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”憑依花子”を名乗る謎の出品者が、

オークションサイトで販売した「ポゼッション・カメラ」


5台ほど1000万円で出品されたそのカメラは、

高額かつ、本当に憑依できる保証もない状態にも関わらず、

5台全てが完売したー。


うち1台を入手した男、昭俊はカメラを使って女子高生への憑依を

堪能していたもののー、憑依前に自宅で吸っていた煙草をそのままに

してしまったために火災が発生、彼は死亡してしまうー


カメラは残り4台ー。その、行方はー…。


★前回はこちら↓★

<憑依>カメラが映し出す憑依の世界①~欲望~

”ポゼッション・カメラ” ある日ー、何の前触れもなく そんな名前の不気味なカメラが5点ほど、 オークションサイトに出品されたー。 その商品説明には、 ”撮影した相手に憑依することができる特殊なカメラ”とだけ書かれており、 その出品価格はなんと”1000万円”だったー。 しかも、カメラとしてのスペックは最低限、と呼...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


とある遊園地ー。


その一角の休憩スペースで、男はカメラを手に

座っていたー。


男子大学生の武井 良一郎(たけい りょういちろう)ー。


彼は、小さい頃からクラスの中心的人物で、

”イケメン”であったために、モテる人生を送ってきたー。


大学でもそうだー。

彼は、モテるー。


彼は小さいことから、色々なことに興味を持ち、

興味を持ったことは何でも調べー、

体験できることは一通り体験したー。


とにかく”何でも試してみたい”ー

そんな、探究心の持ち主だったー。


だがー、良一郎には、どうしてもできないことがあったー。


それがー

”女”を体験することだー。


男として、女とヤることではないー。


自分自身が”女”になって、

女という存在を体験してみたかったー。


大学生になって、成人して、

小さい頃から”見て来た”ものは何でも試したー


酒も試したし、

煙草も試したし、

車の免許も、バイクの免許も取得したー。


しかしー…

”女性”そのものになる、という経験は

どうしても”体験”することはできなかったー。


そんな夢は、普通であれば当然叶うはずがないー。


男に生まれた良一郎が、

”女そのもの”になることはできないー。


別に良一郎は、性転換したいわけではないー。

あくまでも”自分は自分”として

一時的に”女とはどのようなものなのか”ということを

体験してみたいー。


そんなー

”不可能であるはず”の夢を抱いていたー。


しかしー

彼は、そんな夢を叶えるアイテムを手に入れたー。


それが、少し前にオークションサイトに突然出品された

”ポゼッション・カメラ”なるアイテムだったー。


これを使えば、他人に憑依できるのだと言うー。


1000万円ー。

あり得ないほどの金額だったー。


だが、何にでも興味を抱き、頭の回転も速いー

まさに”天才”とも言える良一郎は、

高校時代から、ネットでいろいろなサービスを開発し、

その一つが、今でも人気のサービスに成長ー、

1000万円は、良一郎がかき集めれば、なんとか払うことの

出来る金額だったー。


本当に憑依できるか分からないそのカメラー。


だがー、良一郎は”それ”を躊躇なく購入したー。


もしも、本物ならー

”女に憑依して、女の身体はどのようなモノなのか”

ということを体験できるし、

”自分以外の身体”を体験することができるー。


通常であれば人間は”ひとつの身体”の感覚しか体験できないー。

だが、もしも本当に憑依できるのであればー

”他人の身体”を体験できるのだー

声もー手の長さも、手の形もー、味覚も、暑さ寒さの感じ方も、

何もかもが違うはずだー。


そう考えただけで、心躍るー。


そして、”もしも”憑依できると嘘をついた1000万円のカメラなら

”見え透いた詐欺に引っかかって1000万円を失う”という

それはそれで貴重な体験ができるー。


だからこそ、良一郎は躊躇なく、そのカメラを購入していたー


「ーーー…しかし、まさか本物だとは驚いたよー」

良一郎は遊園地でカメラを手に、一人呟くー。


良一郎はポゼッション・カメラが到着してすぐ”テスト”をしたー。


説明を読んだ良一郎は

”使い方を間違えれば”自分の身にも危険が及ぶことを理解し、

”本番”を楽しむ前に、何度かテストを行ったー


大学でも、同級生何人かに憑依してみたー。


カメラには、色々な”ルール”があったー。


”複数の相手を写真に収めた場合、”一番大きく映っている相手”に

 憑依するー”


