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事故を起こした相手に憑依されてしまった娘の架純は

退院の日を迎えたー。


父・明夫が必死に頼み込んだことにより、母・真美子の前では

”娘”として振る舞う”憑依された架純”ー


身体は最愛の娘ー

中身は”娘を事故に巻き込んだ憎き男”ー


そんな、最悪の状況の中、家族としての生活は続いていくー。


★前回はこちら↓★

<憑依>憎悪の狭間②~娘の挑発~

夢に向かって日々頑張っていた高校生の架純が 交通事故に巻き込まれたー。 事故の原因は運転手の男・茂が運転中にスマホをいじっていたことに よるものー。 運転手の茂はその事故により死亡、 だが、幸いなことに被害者である架純の方は辛うじて助かり、 無事に意識を取り戻すー。 娘の無事を喜ぶ父・明夫ー。 だがー… ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーで、学校でこの子はどんな風に振る舞ってたんだよ?」

架純が、椅子に座って足を組み、髪を指でいじりながら

父・明夫のほうを見つめるー。


「ーーー…」

明夫は、娘を事故に巻き込んで死んだ男・茂に憑依されたままの

架純を学校に行かせることには、反対だったー。


だがー

母・真美子は”このこと”を知らない以上、

当然、真美子は、架純を学校に行かせようとするー。


当たり前のことだー。


それにー

”いつまでも架純を欠席させる”わけにもいかないー。

最悪の場合、留年や退学になってしまい、

架純の人生に大きな影響が出てしまうー。


とはいえー


「ーーーー…絶対に、学校で変なこと、するなよー?」

明夫が、架純を睨みつけるー。


そんな、明夫の言葉を聞いて、架純はクスクスと笑いながら、

「ーー適当な男捕まえて、セックスしちゃおっかなぁ~?」

と、呟くー


「ーー貴様!!!!!」

明夫が机を叩いて、架純に向かって叫ぶー


「ーはははっ!冗談だよ冗談ー

 いちいちムキになって面白いなぁ、”お父さん”はー」

架純はクスクスと笑いながら言うと、

「ーこの前も言ったけどさ、俺の身体はもうないわけだし、

 この子から出て行く方法も分からないんだから、

 変なことするわけないだろ?

 もし、この身体で一生生きてくことになったら、

 この子の人生を壊すわけにはいかないからな」と、

ニヤニヤしながら説明したー。


「ーふざけるなー…架純の中にそんなに長々といられると思うなー。

 すぐにお前を追い出してやるー」


明夫は、負けじとそう言い放ったがー、

正直なところ、病院から退院して、こうして明日から学校に

復帰するタイミングになっても、架純はまだ憑依されて

乗っ取られたままだったー。


架純の意識が”表”に出て来るようなことも一度もなく、

架純はずっと支配され続けた状態ー。

”架純の意識が本当に残っているのかー”

それすらも、分からない状況であり、

仮に架純の意識が、身体の中に残っていても、

どうやって架純を救い出せばいいのか、それさえも、

全く検討がつかない、そんな絶望的な状況だったー。


「ーー追い出す方法なんて、分からないだろ?

 俺にも、あんたにもー」

架純はそこまで言うと、

”ま、いいや”と、笑いながら、

「とにかく、学校でこの子がどんな風にしてたかー、

 知ってる限りの情報を教えてくれー。

 あとはーそうだな…学校のプリントとか、

 案内とか、そういうのも見ておきたいなー」

と、真面目な表情になって言い放ったー。


「ーーーわかったー。

 俺も、架純と一緒に学校に行ってるわけじゃないから、

 分かる情報は限られてるがー…

 とりあえず、分かる部分は話そうー。


 それとー、プリント類はあとで、部屋に持ってくるー」


明夫がそう言うと、足を組んだままの架純に対して、

”架純の学校での振る舞い”などを、知る範囲内で

伝え始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ー架純、大丈夫だったー?」


学校にやってきた架純は、

女子に囲まれてニヤニヤと笑みを浮かべそうになるのを

堪えながら、

適当に女子たちに返事をしていくー。


「ーうん。大丈夫大丈夫ー!」

架純が笑顔で周囲のクラスメイト達に答えるー。


昨日ー

父・明夫から聞いた情報や、学校の配布物やサイト、

架純が事故に遭う前に、クラスメイトとやり取りしたLINEなどを

徹底的に確認し、茂は”できる限り架純”に近い振る舞いが

出来るように、心がけていたー。


だがー

それでも、やはり限界があるー。


その本人の思考・記憶ー。

そういったものが全て読み取れるのであれば、

”本人に完璧になりすます”こともできるー。


けれど、架純に憑依した茂の場合は、そうではないー。


”身体”は架純でも、

”中身”は、何一つ、架純のものを得ることができていないのだー。


「ーー架純、何か…大丈夫ー?」

そんな”異変”を察知したのだろうー。

友達の一人が不安そうに呟くー。


「ーーえ…うんー。ーー頭ー」

架純は咄嗟に頭を指さすー。


「ーー強く打ったからー。

 記憶がハッキリしない部分はあってー」


”やむを得ない時は、記憶の一部がハッキリしないことにした方がいいー”

