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卒業式当日ー。


卒業式を終えて帰ろうとしていた信夫ー

しかし、突然、ギャルな同級生・麻耶に掴まれて

空き教室に引きずり込まれた挙句、

”童貞を卒業させてあげる”と意味不明なことを言われてしまうー。


そもそもギャルに興味がなかった信夫は、そんな麻耶を無視して

再び帰ろうとするもー

麻耶に憑依している霊体は、まだ何かを企んでいる様子だったー…


★前回はこちら↓★

<憑依>もうひとつの”卒業”①~彷徨う霊~

その高校では、卒業式が行われていたー。 男子高校生の早川 信夫(はやかわ のぶお)は、 少し眠そうにしながら、卒業証書を同級生たちが 順番に受け取っていくのを見つめているー。 そんな中ー 信夫と同じ卒業生の一人で、 いかにもギャルな感じの女子生徒、浅村 麻耶(あさむら まや)は、 少し面倒臭そうに、自分...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”ちょっと!何なのよ!あたしの身体で勝手にー”

ギャルな女子生徒・麻耶本人の意識が麻耶の中で叫ぶー


「へへへ…せっかく、童貞の卒業式してあげようと思ったのにな」

麻耶の身体で、麻耶に憑依した男の霊はそう呟くー。


”勝手に卒業式すんな!”

麻耶に突っ込まれると、麻耶の身体で男は、

「ーーまぁでも、ギャル、あんま好きじゃないってさ」

と、ニヤニヤしながら呟くー


”アンタ、マジで失礼なんだけど!?

 あたしがギャルだろうと何だろうと、勝手でしょ!”


麻耶の怒りを感じながら、霊体は笑うと、

”まぁいいや…君の身体じゃ、卒業式できないみたいだし、

 もう君の身体は返すよ”

と、麻耶の中で呟くと、

麻耶の身体が突然動き出すー


”か…返すっていいながら、どこに向かうつもりなのよ!?”

麻耶の意識が言うと、男の霊体は、

”俺さー、卒業証書入ってる筒を通してじゃないと、憑依できないんだよね”

と、笑うー。


”はぁ~?なんかださっ!”

ギャルな麻耶が怒りの口調で言うと、

”ははは、俺もホントは、直接乗っ取りたいんだけどなぁ~”と、

言いながらも、

”まぁ、死んだのにこうして卒業式の日だけでも、こんな風に

 楽しく過ごせるだけ、マシなんだけどなー”

と、筒を握りながら呟いたー。


麻耶と話すのをやめて、霊体の男は、

麻耶の身体で移動しながら、

”せっかく俺がもう一つの卒業式をやってあげようと思ったのにー”

と、不服そうにそう呟くと、

信夫の後ろ姿を見つめるー。


信夫はそのまま、卒業式を終えた学校の校舎から、

外に向かっているー。


”ーーー”

筒を通じて、麻耶の身体を支配している霊体はそんな信夫を見つめながら、

自分が遠い昔、この学校で卒業式を迎えた時のことを

思い出すー。


あの時は自分も”これから始まる春休み”や

”春休み明けから始まる大学生活”のことを思い浮かべたりしてー、

色々考えていたー。


まさかー

その帰り道に暴走車に追突されて、高校だけではなく

人生まで卒業することになるとは、夢にも思わなかったのだがー。


”な~んか、あいつの雰囲気、俺に似てるしな~… 

 卒業式に眠そうにしてたところとか”


そんな、共感を覚えながら

”あいつだって、いつ死ぬか分からないー。

 やっぱり、卒業できる時に童貞は卒業しておいた方がいいー”

と、男の霊体は勝手に決意するー。


それにー

”別に俺の身体じゃないけどー…あんな風にあっさり拒まれたの

 初めてだったしなー”


男の霊は、ちょっとした悔しさも感じながら

”そういえば俺、生きてるときは負けず嫌いだったな!”などと笑うー。


「さて、あいつの童貞を卒業させるには、どうするかー」

麻耶の身体でそう呟くと、

”ギャルとか、あんまり好きじゃないー”と言っていた以上、

麻耶の身体ではダメだー。

ギャルじゃない子を選ぶ必要があるー。と、頭の中で考えるー


”ちょっと!なんか失礼なこと思ってない?”

