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ブラック企業”ローズ・テクノロジー”に入社した正司ー。


美人社長・小野坂梨沙の”悪魔のような所業”が

連日続く中ー、小野坂社長に睨まれていた入社3年目の女性社員・澪が

突然姿を消してしまうー。


そんな中ー

残業後に偶然、忘れ物を取りにオフィスに戻った正司は、

謎の男が”小野坂社長”を脱ぎ捨てて”澪”を着るー


と…いう、恐ろしい場面を目撃してしまうのだったー。


★前回はこちら↓★

<皮>ブラック企業の女社長②~正体~

入社1年目の新社会人・正司は 美人社長の小野坂梨沙が率いるベンチャー企業・ ローズテクノロジーで、 過酷な労働を強いられる日々を送っていたー。 ローズ・テクノロジーは 想像以上のブラック企業で、 小野坂社長は、”美人”な見た目とは真逆の真っ黒な社長ー パワハラもセクハラも、何もかも兼ね備えた邪悪な存在だー...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー見たんだな?」

先輩の女性社員・澪が恐ろしい口調で、

正司のほうを見つめているー


「あ…あ…い…い…いえ…お、俺は何もー」

正司が後ずさりながら呟くー。


いつも、小野坂社長から罵倒され、

怯えていた澪がー、

今は恐ろしい形相で、”まるで別人のような”雰囲気を

出しながら、正司の方に近付いてきているー


「ま…ま、待ってくださいー…!

 し、社長の中から男の人が出てきて、せ、先輩を着たなんて

 そ、そんなのーあ、あるわけないじゃないですかー


 お、俺、ほ、ホントに何も見てないですからー…」


パニックになった正司は、”見た光景”を全て口にしてしまうという

失態を犯しながら後ずさるー。


「ーーー……全部見てんじゃねぇか!!!」

澪が、恐ろしい口調で叫ぶー。


澪の声なのにー

澪とは思えないー


「はひっ」

尻餅をついてしまう正司ー。


正司は、特別ビビりな性格…と、いうわけではなかったが、

このような恐ろしい光景を見せられてしまえば、

こうなってしまうのも、仕方がなかったー


社長が、まるで着ぐるみのように脱がれてー、

その中から知らない男が出てきてー、

いつも社長に叱責されていた先輩女性の澪まで着ぐるみのようになっていてー、

しかも、社長から出て来た男が今度は澪を”着た”ー。


そんな光景を見て、驚かない人間など、そうそうはいないー。


「ーー信じれば、お前たち社員はいとも簡単に俺を裏切るー」

澪が、”男”の口調を隠すことなく、そう呟くー


「ー俺はそうして地獄に叩き落とされた!

 だから、もう一度チャンスを得た俺はー…!

 二度と同じ失敗を犯さないように、お前たち社員を

 支配しているんだ!」


澪が怒りの形相で叫ぶー


「ーー…な…何を言ってー…

 …あ…あなたは誰なんですかー…

 せ、先輩ー…?

 小野坂社長ー…?