そんな、相談を昨日、父の明夫と共にしていたー。


「ーあ、でも、心配しないでねー…

 だんだん、元通りになっていくと思うからー」

架純がそう言うと、友達は心配しながらも、

”そっか”と、微笑んだー。


授業が始まるー


”しかしーJKに囲まれるとかー

 やばすぎだろー。

 この子の身体も、興奮しちまったじゃねぇかー”


架純はゾクゾクしながら

”まだー足りないな”と、静かに笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


学校初日を終えた架純は、

紙袋を持って帰宅するー。


「ーーおい」

今日は”憑依された架純の登校初日”ということもあり、

何かあったらすぐに動けるようにと、

父・明夫は有給を取っていたー。


そんな明夫が、紙袋を手に、自分の部屋に向かおうとしていた

架純を呼び止めるー。


「ーなんだよ?」

架純がうすら笑みを浮かべながら振り返るとー

キッチンの方から母・真美子の声が聞こえて来たー


「ー架純~?帰ってきたの~?」

その言葉に、架純は玄関から「うん!ただいま~!」と

”架純っぽく”返事をするー。


「ーーへへ…ここじゃ都合が悪いだろ?

 俺の部屋に来いよ」

架純がそう言いながら階段を登り始めると、

明夫は「お前の部屋じゃないー。架純の部屋だ!」と、

不満そうに言い放つー。


「ーー今は”俺”が架純だぜ?へへへ」


そうこう話しているうちに、架純の部屋に到着した二人ー。


「ー何を持って来たんだ?見せろ」

明夫が言うー。


「ーおいおい、女子高生の娘にそんなこと聞くのかぁ?」

架純がやれやれ、と、言いたげな表情でニヤニヤすると、

「いいから見せろ」と、明夫は、冗談も相手にせずにそう呟いたー


「ーへいへい」

架純の持っていた紙袋の中にはー

色々な服や、小物類が入っていたー


「ーー…なんだこれはー?どこから金を出したー?」

明夫が不満そうに言うー。


「ーなんだって?見ればわかるだろ?服だよー。

 架純ちゃんの持ってる服さぁ、俺の好みと

 俺好みの服を買って来たんだよー」


その言葉に、明夫は「勝手な真似をするなー」と、

怒りの形相で呟くー。


「ーはははは、ケチなおっさんだなぁ!

 別にメイド服買ったり、バニーガールの服買ったり、 

 してるわけじゃないんだからさ


 あんま、そういうケチ臭いこと言ってるとー

 架純ちゃんにメイド服着せるぞ?」


架純が脅すように言うと、明夫は「く、、くそっ…」と

表情を歪めるー


「それともお父さんー

 わたしのメイド姿、見たいのかなぁ~?」

挑発的に笑う架純ー。


「ーーわ、わかった!好きにしろ!

 で、金はどこから出したー?」


明夫の言葉に、架純は

「そりゃ、架純ちゃんのお金を使ったんだよー。

 他に何があるんだ?

 盗んだとでも思ったか?」

と、ため息をつくー。


明夫は険しい表情を浮かべながら

「ーーまぁいい、わかったー」と呟くと、

”憑依された架純”の学校生活1日目の様子を

架純から聞き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーおはよう ”お父さんー”」


翌日ー

架純は、生足を大胆に晒したホットパンツ姿で

1階に降りて来たー。

髪型も”ツインテール”になっているー。


「ーーーっっ…」

明夫は露骨に不愉快な顔をするも、

事情を知らない母・真美子は「あ、かわいい~!」と、

娘の服装や髪型をほめているー。


母の真美子が、少しその場を離れたタイミングで

架純は笑みを浮かべるー


「一度、ツインテールやってみたかったんだよなぁ」


そんな言葉を口にしながら、

自分の髪を嬉しそうに触る架純ー


「どう?初めてのツインテール…

 なかなかうまくできてるだろ?

