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”偶然だったー”


ストーカー行為をしていた女・杏梨は、偶然、相手の男・仁志と

転落した際に入れ替わってしまったー。


しかし、仁志との入れ替わりは、ストーカー女・杏梨にとって

好都合だったー。

仁志として自宅に帰宅し、仁志の妹・朋美に辛辣な言葉を吐き捨て、

朋美を人質同然の状態にして、

杏梨になった仁志に対して”自分との婚姻届の提出”を要求するー。


ストーカー女の狂気に満ちた行動を前に、

杏梨になってしまった仁志は、あることを決意するー。


その先に待つ、運命はー…?


★前回はこちら★↓

<入れ替わり>お兄ちゃんもうやめて③~対峙~

予期せぬ出来事で、仁志の身体を手に入れた ストーカー女の杏梨は、仁志の身体で、仁志の妹・朋美に 攻撃的な言葉を投げつけるー。 仁志として、妹の朋美を追い詰めていくことで、 仁志と朋美の絆を引き裂き、仁志を自分のものにしようと考えていたのだー。 一方、杏梨の身体で目を覚ました仁志は、 杏梨が、仁志の身体...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーこれから、そっちに行くー」

杏梨(仁志)が言うと、電話相手の仁志(朋美)は笑ったー


”婚姻届、書けたんですかー?”

とー。


「あぁ、書いたよー。」

スマホを握りしめながら、杏梨(仁志)は、そう返事をするー


今、この瞬間も妹の朋美は

”俺の姿をしたストーカー女”のせいで、

きっと苦しんでいるー。


”俺に嫌われた”と、そんな風に思ってー

酷く落ち込んでいるー。


”ふざけるなー”

スマホをギシッと握りしめながら杏梨(仁志)は仁志(杏梨)と

会話を続けるー。


”婚姻届を3日間以内に持ってくるー…

それしか、野坂さんに選択肢はないのー。

うふふふふふー”


仁志の身体を奪った杏梨は、そう言い放ったー。


杏梨(仁志)が3日以内に婚姻届を書いて、持ってくればー

妹の朋美に手を出さないー、と。

そして、身体を元に戻すー、と。


実際にはー

入れ替わりは、杏梨が仕組んだことではなく、”偶然”起きたことで、

杏梨自身も元に戻す方法など、知らないー。


だが、仁志になった杏梨は

”入れ替わり”さえも、交渉材料として、

とにかく”大好きな仁志との結婚”という既成事実を作ってしまおうー、と

そう考えていたー。


”朋美がわるいやつに襲われたら、俺は命をかけて朋美を守ってやる!”


”わ~!お兄ちゃん、かっこいい~!”


小さい頃の約束を思い出すー。


杏梨(仁志)は、鏡を見つめながら

”ーイカレ女めー”と、小さく呟くー。


だがー

今、鏡に映っている杏梨に対して、何を言っても、

その言葉は、杏梨本人には届かないー。


今、杏梨の身体を動かしているのは、仁志自身なのだからー。

ここに、杏梨の身体はあっても、杏梨はいないのだからー


「ーくそっ!」

鏡を思わず殴りつけた杏梨(仁志)は、荒い息をしながら

「必ず助けるからなー…待ってろよー」と、

静かにそう呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーふふ」

仁志(杏梨)は、杏梨(仁志)との電話を終えるー。


「ふふふふふふふ♡」

もうすぐ、野坂さんと結婚できるー

そう思っただけで、仁志(杏梨)は興奮してしまうー。


仁志の身体は、杏梨の意思に従って激しく興奮しー

いつの間にか、勃起して、ズボンはパンパンに膨れ上がっていたー。


朋美が涙目で2階から下りてくるー。


そんな朋美のほうを見つめて、仁志(杏梨)は

「ーー俺さァ、これから彼女と同居することにしたからさー

 お前、邪魔だわ。今日中に出てってくれよ」

と、冷たい口調で呟くー。


”わたしと野坂さんだけの世界にー、あなたみたいな小娘はいらないー”