”憑依後、自分の身体は”抜け殻”の状態になるため、カメラを

 利用する場所には注意すること”


”長期間、自分の身体を抜け殻状態にしておくと、

 餓死等の危険があるため、注意すること”


”既にほかの人間に憑依されている人間には憑依できない”


”憑依されている最中の相手の記憶は残らない”


”憑依状態から抜け出すためには、

 カメラ側で設定したワードを口にすること”


それらルールを一つ一つ、良一郎は入念に把握し、

そして、これまでテストを重ねて来たー。


”いきなり本格的にお楽しみ”をするのはバカのすることだー。

万が一のことがあったらどうするー?


例えばー説明書には”憑依されている最中の相手の記憶は残らない”と

書かれているが、”実際に試してみないと”本当かどうかは、分からないー。


憑依して、滅茶苦茶に遊んで”この人に憑依されてたんです!”なんて

言われたら笑い話にもならないー。


だからー、各項目をそれぞれ入念に確認したー。


その結果ー

良一郎はようやく、”安全に楽しめる”と判断しー、

今日、この遊園地で”女の身体”を存分に堪能してみるつもりだったー。


「(テストは十分に済んだー

  自分の身体が無防備になってしまうのは不安だけどー

  僕自身が近くで”僕の抜け殻”を目視できる場所にいればー…

  問題ない)」


そう心の中で思いながら、良一郎は周囲を見渡すー。


周囲を見渡しているのは”憑依する身体”を確かめるためだー。


「(できれば一人で来ている女がいいー。

  年齢は、僕と同じぐらいがいいかー)」


遊園地を歩く客たちに鋭い視線を送る良一郎ー。

容姿に恵まれたイケメンが、これからそんな恐ろしいことを

考えているなど、誰も、夢にも思わないだろうー。


元の身体に戻るためのキーワードは”リセット”に設定したー。


シンプルな言葉だし、憑依している最中にうっかり口にしてしまう

可能性もあるがー、

うっかり口にしても、また憑依すればいいだけだー。

そんなに気にすることではないだろうー


「ーーーー!!!」


ちょうどー…

長い黒髪の、良一郎から見れば”理想的な”美女が視線に入ったー


(僕と同じ大学生ぐらいかー…?

 ちょうどいいー。

 僕の”女体”経験は、君にさせてもらうよー)


そう心の中で呟いた良一郎は、”あえて”変な姿勢になってからー、

カメラを手に、ズーム機能でその女性を”撮影”したー。


「ーーー」

テーブルに座ったまま目を閉じてー

”外から見れば、遊園地の休憩スペースでウトウトしているようにしか見えない”

雰囲気で、良一郎は”抜け殻”となったー


”どんな姿勢で憑依すれば”

