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親友の幸徳は、妹の茜を溺愛していたー。


ある日、そんな茜に彼氏ができたことを知った幸徳は

”妹はいなくなってしまった”と、

人を皮にする注射器を用いて妹の茜を皮にした上で、

哲雄に”茜の代わり”になるように強要したー。


脅された哲雄は、仕方がなく茜の皮を着て、

表面上は”幸徳の妹・茜”として振る舞いながらも、

何とか親友の凶行を止めようとするー…。


★前回はこちら★↓

<皮>無理やり妹にされた俺②~正気を失う兄~

男子大学生の哲雄は、ある日、親友の幸徳に呼び出されて、 幸徳の家に向かうー。 だがー、そんな哲雄が幸徳の部屋で見たのは、 幸徳が実家で一緒に暮らしている妹・茜が”皮”にされた姿だったー。 皮にされた茜を見ながら、呆然とする哲雄。 しかし、驚くべきは、その先だったー。 「ーーーお前が妹になるんだよ!!!!...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーうん!お兄ちゃん、大好き!」

茜が、兄の幸徳を喜ばせようと、

甘えるような仕草をしながら、そう言い放つと、

幸徳は、ヘラヘラと笑いながら、とても嬉しそうに顔を赤らめているー


「ーーーーー」

”ちょろいやつだぜ…まぁ、お前の性格は良く知ってるからなー”


茜の”皮”を着ている哲雄は心の中でそう思いながら

階段を登って自分の部屋に向かうー。


”しかし、幸徳のやつがこんなに変態野郎だったとは

 思わなかったぜー”


親友の”暴走”を止めることができなかったー。

別に、哲雄に非があるわけではないが、

人との繋がりを大事にしている哲雄にとっては、

どうしても我慢できなかったー。


”親友が暴走しているー”

そんな、今の状態がー


「ーーー茜ちゃんー…

 ごめんなー」


部屋で、鏡を見つめながらそう呟く”茜ー”


事情を知らない人間が見たら、

”茜が茜に謝っている”ようにしか見えないだろうー。


「ーーーーー必ず、幸徳のやつを止めて、

 茜ちゃんを助けるからなー」


茜は、鏡に映る茜に向かってそう呟いたー。


妹の茜とは、幸徳を通じて面識があるー。

実家を離れ、一人暮らしをしている哲雄からすれば、

本当に”妹”のような存在でもあったし、

茜の側も、哲雄にも懐いていたー。


”親友と親友の妹”

できればどっちも救いたいー。


だが、今の幸徳は正気を失っているー

妹に対する愛情が、暴走しているー。


それを止めてやることができるのはー

親友である、自分だけだと、哲雄はそう思っていたー


「ーーーー」

茜は自分の部屋から顔を出すー。


隣には、幸徳の部屋ー


「ーーーーー」

茜は深呼吸してから、幸徳の部屋に忍び込むと、

幸徳の部屋の机や、棚、色々な場所を調べ始めるー。


”あいつ、注射器のようなもので茜ちゃんを皮にしたー”


必ず、元に戻す手段を持っているはずだしー、

何なら”人を皮にする注射器”を見つけて幸徳のやつを脅してもいいー。


とにかくー

とにかく、元に戻す方法を見つけ出さなくてはいけないー


「ーー…くそっ…どこに置いてやがるんだー」


「ーーー!」

茜は、背後を振り返るー。

階段を登る音が聞こえて来たー


「ーチッ」

幸徳が2階に上ってきているのだー。


茜は素早く幸徳の部屋を元通りにすると、

そのまま幸徳の部屋から出て、自分の部屋へと戻るー。


「ーーー」

何気ない様子で、本を手にしてそれを読みだす茜ー。


そこにー

幸徳が入ってきたー


「ー茜~!…お兄ちゃん、膝枕してほしいなぁ~?」

ニヤニヤしながら近寄ってる幸徳ー


正直、”心の底から嫌悪感”を抱いたー。

気持ち悪すぎるー。


「ーーー」

だが、茜を着ている哲雄は

「え~?お兄ちゃんってば~!」と、笑いながら

「じゃあ、ちょっとだけだよ?」と、微笑むー。


幸徳を怒らせるのは得策ではないー。

”何をされるか分からない”し、最悪の事態は避けたいー。


このまま”茜として振る舞いつつ”

幸徳の持つ”注射器”を回収ー

なんとか、幸徳に妹を元に戻すよう、交渉したいー。


あるいは、茜を元に戻す方法を直接見つめることができるなら、

それはそれでいいー。


「ーーーはぁぁぁぁ~~~たまんねぇなぁ」

幸徳は妹の茜に膝枕をしてもらいながら、

気持ち良さそうに笑みを浮かべるー


「ーーーzzz…」

やがて、幸徳が穏やかな寝息を立て始めたー


”こいつは、元々こんなやつだったのだろうかー”