杏梨は心の中でそう思いながら、

パンパンに膨らんだズボンのまま朋美に近付いていくー


「ーーお兄ちゃん…わたしー…わたし…

 お兄ちゃんに、嫌われるようなこと…したー?」

朋美が泣きながら言うー。


「ーあぁ、したよ。ってかさ、

 昔から、お前のこと大嫌いだったよー。

 

 お前さぁ、気づくの遅すぎなんだよ。

 このブス女が!」


仁志(杏梨)が叫ぶー


杏梨から見ても、朋美は可愛らしい感じだったー。

それが余計に杏梨の苛立ちを増幅させー、

杏梨は”朋美の兄”である仁志の身体で、何度も何度も

ブスと言い放つー


「ー今日中に出てけよな!

 それとも、俺のコレ、しゃぶりてぇのか?あぁ??」

乱暴な言葉遣いで、朋美を威嚇し、髪を引っ張る仁志(杏梨)ー


「やめて…お兄ちゃん…もう…やめてー」

その場で子供のように大泣きしてしまう朋美ー


「ケッ!とっとと出てけ!」

近くにあった小物を投げつけると、仁志(杏梨)は

時計のほうを確認するー


「ーちょっとこのあと、俺、”彼女”と会ってくるからさー

 お前はその間に出てけよー?

 鍵はポストに入れとけ。絶対持って帰るなよ?いいな」


仁志(杏梨)は、優しいお兄ちゃんの面影が何もない

悪意に満ちた表情でそう告げると、

そのまま家を後にしたー。


”ふふふー…”

婚姻届の確認はーカラオケボックスを指定したー。


杏梨側の意見と、仁志側の意見を反映した場所だー。


仁志(杏梨)からしてみればー

”妹の朋美と仁志”を近づけたくないー

だから家以外の場所を指定したー


一方の杏梨(仁志)は、変な会話を周囲に聞かれたくない、ということと、

杏梨のことを信用できないから、万が一の場合、

周囲にある程度人がいる場所がいいー、という希望を言ってきたため、

仁志(杏梨)側が、カラオケボックスを指定し、

杏梨(仁志)もそれで納得したのだったー


「ー杏梨ー…だいすきだよ♡」

仁志の口でそう呟いた仁志(杏梨)は、一人奇妙な笑い声を上げながら

カラオケボックスへと向かったー。



「ーーーーー…」

虚ろな目で、”お兄ちゃん”の家から出ていくため、

荷物をまとめる朋美ー。


放心状態で、もはや”抜け殻”のような状態だー。


♪~~~


そんな時だったー。

朋美のスマホが鳴るー。


「ーーーーー」

朋美は虚ろな目のまま、スマホに目をやるー。


そこには、

実家にいる朋美の父親からのメッセージが表示されていたー。


”仁志から伝言頼まれたんだけどさー

 ”俺は、いつでも朋美の味方だからー。

 必ず、迎えに行くからー。

 何があっても、そこで待っててくれー”

 ってー”


そのメッセージに、朋美は目を見開くー


「ーーえ…」


どういうことー?と、一瞬首をかしげるー


さっきまで、散々暴言を吐いてきた兄ー

しかしー

これはー?


”何か…あったのかー?

 誘拐でもされたのか?”


父親のメッセージには、そう添えられていたー


朋美はすぐに、”ううん…大丈夫ー”と返事を送ると、

スマホをぎゅっと握りしめたー。


「ーーーお兄ちゃんー」

朋美は、兄を信じることにしたー。


何が起きているのかは分からないけれどー

”お兄ちゃん”はきっと助けてくれるー


とー。


・・・・・・・・・・・・・・・


杏梨(仁志)はカラオケボックスに向かうー。


先ほど、家を出る前に

杏梨(仁志)は、実家にいる母親と父親にそれぞれ

メッセージを送っていたー。

スマホも取られてしまっている現在ー、

仁志のスマホから連絡を入れることはできなかったが、

杏梨のスマホを使って、杏梨(仁志)は、実家にいる両親に

メッセージを送りつけたー。


”知らない番号からのメッセージ”でも、母か父のどちらかが

読んでくれるー、と、そう信じてー。


「ーーーーー…」

杏梨(仁志)は表情を歪めるー。


妹の朋美は”知らない番号からの連絡”には出ないー。

仁志の家には、固定電話はないために、

それ以外に朋美に連絡する手段が、ないー。


そこで、杏梨(仁志)は、”実家”に連絡することを考えたのだー。


内容はー


”朋美に伝えてほしいー

 俺は、いつでも朋美の味方だからーって”


