獄に落とされるのなら

 本望だろうー?」


聡美(マルム)は、捨て駒を使って”必要な映像”を撮影し終えると、

サングラスに少しだけ触れて、位置を調節してから

そのまま静かに夜の闇へと消えたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


悪の組織の怪人と入れ替わってしまった彼女と、

その彼女によって滅びへと向かう彼氏…

二人の運命がどうなっていくのか、

ぜひ続きも楽しみにしていてください~☆!


今日もありがとうございました~~!!

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