麻耶の意識が割って入るのをスルーして、


「ーーどこかに良さそうなー…」

と、そう呟いたその瞬間だったー。


ちょうど、廊下の反対側から、友達と一緒に、

笑いながら廊下を歩く女子生徒の姿があったー


「ーーー!!!!!」


麻耶の身体のまま、霊体の男は、その女子生徒を見て、

卒業式後に、教室に一旦戻った際の、信夫の様子を思い出したー。


「ーーーー信夫ってば、寝てたでしょ?」


「ーね、寝てはいないよ!ちゃんと起きてた!」


「ほんとかな~?コクコクしてたけど?」


「ーほ、ほんとだよー」


そんな二人の会話ー

信夫と、幼馴染の梅香の会話を思い出しながら、

「そういや、あいつー…」と、

信夫が少し顔を赤らめていたことを思い出すー。


「ーーよしー」

男の霊体は、少し笑みを浮かべると、梅香の方に向かって

麻耶の身体を動かし始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー春休み初日はまず、何をするかなぁ…」

”明日”からは、春休みだー。


そんなことを頭の中で漠然と考えながら、

春休み初日の予定を頭の中で組み立てていくー。


「まずは…好きなだけ寝るかー」

そんな、初日を描きながら、学校の正門から

外に出ようとしたその時だったー


「ーー信夫!」

背後から声が聞こえて、信夫はドキッとしたー。


振り返らなくても、

その声が信夫の幼馴染である梅香の声だと分かったからだー


「ーーえ…あ、う、梅香ー…何か用ー?」

信夫がそう言うと、梅香はクスッと微笑んだー。


”え…あ…あの…どうなってるんですかー…?”

梅香の意識が、男の霊体に困惑した様子で話しかけるー。


男は、笑みを浮かべながら、

”へへへ…ちょっと身体を借りてーこれから

 もう一つの”卒業式”をやろうと思ってさー”

と、返事をするー


梅香は困惑したー。


先ほど、友達と廊下を歩いていた梅香は、

突然、背後からギャルな女子生徒、麻耶に声を掛けられたー。


「ーやっほ~!」

笑いながら話しかけて来た麻耶に、

梅香は、「き、急にどうしたのー?」と、首を傾げるー。


麻耶と話したことはあるものの、

特別接点がなかった梅香からすれば、

急に話しかけられて、少し驚きの感情もあったー。


”ーーーじゃ、ありがとな”

麻耶を支配していた霊体がそう呟くと、

麻耶の身体で、梅香に向かって微笑みながらー

「ーあたしの卒業証書、あげる!」と、無理やりそれを

梅香に渡したー


「ーーーえ… っ!?!?」

訳の分からないまま、麻耶の卒業証書が入った筒を受け取った

梅香は、その瞬間ー

ビクッと震えて、身体の自由を奪われてしまうー。


「ーーちょ…… ちょ、、ちょっと!」

”男の霊体が憑依している筒”が、梅香の手に渡ったことで、

自分の身体の主導権を取り戻した麻耶が怒りの形相で叫ぶー。


だがー

男の霊体が憑依している筒を手にしてしまった梅香は

にこっと、笑うと、

「ありがと!」と、そのまま、梅香と一緒に下校中だった友達や、

唖然とする麻耶を放置して、そのまま

立ち去り、帰ろうとしていた幼馴染の信夫に

”自分の身体が勝手に”声を掛けてしまったのだったー。


「ーーちょっと、時間ある?」

梅香が微笑みながら呟くと、信夫は、スマホを確認してから

「うん…まぁ…大丈夫だけど」と、少し不安そうにしながらも

顔を赤らめたー


”へへへ…こいつ、お前のこと好きみたいだぜ”

梅香に憑依した霊がそう呟くと、

梅香本人の意識は”えぇっ!?そんなことないと思いますけどー…?”と

困惑した様子で呟くー。


”それより…どちら様ですか?”

梅香の意識が不安そうに呟くー。


”ん…?俺…?あぁ…俺はー

 そのー”先輩”さー。

 随分昔にここを卒業したんだけど、

 その帰り道に交通事故に遭っちゃって、

 人生も卒業しちゃったんだよ!ははっ”


軽い調子で笑う男の霊に、梅香の意識は

”は…はぁ…”と、戸惑ったような返事をした

すぐそのあとにー

”って…えぇっ!?じゃあわたし、幽霊に取り憑かれてるんですか!?”

