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ある日、突然女体化してしまったNo1ホストのジュンー。


戸惑いながらも、何とか上手く生活できていたジュンだったが、

やがて、”男ではなくなったホスト”のジュンから

女性客たちの心は離れていくー。


No1の座から転落する危機を迎えるほどに

常連客がいなくなってしまったジュンは、自分が女になってしまったことに

初めて焦りを感じるのだったー…


☆前回はこちら↓☆

<女体化>女体化ホスト②~影響~

”ある日、目が覚めたら女になっていたー” ホストクラブ”ファンタジーガーデン”のNo1ホスト・ジュンは 突然女体化してしまったー。 困惑しながらも勤務先に向かい”女ホスト”としての 初日を終えたジュンは、 ”女でもやっていけるかもしれないな”などと、余裕の笑みを浮かべるー。 しかしー この時のジュンは、まだこの先...

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「ーーーー」

ホストクラブ”ファンタジーガーデン”の先月の売上ランキングが

店内に掲示されているー。


それを見て、女体化してしまったジュンは、表情を歪めたー。


3位ー。


1位はかつてNo1だったホスト、リョウマが返り咲き、

2位にはタクミというホストがランクインしているー。


ジュンは、3位ー。


「ーーあ~~…ジュンさん、やっぱ女になっちゃったのが

 響いたんすかねぇ」


チャラいホスト・アキラがそう呟きながら

店内の売上ランキングを見つめるー。


「ーーー……」

ジュンは綺麗な顔を歪めながら

何度も何度も歯ぎしりをしたー。


そして、自分の”綺麗になった手”を見つめながら

何度も何度も、舌打ちを繰り返したー。


”くそっー…なんで俺は…女なんかにー”

ジュンは唇を噛みながら、拳を作って震わせるー。


”純粋にNo1の座を明け渡す”のであれば、

それはそれで仕方がないー。

ジュンも、当然負けを認めるつもりはあるし、

No2やNo3に転落したら、また返り咲くために必死に努力をするだけだー。


しかしー

こんなー…

”自分が女になった”という理由での転落はー

ジュンにとって、耐えがたい屈辱と言えたー。


「くそぉおおおおおおお!」

可愛い声で叫びながら、ジュンは壁に綺麗な自分の手を叩きつけるー。


「ーーーー…」

髪を短く切りそろえて、男装の麗人のような雰囲気にはしているものの、

それでもやはり”女”になってしまった自分の身体を隠しきることはできないし、

声も、何もかも”今の自分は女”であることを自覚させられるー。


「ーーー落ち着け。気持ちは分かる。

 でも、この世界じゃ売上が全てだー」

No1に返り咲いた先輩ホスト・リョウマの言葉に、

「それは分かってます!でも、こんな形でー」と、

歯ぎしりをしながらジュンが言うと、

リョウマは口を閉ざしたー。


どう言葉を掛けて良いか、分からない、という様子に見えるー。


片桐店長も「ジュンーー…今日は一旦、上がってー」と、

心を落ち着けるように、ジュンに言い放つー。


ジュンは、荒い息をしながら

「すみませんー。頭、冷やしてきますー」とだけ言うと、

そのままホストクラブを後にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「くそっ!くそっ!くそっ!どうして…なんでだよー」

帰宅したジュンは、自分の姿を鏡で見つめながら

悔しそうに呟いたー


「ーせっかく…せっかく、必死に頑張ってきたのにー

 どうしてだよー」

ジュンは、思うー


”この世界に、神様なんていないー”