とても、シンプルだったー。


両親が、この”伝言”を朋美に伝えてくれればー

あのストーカー女が、朋美のスマホを没収していない限りー


”入れ替わり”を説明しても、

両親の性格上、信じてもらうのは難しいー。


だがー

”実家を通せば、妹の朋美にメッセージを伝えることはできるー”


そう、信じたのだー。


”伝えたぞー”

父からの返事を確認した杏梨(仁志)はー

”ありがと”と、返事を送ると、

「ーーー」

意を決して、ストーカー女が既に待っているであろう、

カラオケボックスに向かって、歩を進めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーあ!野坂さん!」

先にカラオケの個室に入っていた仁志(杏梨)が

嬉しそうに叫ぶー。


杏梨(仁志)が、仁志(杏梨)を睨むようにして個室に入ると、

「そんなに睨まないでください~!これから夫婦になるのに~♡」と

仁志の身体で嬉しそうに笑ったー。


「ーーーー朋美はー?」

杏梨(仁志)が怒りの形相で確認するー


「ーー安心してくださいー

 ”わたしたちの家”からは出てってもらいますけど、

 無事ですよー」

仁志(杏梨)の言葉に、杏梨(仁志)は

「俺はお前を許さないー」と、”元自分”を睨みつけるー


「ーーわぁ…わたしの顔がーー…

 すっごい怖い顔にー…

 素敵ですぅ♡」

嬉しそうに目をキラキラさせる仁志(杏梨)ー


「ーーー」

”こいつには、何を言ってもダメだー”

杏梨(仁志)はそう思わざるを得なかったー。


完全に、イカれているー。


「ーーーんふふふふふ…」

仁志(杏梨)は嬉しそうに笑いながら、

「ーあんまり、焦らさないでください~」と、

杏梨(仁志)が書いてきたであろう婚姻届を要求したー。


「ーわたし、朝から勃っちゃって、仕方ないんですぅ…

 仁志のこれ、本当に…すごいんですねぇ…」

勃起したのがズボンの上からでもわかるそれを、

仁志(杏梨)は愛おしそうに撫でているー。


”反吐が出るー”

杏梨(仁志)はそう思ったー。


目の前に勃起した自分がいてー

しかもニヤニヤしながらそれを撫でているー。


そんな光景を見せつけられた杏梨(仁志)の頭の中は

”不愉快”で埋め尽くされていたー。


しかもー

いつの間にか”野坂さん”から”仁志”呼びに変わっているー


婚姻届を持ってきてくれたー、

ということで、もう”妻”になったつもりなのだろうかー。


「ーーわたし、今日から

 藤村杏梨じゃなくてー

 野坂杏梨になれるんですねー」


顔を真っ赤にしながら仁志(杏梨)が、

「のさかあんり…のさかあんり…のさか…♡ うふふふふぅ」と、

嬉しそうにしているー。


「ーーーーーーふぅ」

杏梨(仁志)は深呼吸してから、仁志(杏梨)のほうをまっすぐと

見つめるー。


歌うために利用するはずのカラオケボックスー。

しかし、今、この部屋は、背景に音楽が流れているだけでー

静寂に包まれていたー。


「ひとつ、俺から提案があるー。」

杏梨(仁志)は、真剣なまなざしで仁志(杏梨)を見たー


”朋美を助けるためー”