と、驚いた様子で叫んだー。


”ーーん~…まぁ、そういうことだなー”

男の霊がそう呟くと、梅香本人の意識の不安そうな

感情が、梅香の身体を乗っ取っている男にも伝わってきたー。


梅香の後ろを歩く信夫も、乗っ取れている梅香と同じぐらいに

緊張しながら、梅香に声を掛けるー


「ーあ、あのさー…話ってー?」

信夫が言うと、校舎内の、ほぼ人が通らない廊下の一角まで

やってくると、梅香は立ち止まったー。


「ーーーねぇ…せっかくの卒業式なんだからー

 信夫とわたしで、”卒業”しないー?」


両手に筒を持ったまま微笑む梅香を見て、

信夫は「ーそ…そういえば、何で二つ、卒業証書持ってるんだー…?」と、

戸惑いながら言葉を口にするー。


その指摘にー、

梅香は”自分の卒業証書”と、”麻耶の卒業証書”その両方を

持っていることに、今更ながら気づいたー。


「ーーあっ…えっと、これはー」

梅香はそう言いながら、梅香自身の卒業証書が入った筒のほうを、

廊下の隅に放り投げるー。


”え…!?それ…わたしの…”

梅香の意識が戸惑いの声を上げるのを無視して、

梅香の身体で、信夫の方を見つめる男ー。


「ーー信夫の童貞ー…わたしが卒業させてあげるー」


梅香は、妖艶な笑みを浮かべながら、そう囁いたー。


「ーーーは!?」

”ーーえっ!?”


信夫と、

身体を乗っ取られている梅香の意識が、

ほぼ同時に困惑の声をあげたー。


「ーーーえ……え…ど、どういうこと…?」

信夫は、先ほど麻耶からも似たようなことを

言われていたために、より困惑していたー。


当然、自分の身体を好きに使われて

そんなことを幼馴染の男子に言わされてしまった

梅香の方も戸惑っているー。


”え…???い、いきなり何言っちゃってるんですか!?”

梅香の意識が、男の霊体に向かって叫ぶと、

男の霊体は梅香に言い返したー


”お前は、処女なのか?”

とー。


”ーーふぇっ!?!?!?”

いきなりとんでもないことを聞かれて梅香が困惑していると、

梅香の意識は少し考えてからー

”ま…まぁー…はいー… ってーー…何なんですか本当に!?”と、

流石に心優しい梅香も苛立ってきたような口調で叫ぶー。


「そっかー。ならちょうどいいー」

梅香がそう呟くー。


「ーーえ…な、何が?」

信夫が慌てた様子でそう呟くと、梅香は「なんでもな~い!」と

言いながらも、

”やべっ…つい、この女の意識と話そうと思ったら

 間違えて普通に表で喋ってしまったー”と、

心の中で強く後悔するー。


「ーーーな…なんかさー、梅香、変じゃね?」

信夫が戸惑った様子で言うと、

「別に変じゃないよ~!実はほら、わたし、さっき、

 あのギャル女に絡まれてたでしょ?

 それを偶然見ちゃってー…」

と、梅香が弁明を始めるー。


「ーー信夫、まだ童貞みたいだしー

 ほら…わたしたち、大学も別々だからー

 お互いに”卒業”するなら今しかないかもーって・・・」


梅香の言葉に、

信夫は顔を真っ赤にしてドキッとするー。


”明らかに、さっきのギャルで誘惑したときとは違う反応ー”


にやりと笑みを浮かべながら、梅香が信夫のほうを見つめるー


”の…信夫は、恋愛とかあんまり興味ない

 マイペースなタイプだから!”


梅香本人の意識がそう叫ぶとー

男の霊体は”ははは、お互いに何だか鈍いんだな”と、

梅香のことを笑うー。


そしてー

目の前の信夫が、少し顔を赤らめながら

何度か照れくさそうな笑みを浮かべると、

やがて、口を開いたー


「ーーよ…よ…よろしくお願いしますー」

とー。


「ーーふふっ…じゃあ、一緒に”卒業”しよっか♡」

嬉しそうに甘い声を出す梅香に対して、

信夫は恥ずかしそうに、頷くと、顔を真っ赤にしながら

梅香のほうを見つめたー


”え……嘘…!?!?え…な、何、赤くなってるの!?

 ちょっと…信夫!?”


梅香の意識の声は届かないー。


男の霊体は満足そうに、梅香の中でガッツポーズしたー。


いやー

つい、梅香の身体のほうもガッツポーズさせてしまったー


”ーーって…しかも何で敬語!?”

梅香の意識が、信夫が”よろしくお願いします”と返事をしたことに

今更ツッコミを入れているのを、男の霊体は聞きながら

”突っ込む場所そこかよー”と、静かに呟いたー。


”まぁいいー…

 これでようやく、”卒業式本番”ができるぜー”


”もう一つの卒業式”ーー

それが今まさに、始まろうとしていたー。


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ついに、卒業へ…!?★

続きはまた次回デス~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!


まだ時々寒い日があるので、体調を崩さないように

気を付けて下さいネ~!

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