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彼女の樹奈が皮にされて、男に”着られる”場面を目撃した

彼氏の祥吾ー。


しかし、翌日以降も”普通に”振る舞っている樹奈に対して、

”この幸せが壊れてしまうような”そんな気がしてしまいー、

樹奈本人に”そのこと”を確認できずにいたー。


”自分の勘違いならいい”

そう思いつつも、不安な日々を送る中、

祥吾は、生徒会長の梓から”樹奈の様子に違和感を感じた”という

話を聞かされることにー…


★前回はこちら↓★

<皮>さよなら負け犬②~不安な日々~

男子高校生・祥吾は、 ある日ー、彼女の樹奈が生徒会室で 男に”真っ二つ”にされて”皮”にされた挙句、そのまま”着られて” 乗っ取られてしまうという恐ろしい光景を目撃してしまったー。 だが、翌日ー。 樹奈は”いつものように”登校したー。 祥吾の前でも一見普通に振る舞う樹奈ー。 しかし、昨日の光景は確かに現実だー。...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「樹奈ちゃんー、

 ーー顔は笑ってたけど、目は笑ってなかったからー」


昨日ー

生徒会長の梓から言われた言葉を考えながら、

朝、学校にやってきた祥吾ー


「ーーあ、おはよ~!」

樹奈はいつものように微笑むー。


そんな樹奈の目をじっと見つめる祥吾ー


だがー


”目が笑ってるかどうかなんて…分かんねぇよ…”


心の中でそんな風に呟いていると、

樹奈が「どうしたの?」と、祥吾をのぞき込むー。


「あ、いやー…なんでもないよ!」

祥吾はそう言いながら、樹奈のほうを見つめるー。


そういえばーー…

”少しだけ”

樹奈のメイクが濃くなったようなー…

そんな、気がするー。


元々すっぴんだったのか、

それとも、薄くメイクをしていたのかは分からないしー、

今も、ギャルのようなメイクをしているわけでも、

先生から注意されるようなメイクをしているわけでもないー


けれどー

”彼氏として、いつも樹奈を見ていた祥吾”には分かるー。


メイクの雰囲気がー

”少しだけ”変わっているー


「ーーだ、大丈夫?

 なんか、わたしの顔についてる?」

苦笑いしながら樹奈が言うー。


祥吾は、慌てて「いやー、やっぱ樹奈は可愛いなと思ってー」と

冗談っぽく言葉を口にすると、

樹奈は「も~~!」と、笑いながら、祥吾の肩を叩いたー。


座席に戻っていく樹奈ー。


祥吾より黒板側の座席の樹奈の顔はー

樹奈が座席に戻ると見えないー。


そんな樹奈の後ろ姿を見ながら、

祥吾は、まだ、”あの日の光景”が、脳裏に焼き付いて消えなかったー。


”樹奈が、男に着られた”

あの日の、光景がー。


樹奈に直接聞けばー

”そんなこと気にしてたの~?あれはねー”と、

何てことのない理由が、聞けるのかもしれないー。


でも、もしも、そうじゃなかったらー。

それが怖くてー

祥吾は樹奈に聞くことが出来なかったー。


樹奈の後ろ姿を見ながら、何度も、何度も何度もー

あの日の光景を思い出すー。


けれどー…

どうしても、言えないー。


聞いてしまったらー

”樹奈”がいなくなってしまうような気がするからー…


”くそっ…俺は…俺は、なんて弱いんだー”

歯ぎしりをしながら、祥吾は悔しそうな表情を浮かべるー。


聞いてー

”勘違い”ならー、「なんだ、そういうことだったんだー」で

笑い話で終わるー。


聞いてー

もしも本当に、樹奈が”乗っ取られて”いるのであればー

全力で、樹奈を取り戻すために、戦えばいいだけなのにー


でもー

”樹奈が、一見普通にしているこの状態ー”


どうしてもー

祥吾は、それが壊れてしまうのが、怖かったー



「ーーーーー」

次の授業の準備をする樹奈の表情は

恐ろしく冷たい表情だったー。


”やっぱ樹奈は可愛いなって思ってー”

さっきの祥吾の言葉を思い出す樹奈ー


「ーーだよなー…

 でも、もう、この女はお前のものじゃないー

 俺のものだー」


ニヤッと、邪悪な笑みを浮かべると、樹奈は

静かに、次の授業の準備を始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


少しずつー…


そう、少しずつー。


この女をー

”俺好み”に変えていくー。


「ーーーふふふふふふ…」

帰宅した樹奈は、胸を触りながら、静かに微笑むー。


「髪もーちょっとだけ染めるかー」

鏡で真っ黒な髪を見つめながら微笑む樹奈ー。


「服も、だんだんと俺好みにしていかないとなー」

”樹奈に成り代わるー”

