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妹が洗脳されたことに気付かず、

雫の急な豹変に困惑する兄・悠馬ー。


雫の彼氏である輝樹とも連絡を取るも、

輝樹は逆に、雫の豹変を”プライベートで何かがあったのでは?”と

疑っていたー


そんな中、

謎のヘルメットの人物と、

その人物に雇われているオールバックの男・玉城 東吾は

雫をさらに”歪めよう”としていたー


東吾が用意した不良グループの元に

ヘルメットの人物は洗脳した雫に命令を送り、

雫とその場所へと向かわせるのだったー…


★前回はこちら↓★

<MC>歪められた絆③~不安~

怪しげな人物たちに”洗脳”されてしまった妹の雫ー。 兄の悠馬は、洗脳された雫の突然の豹変に困惑するー。 ”今日はたまたま機嫌が悪いのだろう” 最初はそんな風に思っていた悠馬も、翌日になっても雫の態度が 変わらないことから、強い違和感を抱き始めるー。 妹の突然の豹変ー。 困惑しながらも、兄の悠馬は今日も大学...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜も遅くなり、悠馬は妹の雫が

外出したまま帰ってこないことを心配していたー


母の裕子や父の茂雄も、雫の帰りが遅いことを心配し、

雫のスマホに連絡を入れるなどしているものの、

雫から返事はないままだったー。


「ーー本当に、何も聞いてないの?」

母・裕子が心配そうに呟くー


「ー聞いてないよー…」

悠馬はそれだけ言うと、

「ー最近、雫、何か変だよなー…」と、

両親に向かって呟くー


母・裕子も、父・茂雄も

ここ数日、雫の様子がおかしいことには気づいていたし、

理解していたー


最初は、悠馬も含め”機嫌が悪いのかな”ぐらいの考えだったものの、

どうも違う気がするー


「ーーー」

落ち着かない様子で悠馬が座っていた椅子から立ち上がると

時計を見つめるー


既に時計は23時近くを示しているー

雫が、こんな夜遅くまで外出していることは

普段は絶対にないー。


「ちょっと俺…探してくるよ」

悠馬が困惑した表情でそう呟いたその時だったー


玄関の扉が音を立てー

そしてーー

雫が帰ってきたー


「ーーー雫!」

母の裕子も、父の茂雄も困惑しながら

その名前を呼ぶー


だが、雫は不機嫌そうな表情を浮かべたまま

両親を見つめるとー

「ーーいちいちそういう反応、うざいからー」とだけ

呟いたー


「し、雫!そんな言い方はないだろうー?」

茂雄が言うと、雫は「チッ」と舌打ちをするー。


しかもー

雫からは何だか煙草のようなニオイが漂っているー


「ーし…雫…ど、どこに行ってたんだー?」

悠馬が心配そうに聞くと、

雫は睨むようにして悠馬のほうを見つめると

「ゲーセン」と、だけ呟いて

自分の部屋に向かおうとするー


「ーげ…ゲーセン…!?

 ちょ…し、雫ー…急にどうしたんだよー?」


混乱する悠馬ー

しかし雫は「うるさいー。わたしが何をしようと勝手でしょ」と

言い放つー。


「ーーか、勝手ってー…お、俺も

 母さんも、父さんも心配してたんだぞー…!?」

悠馬は、心底悲しそうに雫に対してそう言い放つー


「ー心配してくれなんて、頼んでないし」

雫が目を逸らしながら、反抗的な態度を取るー


「ーな…何かあったの雫ー?最近…変よ?」

母親の裕子の戸惑いの声ー


母の裕子も、父の茂雄も、兄も悠馬も、

全員が、雫の豹変に混乱していたー。


家族4人、とても仲良しだった神里家ー。

今までにこのような不穏な空気が家庭内で流れたことはないー。


だが、その平穏は今、壊されてしまったー。


誰よりも家族と仲良しだった雫の豹変によってー


「ーあんたも、あんたも、あんたもー

 揃いも揃ってうざい!