 

 触るかー?」


架純の言葉に、明夫は怒りの形相で架純を見つめるー。


「ーそんな格好を娘にさせるなんてー」

明夫は、架純の生足を見つめるー。


”娘”が自らの意思でそういう格好をしているのであれば、

別に明夫は何も言うつもりはないー。


だが、普段の架純は、こんな格好はしなかったし、

何よりも”娘を轢いた男が、娘にこんな格好をさせているー”という

この現実が、我慢ならなかったー


「ーー脚、見えてたほうがエロイだろ?」

架純がニヤニヤしながら生足を触るー


「ーーーー」

明夫は怒り狂いそうになったー。

怒鳴り声を上げそうになったー。


だがー

妻である真美子に負担を掛けるわけにはいかないー。


「ーーあはっ♡ お父さん”で”遊ぶの、

 本当に楽しい~!」


”愛する娘の姿なのに、中身は娘を事故に巻き込んだ憎き男ー”


頭がバグりそうになりながらも、

明夫は、なんとか理性を保ち、

「ー絶対にお前を追い出してやるからなー」と、

架純を睨みつけるー。


「ーーーふふふふふふふ♡」

架純は、負けじと明夫を睨みつけながら、

「ーーいい加減、あんた、現実を受け入れろよー。

 クソ親父ー」

と、低い声で呟くー


”クソ親父ー”


分かっていても、

”架純の見た目”

”架純の声”で言われると、

かなりきついー。


明夫は、自分の想像以上にショックを受けてしまい、

身体の震えが止まらなくなってしまうー。


「ーー冗談だよ 冗談ー」

架純に憑依している茂もやりすぎたと思ったのか

そう呟くと、顔を真っ赤にして、目に涙をうっすら浮かべつつ、

唇をギリギリと噛んでいる明夫を見て、

”さすがにこのおっさんもぶちギレそうだなー…”と、

少しトーンダウンして、架純は「ごめんごめん いや、マジでごめん」と、

明夫に、軽い口調で謝罪の言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーごめん、ちょっと絵を描く気にはなれなくて」


学校生活は何とか無難に送ることができていたものの

”前とは変わった”部分を友達に指摘されることが

多くなっていた架純ー。


「ー前と違う部分があったら、どんどん教えてくれると助かる」

架純はそんなことを友達に言いながら、

”色々と指摘”されつつ、徐々に架純らしさを取り戻していくー。


まさか、架純が”事故を起こした男”に憑依されているとは

知らないクラスメイトたちは、

架純が本当に事故の後遺症で、記憶に一部障害が出ているのだと

信じているー。


”事故による記憶障害”

”憑依されている”


どっちの方が、まだ”現実的か”と言われれば

ほとんどの人は、前者のほうを選ぶだろうー。


クラスメイトたちも、そうだったー。


「ーーー」

イラスト部の後輩が寂しそうに架純のほうを見つめるー。


架純は”絵とか、俺興味ねぇんだよな”と、思いながらも

「ごめんね」と後輩に呟くと、

そのまま立ち去っていくー


帰宅して、自分の部屋に戻った架純は、

憑依される前の架純が部屋に飾っていた、

”コンクールで最優秀賞”を獲得したイラストを見つめるー。


「ーーくだらねぇ」

架純は、そう呟くー。


”自分の絵”

”自分の好きだったもの”


それを、”くだらない”とあざ笑う架純ー


身体が妙な興奮を覚えるのを感じて、

架純は笑みを浮かべるー


「ー俺は、俺の好きなように、やらせてもらうぜ」

架純はそう呟くと、スマホを手に、ベッドに寝転んだー。


「ーーーこの可愛さなら、コスプレとかも似合いそうだよな」


そんなことを呟きながら、架純は

一人、静かに笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”わたし…もう…帰れないー…ごめんねー”


父・明夫は、そんな言葉と共に飛び起きたー。


冷や汗をかきながら、荒い息をする明夫ー


”妙に生々しい”夢だったー。

架純が、明夫の目の前に現れて、

目に涙を浮かべながら、架純はこう言ったのだー。


”もう、戻れないー”

とー。


まるで、別れの言葉を告げるかのようにー。


「ーーくそっ…!」

夢で架純に言われた言葉を全て思い出しながら、

明夫は、架純の部屋の方に向かったー



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


本文を書いている途中に、

”コメントでこれを書こう~!”って、思ったことが

あったのですが、

ここにたどり着いた時には、

私の記憶の中からそれが消えていました…★笑


いつかまた、思い出したら…★


今日もありがとうございました~!

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