 い、いったいなんなんだー」


正司が混乱しながら叫ぶー


目の前にいる”澪”はー、

澪なのか、小野坂社長なのか、それとも謎の男なのかー

頭が混乱して、それすらも分からなくなってしまうー。


「ーーーふふ」

澪はクスッと笑うと、

「ー塚本くんー”忠実な犬”で、扱いやすかったんだけどなぁー。

 見られちゃったならー仕方ないよね」

と、冷たい目を正司に向けたー


「うわあああああっ!」

悲鳴を上げながら逃げ出す正司ー。


慌ててエレベーターのボタンを連打するがー

こういった時に限ってエレベーターは下の階にいて、

なかなか到着しないー。


そうこうしているうちに、澪が近づいてくるー。


エレベーターが正司のいる2階に到着するー。


慌ててエレベーターに飛び込んで

ボタンを連打する正司ー。


しかしー

「ー逃げられるとー思ってんのかぁ?」

澪が、いつもとは別人のような口調で、

エレベーターの閉じかけた扉をガッと掴んでー

そのまま中に入ってこようとしたー。


「うっ…うわああああああああああっ!」

正司は、恥ずかしいという気持ちも、プライドも

何もかも捨てて悲鳴を上げたー。


まるでー

映画で何かに追われて、エレベーターにやっとの思いで

逃げ込んだのに、間に合わずに殺される脇役Aみたいな

気分になってしまうー。


「ーー…や…やめろ…!来るな!!来るなぁ!!」

正司が無我夢中で、持っていた鞄を思いきり、

澪の顔面に叩きつけるー。


何度も、何度も、エレベーターの扉が閉まるまで、

澪に向けて鞄を振るうー。


澪が怪我してしまうーとか、

そういうことも考える余裕もなくー

必死だったー


やがてー


「はぁ…はぁ…」

気付いた時には、扉に手と顔を突っ込んでいた澪の姿は

無くなっていて、エレベーターが1階に向けて動き始めていたー。


エレベーターの扉が開くと同時に、正司は走り出すー。


幸い、澪は階段を下りて1階で待ち伏せしているようなことはなくー

正司はそのまま、ローズテクノロジーを後にして、

夜の街を必死に走ったー


「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

心臓のバクバクが止まらないー

冷や汗が止まらないー。


生きている心地がしなかったー。


「ーーーはぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」


10分ー

いや、それ以上、経過しただろうかー。


夜でも人混みが出来ている繁華街までやってきた正司は、

ようやく、気持ちに落ち着きを取り戻して

深く深呼吸をすると、そのまま家へと歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーだ…大丈夫ー?」


真っ青になって帰宅した正司を見て、

同居している彼女・麻由里は驚きの表情を浮かべるー


「ーーあ…あぁ…だ、大丈夫ー」

スーツもシャツも汗でびっしょりー。

顔色も悪く、とても大丈夫には見えないー。


麻由里は心配そうに、正司のほうを見つめるー


正司は、麻由里に”小野坂社長”のことを話そうとしたが、

信じてもらえる気がしなかったしー

そもそも麻由里に心配を掛けたくなかったー。


「ーー驚かせてごめんー…

 とにかく、大丈夫だから心配しないで」


正司が優しくそう呟くと、

麻由里はそれでも不安そうに、正司のほうを見て呟いたー



もしー

もしもー

この時、麻由里に”今日の出来事”をしっかりと

伝えておけばー

この後の”未来”は、また違ったものになっていたのかもしれないー。


・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


今日は同居している麻由里は、仕事が休みでー、

正司は”出社”の日ー。


しかしー


”昨日の出来事”から、正司は”もう会社には行けない”と

思っていたー。


小野坂社長を”脱いだ”男ー

そして、その男は”澪”を着たー。


何が起きてるのか、さっぱり理解できないー。

小野坂社長は、小野坂社長ではなかったー…と、言うことなのか?


あの男に”着られた”先輩女性社員の澪は”まるで別人”のような

振る舞いだったー。


と、なればー…。


「ーー社長も、大学の時までは、あんなじゃなかったんだけどな」


入社4年目で、大学時代から小野坂社長のことを知っているという

先輩の片倉雅夫が言った言葉を思い出すー。


”大学の時とは、別人”ー

そんな意味にも取れるー


「ーーー」


そしてー

昨日ー、エレベーターまで追跡してきた澪を、正司は

無我夢中で鞄で殴りつけてしまったー


もし、澪が怪我をしていたらー…?

そんな不安にも苛まれるー。


しかしー

そんな正司の不安を、思わぬ形でかき消したのはー

先輩である片倉雅夫からの電話だったー


”大変だ!塚本ー今すぐ来てくれ!”


「ーーえ…?」

正司が困惑するー。


一瞬、社長が片倉先輩を使って正司を呼び出しー、

正司を”始末”するつもりなのだとーー

そんな怖い考えも浮かんだー。


がー、雅夫の様子はそんな感じではなかったー


”社長が消えた

 それとーー…お前宛の手紙がー”


雅夫の言葉に、正司は混乱しながらー

そして、警戒しながらも会社に向かうー


「ーーー…麻由里…ちょっと、急に会社から呼ばれたからー」

正司がそう言い放つと、

”いつもより早いけど、もう行くよ!ごめんな!”と、

慌ててローズテクノロジーへと向かうー。


「ーーえ…?あ、う、うん!ホントに無理しちゃだめだからね!」

そう言い放つ麻由里ー


正司は返事をしながら、そのまま急いで部屋から飛び出していくー


「ーホントに…大丈夫かなぁ…」

一人残された麻由里が、困惑しながら

心配そうに、玄関の扉のほうを見つめるー。


だがー

その時だったー


「ーーえ」


玄関の扉が再び開きー、

一瞬、正司が帰ってきたのかと思った麻由里ー。


しかしー

部屋に入ってきたのは

スーツ姿の女性だったー。


「ーーど…どちら様ですかー?」


その相手と、麻由里は面識がないー


入ってきたのは、彼氏である正司の勤務先ー…

ローズテクノロジーの女社長・小野坂梨沙ー。


小野坂社長は社長らしく、穏やかに丁寧な口調で

自己紹介して、名刺を差し出すと、

困惑しながら名刺を受け取った麻由里に対して、

笑みを浮かべたー。


話は正司から色々聞いてはいるもののー

実物を見るのがこれが初めてー。


それにー

”彼氏の勤務先の社長”が、

突然、インターホンも鳴らさずに、玄関の扉を開けて

入ってきて、名刺を手渡してくるなんて、

どう考えても、おかしいー


麻由里は強い警戒心を抱きながら、

静かに口を開いたー。


「ーーー何の…御用ですかー?