 わたしを子供扱いしないで!」


悠馬、裕子、茂雄をそれぞれ指差して

攻撃的な言葉を吐きだすと、雫はそのまま自分の

部屋へと向かってしまったー


呆然とする三人ー。


悠馬は「何があったんだー雫…」と、呟くことしかできなかったー。


確実に”おかしい”ー

普通ではないー。

”何か”が雫に起きたー

そうでなければ、雫があんな風になるなんて思えないー。


心境の変化が生じる”何か”があったのかー

それともーーー



「ーーチッ」

雫は部屋に戻ると、不機嫌そうに舌打ちをして、

ベッドに座ると、スマホをいじりはじめたー


”むかつくー”


”むかつくむかつくむかつくー”


家族に対する憎しみが、自分の意思とは”違う場所”から

湧き上がってくるー。


自分が急激に”変化”していることは

当然、雫自身にも理解できているー


しかし、それに抗うことができないー。


自分の身体ー

自分の心ー

そのはずなのに、

自分の身体が自分の身体でないかのようなー

自分の心がまるで、自分から離れて行ってしまっているかのようなー

言葉に言い表しようのない感覚がー

自分の中でぶつかり合っているー


けれども、雫はどうすることもできないー。


だって、雫はー

自分では自分の意思で動いているように思っていても、

それは、自分の意思ではないのだからー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


悠馬は大学に足を運んでも、

ずっと雫のことを考えていたー


「ーーーーーー」


日に日に、暗くなっていく悠馬ー。


いつもは明るい悠馬が、露骨に元気を失っていくのを見て

親友の亮介は心配そうに声を掛けるー。


「おい、どうしたー。また雫ちゃんのことか?」


その言葉に、悠馬は「ーーはは…まぁな」と、

悲しそうに笑いながら頷くー


「ーまさか、雫がこんなことになるなんて、思ってなくてさー」

悠馬はそれだけ言うと、

亮介は”話、聞いてやるよ”と言わんばかりに亮介の座っている座席の

すぐ近くに座ったー。


普段はうるさい一面もあるものの、

こういういざという時に気配りできる一面も持つ亮介は、

今の悠馬にとって、とてもありがたい存在でもあったー。


「ーーーー俺と雫はさー、ずっと仲良かったからー

 今まで大きな喧嘩も一度もなかったと思うしー、

 こんな俺のことも、いつもいつも”お兄ちゃん”って

 慕ってくれてさー…


 雫は俺よりも勉強もできるし、人付き合いもうまいし、

 何事にも一生懸命だしー


 でも…雫は、それでもそんな俺のことを

 ずっとずっと、頼りにしてくれてたー


 だから俺もー

 そんな雫の想いに応えられるようにってー

 できる限り一生懸命やってきたー


 つもりだったけどー…

 

 …俺、何か足りなかったのかなー」


悠馬は自虐的に笑いながらそう呟くー


「ー妹と仲の悪い兄なんて、

 どこにでもいるとは思うけどー

 まさか…俺がそうなるなんてー…


 夢にも思ってなくてー。


 いや、そりゃまぁ、雫も難しい年頃なのは

 分かってるけど、

 あまりにもいきなりだったからー

 気持ちの整理がついてなくてー…」


悠馬は、頭の中がぐちゃぐちゃになった状態で、

何とか言葉を振り絞るようにして、そう呟いたー


「ーーーー悠馬ー」

亮介は心配そうに悠馬の名前を呟くと、

しばらく考え込むような表情を浮かべたー。


そして、しばらくして悠馬のほうを見つめると

「ーー本当に、雫ちゃんの意思なのか?」と、

表情を歪めるー。


「ーえ?」

悠馬が亮介のほうを見つめると、

亮介は「いや、だってさ、お前の言う通りなら、

”その日の朝まで”はいつも通りだったんだろ?」と、呟くー。


「あぁ、まぁ」

悠馬は、”雫が豹変する当日の朝”を思い出すー


当日の朝は”いつも通り”だったー

もちろん、悠馬が鈍感なだけだった可能性もあるが、

そうとは思えないー。


「ーーー…誰かに脅されてるとか、そういうことはー?」

亮介の言葉に、悠馬は

「脅すってー…誰が?何のために?」と困惑の表情を浮かべるー


「いや、分かんねぇけどー、

 でも、急にそんな半日で変わるか普通?