茜は、表情から笑顔を消して幸徳を見つめるー


”茜を着ている”

今の哲雄にとって、幸徳は親友でもあり、兄でもあるー、という

かなり奇妙な状況ー。


確かに、幸徳は以前から”妹のことになると周囲が見えなくなるほど”

妹の茜を溺愛していたのは、哲雄も理解しているー。


茜が熱を出した、と母親から聞いた時にも、

大学の学食をそのまま放置して、慌てて帰宅したぐらいだしー

哲雄から見ても”ちょっと愛情が行き過ぎている”と感じたことは

何度もあったー。


とは言えー、

幸徳はいいやつだったし、こんなことするやつだとは、

夢にも思わなかったー。


「ーーー…」

”妹に彼氏ができたぐらいで、狂っちまうんじゃねぇよー”


茜を着ている哲雄は、茜の膝で気持ちよさそうに眠る

幸徳の姿を見つめながら、

悔しさや怒りー、色々な感情を覚えたー。


「ーーーあゆか…… あゆかー…」

ふと、茜の膝で寝落ちした幸徳がそんな言葉を呟いたー


「ーーーーあゆか…?」

茜は表情を歪めるー。


「ーーーー…もう…いかないでー…」

幸徳は子供のようにそう呟くと、ぎゅっと、茜のスカートを掴んで

それ以降は、特に寝言を呟くことはなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー茜ー 彼氏とは、もう別れたのか?」


翌日ー

”茜”として学校から帰宅すると、

幸徳が茜の部屋に早速やってきて、そう呟いたー


「ーーーあ、え、えっと、まだー」

茜はそう呟くー。


茜を着ている哲雄は”茜の彼氏”と別れるつもりはなかったー。

茜を元に戻した際に、”できる限り”茜の人生に

影響が出ないようにしてあげたいし、

茜の彼氏とも、学校で話をしてみたが

”本当にいいやつ”だったー。


一瞬、幸徳がこんなことをし始めた理由はー

”妹・茜の彼氏が悪いやつだからかもしれない”とも

考えた哲雄だったが、そんなこともなく、

茜の彼氏は、穏やかで優しそうな彼氏だったのだー。


別れる理由もまるでないし、

もしも哲雄が幸徳の立場だったら、

”いい彼氏できたじゃんか!”と、応援してあげたいぐらいだー。


「ーーー俺と、そいつ、どっちが大事なんだ?」

幸徳が表情を歪めながら言うー。


「ーー俺はさぁ、…毎日、茜のこと考えて

 一生懸命頑張ってるんだ!


 茜、茜、茜、茜、あかねあかねあかねあかねあかね!


 お兄ちゃんを置いていくことなんて、しないよなぁ?」


幸徳が壁を叩きながら言うー。


「ーし、し、しないよ!お兄ちゃん…!大好きだもん!」

茜として振る舞いながら、茜は、幸徳の怒りを誤魔化すために、

幸徳にキスをするー


茜にキスをされた幸徳は嬉しそうに笑うと、

「ーー…俺も大好きだよー茜ー」と、呟いたー。


要求は次第に”エスカレート”していくー。


幸徳が見える範囲、幸徳が聞こえる範囲で、

”哲雄として”の振る舞いを少しでも見せるだけでも

幸徳はキレるようになり、

”起きてから、寝るまで、お前は茜だッ!”と、

怒りの形相で叫んでいたー。


さらにはー


「ー昨日さ~、ネットでメイド服買ったから、

 届いたら茜に着せようと思ってー


 それとー

 茜さ、髪型、ツインテールの方が似合うんじゃないかな?

 へへ…

 明日からツインテールにしようー」


と、幸徳が言い始めるー。


「ーーつ、ツインテール…?」

茜が表情を歪めると、

幸徳は「お兄ちゃんはツインテールが好きなんだー」と、

嬉しそうに笑うー。


「ーーーえ…か、髪型ぐらいは自由にー」


「ーツインテール」

幸徳は笑いながら、それだけ呟いたー


「ーちょ…お、お兄ちゃん、落ち着いてー?」

茜は、表情を曇らせながら言うー。


だがー、


「ー”うん!お兄ちゃんの言う通りにする!”」

幸徳がそう言うー。


「ーー?」


「ーーうん!お兄ちゃんの言う通りにする!」

幸徳は、そう言いながら、何度も何度も舌打ちを

し始めるー


”そう言え”

と、茜に言っているのだー


”幸徳ー…俺をこれ以上、幻滅させないでくれよー”