仁志は心の中でそう呟き、息を吸ってから言葉を続けるー。


冷静さを、なんとか保ちながら”最後の話し合い”をするためにー。


「ーー…俺は正直ー…

 君とは友達にすら、なりたくないー。


 でも、君は、俺と夫婦になりたいー

 そうだな?」


杏梨(仁志)が言うと、仁志(杏梨)は満面の笑みで頷くー。


「俺は君とは絶対に結婚したくないー

 でも、君は俺と絶対に結婚したいー。


 この二つの考えが、両方叶うことはないー。

 それは、分かってくれるかー?」


杏梨(仁志)が言うと、

仁志(杏梨)は少しだけ表情を曇らせつつも「うんー」と、呟くー。


「だから、お互いに”譲歩”しようー」


杏梨(仁志)は提案するー


”友達”ー。


絶対に杏梨と結婚したくないー、友達にすらなりたくない仁志は、

”譲歩”して、”友達”になるー。


絶対に仁志と結婚したい杏梨は、

”友達”で我慢するー。


相反する二つの願いのその中間地点ー。


「ーどうか、分かってほしいー。

 それとー、

 妹の身の安全と、俺と君の身体を元に戻すことも、約束してほしいー」


杏梨(仁志)が言うー。

仁志(杏梨)は不満そうだー。


これも、想定通りー。


「ーーその代わり、俺は、”今回のこと”を、何も問題にしないー

 こうして身体を入れ替えたりしたことも、

 君の付き纏いの行為もー」


”お互いの譲歩”と”交換条件”ー。


杏梨が”朋美の身の安全の確保”と”お互いの身体を元に戻すこと”を約束する

代わりにー、

仁志が”今回の件を問題にしないこと”を約束するー。


「ーだからどうか、平和的に、解決してほしいー」

杏梨(仁志)は願いを込めて頭を下げたー。


「ーーーーーー」

仁志(杏梨)は、クスッと笑うー。


杏梨(仁志)が顔を上げるー


「ーーー…婚姻届ー出して?」

仁志(杏梨)は微笑むー。


「ー仁志、自分の立場、分かってないみたいね?

 わたしが…いいえー”俺”がその気になればー

 妹の朋美をどうにだってできるー。

 それにー

 この身体で、犯罪を犯したり、自殺することだってできるー」


そこまで言うと、仁志(杏梨)は


「”妹”の運命もー、”あなたの身体”の運命もー

 わたしが握ってるー。

 

 あなたは婚姻届をわたしに差し出すしかないの!」


と、机を叩きながら叫んだー。


「ーーーそうかそうかー」

杏梨(仁志)はそう呟いたー


”話が通じるやつ”だとは思っていなかったー


でもー

できればー

これで解決したかったー。


「ーーーわかったよー」

杏梨(仁志)が婚姻届の紙を取り出すー。


「ーーーーーふふっ わかってくれればー

 いいんですー」


仁志(杏梨)が嬉しそうに笑うー


だがーーー


「ーーこの、イカレ女が!!!!

 お前となんて、死んでも結婚するものか!」


杏梨(仁志)が叫ぶー


婚姻届の用紙にはーー


”お前となんて、絶対に結婚しないー

 永遠に、結婚しないー”


と、赤い文字でそう書かれていたー


「ーーーぅ~~~~~~~~~~~…」

仁志(杏梨)がその紙を見つめながら

鬼のような形相に変わっていくー。


「ーーー俺は、絶対に朋美を助けるー!

 お前の好きになんて、絶対に、させないー!」

杏梨(仁志)はそう叫びながら、婚姻届の用紙を、

仁志(杏梨)に向かって投げつけたー


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!

狂気のストーカー女と、妹想いのお兄ちゃん、

そして妹の運命は…?


ぜひその結末を見届けて下さいネ~!

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Comments

飛龍

とうとうお兄ちゃんの逆襲か……!? でも力じゃ敵わないし元に戻す手段もないしどうするんだろ~。最終回が気になります~!

無名

いつもコメントありがとうございます~!☆ 結末にぜひ驚いて下さいネ~笑 完結までしっかり頑張ります~★!