とー。


父親が小さい頃に交通事故で死亡し、

ジュンの母は、ジュンと妹を必死に女手一つで育てて来てくれたー


その恩返しをしようと、

ジュンは”自分にでもできる仕事”をー

いち早く、親を楽させてあげることのできる仕事を見つけてー

この世界に飛び込んだー。


”努力”という文字だけでは表せないぐらいー

努力してきたと思うー。


とにかく、この世界でいち早く頂点に立って、

親を楽させてあげたかったー


ようやく、そこまで大きくはないホストクラブでは

あるけれどー、No1の座に立って、

これからは、親と妹の生活をしっかり支えていくことができるー


そう、思っていたのにー。


「ーーどうして…こんなこと…するんだよー」


ジュンは鏡の前で座り込むー。


神様なんて、最初から信じてはいないー。

でも、もしも…もしも、そういう存在がこの世界に

いるのならー、

それはきっと”いじわるな”存在なのだろうとー、

ジュンは思わずにはいられなかったー。


しばらく悔しがっていたジュンー。


だがー

ジュンは、それでも折れなかったー


「ーーー…いいさー…

 そっちがその気なら、俺だって負けてたまるものかー」


ジュンは改めて決意するー。

身体が男であろうと、身体が女であろうと、

とにかく、自分にできることをやって見せるー、と。


「ー俺はNo1まで昇りつめたんだー…

 女になったってー

 できるはずだー」


ジュンは、小さい頃から努力家だったー。


そうだー

こんなところで負けてられるかー


ジュンは立ち上がり、再びNo1を目指す決意を

改めて固めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーははは 頑張ってるなー」


それから半月ー

ジュンは”女”ホストとして、死に物狂いで

接客を続けていたー


そんなジュンの姿を見たホスト・リョウマが笑うー。


「ーこうなっちゃった以上、

 受け入れて前に進むしかありませんからね」

ジュンが言うと、リョウマは「ーーさすがはジュンだー」と

感心した様子で頷くー。


”元男の女ホスト”という立場を武器に、

女性客たちの心を必死に掴もうとするのと同時にー

SNSなどを通じて”男性客”へのアピールも始めたー


ホストクラブを利用する男性客はそう多くはないがー

”元男の女ホスト”という特異なシチュエーションは

武器となったー。


ジュンの売上は、少しずつ”回復”の兆しを見せていたー。


チャラい後輩ホストのアキラも

「ージュンさん、マジやばいっすね!」と、

ジュンの驚異的な力に、驚きを隠せない様子だったー。


だがーーー

”夜の世界”は、そんなに甘い世界ではなかったー。


ずっとジュンを指名してくれていた女性客が、

リョウマと楽しそうに話しているのを見かけたジュンー。


他の常連だった女性客も、現在のNo2ホスト・タクミを指名しているのを

見かけてしまったー。


常連客だった女性の一人は、ジュンにこう言い放ったー


”やっぱり…そのー…わたし、男の人とお話したいのでー”

とー。


”男から女にー”

ジュンを根強く支えてくれていた女性客たちはー

やはり、少しずつジュンから離れていくー。


”女体化”という現象に飽きた女性から順にー。


そしてー

「ーーーへへへへ ちょっとぐらいいいじゃんー」


男性客が、女体化したジュンの胸を触るー。


ジュンは笑顔を浮かべながら

「そういうのは、当店ではー」と、呟くー


だが、男性客は激高したー


「ーー元々男だったんだろ?

 何つまんねぇこと言ってんだ?あぁ?

 男なら分かるだろ?触りてぇ俺の気持ちがよ!

 黙って触らせろよ!この女装野郎!」


その言葉に、ジュンは無意識のうちに、

その男性客の胸倉を掴んでいたー。


「ーー何が女装野郎だー。

 俺だってなぁ…いきなり女になって、

 不安な中、必死で生きてるんだよー。

 テメェみたいなおっさんに何が分かるんだよー」


女とは思えないような、迫力のある低い声が出たー。


慌てて片桐店長が止めに入りー、

男性客は不満そうな表情を浮かべて立ち去っていくー。


ジュンは「すみません」と、言いながら

事務所の方に下がっていくー。


そんなジュンを心配して、

慰めに来たのは、後輩のホストのアキラだったー。


アキラがジュンの隣に座りー、

ジュンに色々と言葉を掛けるー。


だがー

ジュンはその時、”更なる不安”を覚えたー。


アキラの手が触れた時に、一瞬”ドキッ”としてしまったのだー


そしてー

アキラと話していると、暖かい気持ちになるようなー

そんな、得体の知れない感覚を覚えたー。


”なんだー…これー…?”