哲雄はそう思いながらも、

茜の姿で「うんー…お兄ちゃんの言う通りにする!」と、

引きつった笑みを浮かべたー。


「ーーーへへ…よかったー」

幸徳はそれだけ言うと、

「明日から茜は、ツインテールだ!」と、嬉しそうに

自分の部屋に戻って行ったー。


普段からー

幸徳は茜にこんなことをしていたのだろうかー。


茜は、幸徳が出て行った部屋の扉を見つめながら、

”お前はただの変態野郎だ!”と、小声で叫んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


流石に、これ以上時間をかけるわけにはいかないー


幸徳の”命令”通りに

ツインテールにした茜は、幸徳のご機嫌を取りながら、

幸徳との朝の時間を過ごすー。


だが、幸徳の前でニコニコしながらも、

茜はー茜を着ている哲雄はこの状況の打開策を

必死に頭の中で考えていたー。


これ以上この状況が続いてしまうと、

哲雄のー

自分自身の”人生”も壊れてしまうし、

このままだと、”哲雄は失踪したこと”になってしまうー。


流石にこれ以上大学の休みが続けばー

これ以上、バイトの休みが続けば

異変を感じる人間も、増えて来るだろうー。


茜は”学校に行くフリ”をして、

幸徳が大学に行ったのを確認すると、

そのまますぐに、こっそりと家の中に帰宅したー


「ーーえ…?茜ー?」

驚く母親ー。


そんな母親に対して”体調不良で早退した”ことを告げて

”お兄ちゃん、心配するから絶対に言わないでー”と、告げた上で

部屋に向かおうとするー。


幸徳の母親に全てを打ち明けても良いのだが、

幸徳が暴走する可能性もあるし、

母親にこっちが悪者にされる可能性も0ではないー。


とにかく、哲雄自身が、幸徳を”抑え込む”必要が

あることは、紛れもない事実だったー。


「ーーあ、そうだーお母さんー

 ”あゆか”ってー」


茜が聞くと、「ーーーあゆか…」と、母親は

暗い表情を浮かべたー。


”あゆか”という名前を知っているかどうかー

それとも、幸徳の単なる寝言だったのかー

それを確認しておきたかったー。


だが、母親の反応を見る限り、

”あゆか”という名前は、幸徳の母親も知っている様子だったー。


「ーーーー安裕香(あゆか)のことはーーー

 お兄ちゃんの前では、口に出しちゃダメよ?」


母親はそう呟くー。


「ーーーえ…、あ、う、うんー」

茜はそう返事をして、部屋に向かおうとするー。


”安裕香って誰?”と聞きたかったが、

雰囲気的にそれは聞けないー。


”茜は知っていて当然”のような感じの母親の口ぶりだったー。


そう思いながら、茜は、兄・幸徳の部屋に侵入すると、

”注射器”を探し始めたー。


これ以上時間はかけられないー。

とにかく、茜を元に戻す方法か、

幸徳が茜を皮にするのに使った注射器ー、

どこからそれを手に入れたのかー…

何でもいいー。


この状況を打開する方法を見つけたいーー。


茜を着た哲雄は”今日”に勝負をかけていたー。


逆にー

今日、この場で何も発見できないとなると、状況はかなりマズイー。

幸徳に何かを悟られれば何をされるか分からないし、

時間を掛けて幸徳の部屋を探しても、幸徳の部屋から何一つ

出て来ないとなると、

幸徳は、茜を”皮”にした注射器をはじめ、重要なものは

ココ以外の場所に保管している可能性が高まるー


そうなれば、かなり見つけ出すのは難しくなるー


「ーーはぁ…はぁ…はぁ…」

ツインテールを振り乱しながら、必死に幸徳の部屋の中を探すー


茜の荒い息遣いが聞こえて来て少しドキッとしながらも、

「こんなことでドキドキしてる場合じゃねぇだろ!」と、

自分を奮い立たせながら、茜は、必死に幸徳の部屋の中を探ったー


「ーーーー!」

そんな中ー


まだ少年だった頃の幸徳と、知らない少女ー

ツインテールの少女が一緒に写っている写真を見つけるー


そこにはー


「ーーーーーーー!!」

茜は表情を歪めたー。


そしてー

「ーーこれは…!」

茜は、その奥に隠されたものを手に、そこに”希望”を見出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーただいま」

兄・幸徳が帰宅するー


何気なく部屋に戻ってきた幸徳ー


「ーーー茜ー」


幸徳は、部屋の中にいた”茜”を見て、

表情を歪めるー。


「ーーお兄ちゃん…どうして…どうして…こんなことするのー?」


幸徳を見て、目に涙を浮かべながら、茜は悲しそうにそう呟いたー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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次回が最終回デス!

妹を溺愛するあまり狂気に染まってしまった親友を

止めることはできるのでしょうか~?


最終回もぜひ楽しんでくださいネ~!

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