 喧嘩したならともかくー

 お前がそういう心あたりがないって言うんなら、

 ないんだろうしー」


亮介がそこまで言うと、

悠馬は「ーー確かにー…そういう方向は考えもしなかったけどー」と

表情を歪めるー。


「ーーーまぁー…何の根拠もないし、

 ただの憶測だけどなー…」


亮介は少しだけ苦笑いすると、

「悠馬」と、悠馬のほうをまっすぐと見つめて呟くー。


「ーーー俺にできることなんて限られてるけど、

 力になれることがあったら、手伝うからー、

 あんま、落ち込みすぎるなよー?」


亮介の言葉に、悠馬は少しだけ笑うー。


「ーーははは…お前が親友で、ホントに良かったよ」

悠馬が言うと、亮介は

「今頃俺のありがたさに気付いたのか?」と

笑いながら悠馬の肩を叩いたー。


「ーーーー二人とも仲良しで妬けちゃうなぁ~」

そんな悠馬と亮介の熱い友情に、

いつの間にかやってきていた悠馬の彼女・愛梨沙が

微笑みながら声を掛けるー。


コスプレ好きの愛梨沙は普段からとてもおしゃれで、

今日も、いつもながらにおしゃれだったー。


「ーーーうわっ!いつの間に!」

亮介がビクッとすると、

「ーわたしの悠馬を取っちゃだめだからね?」と、愛梨沙が

冗談を口にして微笑むー


悠馬がそんな愛梨沙を見つめながら笑うと、

亮介は「取らねーよ!俺、男に興味ないし!倫子がいるし!」と、

他の大学に通う亮介の彼女・倫子の名前を口にしたー


「ーーふふふ」

愛梨沙は笑いながら悠馬のほうを見ると、

「ーでも、悠馬ー。藤嶋くんの言う通りー」

と、優しく微笑むー。


「ーあんまり、一人で抱え込みすぎないでねー?

 悠馬のためならわたし、力になるから!」


愛梨沙の言葉に、悠馬は愛梨沙と亮介を見つめると、

「ー二人ともー本当にありがとうー」と、

感謝の言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」

今日も高校で不機嫌そうに廊下を歩いている雫ー。


クラスメイトたちもそんな雫の態度に

困惑しているー


”どいつもこいつも、バカばっかりー

 わたしの可愛さに嫉妬してー”


雫は、洗脳されて、すっかり高飛車で

”嫌な女”になってしまっていたー


元々の雫は”わたし、可愛いし”なんて

思っていなかったものの、

今の雫は”自分が可愛い”と絶対の自信を持ち、

周囲を見下しているー


「ー雫!」

背後から雫に声がかかるー。


雫に声を掛けたのは、雫の彼氏の九条 輝樹ー。


「ーー…輝樹ー」

雫は不愉快そうに振り返るー。


兄の悠馬や、家族に対する”憎しみ”を植え付けられたのとは異なりー

彼氏の輝樹自体には特に”そういった洗脳”はされておらず、

性格は最悪になってしまったとは言え、兄の悠馬に対する態度とは

また、違った反応を見せる雫ー。


「ーー…どうしちゃったんだよ雫ー。

 家で何かあったのかー?」


輝樹は”雫がプライベートで何かあった”と疑っているー。


先日、兄の悠馬と電話で話した際にもそのことを口にしていたー


あの日ー

”高校から帰るまでは”いつもの雫だったのだー。

そして、翌日から雫の態度が急に豹変したー。


下校中に謎の人物たちに洗脳されてしまった雫ー。


だが、この輝樹から見れば”帰宅後に何かあった”としか思えず、

輝樹は雫の兄・悠馬のことを疑っていたー


「ーーーーお兄さんと、何かあったのか?」

返事をしない雫に対して、輝樹がそう言い放つと、

「ーあんなやつのこと、口にしないで!」

と、雫が明らかに不愉快そうに言葉を吐き出したー


「ーや…やっぱり、悠馬さんと何かあったのか?」

輝樹は、そんな質問を雫に投げかけるー


「ーーあんなやつ、死ねばいいのに」

雫は冷たい口調でそう言い放つと、そのまま

「わたし、急いでるから」と、立ち去って行ってしまうー。


「ー雫ー」

立ち去っていく雫の後ろ姿を見つめながら

輝樹は不安そうに呟くー


そして、それと同時にー


”ーーー”

輝樹は雫の兄・悠馬に対する不信感を

心の中で次第に強めつつあったー


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した悠馬は、

大学での会話を思い出していたー


「ーーー…誰かに脅されてるとか、そういうことはー?」


「いや、分かんねぇけどー、

 でも、急にそんな半日で変わるか普通?