そのためには”急激な豹変”はダメだー。


少しずつー…、少しずつだー。


”樹奈が、自らの意思で少しずつ変わっていった”と、

周囲に思わせなくてはならないー。


いきなり変わればー

”何かがあった”と、周囲は思うし、”別人のようだ”と周囲は思うー。


万が一にも、”気づかれる”可能性も否定はできないー。


だが、少しずつならー。

人間は”変わる”生き物だー。


「ーーーちょっとずつー…

 新しいわたしになっていくのー…

 ゾクゾクするー」


樹奈はそう囁くと、スマホを見つめながら

彼氏の祥吾からの連絡が届いていることを確認するー。


「ーーちょっとずつー…

 ”疎遠”になっていこうねー… 祥吾ー ふふっ」


樹奈はあざ笑うように、そう呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


樹奈に”あの日のこと”を聞けないまま、文化祭の前日を迎えるー。


間近に近づいた文化祭について、生徒会室で

話し合いを行っている生徒会メンバーたちー。


小柄な生徒会長、梓は、生徒会室の黒板の上の方に

必死に背伸びしながら文字を書いているー。


「ーーなんで、会長、わざわざ上の方に書くんですかねー?」

後輩の男子が、隣の席に座っていた祥吾に聞くー。


「さ…さぁー?」

祥吾は、苦笑いしながら、一生懸命背伸びしている

生徒会長・梓を見つめるー。


「ーーーーー」

祥吾は、樹奈のほうをふと見つめるー。


最近ー

”少しずつ”避けられているようなー、

そんな違和感を感じるー。


話しかければ、普通に笑顔で答えてはくれるもののー、

なんとなく”LINEの返事”も遅くなったしー…


それにー

今週に入ってから、樹奈は髪を少し茶色に染めているー。


校則上、あの程度であれば先生から怒られることはないが、

今までずっと黒髪だった樹奈が、急に軽く茶色に染めて来たことに

祥吾は、驚いていたー。


周囲の女子たちは「樹奈、似合ってるよ~!」などと

笑っていて、何も違和感を感じていない様子だったがー


”俺が、考えすぎなのかー…?”

確かに、樹奈が急に染めて来ても、金髪になったわけでもないし、

赤髪になったわけでもないしー、

祥吾も、”あの日の光景”さえ見ていなければ、

何とも思わなかったかもしれないー。


けれどー


「ーーお~い!!!!!寝てるの!?」

祥吾の目の前で、生徒会長の梓が、手を振っていたー。


「ーーあ、か、会長!すみません!起きてます!」

祥吾が咄嗟に言うと、梓は「も~」と、言いながら

チラッと樹奈のほうを見つめるー。


だが、それ以上何も言わずにー

「じゃあ、明日からの文化祭本番の役割分担をしますー」

と、梓は話を元に戻すー。


腕には何故か”わたしが会長”と、書かれたたすきのようなものを

身に着けているー。


「ーーわたしは文化祭の写真撮影でいいんですよね?」

樹奈が微笑みながら確認するー。


「ーうん。樹奈ちゃんは、それでお願いー」

梓はそう言うと、祥吾のほうを見てー

「ーーえっと、響くんはー…

 樹奈ちゃんのボディーガードね」と、笑うー。


「ーーボディーガード!?なんだそりゃ?!」

祥吾が思わず叫ぶと、梓は、

「ー二人がラブラブなの知ってるんだから!」と、

訳の分からないことを言いだして、強引に

”文化祭中の生徒会としての仕事は樹奈のボディーガード”に

なってしまったー。


話し合いが終わり、

樹奈は「あ、ごめんー、今日はバイトだから、先に帰るね」と、

祥吾に手を振りながら、足早に生徒会室を出ていこうとするー。


祥吾は「あんま無理すんなよ、副会長!」と、いつもの調子で言うと、

樹奈は「副会長呼びはやめてよね?」と、笑いながら立ち去るー。


「ーーー…あ!ちょっと!」

祥吾も生徒会室から出ていこうとすると、

生徒会長の梓が祥吾を呼び止めたー。


「ーーーーーやっぱ、響くんの彼女さん、なんか変だよー」


梓の言葉に、祥吾は「えーー…?」と呟くー。


「ど、どういうー…?」

先日も梓は”樹奈の目が笑っていない”などと言葉を

口にしていたが、梓自身は祥吾とは違い、

”樹奈が男に着ぐるみのようにされて、着られた”ように見えた

あの場面を目撃していないはずだー。

あの時、あの場所には祥吾しかいなかったー。


「ーーなんかこうーーーー…

 得体の知れない違和感を感じるっていうかー…」

梓の言葉に、

「ーー…そ…それはつまり?」と、

祥吾は首を傾げるー。


「ー会長、何か知ってるんですか?」

祥吾は思わずそう呟くと、梓は「そ、そういうのじゃないんだけどー」と

前置きした上で、

樹奈の振る舞いや言動、表情などに”わずかな違和感”を感じると、

梓は説明したー。


「ーーー」

”あの光景”を知らないはずの梓にも、そう見えるのだろうかー。


「ーーーまぁ、つまり、ほら!その、女の勘ー…いえ、

 生徒会長の勘ってやつ!」

梓はそこまで言うと、真面目な表情に戻って、

「でも、響くんも、ずっと気にしてるんでしょ?