周囲にあまり怪しまれない感じで”抜け殻”になるかも、

良一郎は何度も憑依テストを行い、確認してきたのだー


「ーーーくくくく…今まではテストのための

 短時間の憑依しかしてこなかったからなー」


少し離れた場所を歩いていたおしゃれな女子大生の身体を

奪った良一郎は笑みを浮かべるー。


「ーーーってかすげぇな生足晒してるのー」

短いデニムパンツ姿だった女子大生ー。


”外で生足を晒している”という、この”空気感”も、

良一郎にとっては”新しい発見”だったー。


「ーーすげぇなぁ…こうーーー

 なんていうか…すげぇ…」


良一郎は、今日まで、何度も”ポゼッション・カメラ”を使って

憑依を繰り返していたものの、

それは”あくまでもテスト”ー

テストの時は、”憑依時に起きることの確認”に徹していたため、

こうして”身体の違い”をじっくり堪能するのは、

これが初めてだったー


「ーうわぁ……見下ろすと、こんな風に自分の胸が

 見えるなんてー…

 ーーー…いやぁ……すげぇや」


乗っ取った女子大生の身体でそう呟くと、

「そうそう、名前ぐらいは確認しておくかー」と、

鞄から学生証を見つけ出すー。


そこそこランクの高い大学名が、その学生証に

刻まれていて、”星野 葵(ほしの あおい)”という

名前が書かれていたー


「ーわたしは星野 葵ー…なんてなー」

”他人の名前を他人の身体で名乗る”

そんな経験にも今まで感じたことのない

高揚感を感じながらー

”自分の身体”のほうを見つめるー。


少し離れた場所の休憩スペースの机で

”まるで昼寝しているかのような状態”の良一郎の身体ー。


自分の身体が見える範囲内で”色々と”女の身体を堪能している分にはー

”何か危険”が生じたらすぐに”リセット”と言葉を口にすることで、

自分の身体に戻ることができるー。


”自分の抜け殻を守るための一番の安全対策”は、

”憑依した後も、自分の身体の近くにいること”なのだー。


「ーーーー……ってか…ここに…ついてないってのがもうー… 

 僕には信じられねぇなー」


そう呟きながらデニムパンツの上からアソコのあたりを触るー。


男とは全く違う感覚を味わいながらー

”エッチなこともしてみたいけどー、流石に遊園地のど真ん中で

 喘ぐわけにもいかないしな”と、心の中で笑うー。


それはそれで、また”別の方法を考える”としてー

今日は単純に、色々、基本的なことを楽しもうー、と

良一郎はそう考えていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー遅いなぁー葵ー」


遊園地の別の場所ではー

トイレに向かったきり帰ってこない彼女のことを

心配している”彼氏”がいたー。


彼はー

たった今、別の場所で”憑依”されてしまった女子大生・葵の彼氏ー。


葵の身に大変なことが起きているとも知らずー

彼は、葵を探して、遊園地内を歩き回り始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーうめぇ…」


”自分の身体”が見える範囲内で

ソフトクリームを購入した葵は、

それを美味しそうに食べながら、そう呟いたー。


「ー甘いものが苦手な僕でも、こんなに美味しく感じるなんてー

 やっぱ、味覚の違いはやべぇな」


嬉しそうにソフトクリームをペロペロしながら葵は、

「ーーっていうか、僕がこの身体で僕って言うと、

 この子、ボクっ娘になっちゃうなー。」

と、ニヤニヤしながら笑うー。


ソフトクリームをこんなに美味しいと感じたことは生まれて初めてだ。


これがー

味覚の違い、ということだろうかー。


そんな、味覚の違いに、想像以上の快感を感じながら、

葵に憑依した良一郎は”次”を楽しもうとしたー。


だが、その時だったー。


「ん??」

葵が表情を歪めるー。


少し離れた場所のテーブルで”抜け殻”になっているはずの

自分の身体ー…良一郎の身体が突然起き上がったのだー。


「ーなっ…!?」

葵は表情を歪めながら、すぐに”リセット”と、小声で呟くー


”元の身体に戻る”ためのキーワードだー。


しかしー


「ーー!?!?!?」

良一郎は葵に憑依したままー。


良一郎の身体は、ニヤリと笑みを浮かべながら、

周囲を見渡しー、

そして、股間のあたりを触ったー


「ーお…おいっ!?」

葵が困惑して、”自分”に声を掛けようとしたその時だったー。


近くで悲鳴が上がるー。


「ー!?」

葵が悲鳴のした方向を見ると、

そこには、同じぐらいの年齢の女性が倒れて、意識を失っていたー。


その手には、カメラが握られているー


「(あれは…ポゼッションカメラー……)」

葵に憑依している良一郎は、呆然とするー


”まさかー”