ジュンは、アキラの言葉が耳に入らないぐらいに、強い不安を覚えて

表情を歪めるー。


「ーーージュンさんー?」

アキラも、そんなジュンの反応に違和感を感じたのか、

心配そうにジュンに声を掛けるー。


「ージュンさん?ジュンさんー?大丈夫っすかー?」

ジュンの手を掴んだアキラー


ジュンは咄嗟に顔を赤らめてアキラの手を振り払ったー。


「ーーえ…」

アキラは単純に”男同士として”のつもりだったが、

ジュンが顔を赤らめたのを見て、アキラも困惑の表情を浮かべたー。


「ーー悪いー…俺、帰るわー」

ジュンは逃げ帰るようにして帰宅してしまうー。


帰宅したジュンは、戸惑いの表情を浮かべるー。


ここ最近ー

”少しずつ”違和感を感じていたー


それはー

”少しずつ、自分の思考が女そのものになりつつあるー”

気がすることだー。


服を着る際にー

男としての服を着ることに、妙に違和感を感じるようになってしまったことやー

男の口調で自分が喋ることに強い違和感を感じたりー

女体化したばかりの頃は、事務所で平気で着替えていて、

周囲の方が逆に戸惑っていたものの、最近は隠れて着替えるようになったりー


ジュンには現在、彼女未満・親友以上ー…ぐらいの親しい女友達がいて、

その子にも、女体化のことは既に打ち明けているのだがー

”恋愛感情”のようなものが、ジュン側のほうで、急激に薄れてしまったことー


さらにはー

ホストクラブで働いている最中に、

リョウマやアキラ、他のホストたちの何気ない仕草に

ドキッとしてしまうようなことが増えたことー…


色々な”不安要素”が、ジュンの中で生まれていたのだー


「ー何なんだよー…俺…どうなるんだよー…」

ジュンは、そう呟きながら、自分の顔を鏡で見つめるー。


”このままじゃー…

 どうにかしないといけないー”


そう、思いながらジュンは”実家にいる母と妹”に、

自分が女体化してしまったことを打ち明けることを決意したー。


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女体化してからは、声でバレてしまうため、直接電話で話を

したことはなかったが、今日は初めて電話で母親と話したー


母親は驚いていたものの、

”話し方と内容で、すぐにジュンだって分かるー”と、

そのことを信じてくれたー。


その上でー

”もしも、元に戻ることができないんだったらー

 焦らず、自然に身を任せるのも、一つの方法じゃないかなー”と、

アドバイスをしてくれたー。


”元に戻れないものは、仕方がないー、”とー。


方法があるのなら、希望があるのなら、

それに向かって努力をすることは大事だけれど、

”世の中にはどうにもならないこともある”とー。


時には現実を受け入れて、与えられた環境で、どう頑張っていくかを

考えることも大事だと、母は諭してくれたー


それはー

”夫を突然交通事故で失い、母親一人でジュンとジュンの妹を

 育てないといけない状態になった”という現実を受け入れて、

ここまでやってきた母親だからこそ、強い説得力を持つ言葉だったー


「ー分かったよー。母さんー。ありがとうー」

ジュンはそう言うと、雑談をしばらく続けて、スマホを切ったー。


「ーーーーーー…」

正直、男に戻れるかは分からないー。

いや、自分でもなんとなく分かっているー


”戻れる気がしないー”


ある日、急に女体化したのだから、

ある日、急に男に戻る可能性ー

だって、あるにはあるー。


しかしー

なんとなく、感覚的に分かるー。


”もう、元に戻れる気がしない”のだー。


このまま無理に、女ホストとしてやっていくのかー?

このまま無理に、”俺は男だ”とやっていくのかー?


ジュンは、色々考えた末に、ある決意をして、

翌日、片桐店長に相談したー。


「ーなんだって?」

片桐店長が、少し驚いた様子で呟くー。


「ー俺、正直、このまま元に戻れないと思うんですー」

自分の綺麗になった手を見つめながら呟くジュンー。


「ーーそれにー

 今まで隠していましたけど、

 だんだん、考え方まで”女”になりつつある気がするんですー」

ジュンの言葉に、片桐店長は困惑した様子だったー。


「ーー同僚のホストにドキドキすることも増えましたー」

ジュンが打ち明けると、

片桐店長は「えぇっ!?」と困惑するー。


「ーーだから、お願いがありますー」


その言葉に、片桐店長は、少しだけ表情を曇らせながらも、

ジュンからのお願いを聞く決意をして、頷いたー。


④へ続く


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コメント


今日は花粉の症状にちょっぴり苦しみながらの

執筆…でした(笑)


次回が最終回デス~!

今日もお読みくださりありがとうございました~!

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