 最近、生徒会の話し合いの最中もずっと、樹奈ちゃんのほうを

 見てるし、なんかぼーっとしてるし」

と、言い放ったー。


だから、文化祭の最中に樹奈と確実に一緒に行動できるよう、

”ボディーガード”に任命したのだと、梓は言うー。


「ーー…はは…そうですねー。ちょっとー」

祥吾は”あの日の光景”のことを一瞬、梓に話しそうになったが、

”もしも”のことを考えて、それは言わなかったー。


もしもー

樹奈が本当に何かに乗っ取られたりしていたらー…

梓も、この件に巻き込んでしまう可能性があるー。


「ーーとにかく、ありがとうございますー。

 明日からの文化祭でー、樹奈に色々聞いてみます」


祥吾はそう頭を下げると、

心の中で決意するー


”やっぱり聞こうー”

とー。


自分の荷物をまとめて、生徒会室の外に向かう祥吾ー


ずっとこのままー

”あの日の光景は何だったのだろうか”とモヤモヤしながら

樹奈のことを見ていたとしても、

恐らく、何も解決しないー。


答えを知るにはー

”樹奈本人に直接聞く”以外に、方法はもうない気がするー。


周囲にも心配をかけてしまうしー

何よりも自分自身もこのままだと辛いし、

もしも、樹奈が誰かに支配されているようなー…

そんな、”非現実的なこと”が起きているのならー

樹奈を助けないといけないー。


怖いー。

正直、あの日の光景を思い出すだけで怖いー。


それに、樹奈に聞いてしまったらー

”今の幸せ”が壊れてしまうような気がして怖いー。


”今”は、何が起きているのだとしても、

樹奈は、普通に接してくれているし、表面上は平穏だー。


だがー

聞けばー

それが、壊れてしまう気がするー


「ーーーー!」

祥吾が、生徒会室の扉に手を掛けたその時ー、

会長の梓が、ぴょんぴょん飛び跳ねながら必死に

黒板の上の方の文字を消そうとしているのが見えたー


「ー会長…手伝いましょうか?」

祥吾が言うと、梓は「わたし、背、小さくないもん!」と、

頬を膨らませながら言い放ったー


「ーーーま、まだ、骨折明けなんですから、無理しちゃだめですよ」

祥吾はため息をつきながら、梓の代わりに、黒板を消し始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー

文化祭が始まるー。


「ーーー文化祭の日なんだけどー

 ちょっと後輩の子に、一緒に回りませんか?って言われちゃったからー

 祥吾と一緒に回るのは、1日目だけでもいいかなー…?

 祥吾とその子、半分ずつって感じでー」


樹奈からは、少し前にそう言われているー。

よって、樹奈と一緒に行動できるのは、今日が中心だー。


樹奈は楽しそうに、文化祭の出し物を見回っているー


「ー3年C組のメイドカフェとかやばっ!」

樹奈が嬉しそうに言いながら、メイドカフェにやたらと興味を示しているー。


「ーーははは、樹奈もメイドになったら可愛いだろうなぁ~」

祥吾が冗談を口にすると、

「ーうん!可愛いよ~」と、笑いながら樹奈が答えるー。


「ーーえ?なったことあるの?」

祥吾が思わず聞き返すと、

樹奈は「あっ!ないけど!例えばの話」と、笑いながら答えたー。


”ーーおっ~と、あぶねぇ…わずかにボロが出たぜ”

樹奈を乗っ取っている男は、そんな風に思うー。


まぁ、”この程度の変化”で疑問に思う人間は、いないだろうー。


最近、樹奈は自宅でコスプレを楽しんでいるー。

乗っ取った後に、樹奈のお金で買ったものだー。


そしてー

最近は、バイトも変えたー。


学校からは離れた場所のメイドカフェで、樹奈にバイトをさせているー

いやー”わたしがメイドカフェで働いているー”


”この女は、少しずつー完全に俺好みになっていくんだー”


「ーそういえばさ、樹奈、少し前に染めたよな」

少し茶色がかった髪を見つめながら祥吾が言うと、

樹奈は「あ、うん~!ちょっと気分転換に」と、答えるー。


樹奈は文化祭後に作る生徒会の広報誌のために

カメラを手に、写真を撮りながら文化祭を回っているー


祥吾は、文化祭を楽しみつつー

”あの日見た光景”について、樹奈に確認するタイミングを伺っていたー


なかなか、勇気が出ないー。


祥吾はゴクリと唾を飲みながら、

樹奈の後ろ姿を、見つめー

”早く聞くんだ…俺!”と、何度も何度も心の中で

自分に向かって叫んでいたー。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


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果たして、ちゃんと聞くことができるのでしょうか~?


「さよなら負け犬」は、

次回が最終回デス~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!☆

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