 喧嘩したならともかくー

 お前がそういう心あたりがないって言うんなら、

 ないんだろうしー」


親友の亮介の言葉ー。


そういえばー

昨日、雫は夜にどこかへと出かけていたー。


考え込む悠馬ー


確かに、その可能性も0ではないー。


今までそんな方向で雫の豹変を考えなかった悠馬はー

亮介の言葉に”別の可能性”を見出していたー


その時だったー

スマホが鳴るー。


「もしもしー?」

悠馬が応答すると、相手は大学の同級生・我妻 達也(あがつま たつや)

だったー。


亮介の親友で、雫が洗脳されたあの日は確か

亮介と一緒にゲームセンターに遊びに行っていたはずだー


「どうしたんだよ急に?」

悠馬が言うと、達也は”ちょっと伝えておきたいことがあってー”

と、応じたー。


「伝えたいこと?」

悠馬が表情を歪めるー。


”今日さ大学の周りで変な奴がお前を探してたんだよ”

達也の言葉に、悠馬は「どういうことだ?」と、困惑するー


”いや、俺もよく分かんねぇけど、

 神里悠馬はどうしてる?って、聞かれてさ。

 何かやべぇ雰囲気だったから、”いや、知らんっす”って

 答えておいたけど、

 知り合いか?”


知り合いか?と言われても心当たりがないー。


悠馬は「その人の名前とかー、特徴とか分かるか?」と

聞き返すと、達也は答えたー


”オールバックの髪型でトレンチコートの背の高い男だったー”


とー。


「ーーーーー」

悠馬は自分の知り合いを頭の中で考えるものの、

思い当たることは何もなかったー


ガタッー


隣の部屋から物音がするー

また、昨日と同じように雫が夜に出かけようとしているー。


その物音に気付いた悠馬は「あ、悪いーちょっと用事が出来た」と

呟くと「知らせてくれてありがとなー。手間をかけて悪かった」と、

達也に対して感謝の気持ちを伝えると、

彼からの返事を聞いて、そのまま通話を終了したー


”脅されているのではないかー”

そう思った悠馬は、今日も少し派手めの格好で

出かけようとする妹・雫を”尾行”することにしたー。


「ーーー悠馬」

母の裕子が心配そうに呟くー


「ーちょっと、雫が何をしてるのか、見て来るー」

悠馬がそう言うと、父の茂雄も「気を付けるんだぞ」と、

不安そうに呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


裏社会の”便利屋”

オールバックにトレンチコートの男・玉城東吾が、

夜の廃工場のような場所で、

ヘルメットを被った人物と合流するー。


「ーー確かに」

東吾が札束を数え終えると、笑みを浮かべながら

相手のほうを見つめるー


相手はヘルメットで顔を隠していて、

その姿は見えないー


”ーーーーー”

東吾は、そんな相手を見つめながら少しだけ笑うと、

ヘルメットの人物が東吾に”次の依頼”を呟くー。


「ーーークククー

 俺も興味が沸いてきたぜ」


最初は”仕事”だったー。


だが、神里 雫を”洗脳”して、

こいつが最終的に何をしようとしているのかー


その、行方末に、東吾も興味を持ち始めていたー。


「ーーお前のやろうとしていることをー

 とことん見届けさせてもらうぞー」


そう呟くと、東吾は笑みを浮かべながら

報酬を手に、夜の闇の中に姿を消したー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー!!!!」

雫を尾行していた悠馬は、表情を歪めたー


コンビニの前で群がっていた暴走族のような連中の元に

雫がやってくると、

笑みを浮かべながらその男たちと親し気に話をし始めたのだー


「ーーーー雫ー」


”やっぱり、脅されているのか?”

そんな風に思いながら悠馬は、雫と暴走族らしき集団のほうを、

身を隠しながら困惑した表情で見つめるのだったー



⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


長編第4話でした~!☆


まだまだ序盤なので、

今後も色々なことが起きていきます~★


何が起きるのか、どうなってしまうのか

色々楽しみにしていて下さいネ~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!

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