 正司なら、ついさっき出勤しましたけどー…?」


麻由里がそう呟くと、

小野坂社長は静かに笑みを浮かべたー。


「ー少し、相談があるの」

とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


会社に到着した正司ー。


正司は、昨日の件を思い出しながら

周囲を見渡すー


だがー

会社内に小野坂社長の姿も、澪の姿もなく、

いつもの仕事場がある2階にたどり着くと、

4年目の先輩社員で、小野坂社長の大学の同級生でもある

雅夫が、「塚本!」と、正司の姿を見ると同時に

手をあげながら合図をしてきたー


「ど、どうしたんですかー そんなに慌てて」

正司はそう言いながらも、”昨日の出来事”を、

雅夫に伝えようとするー。


片倉先輩は、小野坂社長の同級生で

ローズテクノロジー設立当時からのメンバーだー。


昨日の出来事を伝えれば、力になってくれるかもしれないー。


だがーー

その片倉先輩ー…雅夫から言われた見せられたものに

正司は驚きの表情を浮かべたー。


”辞任”


小野坂社長の机の上に、

小野坂社長直筆のサインと実印が捺された紙が置かれていたー


そこにはー、

小野坂梨沙が今日を以って辞任することー

そして、後任の社長に”塚本正司”を指名することが

書かれていたー


「ーえ…ち、ちょっと待ってくださいー!?

 お、俺が社長ー?」


意味が分からないー

正司は純粋にそう思ったー


小野坂社長はー

いやー…社長の中にいたあの男はー

”何を考えている?”


全く、理解できなかったー


「ーーー…お、俺だって分からんー…けどー」

先輩の雅夫が困惑しているー。


「ーお、小野坂社長に連絡はー?」

正司が確認するも、雅夫も、他の社員も

”今朝から連絡がつかないー”と、

そう言葉を続けたー。


「ーど、どうして、俺が社長にー…」

正司が混乱するー


昨日ー

正司は”見てはいけないもの”を見たー


それは、皮にされた小野坂社長の中から謎の男が出てきて

皮にされた澪をその男が着た、と言う光景ー。


とても現実のものとは思えないー。


しかもーそのことを知ってしまった正司を、

小野坂社長ー…いや、何て呼べばよいのだろうかー。

とにかく、奴が放置しておくはずがないー。


しかしー

実際に起こした行動は

”社長の座を正司に譲り、姿を消すこと”ー。


「ーーー…なに考えてるんだー…くそっ」

正司は混乱しながら頭を抱えるー。


小野坂社長の”中身”だった男が、正司に秘密を知られて逃亡ー、

お詫びに、正司に会社をプレゼントしてくれたー…


と、いうことなのだろうかー。


いやー…しかしー…



結局、夕方まで小野坂社長は見つからず、連絡もつかないままだったー。


「ーーー…お、俺、社長なんてー…

 社長を継ぐなら、設立当時からのメンバーの片倉先輩だと思いますし」

正司が言うと、雅夫も困り果てた様子で、

「とにかく、今日はもう帰れー。俺も色々確かめてみる」と、

呟いたー


正司は頭を下げて、社員たちに「お先に失礼します」と、

挨拶をすると、そのまま会社を出て、帰宅を始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した正司ー


「ーーーただいま~」


いつものようにー

帰宅してー


いつものようにー

麻由里との時間をーーー


そう、思っていたー。


しかしー


突然、パン!!!!と、大きな音が響き渡ったー


ビクッとする正司ー。


だが、すぐにそれが危険な音ではなくー

麻由里がパーティなどで使われるクラッカーを放った音だと

気付き、正司は少し笑顔を浮かべながら

「び、びっくりした~」と呟いたー。


「社長就任おめでと~!」

拍手しながら微笑む麻由里ー。


「ーーーー!?」

正司が表情を歪めるー。


どうして、”麻由里がそれを知っているー?”


まだ、何も言ってないー。


正司がそう思いながら麻由里のほうを見ると、

麻由里が、正司の肩に手を触れながらー


「これから、頑張ってねー」

とー、脅すような口調で呟いたー


「ま…麻由里ー…?」

震えながら正司が麻由里のほうを見るー


そしてー


ふと、部屋の奥に”脱ぎ捨てられた小野坂社長”が

横たわっているのに気づきー、

正司は驚きながら、今一度麻由里の顔を見つめたー


”いつもの麻由里とは違う笑顔ー”


笑っているけど、笑っていないー。


そんな麻由里の笑顔を見て、正司は恐怖を

感じることしかできなかったー



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!☆

社長から逃れることはできるのでしょうか~?


今日もお読み下さりありがとうございました~!☆☆!

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