葵に憑依している良一郎は青ざめるー。


”抜け殻”だった良一郎の身体が、

偶然、この場に居合わせた”ポゼッションカメラの落札者”に、狙われて、

憑依されてしまったー


”リセット”という”設定した元に戻るための言葉”を呟いても元に戻れないのはー


”既にほかの人間に憑依されている人間には憑依できない”


と、いうルールが適応されてしまっているためー…

なのかもしれないー。


恐らく、カメラの開発者も

”他の人間に憑依している最中の人間の抜け殻”に、

別の人間が憑依することなど想定していないのだろうー。


本来なら、機能するはずの”リセット”が、

良一郎の抜け殻が憑依されてしまったことで、

ルールに引っかかり、戻れなくなってしまったー


焦った葵は、表情を曇らせながらー

”良一郎”に声を掛けようとするー


”僕は、他人の身体で生き続けるつもりなんてないぞー”


良一郎が葵に憑依したのは、あくまでも一時的に楽しむためー。

別に、他人になりたいわけじゃないー。


「ーーーおい!おまーーー」


そこまで言いかけたその時だったー


「葵!!!よかった!」

背後から男の声がして、葵が振り返るー。


すると、そこには、”葵の彼氏”がいたー。

彼女の葵がトイレに向かい、その最中に憑依されてしまったことを

知らない彼氏は、葵を見つけて心底安心したように

「どこに行ってたんだよー」と、笑うー


「え…あ、いや、あのー」

葵はすぐに彼氏を振り払って、”自分の身体”がいた方向を振り向くー。


しかしー


「ー!!」

既に、そこに”憑依された良一郎”の身体はなかったー


「う…ウソだろー…ぼ、僕の身体ー」

葵が呆然と呟くと、

葵の彼氏が「え?」と、不思議そうな表情を浮かべたー。


良一郎の身体に憑依したと思われる”女の抜け殻”の周囲には

人が集まり、救急車を呼んでいるー


”あんな堂々と、自分の身体を放置してー、何のつもりだー?”

葵に憑依している良一郎は、呆然としながらそんな風に呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーふふっ!」

良一郎に憑依した女は、良一郎の身体で微笑んだー。


彼女はー

ポゼッションカメラを落札した5人のうちの一人ー。


お金持ちのお嬢様で、

イケメン好きの彼女は、”イケメンに憑依したい”と思い、

カメラを手に、遊園地を徘徊していたところ、

偶然ー、良一郎を見つけて、そのまま憑依したのだー。


「ーー”わたしの身体”はお父様がどうにかしてくれるからねー」

良一郎は静かに呟くー


”あえて”遊園地のど真ん中でカメラを使い、

自分の身体を放置したのには理由があったー


”あそこで倒れれば”

必ず救急車が呼ばれるー


そしてー、

病院に運ばれて、昏睡状態が続いても、

”わたしを溺愛するお父様”は、絶対に”目覚めることのない娘”であっても、

全力で延命をお願いしてくれるはずだー。


「ーーー…わたしの”抜け殻”はお父様に任せておけば安全ー」


良一郎の身体に憑依したお嬢様は嬉しそうに笑みを浮かべると

「イケメンの身体げっと!」と呟いて、そのまま遊園地を後にしたー



計算高い良一郎はー

”5人しかいないはずの落札者”のうちの一人が、

偶然、同じ遊園地にカメラを手にやってきていたー…


などという、”あまりにも奇跡的な出来事”を計算することまではできずー

自分の身体を奪われ、葵として生きていくことになってしまったのだったー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


カメラを落札した五人のうち、今のところは、

一人目は火災で死亡、二人目は抜け殻に憑依されて戻れなくなり、

三人目はイケメンの身体をゲットして目的達成…

という状態ですネ~!


落札者はあと二人…。

最終回もぜひ楽しんでくださいネ~!

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